ホンダ CL50(2012.10.8)


 私の勤務している会社の駐輪場で、“ホンダ CL50” というバイクを見つけた。
同じ会社の社員の誰のバイクか分からないが、
懐かしさのあまり、しばらく見とれていた。

【 往年の名バイク、“ホンダ CL50 ” 】

50というくらいだから、もちろん原付バイクである。
数十年前、高校卒業と同時に同級生から
確か5千円だったと思うが譲ってもらって、しばらく乗っていたバイクと、
色も形も同じである。

50ccと言えば、あの小さな乳酸飲料のヤクルトですら、1本65ccであり、
それよりはるかに小さい排気量である。
空冷エンジンであるが、こいつが実によく走った。
速度だって、60、70Km/hくらい はすぐ出るし、何といっても
排気量が少ない分、燃費もいいのだ。

当時、スズキのバイクには2サイクルエンジンが多く、
エンジンオイルも必要であったが、このホンダは4サイクルエンジンであり、
オイルが必要無かった。
実に頼もしいやつだった。


そんな昔の事を思い出していたら、無性にバイクが欲しくなった。
しかし、私は原付の免許しか持っていない。
今どきの道路を、原付で走ろうとは思わない。
何故なら、原付は車体が軽すぎて、50Km/h以上の速度を出すと、
もちろん速度違反でもあるが、咄嗟のブレーキ時に実に危ない。
従って、少なくとも250cc以上のバイクに乗りたい。
でも、CL50も無性に欲しい。

とうとうある日、250cc乗れるバイクの免許を自動車学校に通って取得し、
250ccのバイクと、どうしても欲しいと思っていたCL50と、2台買ったのだ。
とても贅沢であるが、用途を分けて交互に乗るには2台あると最高である。

今朝も、朝から秋晴れの実にすがすがしい日だったので、
ちょっと、海が見えるそのあたりまで走ろうと、ワクワクして準備した。
この季節、颯爽と風を切って海辺の道路を飛ばす快感は答えられない。
さあ、小さい小さい旅なので、今日はCL50で行こう! さあ、出発だ!
しかし出発前になって愕然とする、ヘルメットが無いのである。
ヘルメット無しで走れば、あっという間にパトカーや白バイに検挙される。
うわー! どうしよう! 朝早いし、ヘルメットを買おうにも店という店は開いていない。
せっかくの旅に出れないではないか、どうしよう・・・・

・・・と、そこで決まって目が覚めるのである。
免許を取るところから、全て夢の中である。
頼むから、海岸沿いの道路を、潮風を感じながら、
颯爽と走っているシーンで、朝の目覚めとしてくれないかな。夢君よ!

しかし、毎朝会社の駐輪場にある “ ホンダ CL50 ” を見るたびに、
ほんとうにバイクを買おうかと思うのである。
中古でもいいから・・・・・・・


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