よくぞ日本人に生まれけり(2002.10.6)


随分前、英会話サークルで英会話を習っていた。
結局、英会話はものにならなかったのだが、いろいろな方と知り合いになれた。
英会話にたけた人が言っていたことなのだが、
「わび」、「さび」、「腹芸」など、日本独特の言葉を、外国人にわかるように
説明するのは、至難のわざらしい。

そりゃ、そうだろうなと思う。
日本独特の感性とでもいうのだろうか、日本人にしか分からないだろうなあ
と思える、気分に浸れるとき、
私は「よくぞ日本人に生まれけり!」とひとりごちてしまう。

今日もそんなことがあった。
家庭菜園で草取りをし、雨に濡れて帰り、玄関のドアを開けたとき、
『風呂、沸いとるよ。入らんね〜』と、女房の声。
「お!、ありがてえ」とばかりに、ドブンと、風呂に入る。
雨で濡れ、少し冷えた身体にあたたかい風呂は気持ちがいい。
「あーーあ、気持ちのよかねぇー!! しかし、お湯がかたいなぁ」
と、無意識に言葉が出た。



ふつう、バスクリーンとか、バブとか、旅の宿とかいう入浴剤を風呂に入れるが、
今日は一番風呂、真水なのである。
棚にある入浴剤の箱から、旅の宿(登別)を出して風呂に溶かした。
お湯が身体になじみ、
「うーーーん、お湯がやわらかくなったぁ」と、またひとりごちた。
まさに、よくぞ日本人に生まれけり!である。

「お湯がかたい」の「かたい」とは、漢字になおすと「硬い」とでも書くのだろうか、
誰が言い出した言葉かわからないが、日本人らしく独特ないい表現だと思う。

入浴剤の袋に、「湯あたりなめらか」との表現があった。
さらに、「本品は温泉の湯を再現したものではありません」とも。


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