山の向こうへ(2021.10.17)

 イタリアという国の地形は、
地中海に長いブーツを突き出したような半島になっているが、
私の住む熊本県にも、有明海にツーッと突き出た宇土半島という
そんな半島がある。


【 宇土半島あたりの地形 】

半島の北側を走る国道57号線が、例えるなら山陽道であり、
南側を走る国道266号線が山陰道というところである。

先日、天草方面からの帰り道に266号線を走った。
もう何度も走った道ではあるが、右側に広がる八代海(不知火海)
の姿は国道から眺めても一面に海が広がり絶景である。

もうかなり宇城市に近付いたなと思いながら運転していて、
ふと海側を眺めたら、山のほうに目が行き、
そのはるか遠くの景色に、思わず
 「おおーっ」とつぶやいた。

いわゆる九州山脈の方角を眺めることになるのだが、
その山の姿が実に美しい。
山の向こうにまた山が見え、さらにその向こうにまた山が見える、、
そんな光景なのだ。


【 国道266号線から見た、山の風景 】

車を道の脇に止め、思わずスマホを取り出しカメラで撮影した。
上の地図でいうと、道路からちょうど赤矢印の方角を写した感じである。

スマホがオンボロなのであまり綺麗に写ってはいないが、、、、
干潮の不知火海を手前に、はるかに遠くに連なる九州山脈が見えたのである。
満潮であったら、なお眺めもよかったのだろうが。

山頭火の句に “ 分け入っても 分け入っても 青い山 ” という有名な句があるが、
あの山をもし歩いて越そうとすると、そんな感じかなぁ、、などと思いながら
しばらくの間ボーッと山の方を眺めていた。
ふと我にかえり、また車に乗り込み家路を急いだ。

もう随分と旅行にも行っていない。
というか、行く余裕がない。
経済的にも、体力的にも。
時間的にはかなり余裕はあるのだが、、、

仮に有り余るほどのお金があったとして、
妻に、
 「どうだろう、たまには秋の紅葉でも眺めながら温泉にでもゆったりとつかる
   そんな旅行にでも行ってみようか 」
と、問うたとしよう。
返ってくる答えは決まっている。

 『いやよ、疲るっだけ。 家におってうまか物でも食っとた方がよっぽどよか!』

間違いないぞ。


 へ     へ         「旅」メニューへ       「エッセイ」メニューへ   ホームに戻る。