保全(2010.4.29)


 知人が嘆いていた。
その知人は、システムエンジニアに属する仕事をしている。
販売実績という営業担当のように売上額などで、評価される担当ではなく、
LAN(無線、有線)を中心とした機器(パソコン服務)の設定、
クレーム処理、機器の故障修理など、地味で目立たない仕事内容である。

私も一応 技術屋のはしくれだ。
同じような技術屋の人には分かっていただけると思うが、
自分なりに頭を使って、普通の人なら到底解決出来ないような困難な故障対処も、
ねばり強く、努力して、知恵・工夫を駆使し、その原因をつきとめ
無事解決したときの喜びは、何物にも代えがたいくらい大きいものだ。

そのような仕事内容を、評価してもらえないと、知人は嘆いていた。
評価してもらえないどころか、その知人の上司は
 「うちの仕事というのは、社内的にも評価されにくいんだよね」
などと言う始末。

普段、当たり前に使えるサービスが、何事もなく普通に利用できるという事。
その当たり前のサービスを、世の中に、いつでもどこでも提供できる裏には、
それを支える人々、つまり保全担当の、目立たない地道な努力があるのだ。


先日、市内にある大きな書店に行き、城山三郎氏の「大義の末」という本を買いにでかけた。
広いフロアなので、タッチパネルによる検索機で検索すると、「在庫あり」と出て、
2ヶ所の本棚の位置が表示された。
プリントアウトし、探すが、2ヶ所の本棚のどちらにも無い。
店員に聞いたが、その店員は少し探して、
 「 無いですねぇ・・・この本(同じ著者であるが別タイトル)と間違って入力したのかもしれませんねぇ・・」

改めて注文できますかと聞いたら、
 「ゴールデンウィークに入りますので、入荷は随分先になります」 と言う。

店員を責めるつもりは毛頭無い。
お客さんが、当該の本を全く別の棚に戻したのかもしれないし。

「在庫本の検索」というサービスが、普通に利用できなかっただけなのである。


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