半角スペース(2010.3.22)


 こうして性懲りも無く、つまらないエッセイをシコシコ掲載しているが、
私は昔から文章を書くのが得意ではなかった。
若い頃、職場で
 『 お前の書く文章は、やたらと句読点が多く読みづらい 』 などと言われた。
文章が下手なものだから、読む人になるべくストレスをかけないようにと、
自分なりに気を使っての、句読点の挿入が度を過ぎていたのである。
そしてその癖は、いまだに抜けない。

もう随分むかしの事、
電報の文面がカタカナで配達されていた頃の有名な話しである。
ご存知の方が多いとは思うが、あえて記してみる。

東京で下宿生活をしていた学生が、金に困って実家の親に電報を打った。


【 こんな電報が、昔あったとか 】

 “カネオクレタノム”
この電報を受け取った親は、
 “金送れ頼む” とは受け取らずに、
 “金遅れた飲む” と思い込み、
子供に送金するのが遅れたので、ヤケになって大酒を飲んで荒れているのではないかと、
心配したという話しである。

これは、“送れ” を、“遅れ(た)” と誤解したことによる。
つまり、この短い文面に句読点なり、スペースを入れたらどうであったろうか。
 “カネオクレ、タノム” もしくは、“カネオクレ タノム” とすれば少なくとも
その意志は正確に伝わったと思う。

人名においてもしかりである。あまり例は良くないが、「小山田勝」という人は、
”小山 田勝(こやま でんしょう)」かもしれないし、「小山田 勝(おやまだ まさる)」かもしれない。

新聞に川柳欄に、「千年の仏ちりまでありがたい」という句があった。
これもよく読めば分るのだが、「仏ちり」とは何だろうとも思ってしまう。

いわゆる、平安時代の頃からひらがなによる文章が書かれたらしいが、
どこにもスペースはないし、句読点もない。
驚いたことに、この句読点は明治時代になりやっと用いられたとか。

私は、句読点も大事だと思うが、スペースも大事だと思う。
例えば、人名にしても 「山田太郎」ではなく、
「山田 太郎」 さらには、
「山田 太郎」と、スペースも全角ではなく、半角スペースがいいのではないか。
半角スペースは、「Shift」キーと「スペース」キーを同時に押せばよい。

私はそんな、「半角スペース」のような人になりたい。


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