村上水軍(2009.1.25)


 数日前に、テレビドラマで
「そうか、もう君はいないのか」という作品を見た。

私の好きな作家、城山三郎氏の回想記で、
亡くなった奥様への、愛惜の思い出を綴った作品をドラマ化したものである。
テレビドラマとはいえ、氏の作品の要所要所を収録してあり、
読書した時と同じ感動を覚えた。

私は、昼休み職場の近くのデパートの6階にある本屋へよく行く。
今は亡き城山三郎氏の作品が並ぶ本棚で、「秀吉と武吉」という小説を買った。

経済小説の開拓者と言われた氏が、
このような戦国時代を題材とした小説も書かれたのかという驚きと共に、
購入して一気に読んでしまった。

織田信長、豊臣秀吉、毛利元就、小早川隆景らが活躍する、いわゆる戦国時代も末期、
瀬戸内海を中心に一大勢力を誇っていた村上水軍の総大将とも言える、
村上 武吉のリーダーシップに的を据えた小説である。

秀吉側につくのか、小早川側につくのか等々、
一歩読み違えれば、命はおろか妻子、縁者、部下、全ての命がなくなるという時代である。
いわゆる、組織の最高責任者として、度重なる重大岐路においての、
身の処し方に深く考えさせられる。


【 村上水軍博物館前にある、村上武吉 像。 マルに「上」の字の軍旗も見える 】

読み終えて分った。
なるほど、会社、組織、正義、大儀、戦争、国家、個人などを題材に、
鋭くえぐる文学作品が多い、城山氏ならではの作品である。

真のリーダー不在といわれる現代、
リーダー的立場にある人は、
こうあらねばならぬという、そんな参考にする点がいくつもあるように思った。

ところで、
美しい瀬戸内海を、能島、来島、因島の各村上水軍が
命がけで航行していた時代と違い、
戦さなるものを意識せずに自由に、魚釣りに、レジャーにと
気軽に好きな時、海へ出れる今現在、何とも幸せな時代だと思う。


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