時の流れって、そんなもんすかねぇ (2011.2.22)


 昼休み、市役所に行く用事があり、12:00ちょうどに外へ出た。
市役所での用事は10分程度で済んだので、
外出ついでに昼食もこの辺りで・・・・と思い、
例の美味しい味噌ラーメンを食おうと思って、
店の方へ歩いて行ったのだが、驚いた事にその店がなくなっているのだ。

全く別の店になっていたので、店じまいしたのか、引っ越したのかも分からない。
昼食時に行っても、正直な話しあまり多くの客が入っているという事が少なかったので、
多分、店じまいしたのだろう。
私はそこの味噌ラーメンが好きだったのに、実に残念である。
別のラーメン屋で、味噌ラーメンを食ったが、私好みの味ではなかった。

あーあ、また一軒、うまいラーメン屋さんが減ったな
と思いながら歩いていると、同じ通りにある老舗(だと思うが)の鮨屋にも、
テナント募集の看板が張ってあった。

東京にある有名な市場の名前を店の名前にした、高級な感じの鮨屋であった。


【 テナント募集の看板と、店の内部の写真が掲示されていた 】

その鮨屋の前を通る度に、こんな鮨屋に入って自由な雰囲気で、
何の気兼ねもなく、
   「 まず、生ビール、それに何かいい刺身ない? それと、
    ウニ、イカ、アジ、中トロね! 」
な〜んて、注文してみたい、そんな感じのお店であった。
入り口のドアも、いかにも鮨屋という感じで清楚だったし、
暖簾なども染色がよく、キリリとした風格があった。

スーパーでも鮨が売ってある時代であり、あちこちに回転すし屋もたくさんできて、
客足が遠のき、商売がなりたたなくなったのだろう。

私の好きな作家である吉村 昭氏のエッセイに、「店じまい」という一遍があり、
同じように、氏の自宅近くに夫婦でやっている鮨屋さんあったが、
店じまいをして故郷の岩手県に帰っていったという話しがあった。
 
『・・・1年ほど前から、夜、店に行っても客の姿を見ることはなくなった。
  私が入ってゆくと、かれは(大将は)一人でテレビを観ている。
   店に出ていたかれの妻は、いつしかパートタイマーの仕事を
  するようになり、姿を見せなくなっていた。
 私は、かれと話をしながら鮨を肴に酒を飲む。
  二時間ほどいて帰るまで入ってくる客はなく、
   出前の注文もかかることはなかった・・・・・・・・・・・・』


そんな吉村氏のエッセイを思い出しながら、
 “ 時の流れって、そんなもんすかねぇ ”
と、声にもならない声で、世の中にため息をつき、
昼休みが終わろうとする頃、私は会社へ帰って行った。


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