ウィンナーソーセージ (2004.5.1)


「こんなもんつくるのは、お父さんだろー」・・・・夕方、帰ってきた娘の一声である。


【ウィンナーソーセ−ジをフライパンで焼いて、食卓に置いてみた。】

玉子焼きに、ソーセージ、ちくわの醤油煮、鯵の開き、小魚の佃煮、たくあん・・・・・・・・
それらの中で、2〜3種類を、毎日の弁当のおかずに入れてくれた。
おふくろが作ってくれる弁当である。
当時、中学1年生。もう三十数年前の話しである。

佐世保市立福石中学校の同級生に、桑原君がいた。
桑原君の弁当を覗くと、毎日必ずこのウィンナーソーセ−ジが2〜3個入っていた。
ある日、私は思い切って桑原君に言った。
「桑原君、その丸くて赤い色のものをひとつくれないだろうか。」

『ああ、いいよ。はい!』・・・・・何といいやつなんだ、桑原君は!

包丁できれいに切れ目を入れてあり、しかもちょうど良い炒め加減だ。
桑原君のお母さんの大きな愛情を感じた。
私はその時初めて、ウィンナーソーセージなるものを食ったのだった。
大げさではあるが、世の中にこんなうまいものがあったのか!と思ったものだ。

おふくろにその話しをしたら、2〜3日おきに、私の弁当にもウィンナーが入るようになった。
それ以来、毎日の弁当の時間が楽しみでしょうがなかった。

そんな事をふと思い出して、今日、ウィンナーソーセ−ジをフライパンで焼いてみた。
「こんなもんつくるのは、お父さんだろー」の、娘の声を聞きながら、
熱々のをひとつ、口にほおりこんでみた。
実に懐かしい味がした。
桑原くん、立石くん、中山くん、古川くん・・・・・・・・みんな元気にしているだろうか。
佐世保市立福石中学校、オンボロ木造校舎の2階だった。


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