生そば井上(2022.12.1)

 35年以上前の話しである。
職場の誰かが以下のような事を言っていたのを思い出す。

 「川尻の町ん中にある、井上という蕎麦屋のそばは、
   たいぎゃーうまかけん!いやー、ほんなこっ」

その蕎麦屋さんは、何年か前に川尻から少し離れた国道3号線沿いに
引越しして営業しているのも知っていた。
そのお店の前を車で通るたびに、そんなに広くない駐車場が
いつも満杯になっている光景もよく見た。
このお店のそばはうまい!というのは
けっこう市内の人には知れわたっているようだ。


先日、昼過ぎの13:30頃、
そのお店の前を通った時、
めずらしく駐車場に空きがあったので、
ふらりと車を乗り入れて、
月見そばを注文した。


【月見そば。カメラのレンズが汚れていたためかぼやけている 】

そばの麺は少し細めで、つゆとからんでとてもおいしい。
卵も、少しとじぎみにしてありこれもまたうれしい。
麺をひとくちすすり、つゆを飲んでみた。
このつゆがまた、うまくてうまくて、ひと口しか麺をすすっていないのに、
そのままつゆだけ飲み干してしまうところだった。

そんなわけで、35年以上も前から気になっていたそばを
先日食した。
ごちそうになった!

月見うどん、780円くらいだったかな。
会計を済まして、入口を出ようとしたら
店員さんが、駐車場のほうに向かって
 『もう、できますけどーっ!』
と少し大きめの声で言ってた。

見ると、赤ちゃんを抱っこした女性と、おばあちゃんが、
マイカーに乗り込もうとしていた。
憶測するに、注文してなかなか料理が来なかったので
帰ろうとしていた? ・・・詳細はよくわからない。
店員さんの声を聞いて、二人はまた店に戻ろうとしていたが、
戻ったかそのまま帰ったかは確認していない。

お店の入口に、割と大きめの看板があり、

  「御客様各位
 当店は、慶応三年(1867年)創業以来、父子相伝で今日に至っておりますが、
 伝統を守りおいしいおそばを作るには、相応の時間がかかります。
 何卒ご理解の程、お願い申し上げます。 
  尚、お急ぎの方や、どうしても待てない方のご注文は残念乍ら、
 お受けできませんので、御容赦下さい。
   生蕎麦 井上  四代目店主 敬白」


と、書いてあった。
伝統と、味には時間がかかるのだろうなあ。

えび天そばか、ごぼう天そばを食べたかったのだが、
天ぷらそば(たぶん天ぷら盛り合わせ)しかなかったようだ。
言えば作ってくれたのかもしれないが、、、

私は、ただおいしいそばをごちそうになった。
何かしら、小さな夢がひとつ叶ったみたいな気持ちになった。
ありがとう!
久しぶりに、うまかそばばぁくったー!


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