この歓喜天は最勝院に古くから伝わり、特に財宝、夫婦和合、子宝 の御利益がある。特にこの仏は、秘中の秘とされ、その姿を一般檀信 徒の前に姿を現すことはまずない。祈願、修法は人目を避け、極秘の 内に行われる。 具には、大聖歓喜自在天と称するが、その霊験のあらたかなるとこ ろから、尊敬と畏怖の念を込めて聖天様と呼ばれている。 この歓喜天は蘿蔔根(大根)を好むとされ、供物として供えられた り、絵馬が奉納されている。また、様々な説話が付いてまわるが、こ こでは詳細をさけたい。 この歓喜天厨子は、梨地に高蒔絵で津軽家の家紋が施されている。 時の藩主は家門長久と子孫繁栄をこの歓喜天に祈念したのであろう。 内部は総純金に寶物が彫り込まれており、美術的にも高い評価を受け ている。昭和三十三年の火災時に損傷を受け、頂上の寶珠と軒回りの 瓔珞等は損失したが、内部の尊像は無傷であった。 歓喜天の三昧耶形は蘿蔔根である。最勝院へ奉納されたもので、聖 天様として古くから信仰を集めていた。
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