LS-CC松葉杖訓練法の考え方とLS-CC松葉杖訓練法で使う三つの道具たち
ここに説明するのは、LS-CC松葉杖訓練法を理解していただくために説くものです。
どうぞ参考にしてください。
◎◎○○・・・ 加筆訂正 2019年07月27日 公開 2019年04月06日
◎◎◎
運動療法を通じて、訓練中や生活の中で起きた出来事や事件を挿し絵入りでお伝えします。
訓練中や訓練を終えての生活中で、起きるべきして起きる出来事や想像しなかった出来事を紹介しています。
これ以下に記している内容を、少しずつ挿し絵入りの説明を加えたいと考えて…
・ 挿し絵入りでの説明
公開 2019年07月27日
【1】 この訓練と関係なく、肢体不自由(運動機能障害)児であるならば、どんな子どもにも施すことが大切な訓練は・・
◇ 肢体不自由児の身体をまずは柔らかに!
肢体不自由(運動機能障害)の子どもは、麻痺が無くても有っても身体が硬くなる恐れが常にあります。
身体にある関節は、一定の条件の下で関節の動く範囲と方向が定まっています。
関節を動かさないでいると、その関節の動く範囲が狭まり、最後には動かなくなります。その実例が、骨折などでギブス固定されてギブスが外れても、ギブスで固定されていた関節の動きは制限され、動くようにするためにストレッチを行い痛みが伴うこととなるのです。
ギブスで固定されなくても、自ら動かすことのない関節は、動かない関節として徐々に関節の動く範囲が狭まる事となるのです。
肢体不自由(運動機能障害)児の関節は当にこの例のように、動かすことができないために、動かさない関節として関節の動く範囲が狭まることとなるのです。
ラジオ体操が盛んなことや、中国人が各特有の身体を動かす体操を行うのも、どれもが身体を硬くなることを予防し、常に身体を柔らかに保つために行われているのです。
麻痺があることによって、身体が硬くなることもありますが、原因は違っても身体を動かせないが為に、動かない関節として身体が硬くなっていくのです。
この様な理由によって、動かさない身体は硬い身体となっていきます。硬い身体とならないために、ストレッチ(ストレッチング)を本人に変わり、他の人が行ってあげて、肢体不自由児の身体を柔らかに保つ事が、関節可動域確保訓練となるのです。
肢体不自由(運動機能障害)の子どもに、ストレッチを施してあげましょう!
1 ストレッチが行えるようになるまでは、ストレッチができる人の真似で・・
自分が自分のストレッチを行うのは、痛みを感じながら行うこととなるので、特別な奇妙なストレッチを行わない限り事故は起きにくいです。
他人に対してストレッチを行うのは、勇気が必要なのかも知れません。
・ どの位の強さでストレッチして良いのか?
・ どの位伸ばしたり曲げても良いのか?
・ どの方向に動かしたなら良いのか?
等々ととても心配かも知れません。
まずは、ストレッチを行うセラピストの動きや行う方法を見て、その真似から入ります。
各関節の動かし方については、ウエブサイトにも載っています。
私が共著で発刊させていただいた、《へるす出版 立つ・歩くことを考えた 脳性まひ児のリハビリテーション −運動機能獲得へのアプローチ−》の中にも載せてあります。
毎日ストレッチを我が子に施すことによって、我が子の関節の動きや硬さが、ウエブサイトや教本に記されている内容と異なることが理解されます。
関節が抵抗して動かなくなる所、その位置を覚えたり記録して、毎日施していると、ほとんど同じ位置で関節に抵抗が始まります。その抵抗が始まった時点よりも、更にもう少しストレッチを施して欲しいのです。
この更にストレッチを行うことが、関節の可動域を確保することとなるのです。
注意しなければならない点として、子どもがストレッチを嫌がり意思で抵抗しているときなどは、ストレッチは行いません。抵抗しない関節のストレッチを行います。
2 ストレッチができるようになったならば、ストレッチの時間短縮を・・
ストレッチを施すことが慣れない間は、とても時間がかかります。
慣れるに従い時間がかからないようになり、機能訓練や歩行訓練をする頃になれば、全身のストレッチに要する時間が20分以内となります。
ストレッチに要する時間を短くすることが良いことではないのですが、短くしないと機能訓練や歩行訓練を行う時間が無くなってしまうのです。
限られた時間内で子どもに訓練を施す時、ストレッチを行うことは必須ですが、その先の機能訓練や歩行訓練時間が無くなっては、何のための訓練時間なのかわからなくなってしまいます。その様な理由で、ストレッチを軽視して機能訓練や歩行訓練に入るセラピストが多いのかも知れません。
ストレッチに要する時間が短縮できないのは、ストレッチを丁寧に行った経験がないからなのです。
ストレッチを繰り返し行うことによって、関節可動域の違いが以前と異なる箇所がわかるのです。わかるにも、良い状態としてなのか・悪い状態としてなのかによってその先の対応が異なります。
良い状態の関節ならば、正しく数回のストレッチで終えられます。
悪い関節ならば、少しでも関節が柔らかくなるまで行いたいです。
硬い身体では、動きたくとも動けません。動きにくい身体なのですから柔らかく身体をしてあげることによって、動きやすくなるのです。
ストレッチを行う者が、ストレッチに慣れるに従いその方法が上達します。
関節の動く方法と、行う強さに気をつけて、毎日行って欲しいです。
◇ 基礎訓練をがんばろう!
基礎訓練とは、LS-CC松葉杖訓練法とは関係なく、肢体不自由(運動機能障害)児であれば誰もが行い、運動機能を高めるために、通らなければならない河や谷のような物です。
基礎訓練で習うことが獲得できない子どもでは、運動機能の伸びを期待することが難しくなります。
基礎訓練とは↓
・ 首のすわりを図る
・ うつ伏せ位に慣れて、顔が上げられるように図る
・ 寝返りができるように図る
・ 腕立て位ができるように図る
・ 坐位保持が可能となるように図る
これらが目標となります。
ここに挙げた動きや姿勢は、この先の姿勢や動きの基礎であり、基礎が学べないとこの先の高度な姿勢や動きは学ぶことが困難となるのです。
せめて4歳から5歳までには、この基礎訓練をほぼ卒業したいです。
ほぼという意味は、完璧でなくとも首のすわりと寝返りが可能となっていれば、LS-CC松葉杖訓練に入ることができるからです。
でも、できるならば2歳か3歳までに基礎訓練を終えたいです!
※※ この【1】は、訓練に特別な道具が必要ではありませんが、子どもに触れる手が優秀か否かによってその成果や効果が異なります。手が第4の道具かも知れません!
【2】 LS-CC松葉杖訓練で行う治療・・
◇ 機能訓練とは?
機能訓練は、機能と称されるように人間特有の姿勢や動きを指しています。
・ 肘這い(腹這い)が行えるように図る
・ 自分で臥位から床やマットの上に座れるように図る
・ 床から手を離して座ることができ、座った姿勢で手遊びができるように図る
・ 四つ這い(尻這い・いざり這いを含む)移動ができるように図る
・ つかまり立ちができるように図る
このような姿勢や動きを指しますが、手足が不自由で想うように手足が使えないのが肢体不自由(運動機能障害)です。
肢体不自由(運動機能障害)児にとっては、基礎訓練をクリアーしたとしても、その先の機能訓練はとても難しく努力しても機能を獲得できるのか疑問となる程なのです。
手足が不自由であることを考慮に入れて、手足の不自由を克服する訓練がLS-CC松葉杖訓練法なのです。
他の運動療法には見られない、成果や効果を獲ることができます。
♪ LS-CC松葉杖訓練法で使用される道具↓
下記の道具は、機能訓練と歩行訓練に用いられます。機能訓練と歩行訓練に用いた時の使用法と考え方が異なります。
1 スタビライザ→LS:Long leg Standing stabilizer
2 クローラー→CC:Crawling Car
3 松葉杖
上記の道具を積極的カツ多用して、自力座位から四つ這い・つかまり立ちを可能とする訓練です。
※ 松葉杖訓練
1 スタビライザ→LS:Long leg Standing stabilizer
LS訓練の評価と内容
LS訓練では、LSを使って股関節周辺筋・体幹筋の筋力強化・バランス訓練を行います。
LSの使い方とその程度によって、表のように分けますが、ここでは機能訓練に関わる箇所について記しています。
LS1度の段階では、子どもの前に適当な高さのテーブルを置いて行います。最初は怖がったりすることが多いが、徐々に時間を延ばしていきたいです。机に手をつかせたり、腹部で寄りかからせたりしながら、机の上に置いた玩具で遊ばせたり、本を見せるなどして、立位に慣れさせることから始めます。
テーブルから少しでも離れられるようになったら、介助して浅い股関節屈曲、伸展をさせたいです。慣れてきたら、深い屈曲、伸展に移行します。
子ども一人で立位保持ができるようになれば、指導者が安定板を支えてLSを前後左右に傾けて体幹の立ち直り反応の誘発をはかります。目標はLS3度で、そのためにLSでの立位時間を1日30〜40分はとらせたいです(状況に応じて考慮する)。
LS1度
LSを装着しても股関節から屈曲してしまい、立っていることができません。
● 筋力が弱く、立っていることができないので、前方に台やテーブルを置き、倒れることへの恐怖感を取り除き、立つことに慣れるよう配慮します。
● 介助者は背後に立ち、両肩や胸部を支えて介助しながらゆっくりと股関節での屈伸(屈曲・伸展)を行います。浅い屈伸から始めるなどの配慮が必要な子どももいます。
● 股関節周辺筋の筋力をつけることによって、坐位の安定やその後の運動発達の基礎づくりができるので、毎日取り組ませることが望ましいです。
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※ この段階では、床の上での持ち込み坐位の練習と並行して行います。
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LS2度
LSを装着し、一人で10分以上立っていることが可能。しかし、股関節から屈曲してしまうと起き上がってくることができません。
● LS1度と同様の訓練を行います。
● 子どもの股関節屈曲時の恐怖感は、個々の筋力の状態によって異なるので、それぞれに配慮が必要です。介助での浅い屈曲や低い台を置いて手を着けるようにするなどの工夫をすると良いです。
● 立つことができるようになっても、股関節から屈曲することをいやがる子どももいます。立つ指導と屈伸の指導は分けて考えるとよいのでは…。
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※ この段階では、持ち込み坐位が可能となり、坐位が安定してきます。
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LS3度
LS2度の条件を満たしたうえで、屈伸が30回以上可能。
● LSの安定板を持ち、前後左右に傾けるバランス訓練を開始する。
● 屈伸回数を増やすことが目標になるが、ひたすらに屈伸運動だけを行わせるより、ゲーム的な要素や遊びを取り入れ、子どもが意欲的に取り組めるようにする。運動会で行う玉入れの布玉などつかみやすいボールを拾って(屈曲)、起き上がり(伸展)、前方へ投げるなどの遊びを工夫する。
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※ 松葉進度3であれば、自力坐位が可能となる時期です。
※ 松葉進度3、CC3度であれば、四つ這いが可能になる時期です。
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※ 子どもの年齢が2歳から3歳となったならば、股関節に負荷をかけるためにLSで立つことを勧めます。股関節に正しく負荷をかけることによって、股関節を正しく成長させることができます。
ストレッチと共に行うことで、亜脱臼の予防となります。
2 クローラー→CC:Crawling Car
CC訓練の評価と内容
CCによって、上肢と上肢帯の筋力強化・バランス・粗大運動を促します。用意する物としてCCのほかに、CCに乗せたときにCCから滑り落ちないように固定するベルトや紐などが必要です。
CCの評価は、使い方と子どもの運動機能の程度によって、下記の表のように分けていますが、ここでは機能訓練に必要な箇所を抜粋しています。滑り落ちないように固定している紐などを使用していても、評価の基準は変わりません。
CC訓練を行うには、腕立て位ができなくてはならないため、十分練習する必要があります。少しでも保持可能となれば、介助をしながら、すぐにCC訓練を始めたいです。
適当な(使いやすい)高さのCCを選び、上肢筋力の弱い子どもの場合、下腹部をのせ軽く殿部を押さえてCCを前方へゆっくりと進めます。最初のころは片手支持に不慣れなため、すぐに肘が屈曲してしまいます。しかし、時間はかかるが徐々に肘が屈曲しないで(完全伸展はできないまでも)保持できるようになり、交互性も出てくるのがふつうです。
目標は、CC3〜4度です。
CC1度
CCに腹部か胸部をのせるが、上肢で支えることができません。
● 上肢の支持性の向上。
● CCから滑り落ちるときには、紐などで固定します。
● 支えることが困難である場合、肘当てを用いることもあります。
● 動くことができない場合、CCごと押してゆっくりと進ませ、動くことを体感させます。
● 支えながら、上肢を動かすことを覚えさせます。
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※ この状態が長期にわたるケースは、かなり運動障害が重いと思われます。
※ 繰り返し、根気強く練習します。
※ 片まひや上肢のみに障害のある子どもにはCC訓練ができません。
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CC2度
CCに腹部をのせると、上肢で支えることは可能だが、動くことができません。
● ゆっくりとCCを押して、上肢を交互に動かすことを覚えさせます。
● 上肢の筋力強化と粗大運動の獲得。
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※ 松葉進度3となっていれば、自力坐位がまもなく可能となります。
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CC3度
CCに腹部をのせると、自由に動くことができます。
● 子ども自身が楽に動けることで、意欲的に取り組み、運動量が増えるために、体力がつきます。
● 自ら動くことの楽しさを覚えるのによい段階です。
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※ CCに乗って動くことを好むようになります。
※ 松葉進度3、LS2度・3度であれば、自力坐位が可能となる時期です。
※ LS3度であれば、松葉杖訓練も上達する時期です。
※ 松葉進度3であれば、四つ這いを始める時期です。
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3 松葉杖
松葉杖訓練の評価と内容
松葉杖を使い、上下肢の交互性、下肢筋の強化、立位バランス・歩行バランスの練習を行います。用意するものは、松葉杖、CC、たすき用の紐、手の握りが弱い場合は手の固定用の紐です。介助者用のCCは対象児の使用しているものを用います。
松葉杖の使い方とその程度によって、下記の表のように分けますが、ここでは機能訓練に必要な箇所を抜粋しています。ただし、たすき紐や手の固定用の紐を使用していても、評価は変わりません。
進度1
松葉杖を持たせて立たせても、立っていることができません。
● 杖を握っていられないときには、紐を用いて固定します。
● 腋下受けが、腋下から離れないようにするため、たすき紐をかけます。
● 子どもの前方から杖と足を介助して、杖歩行を行うように介助します。
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※ 下肢の支持性を高めるために行います。
※ 上下肢を交互に動かす練習となっています。
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進度2
松葉杖を持たせると数分間の立位保持は可能だが、歩行では杖も足も出せません。
● 下肢の支持性を高めるとともに、上下肢の交互性を学ばせます。
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※ 介助の仕方によっては、訓練している子どもが自分で松葉杖を操作して歩いているように見えるが、実際には、介助がなくては歩行の真似事は不可能です。
※ 転倒など、恐怖感を抱かないように注意します。
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進度3
松葉杖を持たせると、杖と足を動かして杖歩行に近い動きをするが、杖や足の出る位置が一定でないために、それぞれの着地を誘導しますす。
● 上下肢の交互性と立位バランス・歩行バランスを習得させます。
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※ 自力坐位や四つ這いができなかった子どもでは、この時期にできるようになります。
※ 松葉杖訓練と松葉杖歩行訓練との分岐点の段階です。
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実際の技巧については、理解されている人から手解きを受けて欲しいです。
そして手解きに従い、子どもに施して欲しいのです。
この訓練については、私共が永年に渡り試行錯誤の結果で編み出せた指導法です。他の考え方や指導法の改良については、LS-CC松葉杖訓練法を熟知した上で取り組んで欲しいです。
理解の中途で私的な考え方を導入すると、指導の目標に辿り着けなかったり、想わない傷害を招くこともあります。注意して欲しいです。
♪ ドンナ機能が獲得できるのか?
三つの道具の相互作用によって、獲得できると考えています。
・ 床に自力で座ることができるようになる。
クローラーによって、手の巧緻性と筋力を得ることができ、松葉杖訓練で股関節を曲げることを学び、うつ伏せ位からの坐位保持が可能となります。
・ うつ伏せ位からの坐位保持が可能となったことで、四つ這い移動の獲得が容易となります。
松葉杖訓練で学んだ、手足の交互性運動が役立ちます。
・ 松葉杖訓練で立つことに不安感が少なくなり、下肢に負荷をかけての立位が可能となります。
◇ 歩行訓練とは?
床に自力で座ることができ、四つ這いができるようになれば、我が子の立ち歩くことを夢見ます!
肢体不自由(運動機能障害)児にとっては、歩くことがどれ程にハードルの高い目標なのか?
想うように手足が動かない、バランス確保が難しい、このような肢体不自由(運動機能障害)児にとっては四つ這いができても立ち歩くことはとても難しいのです。
立ち歩くためには、つかまり立ちから伝い歩きを経て独歩に至るわけですが、このつかまり立ちや伝い歩きが手足が悪いために練習できず、歩行に結びつかない子どもが多いこととなるのです。
手足の不自由を克服し、杖歩行や独歩を獲得するための訓練が、「ls-cc松葉杖訓練法」なのです。
松葉杖歩行訓練によって、杖歩行や独歩を獲得しましょう。
♪ LS-CC松葉杖訓練法で使用される道具↓
下記の道具は、機能訓練と歩行訓練に用いられます。用いた時の使用法と考え方が異なります。
1 スタビライザ→LS:Long leg Standing stabilizer
2 クローラー→CC:Crawling Car
3 松葉杖
上記の道具を積極的カツ多用して、杖歩行から独歩を可能とする訓練です。
1 スタビライザ→LS:Long leg Standing stabilizer
LS訓練の評価と内容
LS訓練では、LSを使って股関節周辺筋・体幹筋の筋力強化・バランス訓練を行います。
LSの使い方とその程度によって、下記の表のように分けますが、ここでは杖歩行や独歩に必要な箇所を抜粋しています。
子ども一人で立位保持ができるようになれば、指導者が安定板を支えてLSを前後左右に傾けて体幹の立ち直り反応の誘発をはかります。目標はLS3度で、そのためにLSでの立位時間を1日30〜40分はとらせたいです(状況に応じて考慮する)。
LS3度
LS2度の条件を満たしたうえで、屈伸が30回以上可能。
● LSの安定板を持ち、前後左右に傾けるバランス訓練を開始する。
● 屈伸回数を増やすことが目標になるが、ひたすらに屈伸運動だけを行わせるより、ゲーム的な要素や遊びを取り入れ、子どもが意欲的に取り組めるようにする。運動会で行う玉入れの布玉などつかみやすいボールを拾って(屈曲)、起き上がり(伸展)、前方へ投げるなどの遊びを工夫する。
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※ 松葉進度3であれば、自力坐位が可能となる時期です。
※ 松葉進度3、CC3度であれば、四つ這いが可能になる時期です。
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LS4度
LS3度の条件を満たしたうえで、LSを装着したまま床に座らせても座っていられます。
● 杖歩行や独歩に必要な股関節周辺筋や体幹筋の筋力とバランス感覚を獲得したと考えてよいです。
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※ CC訓練や松葉杖訓練を重点的に行う。
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LS5度
LS4度の条件を満たしたうえで、LSを装着したまま寝返りができる。
● LSで行う股関節周辺筋や体幹筋の強化・バランス訓練は終了してよい。
● LSを装着したまま寝返りができる子どもがいたのでLS5度を設定したが、ここに到達しなくてもかまわない。
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※ CC訓練や松葉杖訓練を重点的に行う。
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2 クローラー→CC:Crawling Car
CC訓練の評価と内容
CCによって、上肢と上肢帯の筋力強化・バランス・粗大運動を促します。用意する物としてCCのほかに、CCに乗せたときにCCから滑り落ちないように固定するベルトや紐などが必要です。
CCの評価は、使い方と子どもの運動機能の程度によって、下記の表のように分けていますが、ここでは杖歩行や独歩に関わる箇所を抜粋しています。滑り落ちないように固定している紐などを使用していても、評価の基準は変わりません。
CC訓練を行うには、腕立て位ができなくてはならないため、十分練習する必要があります。
目標は、CC3〜4度です。
片麻痺児やそれに近い障害の子どもでは、練習できないこともあります。
CC3度
CCに腹部をのせると、自由に動くことができます。
● 子ども自身が楽に動けることで、意欲的に取り組み、運動量が増えるために、体力がつきます。
● 自ら動くことの楽しさを覚えるのによい段階です。
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※ CCに乗って動くことを好むようになります。
※ 松葉進度3、LS2度・3度であれば、自力坐位が可能となる時期です。
※ LS3度であれば、松葉杖訓練も上達する時期です。
※ 松葉進度3であれば、四つ這いを始める時期です。
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CC4度
CCに大腿部をのせて、自由に動くことができます。
● 上肢や上肢帯の強化、体幹バランスの向上が図られます。
● どのような移動方法よりも、CCでの移動を好みます。
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※ CC・LS・松葉杖の評価で、一番低い課題を重点的に指導します。
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CC5度
CCに下腿部をのせて、自由に動くことができます。
● 下腿から下部を除き、身体全体の強化とバランス訓練は終了してよい。
● 四つ這いや肘這いが主な移動方法である子どもにとって、CCでの移動方法を覚えることは、施設や学校の廊下・広い部屋での移動能力が向上することになります。立位移動(杖歩行など)が十分でない場合は積極的に指導し、CCでの移動を獲得させたいです。
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※ CC以外での訓練に力を入れます。
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3 松葉杖
松葉杖訓練の評価と内容
松葉杖を使い、上下肢の交互性、下肢筋の強化、立位バランス・歩行バランスの練習を行います。
用意するものは、松葉杖、CC、たすき用の紐、手の握りが弱い場合は手の固定用の紐です。介助者用のCCは対象児の使用しているものを用います。
松葉杖の使い方とその程度によって、下記の表のように分けますが、ここでは杖歩行や独歩に関わる箇所を抜粋しています。ただし、たすき紐や手の固定用の紐を使用していても、評価は変わりません。
進度3
松葉杖を持たせると、杖と足を動かして杖歩行に近い動きをするが、杖や足の出る位置が一定でないために、それぞれの着地を誘導しますす。
● 上下肢の交互性と立位バランス・歩行バランスを習得させます。
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※ 自力坐位や四つ這いができなかった子どもでは、この時期にできるようになります。
※ 松葉杖訓練と松葉杖歩行訓練との分岐点の段階です。
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進度4
松葉杖を持たせて立たせ、衣服やたすき紐の一部を持っているだけで、松葉杖を操作して一人で歩くことができます。
● この時期、子どもの多くは、倒れることや歩行バランスが崩れる恐さを体験することになります。
● 訓練によって、杖歩行から独歩へと進んでいくよう指導する時期です。
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※ 伝い歩きが始まったと理解してよい段階です。
※ 一般的な伝い歩きは、つかまる物が固定されており、その物の周囲やその物のある場所のみで歩くことになるが、杖を使うことにより、どこでも練習することが可能となり、応用範囲が広がります。
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進度5
松葉杖を持たせ、近くで見守ったり声かけをするだけで、松葉杖を操作して歩くことができます。
● 訓練によって、杖歩行での自立や独歩をねらう時期です。
● 子ども自身に少し不安がある場合、誰かが近くにいる必要があります。
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※ 歩行の応用に入ります。
※ スピードや耐久性をつけます。
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実際の技巧については、理解されている人から手解きを受けて欲しいです。
そして手解きに従い、子どもに施して欲しいのです。
この訓練については、私共が永年に渡り試行錯誤の結果で編み出せた指導法です。他の考え方や指導法の改良については、LS-CC松葉杖訓練法を熟知した上で取り組んで欲しいです。
理解の中途で私的な考え方を導入すると、指導の目標に辿り着けなかったり、想わない傷害を招くこともあります。注意して欲しいです。
♪ ドンナ機能が獲得できるのか?
三つの道具の相互作用によって、獲得できると考えています。
・ 握り離しが難しく、平行棒や歩行器を使えない子どもでも、松葉杖を使用することが可能となり、杖歩行や独歩を獲得します。
・ こちらからの指示が入りにくい知的障害でも、子どもと向き合っての指導によって、独歩を獲得できます。
・ 何と言っても、つかまり立ちや伝い歩きに似た練習が、誰にでも容易にできます。
※ 不自由な身体で、松葉杖を使って歩いたり、独歩を行うことによって、筋力強化や心肺機能が向上します!
◇ 実用歩行に向けて!
訓練室内や学校内で歩くことができても、外では車椅子生活となっていては、杖歩行や独歩が実用となったとは言えません。
もちろん、訓練室内や学校校内で杖歩行や独歩ができることは、車椅子生活だけと比較すれば天と地ほどに異なります。
それでも屋外で杖歩行や独歩ができたならば、どれ程にすばらしいことでしょうか!
屋外に出れば、鋪装された道路でも大きく小さく凹凸があり、段差や階段・坂道によって歩行を阻まれます。
屋外で自由に歩くことができるようになるためには、階段昇降や坂道昇降、信号の青信号中に道を渡りきる、公共機関(バスや電車など)の交通手段の有る場所まで歩く、公共機関の交通手段を使えるようにするなど、訓練室や教室では学べない練習も行わなければならないのです。
◇ 生涯に渡っての身体のケアーを!
何らかの原因によって肢体不自由(運動機能障害)となったのだから、原因が無くならない限り肢体不自由(運動機能障害)に伴う障害は無くならないこととなります。
障害によって不自由だった身体を、何らかの治療によって改善したのであれば、改善した治療は生涯に渡り止めてはいけないのでは…?
特に麻痺が伴っての障害であれば、身体が固くなったり、筋の異常な筋緊張によって身体の変形などを引き起こす恐れは、生涯残っていることとなります。
食欲が特に強いケースなどでは、食欲の抑制を図らなければ、身体が太り運動が不自由となり、最後には動けなくなってしまいます。
今の世では成人の肢体不自由に対して、健康保険制度で治療する医療機関が減り、成人となった肢体不自由(運動機能障害)者が困っています。
学校に通っているときに受けていた医療機関、成人となっても受け続けられるように図っていかなければなりません。
医療現場の係員から、通院回数を減らして欲しいような話が出ても、それを拒んでいかなければなりません。
支援学校に通うお友だちと共に、医療機関を無くさないようにみんなで協力して行きたいです。
医療機関では、個人の障害や医療ケアーが異なることを理由に、個別対応を求めて最後には打ち切ることとなっています。
健康保険制度で運営される医療機関、治療が終えていないのに受診拒否することはいけないのでは…
せめてストレッチだけでも、月に3回以上受けられるようにみんなで努力していきたいです。
どのようなお問い合わせでも・・・
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