聖封神儀伝 3.遥道 ―この道、遼遠にして行く先を知らず―
神になりたいなどと、思ったことはなかった。
欲しかったのはただの力だった。
憎しみを正当化するための力。
正義を実現するための力。
幼い人の身で世界を敵に戦うための力。
運命を歪められたなどと思ってはいない。
俺は出逢うべくして君と出逢った。
絶望のどん底に一条の光をもたらしてくれた君と。
そして今度は資格を望んだ。
君の側にいるための資格を。
与えられた力と資格。
それが神となる条件だったというだけ。
望むものは他にない。
人として君との約束を果たせるならば、おれは喜んで人に還ろう。
力も資格も全てを捨てて、それでも君の側にいられるならば、
他にはもう、何もいらない。
ただ、君を守るための力がこの手の中に残ればいい。