初めてのボランティア活動
松原 浩子


 偶然のきっかけからタンザニアのボランティア活動に参加し、得がたい体験をすることが出来まし
た。
 私とタンザニアの出会いは、上田公民館で行ったアフリカ料理教室の案内に興味を持って参加し
たことでした。講師はケニアから岩手大学に来ている留学生で、世話係をしていたのが米澤真奈美
さんでした。食材、調理法、味加減からして普段口にしたことの無い料理で物珍しく美味しく、また真
奈美さんのボランティア活動の話に心を動かされました。アフリカのタンザニアと繋がりを持ち、遠い
日本から援助の手を差し出していると言う説明に感動しました。援助のひとつの方法であるカレンダ
ーや古着を集めると言うことであれば、自分にも出来るボランティアであると分かりました。

 昨年の暑い盛りに、タンザニアで農業をしている盛岡出身の青年のことが友人との間で話題にな
りました。その時、タンザニアのボランティア旅行を募集していることを思い出し本当に軽い気持ち
で申込をしました。
 事前研修があり、1回目は簡単な日常会話の仕方で楽しく和やかに終わりました。2回目で周りを見
るゆとりが出来、自分は大変な活動に参加しようとしていることに気付きました。参加者の多くは、何
の為に参加しようとしているのか、自分の身に付けた何が役に立つのか知って参加しており、しかも
外国語が話せ、何回も1人で海外に出かけているように見えました。ゲームの練習ひとつにもどぎま
ぎしている自分は皆さんの足手まといになるのではないかと行く前から後悔しました・・・・・実際そう
でした。


ドバイの空港バス停にて

 私たちグループは人数の割に荷物が多く、車椅子5台、プレゼント用品等、最近は荷物の検査も厳
しく毎回引っかかる人もいました。私も今回の旅行で2回トランクを開けさせられました。最近のテロ
の警戒の厳しさを肌で感じての出発でした。
 目的地タンザニアのタボラに着くまでドバイ、ダルエスサラームを少しだけ観光しました。つかの
間の観光であっても、その土地の雰囲気を垣間見ることが出来ました。空から見たドバイは白く輝い
て、緑の無い街並みは冷たく感じましたが、人々は豊かで思いやりがありました。

 ナイロビに寄り、搭乗客は、殆んどアフリカの人達でアフリカに来たと実感しました。ダルエスサラ
ームで初めてアフリカの地を踏みました。機外に出たとたんムッとする熱気が押し寄せてきました。
入国手続きには時間がかかり、非能率的な仕事振りに見えました。空港を出る時、車椅子でひと悶着
一時どうなるかと心配しました。空港の外には多くの若者がたむろしていてちょっと怯みました。私た
ちは此処に2泊しました。
 かなり年代物のホテル、お湯の出ないシャワー、11時には止まる水道、気がつけば壁を這う5センチ
程のイモリ、ジェットエンジン並みの換気扇、でも横になれるだけでも嬉しかったです。

 ダル2日目は、真奈美さんの教え子のMaibaさんに終日観光から食事のお世話をしていただいた。
観光の途中で寄った教会でささやかな寄付に感謝のお返しのハレルヤは心にしみました。
 夜、交流会を持ちました。4時の約束、私たちも遅れましたが客は誰も来ていませんでした。
Maibaさんは1人やきもきして携帯をかけていました。今行くとの返事ですがなかなか来ませんでし
た。
待つ間、彼に色々質問して、タンザニアの国情が少し分かりました。黒檀が主な輸出品との事でした。
その他3つばかり言われましたが今思い出せません。3時間待ってようやく1人来客、また待って1人来
客、集合写真をとっているときまた1人、9時半を過ぎていました。ポレポレ(スワヒリ語でゆっくりの
意)がこの国では当たり前の事と気がつきました。しかし、これから世界の人々と交流していくからに
は、時間を守ることは大切な約束事と知って欲しいと思いました。 
 タボラに出発する朝、一人の青年が訪ねて来ました。彼は前日も来てかなり遅くまでホテルで待っ
ていてくれたらしい。バスを3回乗り継いで再度尋ねてきてくれ、空港まで送ってくれました。真奈美
さんが蒔いた種が確実に芽を出していると感じました。

 タボラは、あくまでも広く見渡す限りマンゴの大木があり、年間を通して人々に果実と木陰を提供
してくれています。


ママ(左端)とご近所の方たち(ママの家でのクリスマスパーティーにて)

 ようやく訪れた真奈美さんは、出迎えてくれたママと話が尽きないよう話しつづけました。大まか
な日程を組みタボラの色んな施設を訪れました。タボラでは体の不自由な人が多いように感じられ
ました。
 タンザニアで感じたことは、私の接触したタンザニア人( 真奈美さんの教え子、タボラの学校の先
生方、訪れた施設の人々 )の話し声や話し方がとてもやさしく聞こえました。穏やかな民族ではな
いのかと思いました。

 今考えてみると、ボランティアといえることを一つでもしたかと問われれば、自分では「いいえ」お
そらく参加された方々も「いいえ」と言われることでしょう。参加するだけがボランティアではないは
ずですから、かえって、会話が出来ず他の方たちを頼ってばかりいた私をボランティアしてくださっ
て、本当に申し訳なく思っております。後悔しております。それでも、私個人とすれば見方が広めら
れ、たくさんの方々とふれあいが出来、自分で旅行手続きの書類を書き、ツアー旅行では体験できな
い心に残るすばらしい旅行でした。其の為にも自分を知ってもらい相手も知る為にも言葉が必要と痛
感しました。
 私を助けてくださりありがとう御座いました。



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