オペレッタは春風に乗って

バーバラ・ボニーとエリーザベト・シュヴァルツコップ 



 今日の陽気で桜も満開である。二時間ほどの散歩から戻り、シャワーを浴びくつろいだ。気温も高く窓を開け放ってからコーヒーをいれた。

 カーテンを揺らし、そよぐ春風が心地よい昼過ぎ、1枚のディスクをプレーヤーのトレイに載せた。
 ピアノ伴奏でバーバラ・ボニーがオペレッタを歌っている。世間で言う、いわゆる名盤では無いかも知れないが私は好きなのである。
 多分これからも、末永く聴くことになる1枚になる様な気がするディスクだ。
 バーバラ・ボニーを始めて聴いたのは確かバッハの世俗カンタータが最初ではなかったかと思う。今から十五年ほど前にテルデックの輸入盤で聴いた様な記憶があるが ・・。
 それまでLP時代からエリー・アメリングがドイツ・ハルモニアムンデに吹き込んだ世俗カンタータを聴き続けてきた私だが、初めてバーバラ・ボニーの歌う”農民カンタータ”の村娘を聴いた時は新鮮な驚きを覚えた。

 それからしばらくして、レハールのメリーウィドウを聴いて、やはり・・とうなずいた訳なのである。
 バーバラ・ボニーがオペレッタ・アルバムの最後で歌っているシーチンスキーのシュランメル楽曲「ウィーンわが夢の街」を聴きながら次の1枚を聴きたくなった。

 エリーザベト・シュヴァルツコップの歌うオペレッタである。このディスクでも最後の一曲として、シーチンスキーのウィーンわが夢の街が歌われている。
 オットー・アッカーマンの指揮で歌う、このシュヴァルツコップのディスクは、いわゆる名盤と言われている1枚であり、レハール他の楽曲が上品に、そして心を込めて美しく歌われいる。
 ところでエリーザベト・シュヴァルツコップが引退してから随分と長い年月が経ち、昨年夏の訃報を知った。
享年90とか・・・20世紀を代表する名ソプラノ歌手に合掌。

 さて、コーヒーも冷めてしまったようだ。新しい粉で、コーヒーを入れ直すことにしよう。

 そして、春風そよぐ日の午後は熱いコーヒーと、楽しくそして情緒たっぷりのレハールのオペレッタでも聴くことにしよう。

    つ ん
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