開発という名の破壊
瀬上の森・谷戸の環境
草原にモンキチョウが飛んできた。目の前の栴檀草【センダングサ】に
とまり吸蜜に余念がない。ここは、瀬上市民の森の入口にあたる
明るく開けた草原の一角。小春日和の或る日、陽も昇り気温も上昇すれば、
散り残った花を探し求め、蝶や小さな虫たちが餌を摂る姿も観察できる。
今、この瀬上の森の隣接地で、大手ディベロッパーの手による、
大規模な宅地開発が始まるかもしれないと云うことを聞いている。
市民の森に隣接する市街化調整区域の緑地の開発を検討中と聞いて、
溜め息が出、そして少しばかり寂しくなった。
私は環境保全が、何のかんのと、口角泡を飛ばして言うつもりは全く無い。
いや、言う資格など端から無いのだ ・・・。
谷戸が開発(破壊)され、削られた丘陵にできた住宅地の一角に、
よそ者として流れ込んできた身としては、今の行政に対し、
声高に開発許可を認めるななどとは、とても後ろめたくて ・・・。
しかし、蛍の生息地にも近く、緑の防波堤のように残された、この土地を
このまま、開発という名の破壊に晒させて良いのだろうかと云う思いはある。
今の緑溢れる谷戸の環境が、このまま保全されることを、
モンキチョウや栴檀草らと、ただただ祈るばかりなのである。
ここ、瀬上の森も木枯らし吹く季節を迎え、冬の日が近づいている。
『 凍蝶の己が魂追うて飛ぶ 』 高浜虚子