バッケ味噌 竹の子



春の陽射しに誘われて顔をだしたフキノトウ



随分前に北東北で2年と少しの間、生活したことがある。

四月になり北国の陽射しに、春の兆しが感じられるようになると
生活の場の傍らに、フキノトウ(蕗の薹)が姿を現す。
" 蕗 " の文字のとおり路端のあちらこちらに顔を見せてくれるのである。

ふきのとうを南部地方の方言でバッケという。
この時期フキノトウのてんぷらが食卓によくでて
ほろ苦さの中に春の息吹を感じながら味わうことになる。

しかし、てんぷらでは一度にあまり食べられるものではない。
せいぜい、一人で一つか二つでなのである。

では、沢山採れたフキノトウを長い間食べ続けるにはどうするかと言うと。
"バッケみそ"にするのである。

Recipe 1
バッケみそ(フキノトウの油味噌炒め)の作りかた

@ 淡緑色をした、外側の苞を取り水洗いする。
A 水気をよく切る。
B 微塵切りにする。
C フライパンなどに多めの油を入れ火にかける。
D 油が馴染んだらBのフキノトウを入れる。
E フキノトウが1/3〜1/4量、程度になるまで炒める。
F 酒でゆるめた味噌と砂糖、少量の鷹の爪を入れる。
G 全体がよく馴染む迄、かき混ぜ炒める。

これにて"バッケみそ"のできあがり。冷蔵庫で保存もききます。
さて、この"バッケみそ"そのままでも
あつあつのご飯や日本酒に合いますが、つん の御奨めはこれです。

風情のある宴には前置きが必要です

@ 薮漕ぎできる服装で山に入る。
A 入山対象は根曲竹(千島笹)の繁る山
B 山行に適した季節は竹の子のでる頃
C 竹の子採りの者から入山料を徴収しない山に入る。
D ザックには2重のポリ袋の中に"バッケみそ"を入れて行く。
E ついでにアルミホイルも少々放り込んでおく。
F 火の焚ける場所が山行場所の近くにあること。
G 必要量だけ竹の子を採取する。(採取道具などは要らない。)

以上で宴の準備はできました。(薮山好きの方には特にお薦めです。)


Recipe 2
焼竹の子のバッケみそ副え の作りかた

@ 枯れ木を集め焚き火をし熾(おき)を作る。
A 熾の灰の中に皮付きのまま、焼竹の子を埋める。
B 熾の火力が強ければ熾を広げるか、アルミホイルに包んでから埋める。
C 湯気が出て頃合になった時、竹の子を取り出す。
D 竹の子の皮を剥ぎ持参したバッケみそをつける。

これにて"焼竹の子のバッケみそ副え"のできあがり。
そして、これにバッケみそを塗った"焼おむすび"でも
あれば、もう何も云うこと無しです。



話には締めくくりがあります。

@ 残念ながら火の焚ける場所がない場合、持ち帰りオーブンで。
A 竹の子は短時間で鮮度が落ちる。時間が経つと食物ではない。
B 食後しばらく経つと竹の子と蕗の香りのゲップがでる時もある。
C くれぐれも食べ過ぎには御注意を。

ハフ ・・ハフ ・・ と美味しい思いをした後は
焚き火の後始末を忘れず確実に。

   つ ん
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