野鹿池山の詩
(1294m)  2005.6.4
のかのいけ山
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のかのいけ山を望む
車から荷物を降ろす
鳥居が登山口のはずだが……
登山口の標識
通りすがりの 村人に 登山口はと 尋ねれば
怪訝(けげん)な顔で 去年から 二人くらいは 登ったと
鳥居の横に 登山口 草刈(くさかり)少し してあるが
カンバンだけで 道が無い 茂れるバラに 立ちつくす
  「山仰ぎ 嫌な予感で 胸騒ぐ」
杉の林を行く
やむなくヤブを こぎぬけて
杉の林道 踏み入れば 
大きなみみずの 貫太郎
踊り出てきて 大暴れ
30センチ あるだろう
天が地になり 跳ねまわる
大歓迎を してるのか
(いな) 行くなとの 警告か
見慣れぬ卵も 落ちていて
生まれ出でたか 食われたか
道端黄色い 野イチゴが 食べ放題の 鈴なりで
甘酢っぱいは 初恋の 遠き昔の 味に似て
蜜蜂飼ってる 桶がある 赤く咲いてる ヤブウツギ
道は広くて 良いけれど 本当にこの道 登山道?
何の鳥の卵だろうか
蜜蜂を飼う桶
谷間で道は 行き止まり されど(そば)には 別の道
赤いテープが ひらひらと 白い杭まで 打ってある
空は青空 遠くでは かっこう鳴いて 爽やかだ
桧林を うねつたい 登り登れど おかしいな  
人の通った 跡もない もしや材木 降ろす道?
赤いテープは 伐採の 区切りに立てた 目印か
道なき道を行く
登り始めて 2時間だ 引き返すこと 考える
しかし来た道 解るかな 帰りが怖く なってきた
一人二人じゃ 恐ろしい 九人居ればと 誰か言う
低い山だと たかくくり 計画少し 甘かった
登ればなんとか なるだろと 急な斜面も 四つん這
  「のたうちて 我らいつしか 貫太郎」
遠くに聞こゆ ブルドーザー 音を頼りに 山をこぐ
工事現場に 辿り着き 道()くお礼に 煎餅(せんべ)出す
遠くに見えてた 積雲の 雷鳴次第(しだい)に 近づけり
広場に小屋が 立ってるが 一服するのも やめにして
階段登り 沼に出りゃ 十年振りの 再会か
石楠花(しゃくなげ)赤く 微笑(ほほえ)んで 早く撮ってと 言っている
幸運にも、まだ石楠花が残っていた
雨男が大集合?
山小屋と落雷を物語る木
小雨パラパラ 降りかけて 笹の小道を 頂上に
記念写真も 大急ぎ 一面暗く なって来る
小屋の横の木 落雷の 爪あと白く  生なまし
(あわ)てて中に 駆けこめば 雷鳴小屋を 揺るがせて
強風(うな)り 吹きつけり 木々の小枝も 折れて飛ぶ
石の雨でも 降りだして きたかと思う (すご)い音
ラムネ玉ほど ある(ひょう)が 屋根打ち鳴らし 窓叩く
(たけ)り狂える 山の神 雷雲呼びて 見せつける
  「道迷い 頭冷やせと (ひょう)が降り」
降った雹(ひょう)
バラバラドンドン 小屋の中 とにかく弁当 食べにけり
来た道帰るは 危険だし 車道歩けば 4・5時間
雨の上がるの 待ってたら 日が暮れてくる ここは山
皆がカッパに 身を包み 思案している その時に
工事の車が 寄ってくれ 車長(しゃちょう)二人を 乗せ下る
我ら雨ごときに、へこたれぬ
霧にかすむ山並
雨の絶え間に 出て見れば 大久保峰に 天狗岳(てんぐだけ)
霧が山肌 ()っている 白いベールを 引きながら
迎えの車 やっと着き 胸撫で下ろす 雨の中
曲がりくねった 坂道だ 歩けば遠き 15キロ
大歩危(おおぼけ)温泉 湯につかり 野郎九人の 山談義
運が良かった 悪かった 登山の教訓 思い出に
  「水無月に 冷汗(ひやあせ)の雨 野鹿池(のかのいけ)
石楠花よ、また会いに来るぞ
「その昔 訪ねし頃と 変わらじや 石楠花(しゃくなげ)( いと)し 我を待ち居り」
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