犬クン
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(1453m) 2003.1.12

 
県道からは 5キロ(ほ ど) 中尾部落は 丘の上
谷から水が 引いてあり 竹(と い)(あ ふ)れ 落ちる水
民家の横に 登山口 お茶の木三本 植えてある
種が飛んだか 一面に 小さい苗が 育ってた
昔農家は 各家で 畑の隅に 茶を植えて
摘み取り蒸して ()ん だ後 むしろに広げ 干していた
新茶のにおい ただよいて のどかな村の 昼下がり
山里静かが 取り()だ が 何が一番の 楽しみか
山仕事での 一生も また良しとふと よぎりけり

杉の林を 行くほどに 雪道となり 一休み
そこへ犬クン 現れる 後から誰か 来るのかな
猟犬にしては 小さいが それでもなんだか 威張(い ば)ってる
お前()ど こから 来たのかと そんな顔して ()ぎ 回る
木の実
樹氷
雪も次第に 深くなり 誰かの足跡 たどりける
靴跡からは 小柄かな 今日のものでも なさそうだ
途中で犬は 道それる 我等は西へ 進み行く
引き返したと 思ってた 犬が後から 駈けてきて
足にもつれて まえ後ろ 行けども行けども 遠い道
実はこの時 間違って 遠回りしてる 我々に
犬の訴え わからずに ただひたすらに 登り行く
足跡の主 電力の 鉄塔管理の 係員
気付いた時は 遅過ぎて 引き返すには 遠すぎる
我等が休むと 餌ねだり 喉が乾くと 雪を食う

積雪(せ きせつ)枝を しならせて 道がなくなり 立ち往生
赤いテープも 何処もなく 頼みの犬も 思案顔
やむなく雪へ 突撃で 体全身 雪(か ぶ)
みんなの顔も 雪だらけ なんとか道を さがしだす
ザクザクと鳴る 雪踏みて 乾いた喉に お茶注ぐ
樹氷の道
「がくがくと 使い古しの 蝶番(ちょ うつがい) 油さしつつ 登る赤 星山(あかぼし)
枯れ木に霧氷 付いていて 息子がくれた デジカメの
液晶光って 見えなくて もう適当に パチパチと
やっとの思い 頂上に (か や)が一面 (お お)いける
積雪30 あるだろう 犬は喜び 跳ねまわる
道案内の この犬は 車に乗るまで ついてきて
聞けばこの犬 赤星山(あ かぼし)に 登山者来れば ガイドする
どこかのホテル 顔負けの 見送りまでも してくれた

頂上への道
頂上
太陽さんさん 照るけれど
樹氷は()け ず 気温2℃
展望よくて 雲もなく
360 見渡せリ
谷の向こうに 二ツ岳
赤石連峰 黒々と
北には土居や 川之江が
瀬戸内海の 島々も
雪を()ら して マット敷き やっと昼飯 ありつける
早起きをして 奥方が 作りし弁当 開きたる
肉と糸こん ()い たもの 焼塩鮭に 生野菜
かならず梅干 入ってる きつく握った おむすびだ
こんなに(あお)く  澄んだ空 ここ(し ば)らくは 見ていない
(い にしえ)の人 碧 空(あおぞら)を  なにを思って 見てたかな
心の底まで 澄んできて 時の流れも ゆっくりと

帰りは赤い テープ沿い 雪の赤星山(あ かぼし) 一直線
しゃくなげ茂る 中を行く 花の咲く頃 来たならば
花のトンネル くぐれるか 思いは初夏の 彼方(か なた)へと
北面からの 登山道 幾つか滝に 会えるけど
冬は凍って 無理という いつか挑戦 してみたい
下界が近く なるほどに 溶けたる雪が シャーベット
頭上の木から 溶けた雪 ドサッとみやげ 落としける
とぼとぼ帰る 三人に キラキラ太陽 照っていた
遠くに聞こう 水の音 赤星山よ また来るぞ
記念撮影
「静寂と 冷気身に染む 道ゆかば (こ ずえ)に響く 雪踏む音が」
林の雪道
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