上杉先生 没後10年記念 〜 再び先生を偲ぶ < 2020.6 >

狛犬界にとって上杉千郷先生のお残しになったものは大変大きく、10年が過ぎてもなを惜しむ気持ちは消えません。
「もの心ついたころ」から狛犬と共に育ち、狛犬博物館を開設し…もちろん、長崎の鎮西大社諏訪神社の宮司、皇學館大学の理事長としての幅広いご活躍等もありましたが…生涯狛犬を「心の友」とした狛犬への愛に満ちたそのお姿は忘れることが出来ません。
神社新報への連載「狛犬考」をまとめた『狛犬事典』(戎光祥出版)は今や狛犬ファンのバイブル的存在となっていますし、「狛犬好きにとってたまらなく楽しい本を!」との思いで著したという「日本全国 獅子・狛犬ものがたり」(戎光祥出版)は、いまなを狛犬入門書として大変人気があります。

狛研にとっては最高顧問としてお世話になりました。
最大の思い出は狛研伊勢ツアー(66号「伊勢神宮参拝と狛犬の旅」参照)の時の幸せそうに狛犬を語り続けた一日のことです。
こんなにも狛犬への愛が深く大きいなんて…思い出す度に驚きと感動が蘇ります。
これは本紙には載せられなかった伊勢ツアーの時の写真です。


伊勢うどん(起矢食堂)での昼食から始まりました

伊勢神宮〜歩きながらの狛犬談義

話が盛り上がると立ち止まってしばしの狛犬談

先生の計らいで超特別〜天皇陛下と同じ場所での参拝

猿田彦神社で円丈師匠と

夜の懇親会は二軒茶屋にて

お酒もまわって満面の笑顔!
先生の狛犬ばなしが詰まった最高に楽しい懇親会でした

翌日は二見興玉神社へ…この撮影スポットは先生がいなくては入れない場所
公務を退き田園調布へと居を移したことから例会へご出席頂き、これかも時々いらして下さるものと期待していた時の訃報でした。
この写真はお亡くなりになる前年に狛研例会へご出席
下さった時
(阿由葉)
上杉先生が旅立たれてから10年の歳月が過ぎ去っていく中、先生と交わした「台湾に残る全ての狛犬を訪ねる」約束は、ご報告できるくらいには果たせたかもしれません。
でも、もし先生にお会いしてご報告できたなら、満面の笑顔で一つ一つの狛犬の報告を、頷きながら嬉しそうに聞いてくださっただろうと、寂しい気持ちになってしまいます。
私の思い出の一つに、上杉先生ご一行と台湾の金門島を訪問したことがあります。
先生は金門島の「風獅爺」に大変興味を持たれており、台湾で出版された風獅爺の本を翻訳することを頼まれましたが、それもあって、上杉先生の台湾ツアーには金門島も含まれることとなりました。
金門島の名物でもある時折吹き付ける雨交じりの強風に、マントをたなびかせながら力強く屹立する風獅爺の姿を目の当たりにされ感慨深げであったこと、時には愛嬌あふれる姿の風獅爺に出会うと、思わず頬を緩ませていらしたお姿など、今でも忘れられません。
(市来訓子)

写真は金門島の金沙鎮陽翟村にある会山寺の後方にある風獅爺と一緒に撮ったものです。
10年前のこちらも是非ご覧下さい。
追悼!上杉千郷先生 三遊亭円丈