あ∽うん  斎藤 良夫
小動神社と「漁船」

<頬かむりの狛犬>で知られる鎌倉市の腰越港に近い「小動神社」。
台座の「土橋」と「漁船」の刻字から、私は「----丸」という漁船船主・乗組員の奉納とばかり思っていた。
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ところが、「漁船」は「地区(町内会)」の意味で、「腰越漁業協同組合」を構成する五地区の一つ、「土橋地区」漁師の奉納だという。
頬かむり狛犬は色々と紹介されているが「漁船」の意味は池田利男組合長の話で知った。
狛犬は江戸タイプ。

頬かむりは土橋漁船と墨書された赤いサラシ。
土橋の三浦一浚・漁協理事(74歳)が
毎年暮れにかけ替えている。
「祖父の代から」というから
狛犬建立は大正以前と思われる。
昔の漁師は寒さしのぎにネルの頬かむりをしており、「狛犬サマも寒かろう…」というのが始まりか。


後ろから見た尾が少し面白い
小動神社の例祭は毎年7月に8日間、対岸の江ノ島にある<夫婦社>の八坂神社の神輿を腰越に迎えて行われる。両神社の神輿が並ぶのは最終日の本祭の日だけ。
互いにもみ合う姿は、年に一度の逢瀬と直ぐの別れを惜しむ<抱擁>だと伝えられる。

「昔は漁師だけだった担ぎ手は、今は様々。もみ合いを喧嘩と勘違いしている者がいる」と長老たちは嘆いているが、狛犬サマの印象は?

小動神社は本殿を改築中で来年春まで参拝できない。但し、今年の9日から16日までの祭礼期間中は工事を休むため参拝、狛犬拝顔が可能だ。
神奈川県鎌倉市腰越2-9

2006年54号

参 考

吉野さんの
関八州狛犬詞めぐり
にも詞われています

1998.10に私が訪れた時の写真です。
目玉のグルグルが印象的でした。

頬かむりだけではなく、お腹にも巻かれていました。

足止め狛犬のように、足にも巻かれていました。

(阿由葉)

斎藤さんから連絡がありました。
「腹巻、足巻きの話は、氏子さん達が腹痛やけがした足の平癒を狛犬さんにお願いしている」のだそうです。