古峯神社の狛犬
 古峯神社の狛犬        

 2006.1.1 〜山田敏春

古峯神社(栃木県鹿沼市草久古峯ヶ原3,027) 

鹿沼市西北の山中にある古峯神社は日本武尊を祭神としていますが、
むしろ天狗の神社として知られている古社です。
江戸時代中頃、天狗信仰に伴い火伏せに霊験があると知られるようになり、
江戸からも講の代参者が盛んに訪れるようになりました。
ここに200年ほど前に江戸から運ばれて奉納された狛犬がいます。
奥の過酷な自然に曝された台座の字は、浸食されて読みづらくなっていますが「施主 江戸講中」と読み取れます。
そして「願主」として二人の名が刻まれているようですが、これは判読出来ません。
台座裏には「
寛政十一年己未六月吉祥日」(1799年)と建立年があります。
狛犬の材質は小松石で、大きさは1メートルを越しています。

工名は足座に刻まれていて、右阿像は「武州江戸 浅草田原町 石工 新助弟子 仕□ 熊吉」となっています。
欠損の字(□)は残された部分から「普」と思われますので「
仕普」となります。
仕普という言葉、今は使われていないようですが、要するに熊吉が仕事を担当したといっているのです。
左吽像は「武州江戸 下谷坂本壹町目 棟梁長八」となっています。
長八は下谷の小野照崎神社の元祖尾下がり狛犬を造った石屋の棟梁です。

江戸の字は左右とも異体字で
こんな文字が刻まれています

というのは、細工物である仏像や狛犬を彫る石工や彫刻師とは違います。
他に石屋と名乗っているのは目黒不動尊の狛犬を奉納した亀岡久兵衛がいます。彼も石工ではありません。
石屋は石工事全般を請負う者であり親方なのです。

峯神社の狛犬は、江戸講中の人達から棟梁長八が請け負って図面をひき、熊吉が刻んだのでしょう。
時期的には、あと数年で尾の下がった狛犬が造られる時代に来ていますが、この狛犬の
尾の力強さには圧倒されます。

お社殿の裏山にも「江戸講中」で奉納した、小さいながら同形の狛犬がいます。
                     (
写真下↓