秋葉神社の狛犬
秋葉神社の狛犬        

 2005.11.13  〜山田敏春

秋葉神社(東京都墨田区向島4−9−13) 石工:不明

三囲神社にいる延享二年(1745年)の狛犬は「参道狛犬大研究」の表紙にも
使われていて狛研の間ではお馴染みの、向島の顔とも云える狛犬です。

その狛犬にそっくりな狛犬が近くの秋葉神社にいます。

見た目は古くはないようですが戦災に見舞われて半壊状態、台座も破損しています。
継ぎ接ぎの台座に残った字を読むと

右に「十一月吉日 彦太郎」
左は「石川藤之丞、石川玉子、石川春吉、石川徳子、石川恒子」

となっています。
建立年と石工名は不明です。

まず彦太郎さんですが、名字は左の台座から推測して石川と思われます。
さらに狛犬の建立年を推定する為に神社内の玉垣、石碑、鳥居、水盤などに石川彦太郎の名が無いか探してみました。
その結果、鳥居と常夜灯に石川彦太郎の名が見つかりました。
常夜灯の建立は地番などからみて明治の中頃と思われます。鳥居は昭和6年11月の建立です。

それからもう一つの手がかりは女性達の名前にあります。
三人とも「子」が付いていて、庶民の女性の名に子が付くようになったのは昭和の初め頃と云われています。

これらの事から考えると、狛犬は昭和の時代に造られたもので、やはり狛犬が最も多く建立された
皇紀2600年の昭和15年頃に建立されたのではないでしょうか。

この秋葉神社の写し狛犬は大変良く出来ていますので、三囲神社の元狛犬と是非見比べて見て下さい。

こちらが三囲神社の狛犬です。

所在地:東京都墨田区向島2-5-17
建立年:延享2乙丑歳5月22日
石 工:和泉屋太郎

◆ 追記 墨田区の文化財調査資料によれば、この狛犬は昭和6年に建立されたとなっています。
  鳥居と一緒に建立されたものでした。