違法・脱法のNTT11万人リストラを告発する

2002年9月25日

静岡県労働組合評議会

通信産業労働組合・静岡支部

  1.  本日私たちは,NTT東・西日本会社の行った「異職種・遠隔地配転」の背景にあるNTTリストラの不法・不当性を明らかにするため、NTT西日本会社を相手に、静岡地方裁判所に提訴しました。
  2.  提訴した「異職種・遠隔地配転」は、純粋持株会社NTTが2001年4月に発表した「NTTグループ経営3ヵ年計画」に基づいて、NTT西日本会社が「構造改革をめざす業務運営の見直し等」という11万人リストラ計画の具体化として、実行されたものである。この「計画」は、NTT西日本会社が行っていた電話業務に係わる業務を新設地域子会社へ「外注化」し、50歳以上の社員には、「NTTを退職して、30%の賃下げで新設地域子会社へ再雇用させる」というものである。このリストラは、NTTが「利益の最大化」を追求するために、情報通信サービスの切り捨てと総額人件費削減を目的にしたものであり、日本一の大企業NTTの社会的責任を放棄するものである。
  3.  このNTTの11万人リストラ(50歳退職・賃下げ、再雇用制度の導入)の手法は、次の点で違法・脱法であり社会的に許されないものである。         
  4.    第1に、今回のリストラは、50歳以下の社員については、新設地域子会社への在籍出向を認め、51歳以上の社員には「退職・再雇用」でしか新設地域子会社への転籍を認めず、その際に、賃金を30%切り下げるというものである。50歳という年齢で区別することに合理性は全くなく、年齢による違法な差別扱いといわざるをえない。また、51歳以上の社員に「退職・再雇用」を迫るものであるから、実質的には50歳定年制を導入するものである。これは、定年を定める場合には60歳を下回ることが出来ないとした高年齢者等雇用安定法4条に違反するものである。

       第2に、「従来どおりの職場で、従来どおりの仕事をしたければ、退職して新設地域子会社へ」とか「NTTを退職しなければ、従来の仕事はない。また、NTTに残れば全国・異職種配転を行う」などと労働者を脅して50歳以上の労働者を退職に追い込み、30%の賃金カットで新設地域子会社へ再雇用するというやり方は、NTTの就業規則「60歳定年制」を無視した、労働条件の一方的不利益変更である。

       第3に、「退職・再雇用」というやり方は、一般的・社会的常識的には「転籍」である。にもかかわらず「移行」と称して、就業規則「転籍規定」や転籍に関する労働協約などで「転籍は現行労働条件を持ち込む」としていることを適応させないのは、明らかな違法行為である。

       第4に、今回NTTが行った「NTTを退職しなかった社員」にたいする一方的な異職種・遠隔地配転は、職種や勤務地などの労働契約の重要事項については、「労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」という労基法2条に違反している。また、配転者の家庭の事情や本人の身体の状況などを無視した一方的な配転命令は、本年4月1日改正施行された「育児・介護休業法」26条に反し、わが国も批准した「家族的責任を有する労働者の配転に関し、家族を取るか仕事を取るかのような選択を迫るべきでない(ILO 156号条約)」にも反するものである。

  5. この裁判提訴は、NTTの大企業としての社会的責任を告発するものである。NTTは、民間企業であるが政府が46%の株を持つ「半官半民」の企業であり、情報通信の公共性を責務としている企業である。NTTグループは、2002年3月末経常利益7182億円(昨年8250億円)をあげ、内部留保金は9兆円に届こうとしている優良企業である。日本経済が長期不況に陥っているときにこそ、大企業は社会や地域の経済回復に責任を果たすこと求められている。莫大な利益を上げているNTTの11万人リストラは、景気回復の道に逆行しているといわざるを得ない。日本経済の回復とNTTの社会的責任を果たすためにも、11万人リストラ計画は直ちに全面的な見直しがなされることを改めて要求するものである。
  6. 静岡県評・通信労組静岡支部は、純粋持株会社方式によるNTTの大規模リストラは、他の企業に大きな影響を与えると同時に、21世紀の労働者の働くルールを破壊するものであり、労働者・国民の力でNTTリストラをやめさせるために全力で奮闘することを表明する。そのために、今回の裁判勝利のために奮闘するものである。 

以上


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