「浜松けいわん賃金差別」裁判へ!


 労働基準監督署が、「業務上」=「労災」と認定したのにもかかわらず、 NTTはかたくなに「労災」と認めようとせずに、治療に要した、欠勤時間を 「労災=公傷」として処理せずに「一般私傷病」として「賃金カット」をするのは不当と、 度重なる団体交渉でも言を左右にし、また、労働局の個別紛争の斡旋も拒否し、 就業規則の何を根拠に「私傷病」扱いにして賃金カットするのか明確にしない NTTの態度が許せず、裁判所に判断を仰ぐために提訴に踏み切りました。
 国が「労災」と認定したにも関わらず、NTTが「労災」と認めていないからと「私傷病」扱いするのは、 法事国家の大企業NTTがとる態度ではありません。国の法律や制度よりも企業論理を優先する態度は、 NTT11万人リストラの違法・脱法の構造改革と根は同じだとおもいます。
 ご支援、ご協力をお願いします。

 浜松けいわん賃金差別裁判の第1回裁判は、10月31日、午後1時10分より、静岡地方裁判所で開かれました。裁判には、被告NTT側の弁護士は欠席しましたが、傍聴には2名の支店総務担当が来ていました。
裁判は、他の事件の傍聴者もいる中で原告陳述が行われ、二人の陳述終了時に、「ごくろうさまでした」と裁判長から声を掛けられ驚きました。
 静岡地方裁判所前にて、原告の澤根さん、米山さん


静岡地方裁判所民事部 御中

陳   述   書

2003年10月31日

原 告  米 山  範 子

一、 私は、NTT浜松支店に勤務していた1994(平成6)年2月に「頚肩腕障害」を発症しました。当時は、両腕をもぎ取ってもらいたいほどの痛みに、この先どうなってしまうのだろうかと不安におびえていました。
 そんなとき、同僚の鈴木美和子さんも「頚肩腕障害」と診断されました。二人で1994(平成6)年7月、浜松労働基準監督署に労災申請を致しました。

二、 1996(平成8)年12月、二人揃って労災に認定され、NTTになってから全国初の事例として、マスコミでも大きく報じられました。これによって、給与面でも、私傷病扱いの減額措置が当然解消されるものと思っていました。
 会社は、申請の当初から仕事を取り上げ「窓際族」に追い込み、認定されてからは「口も聞くな、挨拶もするな」等の人権侵害を加えてきました。同年12月21日、労働組合の東海交渉では「人権侵害は調査して、事実なら謝罪する。賃金カット分は今計算している。本人に通知する。」と回答しました。

三、 ところが、1997(平成9)年3月28日、1997(平成9)年度の給与の減額通知を渡されましたので、納得できないと抗議しました。それ以来、賃金差別の是正を訴え続けてきました。労働組合の交渉を初め、浜松労働基準監督署や静岡労働局へも個別紛争の斡旋を申請して会社と話し合いをしてもらいましたが、会社は聞き入れませんでした。

四、 2002(平成14)年5月、NTTのいわゆる「構造改革」で、静岡支店曲金ビルに異職種遠距離配転となりました。これにより往復4時間の通勤が余儀なくされ、私の身体にとっては大変な負担になっています。主治医も「通勤による疲労が強い」と指摘しています。現在、1時間軽減勤務をしておりますが、出来るだけ早く平常勤務になれるよう希望を持って励んできたのに、これでは実現できそうにもありません。

五、 以上述べましたように、会社の不当な扱いを正して頂くには裁判所の判決しかありません。 一大決心をしての提訴です。どうぞよろしくお願い申し上げます。


静岡地方裁判所民事部 御中

陳  述  書

2003年10月31日

原 告  澤 根 逸 子

 わたしは、VDT労働による電話番号案内作業が原因で、「けいけんわん障害」となり、浜松労働基準監督署から、平成10年8月7日に労災認定されました。

 しかし、NTTは、現在に至るまで、この認定を認めず、私傷病扱いで賃金カットをしつづけています。

 NTTの社員就業規則では、「当該傷病が業務上か否かの認定は、所轄の労働基準監督署長によりこれがなされる」と明記されているにもかかわらず、平成11年4月20日に行われた、通信産業労働組合との団体交渉の中で会社は、「療養補償の認定がされたことは認識しているが、業務上認定されたとは理解していない。会社側が、業務上として認定するかどうかは、会社の健康管理医の判断に基づいて行っている。会社の判断は、「業務外」と判断し私傷病としている。浜松労働基準監督署の決定に従わなければならない決まりはない。」と、回答しています。

 わたしは、平成11年6月8日の健康管理医鈴木医師との面談時に、この会社側の見解についてお話を伺いました。鈴木医師は、「わたしは、認定されるまでは、自分の立場で求められれば見解も示しましたが、認定後は、労働基準監督署の決定を受け止め、病名も『けいけんわん障害』と変えました。」と言明されました。

 鈴木医師の発言からもわかるように、会社は「業務上」と認めない理由を、健康管理医の責任にしています。労働基準監督署の認定は、国の決定です.NTTはこの国の決定に従わず、健康管理医の見解も聞かずに、開き直る態度に心底から怒りをおぼえました。

 日本を代表する優良企業NTTの横暴を絶対許す事は出来ないと思い、認定されて以来、この5年間は、あらゆる手立てをつくし、NTTを追及してきました。団体交渉はもちろん、浜松労働基準監督署へも相談に行きました。また、静岡県争議支援総行動の度に、NTTに対して10数回の申し入れも行っていただきました。

 そして、昨年12月4日には、個別労使紛争の斡旋を労働局へ申請しましたが、NTTが拒否したために打ち切りとなりました。

 わたしは、来年3月に定年を迎えます。浜松ビル勤務時には「けいけんわん障害」も回復の方向に向かい、人並に一日勤務が出来るまでになりましたが、平成14年5月に実施された、NTTのいわゆる「構造改革」で、静岡曲金ビルに配転され、往復4時間の遠距離通勤と慣れない販売の仕事で心身共に疲労し、いま現在、週2回の鍼灸治療はかかせない状態となり、受け付け時間に間に合わせるために、週2回1時間の軽減勤務で通院をしています。

 その軽減勤務時間をNTTは私傷病として扱い、賃金カットの対象にしています。会社は、仕事が原因で病気になった人に対して元どおり仕事が出来るように、病気の回復と、健康を取り戻すために努力する安全義務があります。

 わたしは、国が「業務上」と認定したことを、NTTが認めずに「私傷病」扱いする態度は許せません。

 思い悩んだ末、提訴にふみきりました。

どうかわたしの意をおくみとりいただき、公正な判断をよろしくお願いいたします。


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