NTTけいわん賃金差別事件
    9・問題点5・労災認定後の会社の措置

  
 労災認定は労基署長により行われる。(社員等業務災害付加補償第1条)

 労災認定後の会社のすべき措置をみてみる。

 業務外と認定されれば、普通の病気休暇と同じ扱いとなる。「無給措置の病気休暇」は、「私傷病の病気休暇」に変えられる。
 給与は、私傷病の病気休暇が適用とされ、期間によっては減額などがある。

 業務上と認定されれば、(就業規則別冊、社員の勤務時間、週休日及び休暇について)病気休暇を取り消し、最初から公傷休暇が付与される。
 もちろん、この疾病による病気の最初からであり、労災申請でいう「発症の日」であり、一般的には労災申請の前である。
 会社は、労災申請以前、申請時ともに、公傷休暇願いが出てないことを問題としているが、ここで始めて「公傷休暇」が出てくるのである。

 当然のことであるが、その疾病が業務上とわかった段階で、休業は病気休暇から「公傷休暇」に切り替えられるのである。つまり労基署が業務上と認定してから、その疾病が業務上となるわけで、「公傷休暇」もその段階で与えられるのである。
 会社は「公傷休暇」を与えない理由として、「最初から公傷休暇を申請していない」と述べているが、以上みてきたように公傷休暇は労災認定後与えられるものであり、検討ちがいの言い分である。

 会社は、自分で決めた就業規則をしらないはずはない。会社は2人が労災認定されたとき、交渉の席で「賃金は整理する」と述べたことからわかるように、いったんは就業規則に従って整理しようとしたのである。しかしそれを反故にしたのには理由があったのである。
 会社は、2人の労災認定をうけ就業規則の定めに従い、病気休暇を公傷休暇に切り替えようとしたが、はたと困ってしまったのである。公傷休暇中の給与は、通常勤務とみなし100%補償すると決められている。しかし、労災保険で休業補償の給付をうけ、足らない分を会社が負担するのである。

 ところが、2人は休業補償の労災申請をしていない。会社が無給措置をしなかっために、休業補償申請ができなかったからである。療養補償申請のときに、何回も2人と労働組合は会社に足を運んだが無視し続けたのである。

 労災申請(治療費の労災保険適用申請)で会社に協力と挨拶にでかけても、返事もしない。しかも、その申請後、就業規則に従い無給の病気休暇措置をせず、休業補償の申請を妨害したのは、会社自身であり、人が賃金差別をされる理由は一切ない。