NTTけいわん賃金差別事件
    7・問題点3・会社の重大な見落とし(申請後の措置)

 
 特に断っておくが、今まで3人の問題として述べてきたが、この項より澤根さんを外し、鈴木さんと米山さんの2人の問題として述べる。澤根さんは1日単位の休業はしていないので、別に項を起こして述べる。

 社員が労災申請をしたとき、会社はなにをすべきか、規則を見てみる。

 2人が労災申請を労基署に出した段階では、2人の疾病は業務上か否かはわからない。その疾病が業務上か否かの判断が労基署からされるまでは、相当の期間がある。この間の扱いは詳細に規則で定められている。

 業務災害付加補償規則第6条3によると、「暫定的に私傷病による病気休暇を付与する」とある。そして給与は「休業4日目以降は無給とする」のである。

 この点が、賃金差別の最大の問題となるところである。会社は、上記の規則をまったく理解してないか、知っていてごまかしている。
 2人が行った労災申請は「療養補償給付申請」である。併せて対象となる「休業補償給付申請」は、給与が無給になるのを補償するものであり、会社の無給措置をうけて行うものである。

 会社は、2人の労災申請ののち、病気休暇を無給の措置にしなければならなかったのである。もちろんこの措置は、発症にさかのぼりその病気休暇を無給とすることも含まれる。
 この会社による病気休暇の無給の措置をうけ、「休業補償給付申請」が可能となるのである。
 ここが会社は理解できないようなので、くどいようであるが述べると、

 休業補償給付申請とは、休業し無給になるものの補償を求めるものであり、無給でないものを補償してほしいと言っても、なりたたない理屈である。労基署も私たちの質問に答え、無給でないものを補償しろと申請しても門前払いすると述べていることからも明らかである。だからこそ規則では、労災申請(休業補償)ができるように、労災かどうかわからない段階でも、病気休暇の特例で無給としているのである。
 会社は、2人が労災申請(療養補償申請)した後、発症にさかのぼり、療養のための休暇を無給の病気休暇とすべきであったのである。
 会社がこの措置をしなかったために、2人は休業補償申請が不可能となったのである。

 会社は「休業補償申請をすれば、無給措置とした」と今になって述べているが、本末転倒の言い分であり、休業補償をうけられない責任は会社にあるのであり、それを理由として給与の減額をするなどとは、2重の誤りである。