会社の言い分がいかに、いいかげんか、でまかせかを証明しているのが澤根さんの例である。
澤根さんは、先の鈴木さん、米山さんに続いて業務上認定をされたが、2人と大きな違いがある。
それは、休業が1日単位でなく、時間単位の休業の例である。仕事をしながら時間休で、即ち早引きをして病院に通院をしていたのである。
こうした例があることを予想して、会社は規則でも時間単位の公傷休暇があることを明らかにしている。
さて、この時間単位で休業した場合の、規則をみる。
労災申請後の会社措置、前例の2人と大きく異なるところは、給与を無給としない事である。時間休の場合は、休業補償申請に値しないとして、会社規則は「有給」扱いをしている。
この「有給」扱いをする理由は次のとおりである。
すなわち、時間休の分を1日単位のように無給扱いとしたとする。
すると支給される給与は、どれくらいになるかというと、単純計算で2時間休業では75%であるが、NTTの場合は複雑であり80%以下にはならない。
労災保険の休業補償は、賃金の80%を保障する。しかし、その80%補償したくても給与が80%を越していれば休業補償の意味がなくなる。
したがって、時間休の場合の休業補償申請はしないことを前提としているのである。
「有給」扱いする次の理由をみてみよう。
労災申請をうけ、1日単位の休業のように給与を無給にしたとする。
上で見たように労災保険の休業補償はうけられない。
労災認定後、病気休暇が公傷休暇となり、「業務災害付加補償規則」第20条で「通常支払われる給与に相当する額を支払う」としている。
すなわち、無給にした時間休の給与分をここでまた補償をして、通常勤務したと同じ扱いとすると、無給扱いでなく「有給」扱いと同じとなる。無給にする意味がなくなる。
従って同規則第6条2では、「1日未満の公傷休暇は有給とする」と決められている。
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(業務災害付加補償規則)
第6条実施運用・当該疾病について業務上か否かの最初の認定がなされるまでは、暫定的に私傷病による病気休暇を付与することとし、休業4日目以降の病気休暇については無給とする。
第6条2・1日未満の単位の公傷休暇は、有給とする。
第20条・会社は社員等が業務上の負傷又は疾病による療養のため勤務できないことにより給与の支払いを受けないときは、原則としてその期間中、労災保険法による保険給付額を含め、通常支払われる給与に相当する額を支払う。
業務災害付加補償第5条・実施運用)
療養専念及び健康回復の観点から、原則として1日単位の公傷休暇を付与するものである。
したがって、例えば1日のうちの一部を勤務させることが医学上一般に効果があると認められる場合などについては、この限りではない。
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