NTTけいわん賃金差別事件
11・公傷休暇と給与の関係

 
 公傷休暇中の給与は、無給である。
 規則(社員の勤務時間、週休日及び休暇について、社員等業務災害付加補償規則)によれば、「3日目までは有給とし、4日目以降は無給とする。」とある。
 これは労災申請時に、私傷病による病気休暇を無給としたが、まったく同じ措置であり、そのまま無給措置が続くわけであるが、名前が「仮の病気休暇」から「公傷休暇」に変えられる。

 一方、労災認定(休業補償給付)されれば、労災保険から通常支払われる給与の8割が支払われる。あとの2割は会社が補償する。
 
 業務災害付加補償所規則第20条では、「労災保険法による保険給付額を含め通常支払われる給与に相当する額を支払う」としている。
 これは、業務上災害とは業務が原因で疾病となったわけだから、療養費や給与を通常勤務していたときと同様に補償するという考え方からきている。
 
 今回の人の場合は、会社の妨害で休業補償申請ができず、労災保険からの給付がない。

 会社は、「公傷休暇は休業補償の認定が前提である」と与えない理由を述べているがこのような規定はない。
 上記20条の規定から即「公傷休暇は休業補償の認定が前提」とはならない。公傷休暇中の給与は労災保険給付を含め、残りを会社負担と解釈するが、労災保険給付がなければすべて会社負担となると解釈すべきなのである。
 
 その理由の1は、休業補償の労災保険適用されないのは、会社が無給措置にしなかった事が原因だからである。
 理由の2は、労災保険適用のない場合は会社負担という例は、「休業が1日未満の場合は有給とする」という規則の例があるからである。

 2人の疾病は業務上であると労基署長が認定した以上、会社は公傷休暇を与えるべきであり、給与は通常勤務していたと同様の補償をすべきなのである。労災保険適用がなければ、会社が全額負担するのは当然のことである。

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(社員の勤務時間、週休日及び休暇について)
第6の4・公傷休暇による休業の最初の日から3日目までに付与された休暇は有給とし、4日目以降に付与された休暇は無給とする。ただし、1日未満の休暇は有給とする。

(社員等業務災害付加補償規則)
第20条・会社は社員等が業務上の疾病による療養のため勤務できないことにより給与の支払いを受けないときは、原則としてその期間中、労災保険法による保険給付を含め、通常支払われる給与に相当する額を支払う。