労災の労働者を賃金差別するという事件がおきた。NTT西日本・静岡支店での出来事である。
NTT浜松情報案内センタに勤務し、104番号案内のVDT作業をしていた労働者3人が、罹病している頚肩腕障害は「労災」であるとして、浜松労働基準監督署から認定された(1996年12月に鈴木さんと米山さん、1998年8月に澤根さん)。
労災労働者は、NTTの規則でいうと「賃金は疾病にかからないと同じ扱い」であるべきなのに、この3人は私傷病扱いされて、賃金差別をされつづけている。
一般に労災の労働者はその治療のために休業すると、その賃金は労災保険から保障をされる。しかし額は通常の8割である。企業によるが、残りの2割を企業で保障し、通常働いているときと同様の賃金となるようしているところが多い。必ずしもこの2割を企業が負担せねばならないという規則はないので、一般的には減額となってもそう問題とされていない。
NTTの場合は労災労働者に対して、その申請時から詳細にその扱いを規則で定めている。これによると、労災労働者は「通常勤務していると同等の扱い」をされるよう定められている。
しかし、NTTはこの3人に対して、この規則の適用をしていない。「差別」という言葉を使う理由はここにある。通常あるべき扱いをせずに、3人に対し不利な扱いをしているからである。
たとえ労基署の認定結果が不服であろうとも、国の決定には真摯に従うべきである。自ら決めた就業規則を、気に入らない労働者には適用しないなどということは許されない。
法治国家で企業活動を行い、かつその代表ともいうべき大企業NTTが、このような行為をすること自体が信じられない。
NTTが一日も早く、大企業としての責任を自覚し、法を守り労働者を大切に扱う「真の人間企業」となることを望むものである。
次項から、なぜ3人の扱いが不当であるのか。NTTはなぜ、「けいわん労働者」の労災を認めようとしないのかを詳しく述べていく。
|