我が愛車はプジョー205。おフランスの車である。その性格たるや、
ラブリーでデリケート、そのものである。
朝は特にご機嫌が斜めで、いつも以上に話しかけてあげないと、すぐ
赤い顔をする。そう、ドライバを試しているかのような、微妙なアクセル
ワークを要求するのである。幸い私も妻も、今のところ、それほど嫌わ
れていないようだ。寒くなるともっと、デリケートになるかと思うと先が
思いやられる。
ともかく、JAF相当に入る手配をしなければ。あれほどドライブを楽し
みにしていた妻も、さすがに遠出は電車にしようと言い出した。
朝、車にのりシティセンタに買い物にでかけた。カーブを曲がると、
何か冷たいものが手に当たった。あれ。目線をあげると、ルーム
ライトに水滴がある。
雨漏りは、フラットについて2度目である。サンルーフはしっかり閉ま
っている。今までも、何度か雨の夜を過ごしているはずなのに、初め
ての事象である。幸い、ライトはつく。多発するようなら、ガレージに
行くことにしよう。詩的に、プジョーの涙ということにしておこう。
我々の行動範囲は、格段に広がり、コベントリの隣街のLemingtonSpa
に出かけた。コベントリの比べると、お上品な街である。カフェもある。
そこで盗難防止の装置を買った。ハンドルにする大きな鍵である。
盗まれることは考えられないが、用心に越したことはない。腐っても、
プジョー。おフランスの車である。我々にとっては、ラブリーな車である。
少々のことは目をつぶろう。
1年間、走り続けてくれと祈るばかりである。
つづく
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