(注)現在は、1998年10月である。本文は2年前の出来事である。
走れミニバス君
1996年12月6日
♪毎日、毎日、僕らはKLの上を走いって、イヤになっちゃうよ。♪
KLでの庶民のあしは、タクシーとバスである。バスには幾つか種類が
あり、もっとも際立った存在がミニバスである。ピンク色の車体と行き先
を示す大きい数字がトレードマークである。
運賃はどこまでいっても60SEN(約30円)。ただし10〜60の番号が
あり、行き先の把握はかなり困難をきわめる。鉄道マニアでもないかぎり、
すべての把握は不可能である。3つ程覚えれば十分である。
ある日、覚えたての60番バスに飛びのり、チャイナタウンからUBNタワ
まで帰ろうとした。ベンツのエンブレムがある。信じれないことにベンツで
ある。運転席をみて、さらに目を疑った。スピードメータが“0”に固定され
ている。う〜ん、あやしい。
次の瞬間、チャイナタウンの本物みたいなローレックスを思い出し、妙に
納得している私であった。
雨が降っていて、かなり混んでいる。と、その時、鈴鹿の第1コーナを曲が
るようにバスが右折をした。客の一人が運ちゃんに文句を言っている。
もちろん、バハサで私には理解不能である。どうやら渋滞を避け違うコース
を走ったらしい。話には聞いていたが、本当にやるとは。
タイ焼きのように、バスがイヤになって逃げだそうとしたのか、運ちゃんの
気まぐれなのかは定かではない。そうこうしている間に見覚えのある道に
なり、何事もなかったようにバスを降りた。
Never Mind。かなり、ここに慣れてしまったようである。
つづく