+
再来、プニムでGO! +
※ 『プニムでGO!』を先に読んだほうがわかりやすいかもです ※
きっかけは、よくある日常の光景だった。
「頼む、ガルマザリア!」
ハヤトが剣を掲げ、サプレスの悪魔を召喚する。山賊との交戦中、散らばった敵を一網打尽にするためのいつもの作戦だが……光の中から現れたのは、プニムだった。
「あれ?」
「おいハヤト! プニムなんか呼び出してどうすんだよ!」
「ごめんごめん、何か間違えたみたいだ」
ガゼルに向かって頭をかく彼の代わりに、僕があらためて呼び出したガルマザリアが、眼下の盆地に展開した山賊の群れを一掃した。
それで一件落着、だったはずなのに。
翌朝、偶然一緒になったガゼルと2人、食堂に向かうと、なぜかテーブルの上にプニムが一匹、ぷにぷにと座っていた。
「ぷにぃ!」
僕を見て、なぜか目を輝かせて駆け寄ってくる。ガゼルが眉をひそめた。
「何でこんなところにプニムがいるんだ?」
「ハヤトが召喚したのかな。本人の姿が見えないけど」
「朝飯前に召喚する用事なんかねえだろ」
僕らがそんな風に話し合う間にも、
「ぷに! ぷーにい!」
プニムは何かを盛んに訴えかけてくる。なぜか僕にだけ。ふと思いついた。
「もしかしてはぐれかな。僕が召喚師だから、送還してくれると思っているのかも」
「ぷーにー!」
僕の思いつきにプニムは抗議っぽい声をあげたが、ガゼルは納得したようだった。
「なるほどな。おいプニム、おまえ運がいいぞ。もう少し待ってろ、ここには誓約者がいるからよ」
「ぷに! ぷに!」
さっきまで納得していなかったようなのに、ガゼルを指差しプニムはやたらうなずいてみせる。いったい何だ?
「あ、プニムがいるよ!!」
「わあかわいい!」
元気な声とともに、フラットの子供たちがやってきた。アルバとフィズがさっそくプニムを取り囲む後ろから、ラミちゃんがちまちまと入ってくる。
「こら、おもちゃじゃねえぞ。勝手に触んな」
「えー、いいじゃない、ガゼルのケチー」
ベーっと舌を出すフィズにかぶせて、ラミちゃんが小声で「ハヤトおにいちゃん……?」とつぶやいた。
「ぷに! ぷにぷに!!」
プニムがやたら反応する。
「いや、これは多分ハヤトの呼んだものじゃないよ」
僕が言うのに、ラミちゃんはかぶりを振る。
「ちがうの……ハヤトおにいちゃん……」
「だから違うって……え?」
ラミちゃんは小さな手でプニムを指差した。
「それ……ハヤトおにいちゃんだよ……」
「ぷに!」
プニムが大きくうなずき、僕らの時はしばし止まった。
10.01.22