+ 小話 第2話編 +

 フィズを人質にとられ、俺たちは抵抗するすべもなくバノッサの手下たちに殴られていた。
 くそっ、このままじゃ……。どうすればいいんだ。
 一瞬、どこかから助けが入らないか、この間のように俺の中から不思議な力がわいてこないかという考えが頭をよぎる。
 でも当然、そんなものが都合よく現れるわけはないんだ。俺たちが自分で何とかするほかない。
 ……あっ! 手下の手が一瞬フィズから離れた!
「ガゼル!」
「おう!」
 すばやく放たれた投具が肩に突き刺さり、フィズを捕まえていた手下は悲鳴を上げた。その隙にフィズがレイドのところまで逃げ出してくる。エドスが自分を殴ろうとしていた相手を逆に殴り飛ばした。俺は放り出してあった自分たちの武器を拾い上げ、みんなへと投げた。
「ちっ、何やってやがる! もういい、殺せ!」
 叫んだバノッサが剣を抜いた。俺たちも武器を構える。
「人質さえ取り戻せば、てめえらなんかに負けるもんかよ!」
「さっきまでのお返しをさせてもらうとするか」
「ああ、今度はワシらの番だからな」
「行くぞ、みんな!」
 バノッサめがけて斬りかかりながら、何か違和感を感じたんだけれど、それもすぐ戦いの熱気にまぎれて消えてしまった。


「で、キールにいさまはその人たちの歩くスピードについていけなくて、こうして荒野の真ん中でばててるってわけ?」
「いや、速いん、だよ、彼らの歩くの(ぜえはあ)。
 カシス、クラレット、すまない、けど、僕の代わり、に、彼らの様子、見てきて、くれないか(ぜえはあ)。
 彼らと、対立するグループが……(ぜえはあ)」
「さっきソルが慌てて走っていきましたけど、追いつけないんじゃないでしょうか。もうだいぶ遠くに行ってしまったようですし……」
08.05.19


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なんとなくキール⇒クラレット⇒ソル⇒カシスなきょうだい順脳内設定。