+  後日談  +


 翌日。ミカヅチビルに出社したタイザンに、柊使いの闘神士モズが
「タイザン部長、風邪をひいてはいませぬか」
と声を掛けてきた。
 風邪? 社内で流行ってでもいたか? いや、そもそもなぜ伏魔殿捜索部所属のこやつがわざわざ私の心配をしに来るのだ。そう疑問符を浮かべつつ、
「風邪などひいていないが、なぜだ?」
 そう答えるとモズは唇をかすかに微笑の形にした。
「ならば安心いたしました。実は昨日出勤の電車で偶然部長と乗り合わせたのです。
 電車の中などで熟睡していてはお体に触るのではないかと思いましたが、部長があまり幸せそうに眠っておられるので邪魔をしてもよいものか悩んでいるうちに会社の最寄り駅についてしまいましたので、やむなくそのまま下車したのです。昨日一日心配しておりましたが、風邪をひかれなくてよかった。
 ……ああもう就業時間です。ではこれで」
 すたすたと去ってゆくモズの背に、
    起こせ。最寄り駅で。
 残されたタイザンは倒置法でつっこむばかりだった。

06.02.25



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