+ 小話14 おなまえ +


「聞いた話だがな、オニシバ。日本人はペットに食べ物の名前をつけることが多いらしいぞ」
『食べ物の名前をつけるってェと、銀シャリとか、味噌汁とかですかい?』
「そんなはずがあるか。チョコとか、クッキーとか、マロンとか、そういうものだ」
『あァ、合点がいきやしたぜ。
 そういえば通勤途中によく会う土佐犬の嬢ちゃんも、ミカンちゃんでしたっけねェ。
 かわいらしいもんじゃありやせんか』
「まあ、愛玩動物ならばな。式神がそれではしまりがないが」
『ハハ、確かに、霜花のクッキー見参!じゃどうしようも……』
「ん? どうした、オニシバ」
『ダンナ……今ふっと思い出したんですがねェ……』
「ああ」
『この名をつけてくれた親分さんがよく言ってやした……。
 「この世にオニギリとシバヅケほどうまいもんはないぜよ」って……』
「………………。
 いや……その……なんだ……いい名前ではないかオニシバとは!
 力強さを感じさせる鬼に、お前の属性を表す柴犬の柴で!」
『いいんでさァダンナ……なぐさめてくれなくてもいいんでさァ……』

08.11.13



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ナギさんの竜馬しゃべりはでたらめです。
語尾さえつければ方言ぽく見える力技炸裂。