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70's Summer 〜浜辺のソフトボール〜

キーン! 熱い夏 …甲子園の銀傘に金属バットの音がこだまする頃…
目を閉じると浮かびあがる アラク(荒久)の砂浜。

頭上の西湘バイパスは、今のように早川を越えて延びていかず、
ぐっと大きく右に旋回するので、港方面に視界が開ける。
干した漁網から強烈な潮の香りが漂う中を進めば、
フライパンの上のように熱くなった石ころだらけの砂浜がボールパークだ。

カキーン…ではなく、ポコン…と鈍い音を発したボールがふわっと舞いあがり、
フィールドプレイヤーは砂に脚をとられながら右往左往する。
バッターだって打ってからが大変。 
「あつっ、あつっ」と言いながら、灼けた石ころの上を走る。
照りつける太陽、喉はカラカラ、汗はダラダラ…
ゲームもそんなに長くは続かない。

ゲームが跳ねれば、買い出し部隊が近くの酒屋までひとっ走り。
ファンタの大瓶で渇きを潤す。
グビグビッ…と一気に行っちゃうよ。1本じゃ足りないかも…
火照った身体は海の水で冷やす。
水底は、汀からすぐ深くなり、
早川から流れ出た水と沖から寄せる波が微妙な渦をまいて、
泳ぐのは禁止されているのだけれど、「そんなの関係ないっ!」

高波をもろにかぶって、気づけば視界がボンヤリ…「眼鏡が無い!」
あわててあたりを探すが、右も左も前も後ろも水が寄せたり返したり で、
見つかるハズもない。
やけくそになって、波打ち際ではしゃぐ。
1.2.3.4.5.6…
7つめに来た大きな波を頭からかぶって、スカッとした時、
足先に何かひっかかるものが…  「おっと、眼鏡じゃん!」
海も悪戯なことするものだ。
見上げれば、青空は高く、白い雲がポッカリ。

(中学7期 中川 理夫)

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