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日本の子ども遊び

の半年、「平成四半世紀重大ニュース・私のTOP10」が連載されてきました。概ね前半を昭和、後半を平成に生きた自身の半生を回顧する参考になりました。その企画に投稿された卒業生の方々に、まず感謝の意を表します。
 その元になった朝日新聞日曜版「be」で新たな興味深い「ランキング」を見つけました。そのタイトルは「昔なつかしい日本の子ども遊び」です。約60の選択肢の中から、懐かしい、楽しかった、好きだった子ども時代の遊びを選んでもらった結果(複数回答可)が下記の表です。遊び名は地方によって呼び方が変わります。すぐに思いつかない遊び名がいくつかありましたが、子どもの頃の懐かしい過去が浮かび上がってきました。


 回答者のコメントの中に懐かしさを思い起こさせる言葉がいくつかありました。「近所の子どもたちが年齢に関係なく、放課後に空き地に集まりいろいろな遊びをした」・「高価なおもちゃなどなくても、身体を使った遊びを工夫していた」・「かくれんぼなどは駆け引きの訓練や、とっさの判断力を養うのに役立った」・「近所にメンコ場所があり、誰でも仲間に入れてもらえた。そこでルールを守る精神や、人間関係を学ぶことができた」・「駄菓子や漫画本、自家製のソリを準備し、暗くなるまで基地ごっこをした」・「昔の子ども社会には、ぎりぎり許されるサル山のボスみたいなガキ大将が地域ごとにいた」
 今考えると、塾の諸々の行事は子どもの頃の遊びの延長線上にあった気がしています。その代表格がキャンプでした。ぎりぎりに許されるガキ大将は三宅先生ということになります。「よく遊び、よく学べ」の塾の精神を一番具現化していました。通っていた時代によって異なりますが、他にも卒業旅行、クイズバス旅行、オリエンテーリングなど、塾での楽しかった行事が子ども時代のエクストラ・ページになっていることを幸せに感じています。
 現代の子ども、若者たちの文化を「背中文化」と言うらしいです。ゲーム、パソコン、スマホ、パチンコ、ゲーセン…。麻雀までパソコンで遊び、4人で卓を囲んでやったことがないという若者もいるらしいです。年々、若いサラリーマンたちも会社の仕事帰りに同僚や上司との一杯飲みながらの会話を嫌う人が多くなっているようです。遊びというのは同一空間を共有する中からいろいろなことを知ったり、学んだり、感じ取ったりするものです。他人に背中を向けている一人遊びは、世の中を知り、人を観察するという本来の遊びとは異質と言えます。
 きっとこのような子どもたちや若者は、大人になって対人関係や社交が苦手になってしまいます。気を使って付き合うくらいなら、初めから一人遊びを覚えたほうが楽だと考えるようになり、気の置けない人間関係を構築することもなかなか出来ません。社会的問題にもなっている未婚者の増加もそのあたりに原因があるような気がしています。
 「原風景」という言葉があります。「人の心の奥にある原初の風景。懐かしさの感情を伴うことが多い。また、実在する風景であるよりは、心象風景である場合もある。その後の個人のものの考え方や感じ方に大きな影響を及ぼすことがある」。このように辞書に書いてあります。正に子どもの頃の遊びが「心象経験(原経験)」になって、その人の生き方、人間関係を一生支配していきます。
 「親離れのできない子ども」、「子ども離れのできない親」。このことも元凶になっています。昭和の子どもは社会や仲間に揉まれ自立していったように思います。しかし、平成は昭和に比べると治安も悪くなっていて、親の目からしてみると、あれこれ言いたくなってしまいます。さらに子どもたちにとって不幸なことは、親が何でも彼でも決定しまうことと、世の中がますます後先を見ずに利便化・安易化の道を推し進めていることです。
 そうなると子どもはますます考えなくなり、親も子どもも家庭という絆を歪んだ形で強くしようとします。自治体や学校などに苦情や文句を好き勝手に言っている(本人は至って正常と思っている)モンスターペアレンツも多くなっています。その影響からか、訳のわからない子どもや若者も比例して多くなっています。親がこのように非常識であると、その子どもは自立した大人になっていけないということを何かで読んだことがあります。
 子どもたちが何よりも心身ともに健康に育ってほしいというのは親心です。子どもの頃の遊びの中から学習して、自分の力で考え、行動することを身につけていって欲しかったと、今になってつくづく痛感しています。子どもの頃が情緒的に人生で一番豊かな時期だったのかもしれません。
 誰もが子育て、介護、自身の健康、仕事、隣人の悩みを抱えて生きています。何の悩みや心配事のない人はいません。この「昔なつかしい日本の子ども遊び」の記事を読んで、一番強く感じたことは「時間は戻らない」というごく当り前のことと、「子どもの時に情緒・感性を養う」ということでした。これからは、その時その時を悔いのないようにして、年相応の暮らし方をしていきたいと思っています。個人的にはあと数年、子どもたちが健康、平凡で、自立できる大人になってくれるよう頑張るつもりでいます。HP愛読の卒業生のみなさん、御機嫌好う、さようなら。

(子育て中の主婦 196X年生まれ)

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