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平成四半世紀重大ニュース・私のTOP10 #6 (selector 恒久平和)

1位 福島原発メルトダウン(東日本大震災)(2011年)
 東日本大震災に伴う、福島原発の炉心溶融(メルトダウン)は非常にショックな出来事だった。アインシュタインのe=mc2から原子爆弾が発明され、さらにその爆発的なエネルギーを技術革新によりコントロールし、安定したエネルギーとして発展してきた。少なくともそう私は考えていた。ところが実際は、技術への過信・驕りと”想定外”という言葉で片付けられたリスク管理への油断・怠慢の蓄積が最悪な事故を引き起こしてしまった。この代償は非常に高価で、今後何十年も、いや何百年も…払い続けていかなければならない。また、改めて現在の社会生活が多くのエネルギー消費の上に成り立っていることも再認識した。原発再稼働には賛否あるが、短期的には事故分析〜再発防止、長期的には代替エネルギーの立ち上げへ、リスク管理の徹底と更なる技術革新が進む事を期待したい。
2位 いつでも、どこでも、だれでも、簡単に情報を手にできる時代へ
 コンピュータネットワーク上で簡単に情報共有できるWorld Wide Webが展開され、パソコンの心臓部であるCPUは Pentiumから Core i7へ進化し、動作周波数は数百倍になったにもかかわらず、消費電力は1/10以下に削減された。携帯電話に代表される無線通信速度はPDC方式から LTE方式へ 約2000倍の高速化が進んだ。その結果、ネットワークへのI/Fがパソコンからスマートフォンへ発展、電車の中でも、富士山の頂上でもメールを見たり、Webを閲覧したりできる様になった。子供の頃のマンガの世界が現実となった。次は何ができるようになるだろうか?
3位 NEC/日立/三菱のDRAM事業統合したElpidaが破綻 (2012年)
 平成元年(1989年)には日本社製DRAMの世界シェアは80%を超えでいたが、Elpidaの破綻、マイクロンによる買収により、ついに日本製DRAMが世の中から無くなってしまった。技術的に優れたものを作れば、何もしなくても売れる時代を経験した我々は、そこに安住し、顧客が求める製品を開発することに怠け、安さでは韓国・台湾に、CPUを中心としたシステムの提供では米国に、後塵を拝してしまった。DRAMに限らず、多くの半導体製品や電子機器が同様な流れを辿り、円高の影響と合わせて競争力を失っていった。
4位:イチロー選手が262本の安打を放ち、84年振りに年間最多安打を更新 (2004年)
 1992年にオリックスに入団し、1994年から7年連続首位打者を獲得、2001年からは大リーグに挑戦したイチロー選手は2004年の最多安打に続き2013年8月には日米通算4000本安打を記録し、タイカップやシスラーといった伝説の大リーガーと肩を並べた。才能と人一倍の努力により世界トップレベルで活躍してきた平成のHeroの一人だ。
5位 東欧諸国の共産主義体制崩壊(1989年)
 中学の歴史で習ったベルリンの壁に象徴される自由(資本)主義と共産主義の東西対立の終わりの始まりの年。11月10日、新婚旅行先のウィーンでベルリンの壁が市民たちの手で壊されるニュースをTVで見たことを今も思い出す。この後、ソ連が崩壊し、東西冷戦が終わる一方で南北格差・民族主義・宗教対立等、それまで東西のパワーバランスで抑えられていた歪が独裁政権の崩壊やテロの形で解き放たれ、無秩序な世界が広がってきた。日本はこれまでの富の蓄積と秩序ある社会に支えられ、安穏に暮らしてきたが、いつまで続けられるのだろうか?
6位 リーマンショックから加速する円高と製造業の空洞化(2008年以降)
 アメリカの不動産ローンに始まった金融危機によりリーマンブラザーズが倒産。この金融危機が世界的な規模へ広がり、株価暴落、さらに円高が進み、電子機器を始めとする輸出産業は大きなダメージを受け、製造業の国外流出が加速した。さらに東日本大震災後には1ドル75.78円 史上最高値をつけ、輸出産業の衰弱が加速した。いくらコストダウンしても、円高に追いつかないそんな時代だった。最近漸く100円まで戻ってきたが、製造業の空洞化により輸出よりもむしろ輸入の増加になるという皮肉な結果になっている。
7位 一連のオウム事件
 オウム教団を告発しようとしていた坂本弁護士一家殺害から始まり、その後の一連の行動は隠ぺいのための隠ぺいの繰り返しで、地下鉄サリン事件まで引き起こした。これに加わった若者たちの中には教育水準も高く、裕福な家庭で育ったものも少なくなかったように記憶している。これらの若者が何故ここまでの凶悪犯罪に加担し、オウム教団、特に教祖に心酔していったのか分からないままでいるが、物事の善悪を誰も教えてくれなかったのだろうか?
8位 探査機はやぶさ帰還(2010年)
 複数の技術的トラブルに見舞われながらも、諦めることなく、小惑星への突入、サンプルリーターンを成功させた。NASDAを中心とした宇宙産業の技術の高さ、これに係った技術者の熱意と工夫に感心した。技術者たるもの、常に問題意識を持ち、創意・工夫を続けなければと、今更ながら再認識した。
9位 iPS細胞作製成功と山中伸弥氏ノーベル賞(2013年)
 細胞を再生する基礎研究の成功は難病治療等への応用が期待される。 この功績により山中氏がノーベル賞を受賞されたことは、明るいニュースだった。iPS細胞は大きな可能性を秘めた技術である反面、未完成の技術であり、医療への応用に際して、副作用等、慎重な検証をお願いしたい。
10位 少子高齢化進む
 平均寿命がこの25年で男女ともに約5歳伸び、出生率は人口の維持に必要な2.07を切って久しい。当然の様に高齢化が進み2010年には65歳以上の割合が23%を超え、一方で人口そのものは減少し始めている。このままでは、日本人が絶滅危惧種になるという記事も冗談では済まない日もいずれ訪れそうだ。結婚しないあるいは結婚しても子供をもうけない理由はいろいろあると思うが、一つに将来に期待が持てないことがあるのではないだろうか?

 昭和から平成に変わるころ日本はピークを迎え、 バブルがはじけ、その後はデフレ、円高、天災、人災等、ジリ貧の状態が続いている。この1年で多少上向きの兆しもあるが、対処療法的なものであり、どこまで効果が続くのか?
 iPSやはやぶさといった優れた技術力や震災の際に海外から称賛された国民性等、日本の強みを今一度見直し、明るい未来へ向け、大きく舵取りをとるべき時期を迎えているように思うが、肝心の船頭がいない。

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