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平成四半世紀重大ニュース・私のTOP10 #2(selector 鄙にも希な)

 1.  地下鉄サリン事件(1995年)
 2.  iPhoneの発売(2007年)
 3.  PKO(国際平和)協力法の公布・施行(1992年)
 4.  福島第一原発事故(2011年)
 5.  米国同時多発テロ(2001年)
 6.  ソビエト連邦崩壊(1991年)
 7.  東日本大震災(2011年)
 8.  阪神大震災(1995年)
 9.  東欧諸国の共産主義体制崩壊(1989年)
10.  消費税3%導入(1989年)                     

 「平成スタート」から始まったこの四半世紀は、世界、日本に様々な歴史の1ページを記してきたが、私自身にとっても重要なイベント、すなわち就職・結婚・子供の誕生・転職・持ち家新築・そして両親の死去という人生の転換点にリンクするような25年間だった。今回このような企画に参加する機会を与えられたことにより,己の半世紀の後半を世界の歴史に対比して客観的に振り返ることができた機会に感謝している。その感慨を上位3項目の選択理由の中で述べてみたい。
 第1位に挙げた「地下鉄サリン事件」は、今も私の地下鉄利用のトラウマとなって残っている。事件は1995(平成7)年の3月20日の早朝に起こった。当時、通勤に丸ノ内線を利用していた私は、わずか数分の違いで被害を免れた。帰宅後見たTVが報じていた事件現場の有様は、私に安堵の吐息をもらせる間もなく、これまでにない強い恐怖感を与え、何時までも癒えることのない傷を心に残した。しかしそれ以上に私を驚かせたのは、一見何事もなかったような普段通りの生活が営まれている翌日の東京の姿であった。大都会・東京に生きる者の生存戦略とでも言えようか。このような事件の多くの被害者と加害者は,わずか数日後には無関心な傍観者のごとく振る舞うことを強いられる。それを餌とするマスコミ関係者が蠢いているからだ。喜怒哀楽を感情の赴くままに生きる者は、国民の讃美という甘い蜜を与えられ、そのまま「巨人」の餌食にされる。東京は「人」の無関心がつくりあげた街である。私の覚えた恐怖感は、対加害者ではなく、事件の場である「東京」という街そのものに対してであり、決して拭い去ることのできないものとなった。
 第2位は2007(平成19)年の iPhone の発売である。これに関しては私がここで記すまでもなく、多くの方々がその存在意味を理解なさっていると思う。メール、電話、カメラ、インターネット、音楽プレーヤー、スケジュール帳、電話帳、書籍等々、これまで各々の領域で発展してきた機能を1つに併せ持った多機能型携帯情報端末。ウルトラマン世代の私たちにとって、それだけでも夢の電子機器であるのだが、スティーブ・ジョブズはもう一つ重要な機能・マルチタッチスクリーンという「人」の直感的操作機能を搭載させた。これはまさにこれまでの人々の生活様式を根本から変えた。この存在を生命の歴史に準えるなら、様々な原始生物が何度も共生を繰り返して現生生物が誕生したとする「細胞内共生」そのものである。今後さらに何が共生されるか楽しみである。
 第3位は1992(平成4)年に公布・施行されたPKO(国際平和)協力法をめぐる動きである。これはその後の世界体制の変化やテロという世界共通の敵に対する「日本のあるべき姿」を問うたことになった。安全保障についての「日本人」の認識は,戦後長きに渡り憲法九条をめぐる不毛な議論を繰り返してきた。自衛隊の存在を認めるか否か、軍国主義復活か平和主義固辞か、はては「自衛戦争は許されるか否か」といった観念的で国際社会の実態から乖離した議論だけが激しく戦わされてきただけである。冷戦後の新たな世界情勢の中で日本国としてのコンセンサスを確立しなければならない。そうしなければ、国際的な信用も尊敬も得ることはできないままである。昨今、猫も杓子もあらゆる分野で「グローバル化」を掲げているが、その真の原点はここにあるのではないかと私は認識している。
 私はこの25年を振り返るに当たり「人」をkey wordとした。今や ITの発達により、田舎町に住むひとりのおじさんも、無限のネットワーク網で世界中の人々と繋がった。しかし裏を返せば、それは自分の「丸裸」を世界中の人々に曝け出していることでもある。まさに「ケツの穴を見られている」のが今の私たちの生活であり、それを承知、あるいは覚悟した上での ITの利用である。これからの時代、私自身はそれらを使うべきであり、使いこなすべきだと思っている。もちろんそこには「人」への信頼・信用・モラルという絶対的前提条件があるわけだが…
 「おほほ」「あはは」と、こんな笑い声でコミューニケイトできる長閑な時代が続くことを願っている。

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