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蓼科ビーナスラインツーリング

成25年6月9日は、梅雨らしからぬ晴天が約束された日であった。前々日にビーナスライン(某バイク紙による「絶景道best50」のNo.2)行きを決め、中古で去年8月に購入した愛車kawasaki GPZ1100(1995年式)のガソリンを前日に満タンにし、空気圧も規定量まで足踏み式ポンプで汗を流しながら補充した。途中、MPSキャンプの聖地千代田山荘がどんな風になっているか覗いてみる事も楽しみの一つであった。当日5時に起床し(6時間睡眠)、パンとコーヒーで朝食を済ませ、予定より7分遅れの6時7分ついにGPZのエンジンに火がともった。心地よい4気筒のマルチサウンドが周囲に鳴り響く。
 高まる気持ちとアクセルを抑えMPSハーフマラソンの折り返し地点大口を右手に、かながわの橋100選の一つ岩流瀬(がらせ)橋163mを渡ると、路上にとぐろを巻く蛇。それを危うく回避、洒水の滝(日本の滝百選)経由でR246に出た。早朝の澄んだ空気をGPZが快調に切り込んで行く。数か所のトンネル(入口にて天井確認する変な癖が最近ついた)が連続して現れる登りの高速コーナーを順調にクリアし、直線になった所で菅沼の交差点を右折する。富士国際ゴルフ倶楽部を左右に見てあっとゆう間に須走の交差点を右折(6時37分)、東富士五湖周遊道路に入った。奥多摩にツーリングに行く時よく大月まで利用するが、今日は富士吉田で降りて富士パノラマライン(R139)を精進湖に向けて走る。いつもの長いトンネルを抜けると、世界遺産富士山があまりにも絶景の為バイクを止め写真撮影。18q走行後、富士吉田ICのETCが作動し軽自動車と同じ料金520円が表示された。R139は流れの悪い道路だが、早朝の為至って快適である。昭和4年天然記念物に指定された鳴沢氷穴を左手に(7時10分)赤池の交差点に向かう。
 赤池とは俗に富士六湖と呼ばれ、精進湖の水位が高かった頃は頻繁に出現したが、今では7年おきぐらいに出現するらしい。また精進湖は富士山撮影スポットとして人気がある。個人的には西湖西岸からの青木ヶ原樹海を挟んだ奥ゆかしい富士が一番好きだ。山中湖・河口湖からの富士は確かに絵にはなるが、富士が威張りすぎていてあまり好きではない。赤池の交差点を右折、しばらく左手に精進湖を見ながら精進ブルーライン(R358)を北上し中央高速道路甲府南ICを目指す。九十九折になったところで運悪く前方のトラックに遭遇したのでスピードが3分の1以下に落ちた。しばらく我慢して直線で一気に抜き去った。気がつけば悪名高き某宗教団体のサティアンがあった上九一色村を通過していた。
 快速GPZが甲府南ICのETCゲートバーを跳ね上げた。諏訪南ICまで55.3qの道のりだ。中央道に乗ってしまえば蓼科はもう目の前だ。GPZはフルカウル仕様の為時速120q迄はそのままの姿勢でそれほど風圧を感じない。流石鋼管フレーム最速ツアラーである。最も今では時速300q規制(逆車…逆輸入車のこと)の時代だからその技術革新には驚かされる。中型二輪(400cc迄)三機編隊にオーバーテイクされたが休憩予定地点双葉SAが近いので追跡中止、あと500m看板を目視、上・下とも上り方向に施設が設置されているので時計周りに旋回が続く。絶好の日曜日のツーリング日和の為、二輪パーキングエリアはライダーで溢れている。緊急避難を兼ねいつも空いているここしかない場所に止めた。(7時35分)小便を垂れジュースを飲みながらヘルメットのシールドにこびり付いた虫どもをティッシュペーパーで撃退完了。15分後再び火をともし左旋回で双葉SAを脱出し本線に合流し、しばしの高速ライディング。前を行くタクシーをそのままの姿勢で追跡、右曲りのほぼ一直線に近い登板車線で尻を引きヘルメットをスクリーン越しに下げ右手をひと捻りした。その瞬間、今日一番の爆音と伴に時速XKmに到達し、タクシーはミラーの中の豆粒になった。約1分後もとの姿勢に戻した。
 俊足GPZが諏訪南ICのETCゲートバーを跳ね上げ、料金800円が表示された。出口を左折し一般道を巡航速度で流していると、ヘルメットの中に右前方の八ヶ岳から新鮮な空気が伝わってくる。中新田南の交差点を左折し17号線を北上し、メルヘン街道に突き当たり右折、そして2つめの湖東新井の交差点を左折して大門街道に入り、暫くすると右折すればビーナスライン車山方面の標識が現れた。前日Googleマップでインプットしたので完璧だ。このあたりで給油しておけば帰宅するまでガソリンは足りそうだ。左手にShellを発見。リッターなんと156円いつもより17円も高いが9.06Lの燃料チャージを済ませた。(満タン22L)ここまでの走行距離が168kmだから燃費は18.54km、中央道の爆走を考えれば上出来だ。上って行くとゴルフ場を過ぎ右手に蓼科湖が見えた。ボートを漕いだ記憶が蘇りプール平ではプロレスの投げ技を決めたことなど思い出した。そしてついに右手に千代田山荘の看板を発見!バイクを止め周囲を観察した。(8時40分)当時バスを止め荷物を降ろした坂道の下までレンガブロックに新装されている。それにしてもこの勾配の坂道を全力で駆け上がり一気に下っていったあのマラソンのエネルギーは凄まじかった。今では低酸素運動のまったりジョキングしか出来ない。青春のエネルギーは1万ボルトだ。メインの立派なコテージも健在だ。クイズ用広場はテニスコートになっていた。一晩中雄叫びをあげたバンガローは、今風のお洒落な姿に変身していた。様々なあの日の光景が頭の中を駆け巡るので、数分間の仁王立ち状態が続いた。



 本日のハイライト白樺湖、車山、霧ヶ峰、そして美ヶ原に向け出発した。白樺湖までは道幅が比較的狭い。九十九折が続き一直線になった所でリュックを背負った数十名の登山者達が歩いていた。右手に蓼科登山道入り口が見え左手には登山者ご用達の売店が見えた。MPSキャンプで4、5回登った時は、いつもここがスタート地点であった。GPZが白樺湖を通過し霧ケ峰までの尾根筋を行く最も風光明媚な区間にさしかかった。鳥達が囀り緑の絨毯の中のコンクリート舗道、空は澄み切った薄いブルー、雲の流れも近い。まさにビーナスラインは日本を代表するスカイラインだ。見渡せば遠方の山々も出迎えてくれる。富士見台PAにGPZを止めた。山の稜線越しに親指程度の富士山が見えた。左方向には眼下に白樺湖、その上には蓼科山、カメラに収めた。気が付くと尻に団子を挟む状態の一歩手前だ。足早に霧ヶ峰霧の駅を目指した。ビーナスライン今日一番の激走だ。二輪車事故多発のおきまり看板が警告を促す。左コーナーでリーンイン(尻をシートの左内側に落とす)の姿勢をとり旋回速度をあげたが挟む一歩手前だけにぎこちない。いや、もはや挟んでいるかもしれない。途切れない事を願いつつ霧ヶ峰霧の駅(標高1670m)に着くや否や(9時35分)無事放出完了だ。外に出ると気分爽快度200%!改めて新鮮な空気を一杯吸った。場内は二輪車で一杯だ。大草原の中、弾んだ会話が聞こえて来る。改造を施した七機編隊が不要な爆音と伴にいざ出陣らしい。二輪のイメージを損ねる典型的なひんしゅくパターンだ。
 最終目的地美ヶ原(標高2000m)に向けGPZのアクセルを捻る。登りの心地よいワインディングロードが目の前に展開する。茅野市内を起点とし美ヶ原まで全長76qのスケールの大きいビーナスラインは走っていて実に楽しい。微笑ましいライダーがピースサインを送ってきたのでそれに応えた。キャンプでも訪れた八島湿原(国の天然記念物に指定されている三大湿原の一つ)が現れた。右前方には伝説のポックリ山が見えた。当時の某MPS生の愛称名で、正式名は知らない。蓼科登頂の勢いをかりて往復わずか20分前後で登頂したことを思い出す。引率者は自分だ!やっぱり当時のエネルギーは1万馬力だ。ポックリ山を後に、終盤箱根旧街道七曲りより道幅が狭くなり一気に標高を上げる。流石に大型バイクにはつらい道が続く。右折すれば美ヶ原、標識に従う。美ヶ原高原美術館が左前方に見え最終左コーナーを曲がれば無料駐車場だ。北アルプスが一望できる奥の方にGPZを止めた。(10時15分)周囲の景色を堪能し高原美術館から望む雪化粧した北アルプスの稜線をカメラに収めた。20数年ぶりに来て本当に良かった。そんな満足感が胸中をよぎった。30分後、諏訪湖経由で帰路に付いた。信州の山々に快音がいつまでもこだました。バイクは至福なる大人の玩具(オモチャ)だ。Remember this fine touring!
P.S. 1 帰路はR20で鳥坂峠へ719号線で山梨県道最長の若彦トンネル(2615m)を通過し、河口湖を過ぎて左手にある「ごはん亭まえふじ」で遅めのランチを完食。(14時00分)自宅に着き436Kmツーリングを終えた。(15時15分)日帰り600Kmツーリングが可能であるのを確信した。その後30分休憩し、時速4、5Kmの低酸素運動のまったりジョキングでエコノミー症候群の治療を施した(45分間)。
P.S. 2 国語力の低下によりこの程度の駄文を完成させるのに2週間もかかりました。「賃貸借物語」から実に8年ぶりの自己満足できる投稿となります。歳を感じます。皆さんの投稿記事楽しみにしています。(By return rider)

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