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心 その7・幸せな人生を考える

回の「心」シリーズを書くにあたり、あちこちをネットサーフィンして、いくつかのとても興味深い記事に出会いました。その一つは「人は何を考えている時が一番幸せか?」ということを、脳波スキャンで解明したという話です。右前頭前皮質に対する左前頭前皮質の相対活性化をFMRI(脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法)で測定して調べたというのですが、私には初耳の専門用語が多くて詳しことは解りませんでした。
 ただ、幸せを呼ぶ脳内物質については、ある程度のことは知っています。人が幸福感を得る上で最も重要なものはセロトニンです。セロトニンは、リラックスホルモンと呼ばれていて、精神安定の効果があり、現代人が不足しているホルモンとも言われています。次のホルモンはド―パミンで、生きる意欲を作るホルモンと呼ばれていて、自分の存在意義を見出した時に分泌されます。もう一つ、エンドルフィンというストレス解消に効果があるホルモンがあります。、エンドルフィンが分泌されるとα波も出るといいます。α波はひらめきや勉強などをサポートするものです。
 この3つのホルモンを合わせると、仕事が楽しく、好きになり、その仕事を達成することで人から尊敬や賞賛を浴びます。一方で、私生活においては自分の好きな人に囲まれて生きていくという、理想的な人生が送れるとのことです。ちなみに、「アドレナリンが出て興奮した〜」などとよく言われていますが、交感神経が興奮し危機的な時に出るホルモンで、日常生活の中でこれを大量に出していることは、身体にストレスをかけているだけで、かえって身体にとっては良くないとのことです。
 横道にそれましたが、このFMRIの測定の結果、被験者は何を考えていた時が一番幸せだったと思いますか? ギャンブルで大儲けしたことを考えていた時。これまでで一番の絶景を思い出していた時。楽しかった過去の日々を追憶していた時。それともアレのことを考えていた時ですか? 測定の結果は意外にも、被験者が「思いやり」について冥想している時でした。
 「自分の思い通りにならない!」すなわち、お金がない、結果がでない、愛されない、尊敬されない、何もかもうまくいかないという欲求不満の多い毎日を送っている人は、「自己中心」から「思いやり」の発想に転換することが必要と説いています。そのようにすることだけで、この種の悩みはけっこう解消されるらしいです。明るくpositiveな性格の人の方が幸せな生活を送れる可能性は高いと言っています。
 「幸せ脳の人」は、いろいろなことを前向きに肯定することができるので、自分と違う考えや価値観の人と出会ったとしても、すぐに否定することなく、その存在を認めることが可能だというのです。ちょっと落ち込むようなことがあっても、いつまでもクヨクヨしていることがないようなのです。とは言っても、何も感じないのもおかしくないですか? 私は人種が違うと思って無視しています(笑)。
 いずれにせよ、positiveな気持ちに切り換えることは、幸せだと感じることが多くなり、不幸せに感じる時間が短くなり、浅くなり、毎日を明るく楽しく過ごすことができるようになることは理解できます。それが「幸せ脳の人」の強みと書いてありました。自己中心的な発想から、金銭欲、名誉欲、自己顕示欲が高いなどの欲望に凝り固まっている人は、四六時中その事が頭から離れず、イライラ、ムラムラした性格になってしまい、幸せな人生を送ることが困難になってしまうというのです。
 人生の踊り場と言われている40歳過ぎに、私は2つのことを気にするようになりました。誰だって少なからず自己中心の心を持っています。そのことは聖人君子になれない凡人には、ある程度仕方のないことだと思っています。しかし、日常生活において大切にしなければいけないことに気付きました。それは「主観」と「客観」のバランスです。「主観」は「利己主義」「快楽追及」、「客観」は「社会との調和」「相手への配慮」などの言葉と置き換えてもよいでしょう。
 「天才は努力家に負け、努力家は楽しむ者に負ける」という言葉がありますが、確かに人生は楽しんだ者勝ちですが、一方、ヒトは社会的動物であり、他人と時間、空間を共有しなければならないことが日常生活の中に多くあります。そのことを踏まえて、「心」の中にある程度の質と量の「客観的考察」ができなくてはいけません。それでも、客観の質、量は万人全てで異なり、それ故、公の場では各人の性格、品位などの個性が表面化し、社交上の不和が生じることになります。人生を快適に過ごすには、何よりもまず、「心が広く、深い」ことが絶対条件と考えます。主観が強ければ、その分、客観の質と量も同等に強くして、発言、行動をしていかなければいけません。
 人生の中でもう一つ大切にしなくてはいけないものがあります。それは意識していないと浪費してしまうものです。そうです。時間です。「時は金なり」という、あまりにも有名な金言がありますが、このことも人生の後半にならないと気付かないことです。若い頃は時間が多くありすぎて、どのようにして暇な時間を過ごそうかと考えた人も多いのではないでしょうか。病気や怪我をしてしまって病院に行って待たされたり、入院したりすることも、70年間病院に行ったことのない人間にしてみると、無駄な時間の最たるものに思えます。趣味はなく、身体を動かすことも嫌い、したいことも別になく、TVやネットを見ながらゴロゴロしているということも、時間の無駄遣いです。
 現在は通勤時間も短縮され、通勤ラッシュも以前より緩和されたように思われますが、職場が近くにある人は別として、多くの人にとってdoor to doorの通勤時間は往復で3時間くらいかかってしまいます(往復4時間かかる人も少なくないと聞いています)。近場の人でも片道1時間くらいはかかります。これは仕事上の必要経費ならぬ必要経時(?)です。仕方のないことですが、私の場合は自宅が仕事場でしたので、必要経時は0分でした。その分、仕事の時間を増やせましたし、遊ぶ時間にも回せました。2年間だけですが、横浜まで通勤していましたので、通勤時間なしということはとても有難いことだと、塾稼業を始めてつくづく感じました(厳密には30歳から0分になりました)。
 「時間より銭」という考えの人には理解できないでしょうが、時間だけはいくらお金を払っても、買ったり、止めたりすることはできません。マイカー通勤や、50cm四方のスペースの車内で身動きできずに直立して通勤している人には、その時間の有効利用は不可能です。そこで、新幹線、グリーン車を利用しているサラリーマンも多くなっています。余分な出費になりますが、仮眠したり、本を読んだり、PCを開いて仕事をしている人をよく見かけます。スマホに夢中になっている人も多く見かけますが、これに類するようなことばかりしているようでは、時間を買ったお金を取り戻せているのか、私には疑問です。
 1日3時間、1年に250日の出社があった場合、1年で750時間。それを仮に35年続けたら、3年分の歳月になります。実際には、1日の中には睡眠、入浴、食事などの生きていくためにしなくてはならない日常行動・行為があります。それらの時間を少な目に9時間差し引いて、1日を15時間と考えると、5年の歳月にもなってしまいます。それが丸々自分の自由な時間になっていたということは有難いことだったと感謝しています。
 主観と客観のバランスのとれた心、健康を維持する心、時間を大切に使う心、この3点は「幸せな人生を送る」大切な三要素になります。高齢になればなるほど、あなたも実感すると思います。

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