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独りでいる時間 ESPECIAL !

なたは一人でいる時間をどのように使っていますか。誰だって独りでは生きていけませんし、他者によって作為的に独りにされることは本能的に負の感情を抱くのが正常でしょう。しかし、独りでいること、独りになることを好きだという人もそれなりにいると思っています。オタクのように四六時中外部との接触を避けて生活している人は異常ですが…。
 私たちは基本的にみんな孤独です。誕生と死がその答えです。しかし、独りでいることを嫌い、自分を欺き、孤独ではないように振舞っている人がいます。人生は孤独なものと知り、あるいはそうだと仮定して生活したほうのが、長い人生を充実して送ることができます。独りでいる時にこそ、彼または彼女が何を考え、何を学び、どんな行動をしているかが大切になります。
 自分自身を孤独だと思う人や、孤独と感じることを避けている人は、孤独になることに怯えを感じ、決して独りにならようにします。そのような人は独りでいる時間をモノや人に身を委ねます。現代社会は物理的に孤独を瞬間的に忘れさせるモノで氾濫していて、暇を持て余している人の多くは、無意識のうちにTV、PC、スマホ、ゲーム機などと向き合います。
 生きていくための毎日の生活は多忙です。生活資金稼ぎのために仕事をし、家の中には炊事、洗濯、掃除など多くの家事があり、不要品、ごみの分別もあります。ホッとする時間が必要になりますが、毎日毎日、仕事、家事に追われている人には孤独を感じている時間はありません。そのような人は独りでいる時間の持てる人を羨ましく思っているはずです。
 興味ある身近の対象物や他人に依存することは、空虚を満たすためにそれらのモノや人と対面しているだけで、何の効能もありません。それが終われば、また孤独であることをより深く知るだけです。そのような時間の使い方をするくらいなら、たとえ空想であっても、その考える内容が行動的、建設的で将来を展望するものであるのなら、ずっとそれのが上等です。
 空想に耽るということは、自身の心が何かを要求していることであり、内面生活を豊かにしようという現れです。心の庭に花の種を蒔くには、独りでいる時が絶好のチャンスです。TV、PC、スマホ、ゲーム、友達とのおしゃべり、何をしても頭に残らないような行為は、不毛の心のままです。むしろ、それを重ねるごとに不毛の心のエリアは広がっていきます。
 「独りでいる」ということには、信じられないほどの特質があります。この言葉は「自分で考える」ということに置き換えることができます。それは自分を見つめる貴重な時間です。生きていくことの基本は「by oneself」です。仕事、家事、自身の日常管理、生きていくためにしなくてはいけないほとんどのことは自分ですることが基本です。趣味、読書、運動も独りでします。若い頃の学校の勉強も、自分の実践しようという意志力でした。
 一人旅は「独りでいる」という特質をダイレクトに体感できます。旅は絶景、史跡などを訪ねる際に、個人の趣味、情操などを絡めて旅に出かけるわけですが、旅こそ独りでする行動です。自分を客観的に見つめることができます。旅で行動している自分に嘘はありません。自家製造語ですが、それを「一旅一得(いちりょいちえ)」といいます。一人旅をしてみてください。人生観が変わると思います。
 自分を見つめたい時には、一人旅が一番です。孤独の空虚さは狭い空間にいるからよけいに感じるのです。行動力もなくなるのです。一人旅で広い世界に身を置けば、情けない自分、行動力のない自分、ちっぽけな自分に気付きます。動物たちはある時期になると、ゾウなどのように母親を中心にしたファミリーで行動する動物もいますが、多くはDNAの命令で子どもたちを独り立ちさせています。
 人間も危険や敵の多い環境の中で成長していきますから、学ぶことも多く、子どもは一人前になるまでは家族の愛情に守られ成長していきます。15歳前後になると、親しい友人もでき、好きな人もできます。家族からは教えてもらえなかった心の機微を知るようにもなります。幸運に恵まれると、メンター(mentor)との出会いもあります。
 就学年齢までは、親がMPS(Morality・Pleasure・Sincerity)を根気よく教えなくてはいけません。怒鳴るのではなくて、人生の先輩として諭す、助言を与える技法を身に付けてください。その際、ほめる言葉を最期に一つ添えることはとても効果があります。叱られている側に、決して感情的に言っているのではないというメッセージにもなります。
 就学する年齢になったら、独りでいる時間が多くなります。独りでいる時間の使い方によって、人格形成は大きく変わります。独りでいる時間を何に使っているのかを観察してください。若い頃は嬉しいことがあったり、哀しいことがあったり、あるいは有頂天になったり、落ち込んだりして試行錯誤する時代です。活字をあまり読まない子どもでも、毎日の行動の中からいろいろな刺激を受ける感受性が強い年代です。このような時も、人生の先輩として助言を与えてください。
 活字に親しむことは、それほど気にする必要はありません。ある年齢になれば、読書し始めます。私は18歳からでした。30歳、40歳を過ぎてから読み始めたという人も何人か知っています。大人になっても全く読書をしないというのは心の面で問題ですが、読書ばかりしていてもいけません。人は基本的には動物で、行動のが大切だと考えます。
 子どもに「独りでいる時間」を大切にすることを伝えてください。もう子どもが成人になっているようでしたら、孫に伝えてください。独りでいる時間の使い方によって人間の質が変わり、差が生まれます。人格も、勉強も、技術も、スポーツも、独りでいる時に磨かれるものです。
 独りの時に「考え、思うこと」と平行して、意志を行動に転換させる強い実行力を養うことも大切です。そして、一人旅を是非してみてください。家族や友人との旅では日常生活の延長になってしまいます。これらの旅行を全面否定しているのではありません。日常を離れて、自分を知る人が誰もいない空間の中で自分ひとりになった時、新しい発見がきっとあります。子どもや孫にも18歳になったら一人旅を是非薦めてみてください。

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