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W杯ラグビー日本代表

りました。ラグビーファンが待ちに待った価値ある1勝でした。世界中をアッと言わせた、あの南アフリカの勝利に日本国内は過熱気味ですが、ファンの一人として「熱しやすく冷めやすい」日本国民がいつまで温かい眼差しで応援してくれるのか心配でもあります。せめて、2019年のW杯日本大会までは応援してあげてください。
 ラグビーの三大強国というのは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカです。その一つを撃破したわけで、何でも賭けにしてしまうイギリスのあるブックメーカー(bookie)では、「日本の勝ち」にかける人は一人もいなかったというほどの大番狂わせであったわけです。日本のラグビーの歴史が変わったと言われていますが、決して大袈裟ではないのです。
 「日本のラグビーは世界の中では弱かったから、日本では人気がなかった」と言う人がいるかもしれませんが、それは当たっていません。主たる団体球技の世界ランキング(男子)を並べてみると、ラグビー10位/102カ国、バレーボール14位/140カ国、ハンドボール21位/83カ国、サッカー55位/206カ国、アイスホッケー20位/50カ国、バスケットボール47位/87カ国となっていて、決して弱い団体球技ではないのです(野球には国別のランキングはないようです)。
 それではなぜ今まで日本ではラグビーはマイナーな団体球技だったのでしょう。二つの理由が考えられます。一つはルールの難解さがあります。もう一つは団体球技で肉体をぶつけ合う唯一の競技ということで、野蛮とか危険なスポーツと思われていた嫌いもあります(アメフトはプロテクターを着けて競技していますので除外します)。
 実は私も学生時代に2年間ほどラグビーのボールを触っていました。「していた」と言うほど真剣にやっていませんでしたが、男性にとっては魅力的なスポーツでした。2m、100kgを超える大男が50mを6秒で走り、軽快なステップを踏み、筋肉隆々で敵からのタックルに耐え、愛しい人でもあるかのようにラグビーボールを抱え半歩でも先に進む。まさに男を象徴するかのようなスポーツではありませんか。
 昨今、痛いこと、辛いこと、疲れることを一切しない男性が多くなってきました。本人が少しでも嫌がっていることを強制することは、それだけでハラスメントになるという風潮(あるいは国策?、家庭教育?)が強くなってきています。そういうことに保護されていれば、色白で、優柔不断、覇気のない、一見してか弱そうに思える草食(装飾?)系男子は増えていきます。たまにTVをつけると、オカマタレントの多いことにも驚いています。
 自分の感情からの体罰やいじめなとの暴力は絶対にしてはいけないことですが、子ども同士の喧嘩や、擦り傷から血が滲んでいる程度の怪我や、お腹が痛いと言われたからといって、すぐ心配するような母親から育てられた男の子は、女々しい男性になってしまいます。昔の母親は、喧嘩して血を流して家に帰ると、相手の子供のことをまず心配したものです。擦り傷でちょっとでも出血して青白い顔になったり、身体の一部が痛くなって慌てたり、自分自身を精神的、肉体的に追いつめることのできないような若者には、ラグビーは縁遠い存在であると思います。
 いつものように、横道に入りすぎました。それに比べ、最近の女子は活動的になり、旅先で一人旅の女性を見かけることも多くなりました。「鉄子さん」「山ガール」「写ガール」「釣りガール」、最近では「バトル女子」までいるようで、彼女たちの趣味は多彩になってきました。そして今回のW杯ラグビーの快挙で、「ラグ女」なる女性が急増しているようです。女性は一昔前のような「気は優しくて力持ち」という、頼りになる男性に心を動かされるようになっているのかもしれません。このような回帰傾向は一男性として嬉しい限りです。
 ラグ女たちの声です。「だって、あの大きな体にぶつかって、絶対痛いと思うのに… そのたくましさに感動しちゃうんです」とAさん。Bさんは「道具なしで、人と人との戦いをするところです。ずっと立っているし、常にフィールド全員が平等なので。そこが他のスポーツと違うところです」。そしてCさんは「ラグビーは紳士のスポーツで、あれだけ激しくぶつかり合っても、ノーサイドでお互いを称え合う姿に感動しています。反則にも厳しんです。だからペナルティーゴール成功に3点もあげているんです」 意外にも「もともとマッチョな男性が好き」という女性はそれほど多くありません。むしろ「最初は苦手だった」という女性も多く、ラグ女となった今、ラガーマンに見慣れてしまい、道行く男性が華奢に思えてしかたないという声もありました。
 昔からのラグビーファンはもちろん、ラグビーを好きになり始めの女性からも絶大な人気を誇るのが、ゴールキック成功率8割の日本代表フルバックの五郎丸歩選手です。スッキリと整った顔立ちに、ラガーマンらしい厚い胸板。軽いステップで勇敢に敵陣に飛び込んでいく気概。日本がW杯で3勝した時のインタビューで目頭を押さえていたナイーブさ。同じ男性から見ても、女性から人気あるのもわかります。
 ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏はインタビューではいつもニコニコしていて、とても優しい人柄に映ります。彼自身日本人の血が1/4流れているクォーターということ、また奥さんも日本人であるということから親しみを感じるのかもしれません。しかし練習のときだけは鬼軍曹になると言われていています。小柄な日本人が世界に太刀打ちするためのJapan Wayを確立させ、練習では徹底的にロータックル、同時ダブルタックル、セットプレー、オプションを反復練習させました。そして走力、筋力、持久力の肉体改造にも取り組ませました。素晴らしい指導者です。
 2019年のW杯日本大会まで継続して指導してくれると思っていたのですが、10月一杯で勇退しました。11月からは世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のストーマーズ(南ア)の監督に就任します。しかし、彼にとってはこの転身は賢いことかもしれません。文科省とか新設されたスポーツ庁とかは、省庁の中でもとても人脈、権威のドロドロしたところだそうです。理化学研究所、自治体の教育委員会も同じ穴の狢です。morality や fair playを美徳とすべき省庁がこれでは笑っちゃいます。特にラグビーには、例のオリンピック問題の中心的人物、元首相Mが名誉会長として係わり合っています(涙)。

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