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100000年後の安全

下の大罪人殺しも、戦争時には美徳になる。
 選挙のときに平身低頭、美辞麗句を並べる政治家は、当選すると世論の声にお構いなし。
 部活動であれほど学生時代のほとんどの時間をスポーツに費やしても、大人になると身体を動かすことを億劫がる。
 恋愛中あんなに愛していたのに、結婚するとパートナーの一挙手一投足が気になって仕方ない。
 拝金の起業家は絶頂を迎える前に、大切なことを忘れてひとつの過失から奈落の底に突き落とされる。
 平時には「自衛隊を縮小すべき」と言っていたマスコミやコメンテーターは、東北の大地震や福島の原発事故での隊員の活躍に手のひらを返すような報道をする。
 原子力発電所建設で国からの巨額の交付金で潤った町や村は、今消えて無くなってしまう危機にある。
 原発推進派の学者は政・官・財と癒着して学内での存在力を強めてきたが、脱原発に方向転換すると彼らの存在意味は薄くなる。
 この世はまさに「諸行無常」。この世の存在のすべては姿も本質も常に流動変化し、一瞬といえども同一性を維持することはない。

 現在、渋谷のアップリンクで公開されているフィンランドの放射性廃棄物の最終処分場を描いたドキュメンタリー映画「100000年後の安全」(マイケル・マドセン監督)が、大きな注目を集めている。公開初日から連日満員の大盛況らしい。東日本大震災を考慮して上映の中止、延期となる作品が多い中、「今だからこそ見てほしい映画」と緊急公開に踏み切ったそうだ。未だトラブルが一向に収まりそうにない福島第1原発に端を発する放射能問題。そんな難問を抱える日本人に、原子力発電とどう向き合うべきかを問いかけている。
 フィンランドにある原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場、通称「オンカロ(隠された場所の意味)」と呼ばれる施設に世界で初めてカメラを潜入させた。同所で働く作業員や、原子力の専門家の証言を織り交ぜながら、人体に影響を与えなくなるまで10万年を要するとされている廃棄物を、人類が管理していくことが可能かを提起している。過去に遡るなら、現生人類の代表としてよく教科書に登場する「クロマニヨン人」は約3〜5万年前に出現している。その2〜3倍の歳月を経て、ようやく生物にとって無害な状態になる。気の遠くなるような歳月である。10万年先の遥か遠い未来まで、果たして人類は平和に共存できているのか。地殻の大異変はないのか。巨大隕石の衝突はないのか。
 皮肉なことに、相対性理論の生みの親・アンシュタインは言っている。「我々の進もうとする道が正しいかどうか、神は前もって教えてはくれない」そしてこう付け加えている。「無限なものは2つ存在する。それは宇宙と、人間の愚かさだ。しかし、前者については断言できない」と。
 人類は優れた頭脳を持っている。その頭脳を欲望が支配してしまったとき誤った道に進む。人類は今、進もうとする道が正しいかどうか真剣に考える時に立っているようだ。

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