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鬼の霍乱、それから(前)

月に腰の痛みを感じ、その痛みが取れるのに1ヶ月を要し、3月下旬にウイルス性の胃腸炎になり、最近「加齢と健康体」について考えることが多くなった。私の場合、ゴルフのラウンド数が心身の充実度のバロメーターになっていたのだが、今年はこれまでに3回しかプレーしていない。
 先日、久しぶりにサラリーマンの愛読週刊誌(?)「週刊現代」5/22号を買った。書店内をうろついていると、表紙に書かれていた「85歳を過ぎてもピンピンな人の生活習慣」という特集記事が目に留まった。ちょうど「健康」について考えていたので、その言葉が飛び込んできたのだろう。
 取材されている人は、今なお現役で活躍されている各界の85歳以上の著名人6名である。そのうち5氏の言葉を紹介する。
 まず、作家・佐藤愛子さん(86歳)の言葉。
「何よりも、丈夫な身体に生んでくれた両親に感謝しています。四季折々の自然の移ろいを眺めていると穏やかでいられていいですね。穏やかな心が基本です。人間の身体は敏感さを保っていれば、身体にとってよくないものは食べたくなくなるはずなんです。今の栄養学や医学は、何を食べてはいけない、あれを食べろ、これを食べろとうるさく言いますが、人間の身体は一人ひとり違います。自分の身体は自分が一番知っています。無垢な心と身体でいれば、身体が自ずと判断してくれるんです」
 同じように精神面を強調しているのが、私もこのコーナーで取り上げた人気エッセイストの外山滋比古さん(86歳)。「私が長生きできているのは、半分は運ですから」と前置きして・・・。
「全然気を遣わなくても元気な人は元気。みんな、健康、健康と神経質になりすぎているんではないでしょうか。高学歴やインテリの人が増え、どちらかと言うと観念的に健康を考えがちになっている。本来、健康は気分。仮に病気であっても本人が健康だと言えば健康なんですよ。ところが今や、ちょこっとでも何かあると、すぐ精密検査をして病気を探し出してしまう。大したことがなくても、ああ自分は病人なんだと落ち込んでしまう」
 確かに、最近のTVには医学バラエティ番組が多い。健康サプリメントのCMも多い。健康に必要以上に不安になっている人が多いからであろうが、基本は自己管理である。
 次に紹介されているのが、現役ジャーナリスト・むのたけじさん(95歳)。この人はスゴい。なんと初めて「老い」を実感したのは75歳のときという。発車間際の新幹線に走って飛び乗ったら息が切れ、車中で腰を下ろしてしまったからだそうだ。
「私は、命とか、人生とか、生きるということに対する自分の姿勢が、何らかの形で作用しているのではないかと思うのです。とうに死んでもおかしくない年齢の細胞が、新陳代謝をして、次々に新しい細胞が生まれる。命の力というものはどこから出てきているのか、そんなことをよく考えますね」
 自身、85歳から立て続けに、胃がん、肺がんに罹り、手術と放射線治療をした体験を持つ。
 塩ジーこと、元財務大臣の塩川正十郎さん(88歳)も紹介されている。塩川さんも20年ほど前に胃がんになり、胃を摘出して以来、日々気をつけていることは「よく噛むことだ」という。
「少し固い物などのときは100回以上噛みますよ。不思議なことに、習慣になって久しいですから、よく噛まないとのどを通らんのですよ。普段の朝食はトーストにバターを塗ったものとジュース。昼は麺類が多いのですが、うどんみたいにやわらかいものでもよく噛みます。夕食は外で誰かと食べることが多いのですが、食事中はずっと噛んどりますよ(笑)」
 塩川さんの歯は「20本が生の歯」で、歯科医が表彰してくれたという。肉体的な健康法は特別なことはしていないが、天気のいい日には5000歩近く歩くようにしているという。
 歩くことを日課にしているのが、81代首相を務めた村山富市さん(86歳)。毎日6000歩ぐらいは歩いているという。
「衆議院時代に九段の宿舎におったから、初めは運動不足解消のために始めたんじゃ。朝6時頃起きて、宿舎から北の丸公園まで歩いていた。総理になってからは、SPに迷惑をかけるでな、その間はできなかったけど、それまで20年間ほどやっていたんじゃなかろうか。10年前に政界を引退して大分に帰ってからも、大分川まで歩いて行って、ラジオ体操をして、河原で後ろ向きに100mほど歩くこともやっている。とにかくどこに行くにも、できる限り自分の足で歩くようにしているんじゃ」
 外山滋比古さんも、かつて村山富市さんが散歩していた北の丸公園から、皇居の周囲を歩いている。
「ほぼ毎朝、4時半に起きて地下鉄に乗って、6時半に北の丸公園で体操をして、皇居の周りを1時間ほどかけて散歩しています。散歩自体は、始めて50年にもなりますが、単純に楽しいからやっているんですよ。多少の雨なら出かけ、四季折々の景観を楽しみます。楽しいから生活の中に組み込む。そうすると、リズムが生まれるようになります」
 外山さんの詳しいデイリー・ルーティーンは次のようになっている。散歩から帰宅するのが8時過ぎ。奥さんが体調を崩しているとのことで、二人分の朝食を作って、食べ終わると9時。外山さんの造語「また寝」をして、起きるのが11時。それから、書斎代わりにしている自宅近くの図書館で午後1時頃まで原稿を書いたりして、家に戻って昼食。予定がなければ、再び図書館に戻って仕事をする。5時には帰宅して雑事を済ませ、7時頃から夕食の支度をして食べ、8時半には後片付けも済ませ、9時には就寝するという。
 会合や講演などが入っていないときは、ほぼこのリズムらしい。規則正しい生活が健康と密接に結びついているよいお手本といえる。(続く)

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