テイラー・ファミリーの三男リヴィングストン・テイラー (1950- )4枚目のアルバム。次男ジェイムスに比べて華やかさはないが、地道なコンサート活動、ソロアルバム製作で固定ファンを獲得、現在も元気に活動している。プロデューサーが、主にアレンジで多くの作品に関わりスウィートネスの魔術師と呼ばれ、マリアのファーストアルバムにも参加していたニック・デカロということもあり、従来のフォーク路線と洗練されたAORムードがうまくミックスされ、垢抜けた味わいがある。そのなかでマリアが参加した
1.「No Thank You Skycap」は、思い切りカントリー風の音つくりで、アルバムに変化をもたらす役割を担っている。最初はリブが、そしてマリアがソロで歌い、二人の合唱部分でマリアはハーモニーを担当している。恋人との別れの歌で、マリアの歌声には相手を思いやる情感がこもっている。バックを担当するのは西海岸を活動拠点とする一流のセッション・ミュージシャンで、各人とも無数のセッションに参加している人達だ。フレッド・タケットは、ボブ・ディランのゴスペル時代のセッション(「Saved」1980、「Shot
Of Love」1981)が一番有名。ダン・ダグモアは、リンダ・ロンシュタットとジェイムス・テイラーのアルバムとツアーに数多く参加し、現在はナッシュビルで活躍中。ジェイ・ワインディングはマドンナのバンドリーダーがメイン。デビッド・ハンゲイトはTotoの結成メンバーになった人だ。
その他の曲では明るい感じで、シングルカットされ全米30位のヒットとなった「I Will Be In Love With You」、ジェイムス・テイラーがアルバム「That's
Why I'm Here」1985でカバーした「Going Round One More Time」。AOR名曲集の筆頭候補にあげることができる「Train
Off The Track」などの佳曲もあるぞ。
[2009年10月作成]
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