その他断片 (1980年代)


様々な音源、映像などをここで紹介します。なおここで述べられている情報の一部につきましては、間接的なものであり、その真正性につき完全な裏付けはとれていないので、ご注意ください。


Saturday Night Live 1980  TV映像

Paul Simon : Vocal, E. Guitar
James Taylor : Vocal, A. Guitar
David Sanborn : Alto Sax  (3)
Howard Johnson (Probably) : Tuba (3) 
Unknown : Trombone  (3)


1. Cathy's Clown [Don Everly]
2. Sunny Skies
3. Take Me To The Mardi Gras [Paul Simon]


1980年3月15日放送


NBCテレビが製作したニューヨークを本拠地とするバラエティー・ショー、「サタデイ・ナイト・ライブ」からの音源。その100回目の放送スペシャルとして、常連の一人だったポール・サイモンとジェイムス・テイラーの共演が実現した。ニューヨークのロックフェラーセンター地下鉄駅のセットを背景に、アンダーグラウンド・ミュージシャン(地下鉄構内で演奏する人達)のイメージで、二人並んで高椅子に座って演奏する。ポールは黒いギブソンのエレキギターを、ジェイムスはマーク・ホワイトブックのアコギを演奏している。夢の取り合わせであるけど、残念なことにリハーサル不足であることは明らかで、演奏は大変荒っぽい。1. 「Cathy's Clown」は、エヴァリー・ブラザース1960年のヒット曲(全米1位)。兄弟によるコーラスが再現される。ポールのギターの音が押していて、JTのプレイはあまり聞こえない。すぐに 2.「Sunny Skies」が始まるが、二人のギター演奏がいまひとつ合わない感じで、ポールがハーモニーボーカルを付けようとするが、音がはずれてしまう。ここでのベストトラックは、ポールの傑作アルバム「There Goes Rhymin' Simon」 1973 に収録されていた 3.「Take Me To The Mardi Gras」だ。マルディ・グラはニューオリンズで開催されるカーニバルで、色とりどりのコスチュームを身にまとった人々がフレンチ・クォーターの繁華街を行進し大騒ぎするお祭りのこと。JTのギター、ボーカル・ハーモニーが合っていて比較的聴き応えがある。ブリッジはJTがソロで歌うが、ここでのポールのギター伴奏がイマイチで残念。最大の聴きものは、エンディングでブラスバンドの3人組がシルクハットとタキシードという格好で突如現れ、ディキシーランド風の演奏を繰り広げるシーンだ。ニューオリンズ風といってもサックスが相変わらずサンボーン節なのが可笑しい。

ということで、演奏レベルはイマイチなんだけど、二人の共演というだけで許しちゃおう。


Sesame Street 1980   TV映像

James Taylor : Vocal. A. Guitar
Caroll Spinney : Vocal (As Oscar The Grouch)
Waddy Wachtel : Electric Guitar (2,3)
Dan Dugmore : Electric Guitar (2,3)
Bill Payne : Keyboards (2,3)
Lee Sklar : Bass (2,3)
Rick Marotta : Drums (2,3)

Howard Johnson : Tuba (1) , Penny Whistle (2)

1. Jelly Man Kelly [James Taylor, Sarah Taylor]
2. Your Smiling Face
3. Up On The Roof [Carole King, Jerry Goffin]


セサミストリートは、スラムの子供達の学力向上を目的として1969年から始まった子供番組で、マペットという画期的な人形による数々の愛らしいキャラクターと、アルファベット、数を教えるためのクリエイティブなアニメーションで、瞬く間にアメリカを席巻、世界中の子供達に愛される番組となった。日本では英語教育番組として輸入され、NHK教育放送で観ることができた。ポール・サイモン、スティーヴィー・ワンダー、ビリー・ジョエル、セリーヌ・ディオンなど番組の趣旨に賛同したアーティストが多く参加し、他では聴けない曲を歌うのも魅力だった。

JTの参加は1980年頃。資料によると、1979年から1981年まで諸説あり、どれが正しいか特定できないが、CD集「Songs From The Street」 2003 B14の資料から、ここでは1980年とした。 1.「Jelly Man Kelly」はB14の音源と同じもので、JTが街角のセットに座り、子供たちと一緒に歌う。まだ前髪が残っているJTはマーク・ホワイトブックのギターを弾いている。チューバを吹くアフリカ系アメリカ人のプレイヤーは、おそらくハワード・ジョンソンだろう。いろんな人種の子供達がJTの周りに座り、コーラスを担当する。子供達の少し遅れ気味のテンポが微笑ましい。特にJTのギターの前に座っている東洋系の女の子が可愛い。その後どんな人生を送っているのかな? なおこの映像は2005年初めに発売されたDVD またはビデオ「Sing Yourself Silly」で公式発売されている。

2. 「Your Smiling Face」はマペットのオスカー・ザ・グロウチ(「Grouch」=「不機嫌」)とのデュエットという珍品だ! ゴミ缶のセットから顔を出すオスカーにJTが話しかけるように歌う。最初「Whenever I see your smiling face」といつものように歌うと、オスカーはつまらなそうに缶の中に引っ込んでしまう。そこでJTは歌詞を変えて「Whenever I see your grouchy face The face that won't smile, 'Cause I like you Just a little bit. When you give me a nasty little pout Turns me inside out ......」と歌ってゆくと、オスカーは喜んで缶から顔を出し、セカンド・ヴァースを歌いだす。途中からオスカーとJTの掛け合いになり、オスカーは感極まって「Feel so yacky !」と叫ぶ。エンディングはJTとオスカーの合唱だ。オスカーの人形操作と声は、マペットを操る名人の一人、キャロール・スピニーによるものだ。ユーモアたっぷりのJTに対し、バック・ミュージシャンの演奏は真剣そのもの。同年代の作品「Dad Loves His Work」 1981 A11のミュージシャンがほとんどであるが、ドラムスのリック・マロッタのプレイを見ることができるのがいいね。このレビューを書いた当初「またピアノのクレイグ・ドルギーの参加は、この時期としては、かなり異色である」と書いてしまったが、改めてよく見たらビル・ペインのようだ。時期的にもそのほうが妥当だと思う。当初観た時の先入観に捉われてしまったようで、訂正します。一目見てはっきりわかるワディ・ワクテルに対し、もう一人の地味な格好のギタリストは誰だろうと、観た当初はずっと思っていたが、後にJTのいろいろな映像を観るようになって、ダン・ダグモアであることがわかった。ハワード・ジョンソンが吹く、ペニー・ウィッスルのパート(いつもはギターが奏でる部分)が愛らしい。ダウンタウンの古いビルの屋上といった感じのセットは、3.「Up On The Roof」では夕方の照明となる。その歌の内容がシチュエーションとぴったり合っていて、良いムードの映像である。

以前読んだインターネット資料によると、このセッションで「You've Got A Friend」も収録されたというが、未確認。ガセネタのようだ。



Her Town Too Promo 1981  映像

James Taylor : Vocal
J. D. Souther : Vocal
Waddy Wachtel : Acoustic Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar
Don Grolnick : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Marotta : Drums


1. Her Town Too [James Taylor, J. D. Souther, Waddy Wachtel] 


アルバム「Dad Loves His Work」1981 A11からシングルカットされ、1981年3月に全米11位の大ヒットとなった「Her Twon Too」のプロモーション・ビデオ。ここでの演奏はスタジオ・ライブのようで、レコードに収録されたものとメンバーは同じだけど、演奏は異なるもの。ワディ・ワクテルが演奏しているアコギはギブソンのJ-200。JTとJ. D. サウザーは高椅子に座って、顔を見合わせながら歌う。二人とも疲れたような顔をしているのが少々気になる。私生活のごたごたと夫婦生活のゴシップ記事で精神的に荒れていた時期であり、その気持ちが歌う表情にそのまま投影されているためだろうか。演奏、歌唱ともレコード版とほぼ同じに進行してゆくが、二人のボーカルのくずし方、特にJ. D. サウザーの歌いまわしが明らかに違う。

心に響くいい曲なんだけど、暗い気持ちが後に残る。デュエット曲という事もあるが、発表当時を除き、その後ライブで歌われないのも辛い思い出があるからだろう。


Dallas Texas 1981   音源

James Taylor : Vocal
J. D. Souther : Vocal, Acoutic Guitar

Waddy Wachtel : Guitar
Dan Dugmore: Pedal Steel Guitar
Bill Payne : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Marotta : Drums


1. Faithless Love [J. D. Souther]


1981年5月9日, Dallas Civic Center Arena, Dallas, Texas


1981年3月に発売となった「Dad Loves His Work」 A11のプロモーションのためのツアーに、「Her Town Too」を共作・デュエットしたJ.D.サウザーがゲスト出演した。テキサス州ダラスのコンサートでは、二人は「Her Town Too」、「Your Only Lonely」、「Faithless Love」の3曲を歌ったという記録がある。その中で上記1.の音源を聴くことができた。

「Faithless Love」は、J.D.サウザーの曲で、リンダ・ロンシュタットが1974年の作品「Heart Like A Wheel」で歌い(J.D.サウザはハーモニー・ボーカルで参加)、作者本人の歌は、2枚目のソロアルバム「Black Rose」1976 に収録されていた曲で、彼らしいナイーブな男らしさを感じる作品だ。ファースト・ヴァースをJDが、セコンド・ヴァースをJTが歌う。ブリッジは二人の合唱となり、サード・ヴァースは二人の掛け合いとなる。レコードでのオリジナル録音とほぼ同じミュージシャンが演奏しているため、バックの伴奏もバッチリだ。

5月13日アトランタのライブ音源でも聴くことができる。


Tom Synder Show 1981   TV映像

Unkown : E. Guitar, Keyboards, Bass, Drums
Livingston Taylor: A. Guitar (2)
James Taylor : A. Guitar
Alex Taylor, James Taylor, Kate Taylor, Livingston Taylor, Hugh Taylor : Vovals


1. Shower The People
2. It's Love  [Livingston Taylor]
3. Weight  [Robbie Robertson]


録音: 1981年、Martha's Vineyard



テイラー・ファミリー全員によるパフォーマンスは、公式発表ベースではヒュー・テイラーのソロアルバムC53 1990でのバックコーラスのみだった。アレックスが故人となった今、この映像は本当に貴重なもので、私の知る限りこれ以外には1986年クリスマスのニュース映像しかない。入手した資料では1981年のテレビ番組トム・シンダー・ショウとあった。JTの髪型が1980年のE2に似ているし、1. 「Shower The People」については別途NBC ニュースで放映された映像があり、その画面上に1981年8月4日と表示されるので、これらの映像についての制作年は表題通りで間違いないだろう。上記3曲の他に収録されたインタビューの最後で、彼等のコンサート(チャリティーらしい)が本拠地であるマーサズ・ヴィンヤードで行われ、これからニューヨークのサウス・ストリート・シーポートで行われる事、そしてその宣伝のためにテレビ出演したことがわかる。インタビューでは兄弟の若い頃の思い出、音楽への思いが楽しく語られる。

1. 「Shower The People」では兄弟のコーラスが強力で、家族の深い絆を感じさせるものだ。めいめいが自分のポーズでマイクに向かって歌いこむ様はスピリチュアルな感動を覚えるほど。高揚感のためか、テイラーのリードボーカルも何時になく奔放。JTは珍しくマーチンのD35を弾いている。収録がビデオでなくフィルムで行われていること、曲後の拍手や歓声から、これはテレビスタジオでの収録ではなく、コンサート会場で撮影されたものと推定できる。2.「It's Love」はリブの曲で、本人がリードボーカルをとる。当時はまだレコードになっていなかったはずで、初収録がしばらく後の1988年「Life Is Good」 C47だと思う。アップテンポの洗練された感じの曲で、5人のコーラスは最高。3.「Weight」はザ・バンドの傑作「Music From Big Pink」1968年に収録されていた名曲のカバー! ケイト→ヒュー→アレックスとリードボーカルを回してゆく。彼等の映像を観ること自体が始めてなので、感慨無量だ。ザ・バンドの連中ほどアクはないが、アレックスはさすがに貫禄タップリ。家族の絆を象徴する歌としてこれ以上のものはなく、5人によるコーラスに人間の心が持つ重みが集約されている。


 
Nassau Coliseum, New York  [Linda Ronstadt] 1982  音源 
 
Linda Ronstadt: Vocal (1), Back Vocal (2)
James Taylor: Vocal
Don Grolnick: Keyboards (1)
Dan Dugmore, Danny Kortchmar, Waddy Wachtel: Guitar (1)
Bob Glaub : Bass (1) 
Rick Marotta: Drums (1) 

Nicolette Larson, Rosemary Butler: Back Vocal

1. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Marie McCoy, Joe Seneca]
2. That Lonsome Road

録音: 1982年6月9日 Nassau Coliseum, Uniondale. New York

 
 
ナッソー・コロシアムはニューヨーク郊外のナッソー群ユニオンデールにある屋内競技場で、そこで行われたリンダ・ロンシュタットのコンサートにJTがゲスト出演した音源。オーディエンス録音で、若干粗めではあるが音質的に問題ないレベル。リンダにとって9月にニューアルバム「Get Closer」を出す直前のコンサートで、新作から2曲演奏しており、そのうちの1曲が アイク・アンド・ティナ・ターナーのカバー 1.「 I Think It's Gonna Work Out Fine」だ。曲の詳細はJTが参加したリンダのアルバムC40を参照してほしい。アンコールで歌われた 2.「That Lonsome Road」はJTの曲で「Dad Loves His Work」1981 A11に収録されたもの。リンダとコーラス隊と一緒にアカペラで臨むが、本来厳かな雰囲気の中で歌うべきなのにオーディエンスの興奮が冷めておらず、歌と声援・拍手が混じって少しちぐはぐな感じになってしまったのが残念。とはいえ、この曲をリンダと一緒に歌うということで有難く聴きましょう。

なおこの3日後にセントラルパークで行われた「Rally For Disarmament」のコンサートでは、JTのステージにリンダが登場し「 I Think It's Gonna Work Out Fine」を二人で歌っており、その音源・動画を観ることができた(「その他音源」の部参照)。

コンサートとしては、デビュー以来積み上げてきた珠玉のレパートリーを、JTと縁の深いミュージシャンが多く含まれる最高のバックでパワフルに歌っており、「Tumblin' Dice」、「It's So Easy」、「The Shoop Shoop Song」、「Willin'」、「Blue Bayou」、「Hurt So Bad」、「Living In The U.S.A.」、「Heat Wave」、「Desperado」などお馴染みの名曲のオンパレードだ。バックシンガーのニコレッタ・ラーソンが1曲ソロでダスティー・スプリングフィールドの1964年全米12位のヒット曲「I Only Want To Be With You」を歌っているのが面白い。

リンダは1980年代にテクノ、ニューウェーブ一辺倒になる音楽の流れを見越して、1983年以降はジャズのスタンダードやカントリー、スペイン音楽など新しい分野に乗り出すことになる。本ライブはその直前の絶頂期のライブを捉えたものだ。

[2024年9月作成]


Memphis, Tennessee 1982  音源
 
James Taylor: Guitar, Vocal
Dan Dugmore: Steel Guitar, Banjo 
Leland Sklar : Bass 
Billy Bayne: Keyboards  
Rick Shlosser: Drums 

Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal 


1. Prettey Boy Floyd [Woddy Guthrie]

録音: 1982年8月14日 テネシー州メンフィス


1.「Prettey Boy Floyd」は、JT初期のレパートリーとして初期の弾き語り音源で聴くことができるウッディー・ガスリーのバラッドだが、ここではバンドアレンジで歌っている。大変面白いのはJTの歌いまわしで、もろディランエスクなこと。特に後半でのメロディーを無視したトーキング風歌唱は、それなりにカッコイイ。 気晴らしも兼ねたステージならではの趣向だ。バックの演奏も張り切っていて、ビル・ペインのシンセの音色は、ザ・バンドのガース・ハドソンそのもの。ダン・ダグモアは前半はペダルスティールで、後半はバンジョーで頑張っている。

Nuclear Disarmament Voter Registration Rally 1982 映像 

James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar

1. Children Cry (aka Bomb Has To Die) [James Taylor, John Hall, Joanna Hall]

収録: 1982年10月5日 Northeastern University, Boston, Massachusetts


テッド・ケネディ(エドワード・ムーア・ケネディ、1932-2009) は、ケネディ・ファミリーの四男 (長男は第二次世界大戦で戦死、次男は35代大統領のジョン、三男は上院議員で大統領指名候補キャンペーン中に暗殺されたロバート)。1962年より亡くなるまで民主党の上院議員を務めた。1969年に引き起こしたスキャンダル(飲酒運転で車が海に転落したが警察に通報せず、同乗の不倫相手が溺死した事件)により大統領への道が閉ざされたが、民主党リベラルの重鎮として指導力を発揮し、共和党との交渉や多くの重要法案を成立させるなど、大きな業績を残した。

そんな彼が70年代〜80年代に力を注いだ活動のひとつに核軍縮・廃絶運動があった。1982年、彼は上院再選活動のひとつとして、マサチューセッツ大学、ノースイースタン大学で学生向けの集会を開催した。そこには女優のローレン・バコール(ハンフリー・ボガートの奥様)、ピーター・ヤーロウ(ピーター・ポール・アンド・マリーのひとり)そしてJTが呼ばれた。本動画は、1982年10月5日マサチューセッツ州ボストンにあるノースイースタン大学のキャンパスで行われた集会の映像で、同大学のインターネット・アーカイブサイトにあったもの。ただし、ここではローレン・バコールによるスピーチの模様は写っていない。

まずピーター・ヤーロウが登場して、人々に囲まれた狭い演説台で 「River Of Jordan」を歌う(映像は途中でカットされる)。次に民主党の政治家エド・マーキー(Ed Markey 1946- )が登場し、核兵器を増強する共和党ロナルド・レーガン政権の軍事政策を批判する。当時の彼は30代の若手であったが、その後当選して上院議員となり長く務めている。続いて下院議員ニコラス・マーヴロウレス(Nicholas Marvroules 1929-2003) が話した後、ギターを持ったJTが出てきて核の脅威についてスピーチするが、「うまく喋れないので歌います」と言って、 6.「Children Cry (aka Bomb Has To Die)」を弾き語る。彼に向かって右背後の壁に貼ってある青い布は、ここでは一部しか写らず文字が見えないが、別の場面から「Kennedy」と書いてあることがわかる。使用ギターはマーク・ホワイトブックであるが、メイプルボディで、ヘッドストックにフラワーポットのようなインレイが入り、いつものモデルとは異なるもの。 同曲は、6月12日セントラルパークで行われた Rally For Disarmament のコンサートで歌われたもので、ジョンとジョアンナ・ホール夫妻とJTの共作(JTによる公式録音はない)。演奏中に壇上に座る関係者が写る場面が挿入され、そこで足を組んで俯き気味で聴き入っている男性がテッド・ケネディ、その横にいるサングラスの女性がローレン・バコール (1924-2014) だ。

平和活動家のランダール・フォースバーグ (Randall Forsberg 1943-2007) によるスピーチの後に、ピーター・ヤーロウが再登場して 「Blowin' In The Wind」を学生達と一緒に歌う。最後にテッド・ケネディが核軍縮の演説を行う。その内容・話しぶりには強い説得力があり、政治家としての彼の力量がよくわかるものだ。

本集会が行われたのは40年も前なんだけど、現在もロシアがウクライナとの戦争で核の使用をほのめかすなど、その脅威は変わっていない。世の中なかなかうまくいかないものですね。

JTが珍しい曲を弾き語る貴重な映像。

[2023年8月作成]

[2023年8月追記]
当初私が観た動画は、3分ちょっとのJTの出演部分のみで、出所および日時・場所が不明なものだったが、その後出所に辿り着くことができ、しかも約22分にわたる集会の映像を観ることができた。また撮影の日時・場所についての正確な情報も得ることができた。最初の記事では「アマーストにあるマサチューセッツ大学のキャンパスで行われた集会の映像と推定」と書きましたが、誤りだったので上記の通り書き改めました。


Cornwall Connecticut 1983  音源

James Taylor: Guitar, Vocal

1. Ol' Man River [Jerome Kern, Oscar Hammerstein II]

録音: 1983年10月9日 コネチカット州コーンウォール


コネチカット州を流れるハウサトニック川の流域の自然を守る団体、「Housatonic Valley Association」のためのベネフィットコンサートに出演したもので、スキー場の斜面を会場とした 観客400〜500人ほどの小規模のものだったらしい。JTはギター1本で出演したようで、セットリストによると11曲ほど歌ったとのこと。1.「Ol' Man River」は、ミシシッピー川に浮かぶショーボートを舞台にした1927年のブロードウェイ・ミュージカル 「Showboat」のために作曲されたもので、1936年と1951年に映画化され、スタンダード・ソングとしての地位を獲得した。JTは川をテーマにということで、本曲を選んだのだろう。録音状態は悪いが、JTのギター、ボーカルともかなりの熱演。資料によると、JTは同じコンサートで、サリー・テイラーと一緒に「Jerry Man Kelly」を歌ったという。そして以下の写真はその際のものと推定される。





That's Why I'm Here Promo  1985   映像

James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar (1,3)
Dan Dugmore: Electric Guitar (2) 
Leland Sklar : Bass 
Billy Bayne: Keyboards  
Rick Shlosser: Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Percussion (1,3), Back Vocal (2,3) 

Joni Mitchell, Don Henry : Back Vocal (1)

1. Only One
2. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
3. Only A Dream In Rio



1985年発売の「That's Why I'm Here」A12 のプロモーションのために製作されたミュージック・ビデオ。2曲とも同じ場所で撮影されたものと思われ、楽器や機材なども同じに見える。ただし撮影、照明のスタイルが大きく異なり、出演者のポジション、服装やJTの歌う表情も違うので、別の日に撮影されたのだろう。

1. 「Only One」は、レコードとなったバージョンに比べて、ジョニ・ミッチェルとドン・ヘンリーのコーラスが強調されて前面に出た音作りになっているので大変面白い出来。ライトを配した明るめの照明のなかで、彼女の赤いドレスの鮮やかな色彩が目に焼きつく。JTはマーク・ホワイトブックのギターを弾きながら歌う。レコード・バージョンではリズムセクションがラス・カンケル(ドラムス)、トニー・レヴィン(ベース)だったが、ここでは「Rock In Rio」と同じミュージシャンが担当している。ドラムスのリック・シュロッサーの映像をはっきり観ることができるのは、私が知る限りここだけだ。アーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーのいつもの二人は、ここでは歌わずパーカッションを担当している。注意深く見たがダン・ダグモアの姿は写っておらず、この曲では非参加と思われる。2. 「Everyday」では、照明が暗めにセットされ、メンバーも異なる服装で写っている。ここではJTはギターを持たずに歌い、その代わりにダン・ダグモアがエレキギターを弾いている。3.「Only A Dream In Rio」におけるJTとバンドの服装は2.と同じなので、両者は同時に収録されたものと思われる。ギターはJTのアコギのみで、その分ビル・ペインのキーボードが前面に出ており、アルバムに収録されたスタジオ録音とかなり異なる雰囲気になっている。鮮やかな青いドレスを纏ったローズマリー・バトラーはシェイカーを振りながら歌っている。私が見た映像は途中で切れてしまうのだが、最後まで演奏しているものがあるといいなあ〜

表情を変えずに演奏するビル・ペイン、ちょっとしか写らないダン・ダグモア、飄々と演奏するリー・スクラー、神経質そうなリック・シュロッサー、生き生きした表情を見せるコーラス隊など自然な演奏シーンが楽しめる。


New Star Shining Promo  1985   映像

Ricky Skaggs : Vocal, A. Guitar
James Taylor : Duet Vocal

1. New Star Shinning [John Hall, Joanna Hall]


1985年に発売されたリッキー・スキャッグスのアルバム「Love's Gonna Get Ya !」 C42 に収録され、クリスマスシーズンにシングルカットされた 1.「New Star Shinning」のプロモ・ビデオ。二人がステージ上に腰掛けて、見つめあいながら歌う。サウンドは明らかに公式録音と同じで、口パク撮影だ。それでも珍しい顔合わせを見るだけで十分楽しく、オーリアンズのジョン・ホール夫妻作による曲の良さ、歌の上手さ、特に二人の和やかな表情を見ているだけで癒される気分になる映像だ。リッキーが弾くキャッツアイ、スノーフレイクス・インレイのマーチンD-45ギターを見て、これはプリウォーのオリジナルか!と色めきたったが、よく観察するとサウンドホールからボディー内部に張られた紙ラベルを見ることができたので、1980年代に製作された再現モデルの1本だろう。


  
The Tonight Show  1985   映像 
 
James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar 
Leland Sklar : Bass 
Billy Bayne: Keyboards  
Russ Kunkel ? : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Percussion (1), Back Vocal


1. Only A Dream In Rio
2. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]

放送日: 1985年11月12日 NBC放送 「The Tonight Show」

 
NBCのトークショー「The Tonight Show」への出演。10月発売のニューアルバム「That's Why I'm Here」A12から2曲を披露している。1.「Only A Dream In Rio」は新鮮味溢れる演奏で、アーノルドはギロ、ローズマリーはシェイカーでブラジル風味付けをしている。画質があまり良くないのとアップのショットがないので、ドラム奏者が誰かはっきりしないが、長めの金髪なので、リック・マロッタ、リック・シュロッサー、カルロス・ヴェガではなく、ラス・カンケルで間違いないだろう。録音の関係からか、バックコーラスが前面に出ていて、後半のポルトガル語で歌う部分や、2.「Everyday」のコーラス・パートなど、聴き応え十分。当時のコーラス隊二人の凄さを存分に楽しめる。

[2017年6月作成]


 
Wogan Show  1986   映像 
 
James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar 
Leland Sklar : Bass 
Billy Bayne: Keyboards  
Carlos Vega: Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal


Terry Wogan: Host

1. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]

放送日: 1986年3月14日 英国 BBC放送 "Wogan Show"

 
ウォーガン・ショーは、英国BBC放送で1982年から1992年まで続いたトークショーで、ホストはテリー・ウォーガン。JTとバンドは、2月14日のミラノ(イタリア、「その他音源」の部参照)」、3月24日のアムステルダム(オランダ、 「その他音源」の部参照)、3月27日のバーデン・バーデン(ドイツ、「その他映像」の部参照)」などの音源・映像のとおり、当時コンサートツアーでヨーロッパに滞在しており、イギリス滞在中にBBC放送のテレビ番組に出演したもの。

アルバム「That's Why I'm Here」1985 A12からシングルカットされ全米61位を記録したバディ・ホリーの「Everyday」のカバーを演奏している。映像ではステージの左端にいるキーボード奏者の顔がはっきり写っていないが、顔の輪郭と同時期の映像・音源からビル・ペインで間違いないだろう。アーノルド・マックラーが若い!JTはヤマハのギターを弾いており、エンディングにおけるJTのアドリブ・ボーカルも聴きもの。

本映像は2021年にJTのYouTubeページに良質なものが投稿され、資料により正確な日付も明らかになったが、以前観た別の動画では、曲の前後におけるテリー・ウォーガンのアナウンスがより長く入ったものがある。

[2024年8月作成]


Late Night With David Letterman  1986   映像
 
James Taylor : A. Guitar, Vocal
Sid McGinnis : E. Guitar, Back Vocal
Paul Shaffer : Keyboards
Will Lee : Bass, Back Vocal
Anton Fig : Drums

1. Only A Dream In Rio [James Taylor, Brazilian Translation J. Maraniss]

David Letterman : Host


放送日: 1986年9月24日 NBC放送 「Late Night With David Letterman」


デビッド・レターマンがNBC放送で、「レイト・ナイト・ウィズ・デビッド・レターマン」の司会をしていた頃の映像。当時のハウスバンドは、「The World's Most Dangerous Band」と名乗っていて、今見ると彼らの若々しい格好に笑ってしまう。ウィル・リーは、パンク少年のような髪型をしているし、シド・マックギニスやアントン・フィグは、ヘヴィ・メタルのバンドメンバーのようだし、リーダーのポール・シャファーもほっそりしているのだ。有名アーティストをゲストに招き、あらゆるジャンルの音楽を渡された譜面と僅かなリハーサルのみでこなしてゆくわけで、本番では譜面を見ずに演奏しており、それは本当に凄いと思う。JTはいつも同じメンバーによるバックバンドを好み、本音源のような他のアーティストとの演奏は珍しく、ここではリズムの乗りやサウンドの違いを楽しむことができる。さらにポルトガル語で歌われるブリッジ部分では、ウィルとシドの二人がバックボーカルを担当しており、その面からもユニークな映像となった。

その後のデビッド・レターマンによるインタビューで、JTは、(軍事政権が終わり)総選挙が行われた頃のブラジルを訪問し、「Rock In Rio」という大きなコンサートに出演した経験、その際に現地で受けた歓待が彼に人生に与えた影響を語っている。

サウンド的にも、視覚的にも美味しい映像だ。



NBC News At Christmas 1986   映像

James Taylor : A. Guitar, Vocal
Alex Taylor, James Taylor, Kate Taylor, Livingston Taylor, Hugh Taylor : Vovals

1. Yes We Can Can [Allen Toussaint]


収録: 1986年12月25日


1986年12月25日にクリスマスに、24時間ニュース専門のケーブルテレビ局であるMSNBCのニュース番組にテイラーファミリーが出演、歌を歌ったもの。私が観た映像には収録日がはっきり表示され、その右横には「Time Again」とあるので、1990年代の後半に放送された過去のニュース映像のアーカイヴ特集と思われる。

白いグランドピアノにリブが座り、右横にJTが、ピアノを囲んでケイト、アレックス、そしてヒューが立っている。リブはピアノを弾かず、指揮者の役割を演じ、JTはギターを弾きながら歌う。写っているギターのヘッドストックのロゴと白いボディーから、マークホワイトブックのメイプル製のギターである事がわかる。1.「Yes We Can Can」はニューオリンズを本拠地とする作曲家・歌手のアラン・トゥーサンの作で、もともとは1970年にリー・ドーシーが歌った曲を、ポインター・シスターズがリバイバルし、1973年全米第11位のヒットとなった。世界の変革を訴える政治的な内容の歌で、2008年にマリア・マルダーのプロテスト・ソング集のタイトルソングとなり、オバマ候補支持のキャンペーンに使用された。ここでのリードボーカルはケイトで、R&Bフィーリングあふれる歌唱だ。テイラー兄弟4人全員によるパフォーマンスは大変貴重で、他の映像は私の知る限り1981年の「Tom Synder Show」(上述参照)、音源ではヒュー・テイラーのソロアルバム「It's Up To You」1990 C53のみだ。


Rock 'N Roll Summit In Moscow 1987   映像

James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Pedal Steel Guitar
Leland Sklar : Bass 
Don Grolnick : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal


1. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
2. Fire And Rain (部分)
3. Country Road (部分、音のみ)
4. You've Got A Friend (部分)

収録: 1987年7月4日、 Ismailovo Stadium, Moscow

 
この番組は、アメリカのケーブルTV会社 Showtime がドキュメンタリーとして製作し放送したもの。アメリカとソヴィエトの若者が1987年6月15日から7月1日まで半月を費やして、レニングラード(現在名 セントペテルスブルグ)からモスクワまでの450キロを歩いたピースウォーク・ラリーの模様と、フィナーレとして7月4日に開催されたアメリカ人アーティストが出演した最初のロックフェスティバルの模様を収録したもの。当時ソヴィエトは1985年にミクハイル・ゴルバチョフが共産党書記長で、彼が進めたペレストロイカ(革新)とグラスノスチ(情報公開)が大きな成果を挙げ、人々が最も希望に燃えていた時期だった。そこにアメリカの平和団体 Internationa Peace Walk Inc.が企画し、Soviet Piece Comitteeと共同で実現したもので、冷戦終結を象徴するイベントとして大きな話題となった。

コンサートはモスクワの郊外の屋外スタジアムに約2万5千人のオーディエンスを集めて行われ、JTの他にボニー・レイット、サンタナ、ドゥービー・ブラザースなどのアメリカのバンドと Avtografという名前の現地のバンド等が出演し、7時間に及んだという。JTは番組の前半に登場し、いつものバンドをバックに1.「How Sweet It Is」を演奏する。資料によると1987年は、JTはコンサートツアーをやっておらず、他人作品へのゲスト参加も少なく、音楽活動は地味だったようで、そのなかで本コンサートへの出演が光っており、その趣旨に賛同して特別にOKし、そのためにバンドメンバーを集めたものだろう。ドキュメンタリーという趣旨なので、JTの演奏中でも、前述のピースウォークやアメリカとソヴィエトの人々の触れ合いノシーンが頻繁に挿入される。2.「Fire And Rain」の演奏は途中からフェイドインし、JTの演奏シーンの映像は少ない。3. 「Country Road」にいたっては、曲の音源がウォークラリの背景で僅かに流れるだけ。4.「You've Got A Friend」は、他のミュージシャンの演奏シーンの後、別れのシーンがフィーチャーされ、後半から映像を観ることができる。

その他JTの紹介によるボニー・レイットが登場し、JTバンドをバックに「Three Time Loser」という曲を元気いっぱいに歌ったり、サンタナの「Black Magic Woman」や、ドゥービー・ブラザースの「China Groove」(トム・ジョンストンがボーカルで、ジェフ・バクスターがギターを弾いている)などが楽しめる。ロシアのバンドはヘビーメタル風であるが、レベルの差があり過ぎ。また番組の冒頭ではフィナーレで全員がステージに登場し、「Listen To The Music」を歌うシーン、およびエンディングでジョン・レノンの「Give A Peace Of Chance」を歌うシーンの断片が観ることができ、そこにはもちろん我らがJTの姿もある。

その後ソヴィエトはゴルバチョフによる政治が混迷し、1991年には大統領を解任され、ソヴィエト連邦が崩壊、エリツィンによるロシアの時代に移ってゆく。それから約20年が経ち、この映像を観ると、この映像に写っていた若者達は、その後どのような人生を送ったのだろうかという思いにとらわれてしまう。



Concert For Children's Health Fund 1987   音源・映像
 
James Taylor : Guitar(2,3,5), Vocal (2,3,4), Back Vocal (1)
Dion : Vocal (1)
Bruce Springsteen : Guitar (1,5), Vocal (5), Back Vocal (1)

Paul Simon : Guitar (1,5), Vocal (5), Back Vocal (1)
Lou Reed, Billy Joel, Ruben Blades : Back Vocal (1)

Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal (2,3,4,5)

The World's Most Dangerous Band
Paul Shaffer : Keyboards
Anton Fig (Probably) : Drums
Sid McGinnis (Probably) : Guitar
Will Lee : Bass
Tom Malone (Probably) : Sax

1. Teenager In Love [Doc Pomas, Mort Shuman]
2. Looking For Love On Boradway
3. Carolina In My Mind
4. That Lonesome Road
5. Rock And Roll Music [Chuck Berry]

収録: 1987年12月13日、 Madison Square Garden, New York


ポール・サイモンと小児科医のアーウィン・レデュナー(Irwin Redlener)は、1987年 Children's Health Fundを設立した。その資金で、移動式の診療車を購入し、経済的な理由で十分な医療を受けることができない子供達を診察することを主な活動としている。設立当時1台だった診療車は、20年後には50台に増え、この手の活動として筆頭の存在になったという。ポールは団体の宣伝および資金調達のためにコンサートを開催しているが、1987年12月13日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された初回のコンサートは、デボラ・ハリー、ルウ・リード、ディオン、ブルース・スプリングスティーン、ギタリスト、プロデューサーのニール・ロジャースとチャカ・カーン、ビリー・ジョエル、そしてJTという錚々たる面々が趣旨に賛同して参加し、歴史的なイベントとなった。その模様を録音したサウンドボード録音を聴くことができた。資料では「Homeless Children's Medical Benefit Concert」とあるが、それは誤りで、上述のとおり「Children's Health Fund」が正しい。

前半に登場したDion(1939- )は、ニューヨークのブロンクス出身で、The Belmontsというボーカルグループを結成して、1950〜1960年代にヒット曲を出した人で、現在も元気に音楽活動を続けている。ここでは「The Wanderer」、「Runaround Sue」、「Teenager In Love」といった代表曲を歌っているが、そのうち1.「Teenager In Love」(1959年 全米5位)では、JT、ポール・サイモン、ルウ・リード、ビリー・ジョエル、ルーベン・ブレイズ(パナマ出身で、サルサ、ラテンジャズで活躍、2000年代は政治家として活動している人)、そしてブルース・スプリングティーンが登場して、ドゥワップ・コーラスを担当、オーディエンスは大喝采で応えている。

JTは後半に登場、2.「Looking For Love On Boradway」は、1977年のアルバム「JT」からの曲で、ニューヨークを歌ったものとして取り上げたのだろう。バックバンドについては、資料がないが、おそらく本コンサート全般で伴奏を担当したポール・シェイファーがリーダーの「The World's Most Dangerous Band」だろう。コーラスは当時のJTバンドのメンバーだったアーノルドとローズマリーの二人だ。3.「Carolina In My Mind」では、伴奏のピアノの音選びがいつもと違う感じがする(それがポール・シェイファーが弾いているのではという推論の根拠だ)。4.「That Lonesome Road」は、JTとコーラス隊によるアカペラ。

コンサートのフィナーレは、全員がステージに上がり、チャック・ベリーの5. 「Rock And Roll Music」を歌う。まずブルース・スプリンスティーンがリードを取り、セカンド・ヴァースはブルースとポール・サイモンの二人で歌う。サックスソロの後のサード・ヴァースをJTが歌うが、サックスソロの終わりと息が合わず、出だしを間違えるが、仕切りなおして歌い出す。しかしマイクのボリュームが低いため大人数の演奏の音にかき消されて、よく聞こえないのは残念。アーノルドとローズマリーのバックコーラスははっきり聞き取れる。

ポールによるChildren's Health Fundのためのチャリティー・コンサートは、その後も続き、1993年のサイモン・アンド・ガーファンクルのリユニオン、およびニール・ヤングとの共演や、2012年の25周年コンサートでは、スティーヴィー・ワンダー、ヴィンス・ギル等とともにJTが出演している(「その他断片(音源・映像)2010年代の部」参照)。

上記の曲のうち、1.および5.については、プロショットによる映像も出回っている。


 
 Never Die Young Promo 1988   映像
 
James Taylor : Guitar, Vocal
Bob Mann : E. Guitar
Dan Dugmore : E. Guitar 
Leland Sklar : Bass 
Don Grolnick : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Vocal, Back Vocal

1. Never Die Young

 

1988年1月に発売されたアルバム「Never Die Young」 A13、および4月に発売された同曲のシングル盤(全米80位)のプロモーションのために製作されたミュージック・ビデオ。イントロの部分で、アルバム・ジャケットで使用されたジム・ブランデンブルグ氏による狼の写真が数枚表示された後に、スタジオにおけるバンドの演奏風景となる。夕方・夜の荒野を連想させる背景が綺麗であるが、JTのボーカルおよびバンドは口パクで、流れる音楽はレコードと同じものだ。

JTの風貌は頭が薄くなったとはいえ、まだ若々しく、曲調を意識したシリアスで精悍な表情が印象的。髪の毛が長めのボブ・マン、体を揺らしながら歌うアーノルド・マックラー、ローズマリー・バトラーが特に印象的。JTはヤマハのギターを弾いている。


Saturday Night Live 1988  映像 
 
James Taylor : Guitar, Vocal
Bob Mann : E. Guitar
Dan Dugmore : E. Guitar 
Leland Sklar : Bass 
Don Grolnick : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Vocal, Back Vocal

1. Sweet Potato Pie
2. That Lonesome Road

収録: 1988年1月23日、New York


アルバム「Never Die Young」発売直後のプロモーションのため、サタデイ・ナイト・ライブに出演。当時のホストはコメディアンのロビン・ウィリアムスだった。ニューヨークの古いアパートのルーフトップをイメージしたセットでの演奏。1.「Sweet Potato Pie」は、最初JTとコーラス隊がステージの段差に腰掛け、途中から立ち上がって、3人並んで歌う。セカンド・ヴァースではアーノルド・マッカラーがリードをとり、JTと掛け合いで歌う。それにしても若いね〜!間奏では、ボブ・マンの切れ味鋭いギターソロがゴキゲン。2.「That Lonesome Road」は、アカペラによる歌唱。ローズマリー、アーノルド、JTの3人が交代で主旋律を歌い、他の二人がハーモニーを付ける。曲が終わると、スタジオに招かれた観客席が映し出される。

資料によると、番組では最初に「Never Die Young」を演奏したとあるが、私は未見だ。



 
The Tonight Show 1988  映像 
 
James Taylor : Guitar, Vocal
Bob Mann : E. Guitar
Dan Dugmore : E. Guitar 
Leland Sklar : Bass 
Don Grolnick : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Vocal, Back Vocal

1. Never Die Young
2. Sweet Potato Pie

収録: 1988年2月2日、New York
 

 
1月23日のサタデイ・ナイト・ライブの1週間ちょっと後の出演なので、演奏内容はほぼ同じ感じ。アルバム録音と同じ鉄壁のバンドをバックに伸び伸びと歌っている。

ホストはジョニー・カーソンで、1.の演奏が終わったJTはノーカットでインタビュースペースに移動し、会話を始める。豚と馬のどちらが頭が良いかの話で、JTは、以前飼っていたが猫イラズを食べて死んでしまったモナ(A12参照)の事を話す。自分の曲はあえて聞かず、ラジオでかかったりするとチャンネルを変えるとか、映画出演(「Two Lane Blacktop」1971のこと)は性に合わなかったと話している。

その後CMを挟んで、2.「Sweet Potato Pie」を演奏する。ボブ・マンのギターソロは最高!

[2017年3月作成]


The Prince's Trust Royal Gala 1988  映像 
  James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore: Electricl Guitar
Larry Klein : Bass 
Don Grolnick : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal


1. Never Die Young

収録: 1988年5月25日、 London Palladium
 


The Prince's Trust は、1976年チャールズ皇太子が若者の失業者支援のために設立した団体で、Royal Galaは資金調達を目的としたチャリティー・コンサートだ。1988年のコンサートはロンドン・パラディアムで行われ、JTの他にアート・ガーファンクル、グロリア・エステファン、フィル・コリンズ、エルトン・ジョン、ベリンダ・カーライル、エイミー・グラント、ロビン・ウィリアムスが出演した。チャールス皇太子と一緒に写るダイアナ妃の姿が懐かしく切ない。

JTは「Carolina In My Mind」と「Never Die Young」の2曲を演奏したそうで、そのうち後者につきテレビ放送されたのが本映像。バックバンドは概ね当時のメンバーであるが、ベース奏者のみいつものリー・スクラーでない人。ほんの僅かしか写らないが、その顔と体つきから、ラリー・クレインと断定できる。ラリー・クレイン(1956- )は、ジョニ・ミッチェルとの作業および彼女との結婚で有名になった人だ。離婚後も彼女の作品への参加は続く一方、ショーン・コルヴィン、ジュリア・フォーダム、トレーシー・チャップマンといった女性シンガー・アンド・ソングライターの作品のプロデュースで手腕を発揮した。ここではジョニ・ミッチェル一連のアルバムでのプレイを彷彿させるベースラインを聴くことができる。ちなみに彼は、2006年にブラジルの歌手、ルチアーノ・ソウザと結婚したが、彼がプロデュースしたルチアーノのアルバム「New Bossa Nova」2007 C85には、彼女とJTのデュエットによる「Never Die Young」のボサノヴァ・アレンジが収められている。

ラリー・クレインがベースを弾いている点で、珍しい映像だ。



Olympia Paris 1988   音源

James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore: Pedal Steel Guitar
Leland Sklar : Bass 
John Guilutin : Keyboards  
Carlos Vega : Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal


1. Joshua Gone To Barbados [Eric Von Schmidt]

収録: 1988年7月3日、 Olympia, Paris


エリック・フォン・シュミット(1931-2007)は、1960年代にボストンで活躍していたフォークシンガーで、画家として大変有名。数多くのレコードのジャケット画を担当し、私が知っている作品としては、ジョン・レンボーンの「Live In America」 1982、「Ship Of Fools」 1988や、ジェフ・アンド・マリア・マルダーの「Sweet Potatos」1972などがある。JTは1998年に映像作品「Live At The Beacon Theatre」 E6で、彼の作品「Wasn't That A Mighty Storm」をカバーしていた。そして1988年7月3日のパリ・オランピア劇場では、彼の最も有名な作品である「Joshua Gone To Barbados」を演奏している。この曲は、カリブ海に小さな島国セントヴィンセント・アンド・グレナディーン諸島で、実際に起きた砂糖キビ畑の労働者ストライキを題材としたバラッドで、本人は1964年に録音、その後はジョニー・キャッシュ、トム・ラッシュ、デイブ・ヴァン・ロンクなどが録音、ボブ・ディランとザ・バンドも1967年で録音、公式発表されていないが、ベースメントテープとして出回っている。

カリブ風のリズムとダン・ダグモアのペダル・スティールをバックにJTは丁寧に歌っている。この曲を聴くことができる音源は、私が知る限りこれだけだ。ジョン・ギルティンは、1986年後半から1988年の間、JTのコンサートツアーに参加したキーボード奏者。


[2022年4月追記]
「Joshua Gone To Barbados」は、「Before This World」 2015 A22のスペシャル・エデションにボーナストラックとして収録された。そこには曲の録音場所・時期についての記載がなかったが、きちっとしたスタジオ録音なので、本トラックと異なるものだ。

[2024年8月追記]
「Special Edition」ではなく、「Lumited Edition Deluxe Box」でした。また「そこには曲の録音場所・時期についての記載がなかった」と書きましたが、バック・ミュージシャンも含めた記載がありました。


City Lights Promo 1988   映像

Livingston Taylor: Vocal, A. Guitar
James Taylor : Vocal

1. City Lights [Pat Alger]


リヴィングストン・テイラーが1988年に発表したソロアルバム「Life Is Good」 C47 からシングルカットされた1.「City Lights」のプロモーション・ビデオ。無地の背景のスタジオで、二人が高椅子に座り歌う(リヴはギターを弾いている)。サウンドから二人が口パクであることは明らか。演奏中にヘリコプターで撮影されたビル群の夜景シーンが挿入される。

大変シンプルな作りのビデオ作品。



At Martha's Vineyard With Liv Taylor 1988   映像

Livingston Taylor: Vocal, A. Guitar
James Taylor : Vocal, A. Guitar

1. Falling In Love Again [Livingston Taylor]
2. City Lights [Pat Alger]

録音: 1988年、Martha's Vineyard にて



1988年にリヴがソロアルバム「Life Is Good」 1988 C47 を発売した前後に収録された映像。地元の小さなライブハウスでの演奏で、リブのギルド、JTのヤマハの2台のギター伴奏によるデュエットだ。リヴのコンサートの途中でゲストとしてJTがステージに上がると、観客は大喜び。リヴの興奮気味のはしゃぎ方が凄く、悪乗りとしか思えないほどのジェスチャーとジョ−クが飛び出す。JTの顔はソロアルバムで言うと、「Never Die Young」 1988 A13の頃だ。二人が始めた曲1.「Falling In Love Again」は、上記アルバムに入っていたリヴの曲だ(レコードではJTは参加していない)。とてもいい曲で、レコードでは耳障りの良いアレンジが売り物だったのが、ここでは二人のギターの伴奏とボーカルで生き生きした曲に生まれ変わっている。こっちのバージョンのほうがずっと出来がいいと思う。まずJTが歌い、ヴァースの後半をリヴが歌う。そしてコーラスは二人の合唱だ。「ニューアルバムでデュエットをしていた曲」と紹介される2.「City Lights」の詳細についてはC47を参照のこと。二人が半分づつ歌い、JTのボーカルにも力がこもっていていい感じだ。コーラスにおける二人のハモリには兄弟の絆が感じられて感動的。


Baby Boom Baby Promo 1988   映像

James Taylor : Vocal, A Guitar

1. Baby Boom Baby



モノクロ画像によるプロモーションビデオ。「Never Die Young」 1988 A13に収められた録音を使用している。ビンテージ・メルセデスに乗ったJTがフェリーボートで海を渡り、その待ち時間に車のシートに腰かけて歌う。その手にあるのは、「Flag」 1979 A10のジャケット写真にあったマークホワイトブックのミニギターだ。その間に若き日々の回想シーンが挿入される。明示されてはいないが、雰囲気からしてケープコッドやマーサ・ヴィンヤード島などのマサチューセッツ州の海浜地帯が舞台のようだ。海辺の街をぶらつく男女の若者達の姿に彼自身の青春が投影されている。昔のガールフレンドへの思いを語る歌詞を聴きながら観ていると、失われた青春の日々を思い、何だか切なくなる。最後にフェリーは目的地に到着。夕暮れの中ヘッドライトを点けたJTの車が走り出しビデオが終わる。さらっとした感触の白黒撮影が曲調にビッタリで、特別な筋書きもないのにドラマを見たかのような感慨が残る。JTのプロモビデオの中でも大変印象的な作品で、ピカイチの出来だと思う。


Night Music  1988  TV映像

James Taylor : Vocal (1,2) , Harmony Vocal (3), A. Guitar (1)
Milton Nascimento : Vocal (3), Back Vocal (1), A. Guitar (3)
Dennis Collins : Back Vocal (1,2)
Lani Groves : Back Vocal (1,2)
David Sanborn : Alto Sax (2,3)
Hiram Bullock : E. Guitar
Marcus Miller : Bass (1,2), Wood Bass (3)
Omar Hakim : Drums (1,2), Percussion (3)
Nana Vasconcelos : Percussion (1,3)
Don Grolnick : Keyboards
Philippe Saisse : Keyboard (2)


1. Only A Dream In Rio
2. Road Runner [Lamont Dozier, Eddie Holland]
3. O Vendedor de Sonhos [Fernando Brant, Milton Nascimento]


「ナイト・ミュージック」 は、サックス奏者のデビッドサンボーン(彼についてはC36を参照してください)が自ら構想を練りプロデュースし、1988〜1990年に放映された音楽バラエティー番組だった。有名・無名を問わず、幅広い音楽ジャンルからゲストを招き、意外な顔合わせでヒット曲の宣伝ではない好きな曲を演奏するセッションが売り物だった。当時彼はソロアーティストとして成功を収めた頃であったが、50年代のジャズのセッション番組が好きで、その自由な雰囲気を再現しようとしたそうだ。私は1990年代WowWowで5日間にわたって放送されたダイジェスト版で観ることができたが、そこにはセッションマン時代に培った人脈をフルに生かし、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ソニック・ユーズ、デボラ・ハリー、マリアンヌ・フェイスフル、デビッド・リンドレー、ボズ・スキャッグス、トッド・ラングレン、ワズ(ノット・ワズ)、レナード・コーエン、スティング、パット・メセニー、アール・クルー、ソニー・ロリンズ、フィル・ウッズ、サン・ラといった強者が名を連ねている。そこにデビッドサンボーンが司会とサックスで加わるわけだ。畑違いのミュージシャンがジャムセッションの乗りで共演するのが面白く、スティーブ・レイボーンがヴァン・ダイク・パークスと一緒に演奏するなんて、ここでしか見れないのだ。そして特に凄いのがこの番組のハウスバンドで、ベースがマルチ楽器奏者で、マイルス・デイビスからチャカ・カーン、ビリー・アイドル、そしてステファン・グロスマンまでという、あらゆる音楽をこなすマーカス・ミラー、ギターがこれまた多くのセッションに参加し、ハードロックからR&B、ジャズまでなんでも弾けるハイラム・ブロック(大阪生まれだそうだ)、ドラムスがウェザー・リポートに在籍し、ジャズ以外にスティング、マドンナ、マライア・キャリーなどの録音にも連なり、エレクトリック・パーカッションの権威でもあるオマー・ハキムという達人が勢揃いしている。彼等をバックに歌うゲスト・ミュージシャンの気持ち良さそうな表情が印象的。

デビッド・サンボーンが 1.「Only A Dream In Rio」を紹介した際のコメント。「JTは1985年にリオで演奏したことがあります。ブラジルが本当に久しぶりに自由選挙を行い、政治的な理由で国外にいた音楽家達が戻ってきた時です。そこで刺激を受けて書いた曲です。」 ハイラム・ブロックがJTに向き合って彼の反応を見ながら何時になく繊細な音を入れてゆく。キーボードがいつもと同じドン・グロルニックなので、基本的なサウンドは変わらないが、リズムセクションがJTのバックバンドとは異なるグルーブを生み出しているのが興味深い。特にエズベルト・ジスモンティ、ドン・チェリー、パット・メセニーのバックで有名な人で、ブラジル屈指のパーカッション奏者であるナナ・バスコンセロスが加わっているのがミソ。彼のリズムは本当に生き生きとしていて、ブラジルの広大な大地の匂いがする。バックボーカルにはブラジル音楽の巨人ミルトン・ナシメントの顔が見える。後の1994年に彼はソロアルバム「Angelus」 C59でこの曲をカバーし、JTと一緒に歌うことになる。この曲のライブ・バージョンのなかではピカイチの出来だと思う。2. 「Road Runner」はジュニア・ウォーカー・アンド・ザ・オールスターズ1966年のヒット曲(全米20位)のR&Bカバーだ。この手の音楽が大好きなバックバンドは乗り乗りで、間奏のサンボーンのソロも含め、凄まじいドライブ感だ。この曲ではドン・グロルニックに加えて、フランス人でアメリカのジャズ、ポップシーンで活躍し、日本人アーティストとの共演も多いフィリップ・セスがエレキピアノを弾いている。1.2.のバックボーカルの女性は、デビッド・サンボーンの他に、スティーヴィーワンダー、ビリー・ジョエル、スティーリー・ダン、ポール・サイモン、カーリー・サイモン、スパイロ・ジャイラなど多くのレコーディングに参加、JTのアルバムでは「Never Die Young」 1988 A13 に参加しているバックアップ・ボーカリスト、ラニ・グローブス、男性は、ロバータ・フラックに見込まれてコンサートツアーに同行した他、スティング、ダイアナ・ロス、ベット・ミドラー等、数多くのレコーディング・セッションに参加したデニス・コリンズだ。

3.「O Vendedor de Sonhos」は、1987年CBSから発売されたソロアルバム「Yauarete」に収録されていた曲(そこではポール・サイモンがコーラスで参加しているそうだ)。タイトルを翻訳すると「Dream Merchant = 夢商人」となる。滔々とした川の流れのような素晴らしい演奏で、彼の声の深さ、スケールの大きさに圧倒される。JTはミルトンの後ろに立ち、寄り添うようにハーモニー・ボーカルを付ける。エンディングではJTが一人で歌う部分もあり、聴き応え十分だ。ポルトガル語の歌詞の意味は全くわからないが、声と演奏だけで十分感動できる逸品。

[2008年8月24日追記] ギタリストのハイラム・ブロック氏は2008年7月25日、病気のため亡くなりました。謹んで同氏のご冥福をお祈りいたします。

[2014年1月追記]
本番組の製作年、男性バックシンガー、キーボード奏者(当初「名前不明の女性奏者」と書いてしいましたが、男性でした!)が判明しましたので、訂正しました。


The Ghost Of Faffner Hall  1989  TV映像

James Taylor : Vocal, A. Guitar

1. You Can Close Your Eyes

放送 : 1989年11月6日 HBO


アメリカの有料ケーブルテレビ、HBOで放送されたマペットの番組「The Ghost Of Faffner Hall」にゲスト出演したもの。この番組は音楽教育をテーマにしたもので、JTの相手役はThe Wild Impresarioという名前で、リチャード・ハント(Rochard Hunt 1951-1992)が人形操作と声を担当している。ここではマーク・ホワイトブックを持ったJTが、コードなどの記譜を説明し、「You Can Close Your Eyes」を歌う。当時の子供向け教育番組の芳醇さがわかる映像だ。