その他断片 (1970年代)

様々な音源、映像などをここで紹介します。なおここで述べられている情報の一部につきましては、間接的なものであり、その真正性につき完全な裏付けはとれていないので、ご注意ください。


Something In The Way She Moves Demo 1968   映像

James Taylor : Guitar, Vocal

1. Something In The Way She Moves

収録: June 1968, Trident Studio, London


私が知る限り、最も古いJTの演奏映像。 2007年初めにBBCテレビで放送されたウェストコースト・ロックのドキュメンタリー「Hotel California」(Barney Hoskynsという人が書いた本をもとに作られたもの)でのJTのエピソードで、ほんの一部分だけこの映像が流されたが、2010年にアップルがJTのデビューアルバムのリマスター盤(未発表デモ付き)を発売した時のプロモーションのために発表された映像で、初めて全編を観ることができた。

アップルでのデビュー作品製作当時に撮影されたものと思われ、髭を生やす前の神経質そうな表情には幼さが残り、小さな部屋の中で彼が演奏し歌う姿がアップでとらえられている。サンバーストのアコースティックギターは、ピックアップが装着されたギブソンのJ-160Eで、ビートルズが愛用した楽器として有名であるが、生で弾くには「鳴らないギター」として有名。JTのようなフィンガーピッキングによる弾き語りとして使用するには、明らかに不適なギターであるため、彼は撮影にあたり、その場にあったギターを借用したものと思われる。

JTの歌いまわしは、その後の同曲のものとかなり異なり、少し気負ったエモーショナルな感じ。デビュー当初から老成した印象だった彼が、その前に持っていた若さ・幼さをはっきり見せた珍しい映像だ。

[2023年8月追記] 

本映像については、後の調査により、1968年6月ロンドンのトライデント・スタジオで撮影されたものと判明したので、書き直しました。インターネットでの情報なので、証拠などの裏付けはないが、同スタジオは同時期にビートルズが「ホワイト・アルバム」を録音した場所であり、JTの「スタジオで(同アルバムの)録音風景をみた」という証言と符号するため、信憑性が高いものと思われる。なお使用ギターのギブソンJ-160Eについては、ジョン・レノン、ジョージ・ハリソン、ピーター・アッシャーと持ち主につき諸説あるが、真相は不明。

これにより本映像は、私が知る限り、最も初期のものであることが確認された。


  
BBC My Kind Of Folk 1969   音源 
 
James Taylor : Acoustic Guitar, Vocal
Gordon Giltrap: Acoustic Guitar (4,5)
David Moses: Bass (4,5)

1. Oh Susanna [Stephen Foster]
2. Country Road
3. Fire And Rain
4. Steamroller Blues
5. Carolina In My Mind

収録: 1969年3月9日 BBC Studio, London

 

「My Kind Of Folk」は、1960年代にBBCが放送したラジオ番組で、イギリス、アメリカから多くのアーティストが出演した。それらのマスターテープは、当時の放送局に保管するポリシーがなかったため、失われてしまったが、一部の音源についてリスナーのエアーチェックによるテープが残り、後年それらの存在が明らかになって、内容調査とテープ修復作業を経てファンの耳に届くことになった。サンディー・デニー、ジャクソン C. フランク (これが唯一のライブ音源と言われている)、キング・クリムゾンのメンバーとなるジャイルス・ジャイルス・アンド・フィリップがバックを務めたアル・ステュワート、アレックス・キャンベル等のなかに混じって、JTの音源も発掘された。

収録日の3月9日は、彼のデビューアルバム「James Taylor」 1968 A1のイギリス発売後3ヵ月で、シングル「Carolina In My Mind」発売直後という。ブレイクとなる次作品「Sweet Baby James」1970 A2の録音前であるが、ここでの演奏はセカンドアルバムの世界であり、この時点で彼の音楽が着実に進歩していたことを示している。1.「Oh Susanna」のイントロでは、アナウンサーによる番組紹介が入り、曲が終わった後に「母の姪から習ったステファン・フォスター作の古い歌です」という彼自身のコメントが入る。2.「Country Road」は心なしかテンポが遅めで、歌い回しや伴奏ギターのピッキングもわずかに異なっている。またファースト・ヴァースの「Got to be one and the same」(レコードでは「They Seem to be ....」)、セカンド・ヴァース「Sail away to Jesus」(レコードでは「Sail on home to ...」)という歌詞の相違が散見される。最も異なるのはエンディングで、「ララララ〜」という部分がなくさらっと終わる点。2.の曲名を告げ、「最近書いた曲です」と紹介して始める 3.「Fire And Rain」は、逆にテンポは早め。「Won't you look down upon me, Jesus」で始めるセカンド・ヴァースがないのは、この時点で出来上がっていなかったか、放送時間の関係でカットしたかのどちらかな?他の相違点としては、サード・ヴァースの出だしが 「Taking my mind」となっていて、公式発表の「Been walking my mind」と異なること、「ララララ〜」のエンディングがないないことがあげられる。

4.「Steamroller Blues」で、JTは曲名を「I'm a steamroller, baby」と紹介している。ここでリードギターを担当しているのは、イギリスのギタリスト、シンガーのゴードン・ギルトラップ (1948- ) で、バート・ヤンシュやジョン・レンボーンとも親交があった人だ。ベースのデビッド・モーゼスは、ジャズの他にサンディ・デニーやアレックス・キャンベル等のフォークでベースを弾いていた人。ギンギンのブルースを期待していたが、二人の演奏は控え目。足で床を踏み鳴らしてリズムをとる音も入っている。 「シングルで発売された」と紹介される 5.「Carolina In My Mind」のみ既発のファースト・アルバムから。これも3人による演奏。なお最後のアナウンサーのコメントにより、当日の出演者は、JT、ゴードン・ギルトラップ、ジョンストンズだったことがわかる。

彼のライブ音源として、私が知る限り最も初期のものであり、とても貴重なものだ。

[2023年8月作成]


Newport Folk Festival 1969   映像
 
James Taylor : Guitar, Vocal
Unknown : Wood Bass (1)

1. With A Little Help From My Friends [Lennon, McCartney]
2. Fire And Rain
3. Coca Cola Commercial [Unknown]

1969年7月20日 Newport, Rhodes Island


 
ニューポート・フォーク・フェスティバルは、1959年から1969年まで、ロードアイランド州ニューポートで開催され、その後1985年に復活した音楽イベント。1969年 7月16日(水)〜7月20日(日)の5日間で、マディー・ウォーターズ、サン・ハウス、スリーピー・ジョン・エスティス、ブラウニー・マッギー等のブルース、ビル・モンロー等のブルーグラス、ピート・シーガー、ランブリン・ジャック・エリオット等のフォークに加えて、ヴァン・モリソン、アーロ・ガスリー、ジョニ・ミッチェル(2015年にCD化された)、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、ペンタングル等、70年代に活躍する新しいミュージシャンが出演するという、当時の音楽の世代交代を感じさせる内容だった。JTは7月20日に出演したが、当時の彼は、アップルから最初のアルバム A1を発表してから間もない頃で、まだ無名の存在だった。そのためか、彼のステージは僅か15分でカットされてしまったという。その理由は、二人の宇宙飛行士(ニール・アームストロングとバズ・オルドリン)が月に降り立ったことを発表するためという、当時を象徴する出来事だった。

2011年に発表されたドキュメンタリー・フィルム「Troubadours」E23に、ここで彼が演奏する「Fire And Rain」の映像の断片が収録され、当時それを観た私は感激したものだったが、2018年ニューヨークにある歴史的映像を保管し希望者に閲覧する「Historic Films Archive」が、Youtubeに本映像のノーカット版を公開した。「Troubadours」に収められた映像は、正面、横からの2通りのショットから編集されていたが、本映像は後者のもの。神経質そうな彼の風貌と歌声・ギター演奏がしっかり捉えられているが、撮影者は彼の姿を真剣に残そうとした意図はなかったらしく、曲の途中でカメラを大きく動かし、激しくブレた後にオーディエンスの模様が映り、またブレて彼の演奏に戻るという構成になっている。それでも曲の演奏は最初から最後まで切れ目なく続くので、音楽鑑賞としては問題なく楽しめる。「Troubadours」で、貴重な映像なのに、途中でベトナム戦争や反戦活動のシーンを挿入した理由が謎であったが、本映像を観て、途中でカメラが大きくブレる箇所があるためであったことが分かった。曲が終わった後の聴衆の拍手・歓声は、無名の歌手としては大きいように思われ、その後の彼の成功を予言しているものだ。ちなみにJTは45年後の 2015年7月25日、ニューポートのステージに登場している。

2枚目のアルバム「Sweet Baby James」が出るまでの初期の「Fire And Rain」が楽しめる貴重な映像。

[2018年12月作成]

[2022年10月追記]
その後、「Fire And Rain」と他の曲を含む約7分間の映像を観ることができた。当初観た上記と同じ撮影であるが、画面中央には資料番号、下部にはタイム・カウンターの表示が付いているものだった。JTは「始めにレノン・マッカトニー作、ビートルズの曲を演ります」とアナウンスして、1. 「With A Little Help From My Friends」を歌う。「Fire And Rain」と同じく、演奏中であるにもお構いなく、画面はカメラの手振れを伴って、ステージ、空、観客席を自由勝手に動き回る。そしてこの曲のみ、ウッドベース奏者が加わっていることが見える。2.「Fire And Rain」を始める前に、JTは「ギターの音を大きくして」と注文を付け、「少し前に書いた曲です」と紹介している。3.「Coca Cola Commercial」では、「レイ・チャールズが演ったコカコーラの宣伝です」と紹介している(この曲の詳細については、「その他音源」の「Jabberwocky Club, Syracuse, NY」を参照ください)。


Chapel Hill's Jubilee Music Festival 1970   音源
 
James Taylor : Guitar, Vocal

1. Carolina In My Mind

1970年4月 Kenan Stadium, Chapel Hill, North Carolina

 

ジュビリー・フェスティバルは、UNC (University Of North Carolina)が主催する野外音楽フェスティバルで、1963年から1971年まで毎年春に開催された。そこで演奏される音楽は、時が経つにつれてフォークからロックに変わり、1970年はチャペルヒルにある収容人数の大きなフットボール競技場で行われるロック・フェスティバルに変貌した。この年は、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ、グランド・ファンク・レイルロード、ジョーコッカー・アンド・マッドドッグス・イングリッシュメン等のビッグネームが出演したが、その中に2月にアルバム「Sweet Baby James」を出した直後のJTが含まれており、彼のステージから「Carolina In My Mind」を聴くことができた。JTはボストンで生まれたが、UNCの医学校長をしていた父親の仕事のために、小学校から中学校までの間チャペルヒルに住んでいた彼にとって、ここは故郷のようものだった。それで彼がロンドンに滞在していた頃、スペインの小島に旅行した時にホームシックになって書いたという「Carolina In My Mind」が生まれたのだ。この曲を人気が爆発するまでのこの時期に、この場所で演奏したということは彼にとって格別の思いがあったのではないかと思う。初期の若々しい演奏から、彼のそんな思いが読み取れるような気がする。

いつか将来、このコンサートでの演奏された他の曲も聴ければいいな〜


Two Lane Blacktop  1970   映像

James Taylor : Guitar, Vocal

1. Riding On The Railroad


「Two Lane Blacktop」 1971 はJTが主演した唯一の映画で、彼は一般道で私的なレースを行うドライバーの役。他にビーチボーイズのデニス・ウィルソンや俳優のウォーレン・オーツが出演した。個性的な内容のため公開当時の興行収入は低調で失敗作と見なされたが、その後時代が経つにつれてカルト作品としての地位を確立、コピーライトの問題も解決して 1999年にDVD化された。JTは映画撮影の経験はあまり心地良くなかったようで、自分が主導権を取れず、万事言われたとおりにしなければならない事にフラストレーションを感じたという。その思いを込めて「Riding On The Railroad」を作曲したと、1972年オークランドでのコンサートで、この曲を紹介する際に語っている(B8参照)。

まずスクリーン・テストの映像から。この映像の冒頭にカチンコ(映画のカットをする機材)が写り、その板の表示は「Taylor Test」、「Hellman」と読める。後者はこの映画の監督Monte Hellman と思われ、そのことから本映像はこの映画のためのテストであることが分かる。林をバックに、いつものギブソンを持ったJTが歩きながら歌う。その間に横向き、後ろ向き、遠ざかったり、近づいたり、様々なアングルで写っている。テストということで、JTは何時になくナーバスな感じで、演奏も少しトゲトゲしい感じがする。とはいえ、貴重な映像であることには変わりはない。

このテストは、いくつかのショットで撮影されたようで、白い服を着た上記の歌うシーン以外に、グレイのシャツを着たテイクもある。そこではJTはアルバム「Sweet Baby James」などに関するスタッフの質問に答えているが、カメラの前で居心地が悪そうにしており、シャイで繊細なパーソナリティーが良く出ている。

[2012年1月]
インタビュー・シーンが観れたので、一部追記しました。

[2024年1月]
私はJTに関しては基本的に音楽オンリーなのですが、正確かつ詳細なスクリプトが見つかったので「Two Lane Blacktop (邦題:断絶)」1971を観ました。

ストーリーの起伏がないロードムービーで、現在のアメリカでは廃れてしまったRoute66に代表される国道の景色(ガソリン・スタンド、モーテル、ドライブイン)から、JTが主題曲を歌った映画「Cars」2006 B45を思い出した。田舎で開催される公式・非公式(違法)のロードレース、車に群がる人々のシーンを見ると、この映画の主役は車とそれを取り巻く風景であることがわかる。

登場人物は、@ドライバー(JT)とメカニック(ビーチボーイズのデニス・ウィルソン 1944-1983) は、1955年製シボレーの改造車に乗って各地を放浪し、ロードレースの賞金で生きている。彼らは無表情で、車に係る事以外の会話はほとんどなく、生い立ちや背景も明かされない。A同乗の少女 (ロウリー・バード 1953-1979 女優・写真家、後にアート・ガーファンクルの恋人になるが自殺)は、車から車に移る生活で、最後に彼らと別れてオートバイ乗りと去ってゆく。B1970年製ポンティアックに乗って、あてもなく彷徨う中年男(ウォーレン・オーツ 1928-1982 本作で唯一本職の俳優で、サム・ペキンパー監督作品で有名な人)は、ヒッチハイカーを乗せることが生きがい。ただし彼らに語る事はすべて虚言で、本性は不明。当時のアメリカの田舎の風景と、定住型で車も持っていない今の私の生活とは対極にある人々の有様を観て、何とも言えない気持ちになった。

監督は、出演者に作為ある演技をさせないため、直前まで脚本を見せなかったそうで、JTが映画出演で主導権をとれずに不安感を抱いた背景となっている。話す内容が全て嘘ながらも饒舌なウォーレン・オーツを除き、この映画には演技は不要だったということだ。結果として、当時のJTの神経質でダークなパーソナリティーが見事に生かされることになった。車に関するマニアックなせりふの洪水でわかりにくい内容も多いが、雰囲気で観る映画だと思う。それにしてもウォーレン・オーツの嘘笑いをのぞき、登場人物が笑う・微笑むシーンはなく、重々しい感じの作品だね。登場人物の音楽を挿入することで、映画のなかで音楽が独り歩きすることを嫌い、監督はJTやデニス・ウィルソンの音楽を使わなかった。そのかわりにジェリー・リー・ルイスの「Hit The Road Jack」(レイ・チャールズの曲)、ジョン・ハモンドの「Maybellene」(チャック・ベリーの曲)、アーロ・ガスリーの「Stealin'」(メンフィス・ジャグ・バンドの古い曲)、クリス・クリストファーソンの「Me And Bobby McGee」など、当時の舞台となった地で流れていたであろう曲を使っている。

商業的に受けなかったが、年を経るごとに評価は高まり、カルト・クラシックとしての地位を獲得した作品。


 
The Show  1969 or 1970   TV映像 
 
James Taylor : Guitar, Vocal

1. Country Road
2. Anywhere Like Heaven
3. Fire And Rain

Recorded at Hershey Theater, Hershey, PA
Probably fall of 1969 or Spring of 1970


 

2022年に、初期の映像を観ることができた。YouTubeには、当初「Live TV 1968」というタイトルで投稿され、その後指摘により「Live TV 1969」に改められたが、以下の点を考慮して「Late Spring of 1970」と推定した。その後のYouTube投稿により、本映像はペンシルヴァニア州ハーシーにあった WITF-TVという小さなテレビ局が製作し、PBS (Public Broadcasting Sytem 政府出資による非営利の公共放送ネットワークで、全米各地のテレビ局に番組を供給)により 1970年に全国放送された「The Show」という番組のものであることがわかった。

「The Show」は、高校生による時事討論とゲストによる音楽演奏の番組で、「Don Kirshner's Rock Concert」よりも1年早い、アメリカにおけるこの手の音楽番組の草分け的存在とのこと。今回のYouTubeは、番組の制作者であるClark Santee氏の投稿によるもので、1970年に放送された番組から音楽演奏のみを抜き出して編集したもので、トム・パクストン、フィル・オックス、ジョン・メイオール等のベテラン・フォーク、ブルースシンガーやテッド・ニュージェント、グランド・ファンク・レイルロードなどの当時売り出し中のロックバンド、今となっては完全に忘れ去られた人達のレアな映像を観ることができる。

淡々とした演奏で、若者に囲まれて演奏するJTは少しナーバスになっているようだ。内容としては、初期の演奏といった感じで、2.「Anywhere Like Heaven」では、アルバム「Sweet Baby James」 1970 A2の正式録音にないサード・ヴァースの歌詞を歌っているのが貴重。また3.「Fire And Rain」のエンディングは、いつもの「ラララ〜」という部分がなく、さらっと終わっていて面白い。

映像の最後のクレジットで、番組は1969年秋にペンシルヴァニア州ハーシーにあるハーシー・シアターで撮影されたと表示されているが、番組自体は1970年の年間を通して放送されたものなので、JTの出演時期については、以下の根拠により 「おそらく1969年秋か1970年春」とした。

[1970年説の根拠]
@ JTは同年6月11日放送の「Mike Douglas Show」と同じ緑色のシャツを着ている。
A JTの髪が「Mike Douglas Show」の時よりも明らかに短い。
B それ以降に撮影された1970年の動画、写真を観ると、JTの髪はどんどん長くなっているので、「Mike Douglas Show」以降に散髪をした形跡がない。
C スタジオにオーディエンスを入れたライブで、本人およびオーディエンスが春の服装であること。

[1969年説の根拠]
D 以下に述べる 2.「Anywhere Like Heaven」の歌詞、3.「Fire And Rain」のエンディングから1970年2月に発売されたアルバム「Sweet Baby James」の録音よりも以前の演奏に思われること。
E 本人およびオーディエンスの服装から冬の収録には見えないこと、すなわち秋か春のいずれか。
F オーディエンスがJTに対し興味を示している様子がないこと。つまりJTのアルバムはアップルからの「James Taylor」1968 A1のみで、無名だったことになる。

初期の貴重な映像。

[2022年11月作成]

[2022年11月追記]
3.「Fire And Rain」観ることができたので追記しました。

[2023年5月追記]
1.「Country Road」観ることができました。また映像の出典についての情報が入手できましたので、タイトルを変更し、内容も書き直しました。当初「Anywhere Like Heaven」、「Fire And Rain」につき、当初は各個別の映像として観ましたが、その後 「Music from The Show」、「Music from The Show II」 という複数アーティストによる各1時間ちょっとの映像を観ることができ、前者には3.「Fire And Rain」、 2.「Anywhere Like Heaven」、後者には 1.「Country Road」、 2.「Anywhere Like Heaven」が収められています。

[2023年5月追記]
2.「Anywhere Like Heaven」の歌詞について、および収録時期の推測について書き直しました。


Mike Douglas Show 1970   TV映像

James Taylor : Guitar, Vocal

1. Blossom
2. Sweet Baby James

1970年6月11日放送


マイク・ダグラス・ショーは、1961年から1982年まで続いた音楽を中心としたバラエティー番組で、元ビッグバンド歌手だったという司会者マイク・ダグラスのパーソナリティーは、その後、ジェイ・レノ、デビッド・レターメンのスタイルに大きな影響を与えたという。

本番組放送時は、アルバム「Sweet Baby James」が同年3月に、シングル「Sweet Baby James」が4月に発売された頃。大ヒットとなった「Fire And Rain」(8月発売)の前で、人気が沸騰する直前の映像。緑のTシャツを着て椅子にすわり、いつものギブソンJ-50による弾き語り。薄っすらと髭を生やして老けて見える。 1.「Blossom」、2.「Sweet Baby James」と背景のセットが若干異なるが、服装が同じなので同じセッションでの撮影だろう。

JT初期の映像が楽しめる。



BBC Disco2 1970   TV映像

James Taylor : Guitar, Vocal

1. Something In The Way She Moves
2. Riding On A Railroad
3. Country Road

1970年12月5日放送


「Disco2」は、1970年1月から1971年7月まで放送されたBBCのテレビ音楽番組。2021年に修復された映像が、JTのYouTube、ツィッターから公開された。映像の資料では、放送日が 1971年12月5日とあり、ウィキペディアの資料における出演者リストの同じ日には、イギリスのロックグループ、ウィッシュボン・アッシュが載っていた。1年半の間に数多くのアーティストが出演したが、当時はマスターテープを保存するという考えがなかったため、現存している画像は僅かとのこと。JTが残っていて、本当に良かった!

JTはニットのベストを来ているが、同年撮影された「BBC TV Session」の時とは異なる模様だ。これも当時恋人だったジョニ・ミッチェルが作ったものなのかな?修復されたためか、画質・音質ともに凄くきれい。無観客のスタジオの中、彼のギターと歌のみで、狭い部屋の中で観聴きしていると、JTが私だけのために弾き語ってくれているような気がして、なんだか崇高な気分になる。淡々とした演奏なんだけど、今はないふさふさとした長髪と、ときおりカメラにむける神経質そうな表情、そして彫りの深い顔の奥底に光る暗い眼差しが、ぞくっとするほど印象的。良質の画像だからこそ伺うことができる稀な瞬間だね。

3曲の映像は個別に発表されたので、演奏・放送ともにどういう順番で放送されたかは不明。とは言え、連続でなく個別に撮影されたものと思われるので、あまり関係ないか.......

貴重な初期の弾き語り映像を堪能できる逸品。

[2022年9月作成]


On Campus 1971 [Johnny Cash]   TV映像 & 音源

James Taylor : Guitar, Vocal
Johnny Cash : Guitar, Vocal (3)

1. Fire And Rain
2. Country Road
3. Oh, Susannah [Stephen Foster]
4. Sweet Baby James

1971年 The Ryman Auditorium, Nashville にて収録
1971年2月17日 ABCテレビで放送


カントリー音楽界の大御所ジョニー・キャッシュ (1932-2003)は、保守的な業界の中でも進歩的な考えを持っていた人のようだ。ABC放送の「Johnny Cash Show」は、1969年から1971年まで続いた人気番組だった。1971年2月17日の放送は「On Campus」と称した特別編で、彼がヴァンダービルド大学に赴き学生と語るシーンと、ナッシュヴィルでのコンサートの模様が放送された。ジョニー自身の歌の他に、当時人気台頭中のニール・ヤング、リンダ・ロンシュタット、スペシャル・ゲストとして当時人気絶頂のJTを紹介し、最後は奥さんのジューン・カーターとカーター・ファミリー、カール・パーキンス(ギター)、アール・スクラッグス(バンジョー)の共演で締めくくっている。

まずジョニーが、「大変稀なクオリティーを持った人で、歌詞、メロディー、ハート、フィーリングを融合させて我々に届けてくれる」と、JTを紹介するアナウンスから始まり、弾き語りによる 1.「Fire And Rain」がフェイドインする。この曲と 2.「Country Road」については、2012年初め、30数年ぶりに映像を観ることができた。頭のてっぺんがフサフサのJTの姿を見ると、何だか不思議な感じがして、笑ってしまうんだよな〜。イスに座ってスローなテンポによる弾き語りがとても良い感じだ。3.「Oh, Susannah」は、ジョニーとのデュエットで演奏される。髭をはやしギターを持ったJTは、イエス・キリストのよう。最初のヴァースはJTが一人で歌い、セコンドバースは、黒ずくめのジョニーがギターを爪弾きながら歌う。当時は珍しいマーチンのD-45Sを持ちながら、メロディーを崩して歌う様は貫禄十分だ。最後のコーラスは二人の合唱で、JTはハーモニーを担当する。大きな拍手の後、ジョニーが「現代のカウボーイ・ソング」と紹介し、4.「Sweet Baby James」が歌われる。オーディエンスは立ち上がって大きな拍手と声援で応えており、当時JTの人気がすでに絶頂であったことを物語っている。1970年の「Mike Douglas Show」への出演はあったが、メジャー・ネットワークの人気番組での放送としては。これが初めてだったようだ。

番組最後は、学生との会話シーンでクレジットの字幕が流れるが、背景に聞こえる音楽は、当時JTが弾き語りのレパートリーとしていたステファン・フォスター作の「Dixie」(公式録音なし)の断片だ。

なお、2007年に「The Best Of Jonny Cash TV Show」というオムニバス盤のCD、DVD (B5参照)が発売され、1.「Fire And Rain」はCDに、4.「Sweet Baby James」はDVDに収録された。

[2012年1月]
全曲の映像を観れたので、書き直しました。


One In Ten 1971   TV映像

James Taylor : Guitar, Vocal

1. Sweet Baby James
2. Blossom
3. Sunny Skies
4. Something Wrong

1971年9月8日放送  BBC 「One In Ten」


以下の当初記事にあるとおり、本映像は2010年に1.「Sweet Baby James」を観ることができたが、当時はBBC放送の番組からという情報しかなかった。それから10年以上経ってから、JTのYouTubeチャンネルでリストアされた良質の映像 2.「Blossom」、3.「Sunny Skies」が公開された。また解説により、BBCの番組が「One In Ten」で、1971年9月8日に放送されたことも明らかになった。さらに、ここで彼が来ている青いベストは、2020年12月のインタビュー(YouTube 「Remembering 1970 BBC And Joni's Jag」により、当時恋人だったジョニ・ミッチェルが編んだものであることもわかった。そのため、同じ服を着た1970年のBBCのソロ映像に近いが、背景のセットおよび無観客である点で、多少雰囲気が異なっている。特に演奏中の彼の前で移動するカメラに対し、時々眼をつける様が神経質な感じで、初期の愛用機ギブソンJ-50と合わせて、いかにも初期っぽい姿を楽しむことができる。

[2021年4月追記]
JTのYouTubeチャンネルで本映像が公開されたため、上記の通り書き直しました。以下はそれ以前の記事です。

Sweet Baby James 1971
ファンの間でも知られていなかった映像で、2010年にBBC Fourで放送されたものと思われる。彼が着ているニットのチョッキは、1971年に撮影された「BBC In Concert」(ソロ・バージョン、「その他映像」参照)と同じものであるが、シャツや背景のセットデザインは異なる。従って、そこでの 「Sweet Baby James」とは明らかに異なる場所での撮影と断言でき、ほぼ同時期に撮影したものと推定される。

それ以上の情報はないが、初期のJTの弾き語り映像をもうひとつ観れただけでもうれしいですね。

[2021年7月追記]
JTのYouTubeチャンネルで 1.「Sweet Baby James」の良質な映像が公開された。さらに 7月に同チャンネルで 4. 「Something Wrong」を観ることができた。特に後者の演奏風景は、他にない貴重なものだ。


 
 Saturday Night Live 1976   TV映像
 
James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar (1,3)
Danny Kootch: Electric Guitar (2)
Clarence McDonald: Keyboards (1,2)
Lee Sklar: Bass (1,2)
Russ Kunkel: Drums (2), Percussion (1)
David Sanborn: Sax (2)


1. Shower The People
2. Road Runner [Lamont Dozier, Eddie Holland]
3. Sweet Baby James

Lily Tomlin : Hostess
1976年9月18日放送



NBCテレビが製作したニューヨークを本拠地とするバラエティー・ショー「サタデイ・ナイト・ライブ」は、1975年から放送が始まったが、JTの初出演は1976年9月18日だった。司会者のリリー・トムリンは映画、テレビ、舞台で活躍したコメディ女優で、映画での代表作は、ロバート・アルトマン監督の「Nashville」 1975、ジェーン・フォンダ、ドリー・パートンと共演した「9 To 5」 1981、ベッド・ミドラーとの共演が面白かった「Big Business」 1989などがある。

JTは長髪で髭を生やしており、「In The Pocket」のジャケット写真の感じに近い。1.「Shower The People」はJTの弾き語りから始まり、バックコーラスが録音されたテープレコーダーが映し出され、コーラスのパートでテープが回るシーンが写し出されるのが面白い。JTのアコギ主体の演奏で、バックのパーカッション、エレキピアノ、ベースは、控えめ。2.「Road Runner」はジュニア・ウォーカー・アンド・ザ・オールスターズ1966年のヒット曲(全米20位)のR&Bカバー。当時JTのコンサートツアーにバックおよび前座で参加し、売り出し中だったデビッド・サンボーンが疾走するごとく吹きまくっている。リズムセクションのムチがしなるようなグルーブ感が最高。JTはギターを持たず、間奏部分では楽しそうにタンバリンを叩いている。ほんのちょっとだけだが、キーボードのクラレンス・マクドナルドの姿が映っている。3. 「Sweet Baby James」はJT一人だけになってしんみりと歌う。ギターはサウンドホールをふさいだマーク・ホワイトブックだ。



Dick Cavett Show  1977   TV映像

James Taylor : Guitar, Vocal
Carly Simon : Vocal (2)


1. Secret O' Life
2. Devoted To You [Boudleaux Bryant]


Dick Cavett : Host


ディック・キャベット(1936- )のキャリアは、Tonight Show のライターから始まり、1969年から1996年の間、自分の名前を冠したトークショウで人気を博し、エミー賞を3回受賞している。映画やロックのスターとのインタビューから、政治・社会問題で他のキャスターが触れたがらないようなシリアスなものまで、幅広いテーマをこなした人だった。本作は1977年に制作されたもので、観客のいない小さなスタジオで、約30分にわたるトークが楽しめる。私が知る限り、ジェイムスとカーリーの二人が一緒にテレビ出演して質問に答えた番組はこれだけだ。リラックスした雰囲気のなかで会話が進行する。髭のないJTと、若さ溢れるカーリーが魅力的。特にソファに座りながら堂々と足を組むカーリーの奔放な態度が印象的。

アップル・レコード、ピーター・アッシャーとの出会い。JTの英語の発音が端正で、英語学の大学教授のようだという話。カーリーの舞台恐怖症について、彼女は今回のようなトークショーは緊張しないと言っている。JTによるドラッグは時間の無駄だというコメント。ここでJTは請われて1.「Secret O' Life」を歌う。自分でマイク・スタンドをセットして、マーク・ホワイトブック製のギターによる弾き語りだ。この番組が放送された時点では、本曲が収録されたアルバム「JT」 1977 A9はまだ発売されていないようで、このアルバムについての言及はなく、「最近作った曲」と紹介される。非常にリラックスした感じで、彼がプライベートで演奏しているのを聴いているような雰囲気だ。大変素晴らしい出来で、スタジオ・スタッフから拍手が起こり、カーリーも「とても心が動かされた」とコメントする。カーリーは、子供時代の事を聞かれて、二人の美しい姉への劣等感があったことを話す。彼女がグルーチョ・マルクスと会ったことの話の後に二人がエヴァリー・ブラザースのヒット曲 2.「Devoted To You」を歌う
JTを見つめながら歌うカーリーの表情には情感が溢れており、彼女のエモーションの深さを窺い知るシーンだ。ちなみに二人のデュエットのスタジオ録音版がカーリーのアルバム「Boys In The Tree」C29 に収められるのは翌1978年だった。

2曲しか歌っていないけど、とても貴重なバージョンだ。



James And Carly At Martha's Vineyard Home   1977   映像

James Taylor : Guitar, Vocal
Carly Simon : Vocal (2)

1. Secret O' Life
2. You Can Close Your Eyes


1977年11月収録


アルバム「JT」 1977 A9 のプロモーションのために製作された映像で、当時二人が住んでいたマサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤードの家で撮影された。

まず風にそよぐ樹木が見える大きな窓を背景に、JTがマーク・ホワイトブックを手に1.「Secret O' Life」を弾き語る。彼の顔はアルバム「JT」の表紙写真そのまま。ギターの伴奏が、レコーディングやその後のライブのものと少し異なるのが大変面白いが、セカンドヴァーズで終わってしまうのが残念。次にバルコニーにおけるJTのインタビューのシーンとなり、買った後にいろいろ改築したことを説明して屋内に入る。インタビューアー(いろいろ調べたが彼の名前や番組名は分からなかった)による紹介の後、JTとカーリーがさっきと同じ部屋で話に応じる。そこには3歳の幼いサリーがいて、インタビューの間もママに話しかけたり歩き回っているのが面白い。まずJTが今までのキャリアについて語り、アップルでのオーディションのくだりでは、当時撮影された「Something In The Way She Moves」のプロモ映像(部分)が挿入される。次にカーリーが毎夏両親と当地に避暑に訪れていたこと、お姉さんとデュオで活動している時にJTと出会ったことを話す。語りの最後に、2.「You Can Close Your Eyes」のイントロが始まり、カーリーがハーモニーを付ける。目を閉じながら幸せそうに歌う彼女の表情が印象的で、カーリーの大きなお腹の中にいるのは長男のベン(当初の記事では「サリー」と書きましたが誤りでした)。途中部屋の全景が映るが、音響機材やエレキピアノが置かれている音楽部屋のようだ。

その後彼らは離婚して別々の人生を歩むことになるが、カーリーは、2007年に発売されたカバー曲集「Into White」で、30年ぶりにこの曲を歌っており、その時の隔たりを考えると感慨深いものがある。またこの家は、現在もカーリーが住んでいるという。

[2015年10月 追記]

当初観た映像は、イギリスBBC2テレビで放送された「Old Grey Whistle Test」という音楽番組からのもので、「You Can Close Your Eyes」の演奏シーンのみだった。またJTのヘロイン中毒、カーリーとの結婚と離婚、彼らの子供達がシンガーになった旨の字幕が出るため、収録当時ではなく、ずっと後になって放送されたものだった。今回「Secret O' Life」とインタビュー・シーンを含む、収録当時のものが観れたので、書き直しました。


Carly Simon At Bottom Line  1978   音源

Carly Simon : Vocal
James Tyalor : Vocal, A. Guitar
Billy Mernit : Keyboards
Joe Caro : Guitar
Tony Levin : Bass
Steve Gadd : Drums
Mike Mainieri : Vibraphone, Keyboards
David Sanbourn : Alto Sax

1. Anticipation
2. We Have No Secrets
3. You Belong To Me
4. De Bat (Flying In The Face)
5. Nobody Does It Better
6. One Thing I Forgot To Tell You (Billy Mernit)
7. Up On The Roof (James Taylor) [Carole King, Gerry Goffin]
8. One Man Woman
9. Haunting
10. You're So Vain
11. It Keeps You Running
12. Devoted To You (With James Taylor) [Boudleaux Bryant]
13. Mocking Bird (With James Taylor) [Inez & Charlie Foxx, Addtional Lyrics: James Taylor]
14. Goodnight Irene


収録: 1978年5月4日 Bottom Line, New York


1978年5月4日、ニューヨークのライブハウス、ボトムラインで行われたカーリー・サイモンのコンサートにJTがゲスト出演したもの。グリニッジヴィレッジのワシントン・スクウェアー近くにあるボトムラインは1974年にオープンした収容人員400人のライブハウスで、若き日のブルース・スプリングスティーンなどが出演、音楽のメッカとして栄えたが、経営不振のため2004年に閉鎖となっている。1978年は全盛期で、多くの有名アーティストが出演、なかでもカーリー・サイモンはビッグネームで、4日のコンサートには、ビリー・ジョエル、ウォーレン・ビューティー、ダイアン・キートン、アート・ガーファンクル、ルーシーとジョアンナ・サイモン(カーリーの姉妹)達が観客に連ね、それは豪華なものだったという。

上記のうち7. 12. 13.でJTの声を聴くことができる。その他の曲にも、バックボーカルまたはアコギで参加しているかもしれないが、正確な事はわからない。14の演奏中、カーリーが歌いながら「Good night ○○○!」とメンバーを紹介してゆく。ファースト・ネームと演奏スタイル、そして当時録音等で彼女と交友があったミュージシャンをたよりに、上記のとおりとした(ほぼ間違いないと思われますが、100%確かではないのでご了承ください)。キーボード奏者のビリー・マーニットは、作曲家として初期のカーリーと共作、あるいは作品を提供(「Carly Simon」1971 の「Reunion」、「No Secrets」1972 の「When You Close Your Eyes」、「Playing Possum」1975の「Sons Of Summer」)、または録音に参加(「Spy」 1979、「Come Upstairs」 1980など)していた人。ギターのジョー・カロは、ガトー・バルビエリ、マイケル・フランクス、ランディー・ブレッカー、ベッド・ミドラーの作品に参加、カーリーの作品では1979年の「Spy」に名前を見つけることができる。あとの人たちは説明不要の超一流ミュージシャンで、小さな会場でのコンサートとしては大変豪華だ。

7.「Up On The Roof」では、いつもとバックバンドが異なり、後半部分はリズム隊による細かなカッティングで、ファンキーなサウンドになるのが面白い。特にこのようなミドルテンポの曲でも跳ねまくるスティーブ・ガッドのプレイが素晴らしい。 12.「Devoted To You」はカーリー直近のアルバム「Boys In The Tree」1978 C29に入っていたデュエット曲で、観客は大喜び。アンコールと思われる 13. 「Mocking Bird」は乗り乗りで楽しそうに演奏する。演奏側、観客側双方がリラックスした内輪の雰囲気に溢れていて、録音されていることを意識しない自由奔放な歌唱だ。間奏のサンボーンのサックスソロもいかしている。

携帯カセットテープレコーダーによるオーディエンス録音で、音質は悪いが、当時の雰囲気を捉えた貴重な音源だ。


Saturday Night Live 1979   TV映像

James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Danny Kootch : Electric Guitar (1,2)
Waddy Wactel : Electric Guitar (1,2)
Don Grolnick : Keyboards
Lee Sklar: Bass (1,2)
Russ Kunkel: Drums (1,2)

1. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
2. Johnnie Comes Back
3. Millworker

1979年3月12日放送


JTは長髪で髭を生やしており、おでこは広くなっているものの、頭のてっぺんはまだ髪がフサフサしている。「Flag」 1979 A10発売に合わせてサタデイ・ナイト・ライブに出演したもので、JTは番組中の寸劇シーンにも出演したそうだが、私は演奏場面しか観ていないので詳細は分からない。1.「Up On The Roof」では、JTは「Flag」 の録音で使用し、ジャケット写真で持っていたマーク・ホワイトブックのミニギターを弾いている。近年オルソンギターに専念しているが、このミニギターだけは時々使っているので、お気に入りなのだろう。椅子に座りながらじっくりと歌う。バックは「Flag」のバンドの面々(セクション+ワディ・ワクテル、ドン・グロルニック)だ。当時の音楽の流行を反映してストレートでシンプルな演奏を目指している。JTにスポットライトが当たり、バックの照明は暗め。画面の関係でダニー・クーチ、リースクラー、ラス・カンケルのみが写っている。ライブ演奏は珍しい 2.「Johnnie Comes Back」で、JTはピックガードなし、ドレッドノートサイズのマーク・ホワイトブックに持ち換えている。ここで画面右端にいるレスポールを弾くワディ・ワクテルと、左端のドン・グロルニックが写る。長髪の彼の若い姿を見ることができる映像だ。 3.「Millworker」は、JTの弾き語りギターとピアノ伴奏のみの演奏。彼のみにライトが当たり、椅子に座って歌う。ここでのボーカルとギタープレイは素晴らしく。この曲のベストプレイだと思う。