Hershey Stadium PA 2001 |
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James Taylor : Acoustic Guitar, Vocal
Bob Mann : Electric Guitar, Gut Guitar, Mandolin, Tiple
Clifford Carter : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Russ Kunkel : Drums, Percussion
Luis Conti : Percussion
Walt Fowler : Trumpet, Frugelhorn, Synthesizer
Lou Marini : Sax, Flute, Whistle
Arnold McCuller, David Lasley, Valerie Carter, Kate Markowitz : Back Vocal
1. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
2. That's Why I'm Here
3. Only One
4. Frozen Man
5. Anana
6. Whenever You're Ready
7. On The 4th Of July
8. Raised Up Family
9. Line 'Em Up
10. Mexico
11. Shower The People
12. Steamroller
13. Carolina In My Mind
14. Don't Let Me Be Lonely Tonight
15. Millworker
16. Sun On The Moon
17. Up On The Roof [Carole King, Gery Goffin]
18. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
19. Shed A Little Light
20. Fire And Rain
21. You've Got A Friend [Carole King]
22. Your Smiling Face
23. How Sweet It Is (To Be Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
24. Traffic Jam
25. Knock On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd]
26. You Can Close Your Eyes
27. Sweet Baby James
録音: 2001年7月11日、Hershey Stadium Pennsylvania
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ハーシーは、ペンシルヴァニア州フィラデルフィアの西約100キロ内陸にあるにある小さな町で、ハーシー家が創業し成功したチョコレート・ブランドの本拠地として有名。工場見学施設や大きな遊園地・公園、キスチョコの形をした町の街路灯など、町全体がテーマパークのようで、多くの観光客を集めている。公園の一角にあるスタジアムは、アメリカン・フットボール・チームのフィラデルフィア・イーグルズの試合の他、毎年夏には多くの野外コンサートが開催される。本音源は、JTが2001年7月11日に行ったコンサートを収録したもので、いつものバンドメンバーとJTによるリラックスした演奏を楽しむことが出来る。
ピアノ独奏から始まる長めのイントロ、JT登場による拍手の後、1.「Everyday」が歌われる。コーラスとブラスが入った厚みのある演奏。オーディエンス録音であるが、各楽器の細かな音やコーラス隊の各人の声を聞き分けることができる奥行きがあるサウンドだ。2.「That's
Why I'm Here」では、後半のブリッジでコーラス隊のみが歌う1節があり、本コンサートでは全般的にコーラス隊、ブラスセクションの出番が多いような気がする。4.「Frozen
Man」のイントロで、ピアノ、シンセサイザーと一緒に演奏している楽器は、ルウ・マリニによるフルートかな? 5.「Anana」では、ボブ・マンのギター独奏によるイントロ、間奏のギターソロがかっこいい。新曲として紹介される6.7.8.
の3曲は、それらが収録されたアルバム「October Road」2002 A17 発売前の演奏ということになる。特に 7.「On The 4th
Of July」では、ガットギター、ピアノのプレイがアントニオ・カルロス・ジョビン風で粋な感じだ。間奏はウォルト・ファウラーによるトランペット・ソロ。8.「Raised
Up Family」では、ボブ・マンがスライドギターを弾き、背景聞こえるクリフォード・カーターのオルガンが面白い音を出している。10.「Mexico」は、ルイス・コンティのパーカッションソロから始まる。ボブ・マンは、メキシコ音楽等で使われるティプルという共鳴弦を張った小型ギターを弾いているようだ。エンディングにおけるサルサ風の演奏のなかでの彼のソロは活き活きしている。
11. 「Shower The People」のエンディングは、いつもの通りアーノルド・マックラーがソロをとり、オーディエンスの大歓声を受ける。12. 「Steamroller」はニューオリンズ風の演奏で、ブラスセクションが頑張っている。
セカンドセットは、サード・ヴァースからコーラスとバンドが加わる 13.「Carolina In My Mind」から。14.「Don't Let
Me Be Lonely Tonight」は、伴奏のピアノの響きが美しく、最後にソロをとるルウ・マリニのテナー・サックスが味わい深い。15.「Millworker」ではルウはホィッスルを吹いており、ボブが弾くマンドリンの音も聴こえる。16.「Sun
On The Moon」は、本音源のなかでは、ガッツがあるボーカル、コーラス、バンド演奏が楽しめる。18.「Copperline」は、スタジオ録音におけるマイケル・ランドウとは異なる、ボブ・マンの特色が出たギタープレイが楽しめる。20.「Fire
And Rain」が終わった後JTは、「本曲のオリジナル・ドラマーです」とアナウンスしてラス・カンケルを紹介。22.「Your Smiling
Face」では、ブリッジ部分で突然レゲエ調のリズムになる遊びがあって面白い。23.「How Sweet It Is」はいつもよりリラックスした感じで、コーラス隊も自由に歌っているような気がする。エンディングもサッパリ目。24.「Traffic
Jam」のエンディングは、ブラス、シンセ等により雑踏ノイズが再現されるのが、いつもと異なる点。 25.「Knock On Wood」ではアーノルド・マックラーがハーモニー・ボーカルで頑張っている。26.「You Can Close Your Eyes」はJTのギターとコーラス隊によるバック、最後の曲
27.「Sweet Baby James」は弾き語りだ。
JTのアナウンスの一部がカットされているため、一部のメンバーにつき名前の確認ができないが、録音時期とサウンドから、キーボードはクリフォード・カーター、アーノルド以外のコーラスはデビッド・ラズリー、ケイト・マーコウィッツ、ヴァレリー・カーターで間違いないと思う。
JTのアナウンスが一部カットされているが、当日のコンサートのほぼ全て収められているものと思われる。開放的でリラックスした屋外コンサートの雰囲気が楽しめる。
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Tanglewood Music Center With Boston Pops 2002 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar, Narration (4)
John Pizzarelli : E. Guitar (9, 19)
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Greg Bissonette : Drums, Percussion
Boston Pops Orchestra
John Williams : Conductor
Martha Babcock : Cello (7)
1. Call Of The Champion [John Williams] *
2. Carousel Waltz [Richard Rodgers, Oscar Hammerstein II] *
3. Music From The Film "JFK" [John Williams] *
4. A Lincoln Portrait [Aaron Copland]
5. Music From The Film "1941" [John Williams]
6. On The 4th Of July
7. The Water Is Wide
8. Frozen Man
9. Mean Old Man
10. Carolina In My Mind
11. Country Road
12. Caroline I See You
13. Fire And Rain
14. Music Fro The Film "Harry Potter" [John Williams] *
15. America The Beautiful [Katharine Lee Bates, Samuel A. Ward]
16. Something In The Way She Moves
17. The Secret O' Life
18. You've Got A Friend
19. Steamroller
20. Sweet Baby James
録音: 2002年7月17日、The Koussevitzky Music Shed, Tanglewood Music Center, Lenox,
Massachusetts
注: 「*」 はJT非参加
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JTとボストン・ポップス・オーケストラとの共演音源。同オーケストラとの共演記録は、他に1993年の映像と 2009年の音源がある。指揮者のジョン・ウィリアムス(1932-
)は、数多くの映画音楽を担当したアメリカで最も有名な作曲家で、1980年にアーサー・フィドラーの後を継いでボストン・ポップスの主席指揮者となった。1995年にその座をキース・ロックハートに譲った後は、名誉指揮者として特別なイベント等で指揮をとっている。タングルウッド・ミュージック・センターは、マサチューセッツ州レノックスにあり、ボストン交響楽団の本拠地であるとともに、夏に開催されるフェスティバルが有名。「The Koussevitzky Music Shed」は、1938年建造、1959年改装のコンサート会場で、扇形の屋根を持つ屋内ステージとその外に広がる芝生の屋外部分からなる。JTは常連ニュージシャンとして、ゲストを招いたり、特別な趣向をこらしたコンサートの開催が毎年の恒例行事になっている。親しいオーケストラ、指揮者、地元のオーディエンスの暖かい雰囲気に囲まれて、JTはのびのびと自分の音楽を披露。当日は約2万5千人という記録的なオーディエンスが集まったため、会場周辺は交通渋滞や駐車場の確保などで大変だったそうだ。
1.「Call Of The Champion」は、ジョン・ウィリアムスが2002年ソルトレイクで開催された冬季オリンピックのために作曲したテーマ曲で、ブラスバンドによるファンファーレのようなサウンドがコンサートの序曲にふさわしい。ジョンによる開演の挨拶の後に演奏される
2.「Carousel Waltz」はロジャース、ハマースタインのコンビによる2作目のミュージカル(初作は「オクラホマ!」)の冒頭を飾るワルツで、1945年に初演、1956年にゴードン・マクレエ、シャーリー・ジョーンズ主演で映画化された。
3.「Music From The Film "JFK"」は、1991年オリヴァー・ストーン監督による映画「JFK」(ケヴィン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズ、ケヴィン・ベーコン等出演によるジョン
F. ケネディ暗殺の真相を暴こうとする人々のドラマ)の音楽で、@「Theme」、A「Motorgate 」(車列という意味で、ここではケネディ暗殺の際のパレードを指す)、B「Arlington」(彼が眠る墓地)の3つのパートからなる。Aの激しい音使いが印象的だ。ここでJTが登場し、4.「A Lincoln Portrait」を朗読する。アメリカの作曲家アーロン・コプランド(Aaron Copland 1990-1990)の作品で、1941年が初演。リンカーンの手紙や演説からの抜粋に曲を付けたもので、朗読の最後は、彼が1863年11月19日にペンシルヴァニア州ゲティスバーグで行った有名な演説からの一節
「Government of the people, by the people, for the people」で締めくくられている。JTは極めて明瞭な発音で読み上げており、そのヴォイス・プロダクションは、他の著名な朗読者ヘンリー・フォンダ、グレゴリー・ペック、キャサリン・ヘップバーン、ポール・ニューマン、トム・ハンクス、ビル・クリントン、バラク・オバマ等とひけをとらない出来。1979年スティーブン・スピルバーグ監督によるコメディ映画「1941」
(ジョン・ベルーシ、ダン・アクロイド、三船敏郎主演)のテーマ音楽の後、JTが再登場。新曲を演奏するにあたり「I know you hate new
material, but these songs sound just like the old ones」と言ってオーディエンスを笑わせた後に、6.「On
The 4th Of July」を演奏する。グレッグ・ビショネット(彼については後で説明)によるドラムスのブラッシュワークがいつものスティーブ・ガッドと違う感じで面白い。間奏でJTは口笛を吹いている。 7.「The Water Is Wide」から加わるオーケストラのアレンジは、1993年のものと同じスタンリー・シルバーマン編曲のものであるが、今回はバイオリンでなくチェロが主旋律を弾いているのが異なる。JTの紹介で、ソリストはボストン・ポップスの主席チェロ奏者マーサ・バブコックであることが分った。8.「Frozen
Man」は、JTによる曲の由来についての長い解説の後、ストリングスのイントロから始まる。ニューヨークで活躍するジャズ・ギタリスト、ジョン・ピザレリ(1960年生まれ。名ギタリスト、バッキー・ピザレリの息子でニューヨークを本拠地として活躍中)が紹介され演奏される
9.「Mean Old Man」は、ストリングス、ラリー・ゴールディングスのピアノの絡みが美しく、この曲のライブ・パフォーマンスではベストの出来。ジョンのギターはイントロでのみ目立ち、それ以外はコードカッティングによる地味なリズム演奏に徹している。彼は本曲と(おそらく)19.以外では弾いていないようだ。
オーケストラが入った 10.「Carolina In My Mind」の後、ジミー・ジョンソンが紹介され、彼のベースとJTのアコギによるイントロから
11.「Country Road」となる。エンディングにおけるグレッグ・ビショネット(1959- )のドラムスがハイライトだ。彼はデビッド・リー・ロス、ジョー・サトリアーニ、トト、ラリー・カールトン、サンタナなどのセッションに参加した人で、切れ味鋭いリズムが得意なようだ。JTとのセッションでは、2006年に収録された「AOL
Christmas Sessions」でドラムを叩いている。新曲 12「Caroline I See You」は、オーケストラとバンドの演奏が絶妙に交じり合って素晴らしい効果をあげている。オーケストラによる重厚なバックがついた
13.「Fire And Rain」の後、JTはステージを降り、オーケストラが映画「ハリーポッター」のテーマを演奏する。そしてJTが再登場して、
15.「America The Beautiful」を歌う。この曲はキャサリン・リー・ベイツが1885年に書いた詩と、サミュエル・A・ウォードが1882年に書いた讃美歌を1910年に合わせたもので、愛国歌として国歌に近い存在となっており、オーディエンスは大歓声で応えている。ここでジョン・ウィリアムスが「公式なコンサートはこれで終わりですが、交通渋滞で遅れてきた人々のために、JTが数曲歌ってくれることになりました」とアナウンスし、皆大喜び。弾き語りによる
16.「Something In The Way She Moves」、グレッグが叩くコンガが面白い 17.「The Secret O' Life」、そしてオーディエンスと一緒に歌う
18.「You've Got A Friend」の演奏中にサウンドボード音源はフェイドアウトする。
その後については、上記の音源とは別のオーディエンス録音を聴くことができた。18.「You've Got A Friend」に続き、19.「Steamroller」を演奏するが、ここではラリーのピアノソロの前にエレキギターのソロが聞こえるので、これはおそらくジョン・ピザレリが弾いている思う。これは比較的さっぱりと終わり、最後は弾き語りの
20.「Sweet Baby James」。地元らしく、この歌もオーディエンスが歌い、「Stockbridge To Boston」という地元の地名が出る部分では皆大歓声を上げ、一時演奏がストップする。音質は悪いけど、どんな感じだったかは、よくわかる録音だ。
気心の知れた人達と一緒に生み出した、まろやかで喜びに満ちた音楽がここにある。
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Bridge School Benefit Concert 2002 |
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James Taylor: Acoustic Guitar (1〜7), Vocal (1〜7), Back Vocal (8,9)
Sarah Wilson : Cello (6,7)
Neil Young : Acoustic Guitar (8,9), Vocal (8,9)
Pegi Young, Vanessa Carlton, Jack Black, Kyle Gass, Ryan Adams, Jack Johnson,
Thom Yorke, Mickey Hart, Bob Weir, Rob Barraco, Jeff Chimenti, Jimmy Herring
: Back Vocal (9)
1. Something In The Way She Moves
2. Secret O' Life
3. Country Road
4. Carolina In My Mind
5. You've Goat A Friend [Carole King]
6. Fire And Rain
7. Sweet Baby James
8. Heart Of Gold [Neil Young]
9. Comes A Time [Neil Young]
録音: 2002年10月27日、Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
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以下 「The Bridge Collection」B40からの引用。
「ブリッジ・スクールは、障害を持つ子供達の教育と社会的自立のために、母親達が1986年に設立した施設で、ニール・ヤングの奥さんのペギも創立者の一人に名を連ねている。ニール・ヤングは資金集めのために、豪華なゲストを招いたチャリティー・コンサートを開催。それは1986年から2016年まで続いた。電気楽器の大音響はコンサートに参加する子供達に良くないとして、出演者はアコースティック・サウンドで演奏するという。その模様は、1997年に「The
Bridge School Concers」というタイトルの2枚組CDとして発売されたが、そこにはJTの演奏は収められていなかった。その後2006年、コンサート20周年を記念して、CD6枚分
81曲からなる「The Bridge Collection」が、ITunes オンライン・ストアでのみ発売された。日本でも1曲150円、アルバム全部で9000円という価格で、インターネットからのダウンロードにより入手するもの。 -中略-
2011年11月、Bridge School Benefit Concert 25周年を記念して、過去のコンサートの模様を収めた2枚組CDおよび3枚組DVDが発売された。そのDVDにJTの5.「Fire
And Rain」が収録された。暗めのステージで椅子に座って弾き語るJTの横でチェロを弾く若い女性はサラ・ウィルソン。イントロから本演奏が10月26日のものであることがわかった。」 (引用終わり)
JTは1992年以来2回目の参加。当初は 4曲(Carolina In My Mind, Copperline, Fire And Rain,
Something In The Way She Moves) が、上述のオンライン・ストアで入手可能だったが、資料では2002年10月26〜27日収録とあり、どちらの日の演奏か明記されていなかった。また「Fire
And Rain」で聞こえるチェロの奏者が誰かも不明だった。2013年に27日のステージの音源を聴くことができ、そこからいろいろなことが判明した。さらにずっと後になって、1992年の音源も聴くことができた。
今回聴いた音源は27日のものということで、上記4曲と異なる演奏のため、「The Bridge Collection」B40が2002年10月26日、および1992年11月1日の演奏からなることが断定できた。本音源は、JTのセット7曲の演奏がノーカットで収められている。とても丁寧な弾き語りのパフォーマンスで、6.「Fire
And Rain」と 7.「Sweet Baby James」で聴かれるチェロの伴奏は、JTの紹介によりサラ・ウィルソンであることが判った。彼女はテキサス州ミッドランド在住で、現地のオーケストラの首席奏者を務める傍ら、ベス・オールトン、トラヴィス、リンダ・トンプソン、ライアン・アダムス、スティーブ・ハケットなどのアルバムでチェロを弾いている。彼女は、同日出演したライアン・アダムスのセットにも参加しているとのこと。ちなみに26日の
6.「Fire And Rain」の映像が、上述の3枚組DVDセット「The Bridge School Concerts 25th Anniversary
Edition」2011 B40に収められた。
またJTは同日最後のニール・ヤングのセットに登場、ニールのアルバム「Harvest」1972 C11の再現として、8.「Heart of Gold」のコーラスに参加してオーディエンスの大喝采を浴びた他に、フィナーレで当日の出演者と一緒に9.「Comes
A Time」のコーラスに参加している(こちらはJTの声を聞き分けることはできない)。
[2021年10月追記]
JTが参加した1992年11月1日の音源を聴くことができ、10月26日のセットリストも入手できた。その結果、上記のITunes オンライン・ストアの配信は、当初書いた10月26日のみではなく、1992年11月1日、2002年10月26日の音源からなっていることが判明した。そのため記事を書き直しました。
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BBC Radio 2 (Live At Mermaid Theatre) 2003 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar, Harmonica (3)
George Marinelli : E. Guitar, Back Vocal
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Arnold McCuller : Back Vocal
1. Secret O' Life
2. October Road
3. Whenever You're Ready
4. Line 'Em Up
5. Fire And Rain
6. Shower The People
7. Jump Up Behind Me
8. (I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That [Danny Kortchmar, James Taylor]
9. Carolina In My Mind
10. Country Road
11. You've Got A Friend [Carole King]
12. Sweet Baby James
録音: 2003年3月25日、Mermaid Theatre, London
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JTが2003年3月22日〜4月5日に行ったヨーロッパ・ツアーのうち、3月25日ロンドンでのライブをBBCが録音、3月29日にBBC Radio2から放送したもの。会場のマーメイド・シアターは、テムズ川沿いのBlackfriars駅近くのPuddle
Rockにある、610席のこじんまりとした劇場で、1959年建立。一時期再開発のため取り壊されそうになったが、関係者の運動により保存が決まったという。現在は会議場、展示場として利用される他、クラシックのコンサートやBBCの番組収録会場としても利用されている。
本音源でのバックバンドの特筆事項は、ギター奏者ジョージ・マリネリの参加である。彼はロスアンジェルスを本拠地とするセッション・ギタリストとして有名だった人で、現在はナッシュヴィル在住。ブルース・ホーンスビーのバックバンド、「ザ・ランジ」のメンバーだった他に、ボニー・レイット、スティーブ・グッドマン、アート・ガーファンクル、ブライアン・アダムス、リヴ・テイラー、ランディ・スキャッグス、ヴィンス・ギル、ディキシー・チックスなどの作品に参加している。バンド構成はホーン奏者なし、バックコーラスもアーノルド一人という小編成。司会者の紹介の後に始まる
1.「Secret O' Life」は、ラリー・ゴールディングのピアノとのデュエット。ドン・グロルニック、クリフォード・カーターなど歴代の奏者と異なる味わいが新鮮。 2.「October Road」ではジョージのギターが、ボブ・マンやマイケル・ランドウといったいつもの人たちに比べてロック的なサウンドでユニーク。3.「Whenever You're Ready」ではイントロ部分でJTのハーモニカを聴くことができる。本曲を含む数曲のバックボーカルにつき、二人で歌っているように聞こえるが、これはジョージ・マリネリがギターを弾きながら歌っているもので、3月22日のダブリンでのコンサートの写真で確認できた。4.「Line 'Em Up」では、ラリーのオルガンが曲に新たな息吹を付け加えている。 5.「Fire And Rain」では、後半のヴァース、エンディングにおけるスティーブ・ガッドのドラムスが新鮮。ジョージのギターも良い感じだ。6.「Shower
The People」はバンド・サポート付き演奏。ここでもジョージのギター演奏にオリジナリティーを感じる。エンディングのボーカルソロは、お馴染みアーノルドの十八番だ。7.「Jump
Up Behind Me」は、ドラムス、キーボード、ギター奏者がオリジナルと異なるため、かなり異なる雰囲気の演奏になっている。カルロス・ヴェガ、ラス・カンケルがパーカッションとして木箱を叩いていたのに対し、スティーブ・ガッドはスネアドラムのブラッシュワークで対応、その素晴らしさは目を見張るものがある。ロック調の 8.「I've Got To Stop Thinkin' 'Bout That」では、ジョージの個性溢れるギターが張り切っている。スティーブ・ガッドのドラムス、ジミー・ジョンソンのベースとの絡みも決まっている。9.「Carolina In My Mind」に続き、ジミーのベースとJTのアコギの二重奏から始まる 10.「Country Road」では、スティーブのドラムスが最高!テンポを抑えながらも強力なドライブ感で引っ張ってゆく。カントリー音楽風の曲なので、ジョージのリードギターもバッチリはまっている好演。おなじみの 11.「You've Got A Friend」の次に演奏される 12.「Sweet Baby James」ではスティール・ギター・エフェクトを使用したエレキギターが美しい。
いつもと異なるギタリストがユニークな伴奏を付けているために、大変面白い音源となった。
[2010年8月追記]
本音源は2010年8月5日、BBC放送の 「Radio2 In Concert」で、「Johnny Walker revisited 2 2003
James Taylor concert」として再放送された。
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Ozawa Hall, Tanglewood (Open Rehearsal) 2003 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Luis Conte : Percussion
Walt Fowler : Trumpet, Keyboards
Lou Marini : Sax, Flute
Arnold McCuller, David Lasley, Valerie Carter, Kate Markowitz : Back Vocal
1. Something In The Way She Moves
2. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
3. Mexico
4. (I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That [Danny Kortchmar, James Taylor]
5. October Road
6. September Glass [John Sheldon]
7. Bittersweet[John Sheldon]
8. Carolina In My Mind
9. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
10. Fire And Rain
11. Shower The People
12. Sweet Baby James
13. Steamroller (断片)
14. How Sweet It Is (Fade In) [Holland, Dozier, Holland]
Valerie Smaldone : Interviewer
録音: 2003年5月6日、Seiji Ozawa Hall, Tanglewood Music Center, Lenox MA
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Seiji Ozawa Hallは、小澤征爾のボストンシンフォニー音楽監督歴任20周年を記念して、日本企業の出資により建立された1200席のコンサートホールで、マサチューセッツ州レノックスにあるボストン・シンフォニー夏季の本拠地タングルウッドにある。その音響効果の素晴らしさには定評があるようで、それは本録音でも遺憾なく発揮されている。JTはこのホールを10日間借り切り、2003年5月15日から始まる全米サマーツアーのためのリハーサルを行った。その仕上げとして5月6日に観客を招待して公開リハーサルを行い、その模様のラジオ放送が本録音である。まずナレーター、FMラジオの司会者として有名なヴァレリー・スモルドンがJTにインタビューするところから始まる。今回この場所で演奏する経緯などが語られ、JTはリラックスした態度で質問に答えている。
1.「Something In The Way She Moves」は途中からバンドとコーラスが加わるアレンジで、マイケル・ランドウがペダル・スティールのような音を出している。2.「Copperline」はキーボードがラリー・ゴールディングになった分、シンセサイザーのイントロ部分等の雰囲気が変化している。3.「Mexico」は、コーラスやアメリアッチ風のブラスが入ったいつものアレンジであるが、スティーブ・ガッドのドラムスにパワーを感じる。4.「(I've
Got To) Stop Thinkin' 'Bout That」は、イントロ部分でドラムスのスティックのカウント音をバックに、演奏されるエレキギターのコードカッティングがカッコイイ。キーボードはアコーディオンのような音を出している。ここでもスティーブ・ガッドとカルロス・ヴェガとのドラムスの乗りの違いが良く分かる。
5.「October Road」はマサチューセッツ州のステート・フォレストにあるオクトーバー・マウンテンにある道のことだそうだ。アーノルドとの二人のボーカルは何時聴いてもいいね!
6.「September Glass」、7.「Bittersweet」は、古くからの友人ジョン・シェルドンの曲と紹介される。スタジオ録音のオリジナル盤は、前者が「October
Road」 2002 A17、後者が「Best Of James Taylor」 2003 B42に収録されている。この2曲のライブ音源は少なく、それだけでも本音源の価値がある。
8.「Carolina In My Mind」は、後半からバンドとコーラスが加わるバージョンで、私が聞いた音源のJTのギターの響き、バンドの演奏の音の厚みが素晴らしい。 9.「Up On The Roof」、10.「Fire And Rain」、11.「Shower The People」とステージの定番曲が続く。リハーサルの仕上げの段階、ツアー開始直前ということで、JTとバンドの演奏は生気に溢れている。12.「Sweet
Baby James」は地元での演奏なので、「Stockbridge To Boston」という歌詞の部分で歓声が起きる。13.「Steamroller」は通常と異なるブルージーなムードの演奏で、大いに期待を持たせるが、すぐにラジオ・アナウンサーによるクロージンが入り、フェイドアウトしてしまい残念。14.「How
Sweet It Is」は、放送時間の関係か、後半からフェイドインされる。エンディングにおけるJTとコーラス隊の掛け合いに、オーディエンスも参加して楽しく盛り上がっている。ここでもコーラス担当の4人の歌声を聞き分けることができるほど、繊細な音で録音されている。
6.7.という珍しい曲を除き、おなじみのレパートリーであるが、録音・演奏も文句なしの出来。JTバンドにおけるスティーブ・ガッドのドラムスを堪能できる、まとまったライブ音源としてお勧め品だ。
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Usana Amphitheatre, West Valley City 2003 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Jeff Babko : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Luis Conte : Percussion
Walt Fowler : Trumpet, Keyboards
Lou Marini : Sax, Flute
Arnold McCuller : Back Vocal
Carmella Ramsey : Back Vocal, Violin
Kate Markowitz : Back Vocal
1. Percussion Solo
2. First Of May
3. Something In The Way She Moves
4. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
5. October Road
6. Shower The People
7. Raised Up Family
8. Mean Old Man
9. Bittersweet [John Sheldon]
10. (I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That [Danny Kortchmar, James Taylor]
11. You've Got A Friend [Carole King]
12. Shed A Little Light
13. Jump Up Behind Me
14. My Traveling Star
15. Whenever You're Ready
16. Oh, Baby, Don't You Loose Your Lip On Me
17. Mascalito
18. Steamroller
19. Carolina In My Mind
20. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
21. Fire And Rain
22. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
23. Mexico
24. Your Smiling Face
25. In The Midnight Hour [Steve Cropper, Wilson Pickett]
26. Sweet Baby James
27. You Can Close Your Eyes
録音: 2003年8月23日 Usana Amphitheatre, West Valley City, UT
注) 1.はJT非参加
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2003年のサマーツアーからの音源で、バックバンドに珍しいメンバーが加わっている。
会場のウサナ・アンフィシアターは、ユタ州ソルトレイクシティの郊外にある屋外コンサート会場で、収容人員は2万7千人(7千の椅子席と、2万人分の芝生からなる)。5〜11月まで7ヶ月間に及んだJTのツアーは、最初はいつものメンバーからスタートしたが、序盤でヴァレリー・カーターがソロ活動に専念するためにグループを抜けたため、後任としてカルメラ・ラムゼイが加わった。彼女はカントリー、ブルーグラス音楽界で活躍するバック・ボーカリストで、フィドルやマンドリンも演奏する。カントリー音楽界のトップ女性シンガーであるパティ・ラブレスのサポートが主で、マーラ・オコンネル、ジェリー・ダグラス、オリヴィア・ニュートン・ジョンなどのセッションにも参加している黒髪の美人。デビッド・ラズレーのホームページによると、彼女の加入はツアーの後半にアンドレア・ゾーンが合流するまでの一時的な契約だったらしい。キーボードのジェフ・ベプコは、おそらくラリー・ゴールディングが都合が悪かった日のピンチヒッター的な位置付けと思われる。ロスアンジェルスを本拠地とするジャズとセッションの活動を展開、ロベン・フォード、スティーブ・ルカサー(Totoのコンサートではデビッド・ペイチの代役を務めた)、ラリー・カールトン、奥田民生、飯島真理などの録音に参加。その他テレビ番組「Jimmy
Kimmel Live」の音楽監督や、JTバンドのジミー・ジョンソンやマイケル・ランドウ等とのセッション活動がある。その後もJTとの関係は続いているようで、JTのアルバム「Covers」
2008 A20の録音の一部、および 2009年4〜5月のコンサートにも参加している。
音源はパーカッションとドラムスのソロ(JT非参加)と、ブラジル音楽風の 2.「First Of May」から始まる。オーディエンスによる録音はクリアーだが、マイクの感度が良すぎて、周りにいる人の会話まで拾っており、演奏に関係なくおしゃべりする男が耳障り。まあしようがないか.........。
3.「Something In The Way She Moves」は、コーラスとバンドの伴奏付き。4.「Copperline」、 5.「October Road」で聴こえるバイオリンはカルメラ・ラムジーによる演奏で、アンドレア・ゾーンやマーク・オコナーと異なり、「フィドル」と呼ぶに相応しい素朴な趣があり、良い感じだ。6.「Shower
The People」のバックコーラスでカルメラらしい女性の声がはっきり聞こえる。デビッド・ラズリー抜きの3人編成のためでもあろう。ヴァレリー・カーターやアンドレア・ゾーンと異なる、カントリーやブルーグラス音楽向きといえるストレートで若々しい彼女の声色は、この音源をユニークなものにしている。ダークな雰囲気の
7.「Raised Up Family」ではマイケル・ランドウのギターが大暴れする。8.「Mean Old Man」はバンドによる伴奏で、イントロはギターによるジャズコードのカッティングがかっこいい。間奏のピアノソロがいつもと違うなと思っていたら、曲後の紹介でジェフ・ベプコが弾いているためであることがわかった。
彼のプレイはコンサート全般では控えめであるが、ここでは頑張ってソロを披露している。ステージ演奏としては珍しい 9.「Bittersweet」に続き、ほぼ切れ目なく演奏される 10.「(I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That」は、マイケルによるエレキギターのイントロが狂ったように飛んでいて、大変ユニークなプレイだ。12.「Shed
A Little Light」でもバックシンガーの声の違いを楽しむことができる。
セカンドセット最初の曲 13.「Jump Up Behind Me」では、ジェフによるシンセサイザーの音使いの違いに注目しよう。14.「My Traveling Star」は、ワンマン・バンド・ツアーでの演奏が多いので、本音源のようにバンド付きものは新鮮に聴こえる。カルメラのバイオリンソロも入っている。16.「Oh, Baby, Don't You Loose Your Lip On Me」は、マイケルとJTの2本にギターのみの伴奏で歌われるブルースで、メドレーで「One
Man Dog」から珍しい 17.「Mascalito」が歌われる。18.「Steamroller」は、ホーンセクションがフィーチャーされ、弱音器を付けたトランペットのソロも楽しめる。マイケルのギタープレイは破壊的。20.「Up
On The Roof」ではカルメラのバイオリンが聴ける。22.「How Sweet It Is」は、コーラス隊とJT、オーディエンスによる歌の掛け合いが魅力的。エンディングの「ユーベイビー」と歌うリフもこってりしている。ヒット曲のオンパレードに続き、アンコールはウィルソン・ピケットのヒット曲(1965年
全米21位) 25.「In The Midnight Hour」だ。最後は弾き語りの 27.「You Can Close Your Eyes」でしっとりと終わる。
いつものレギュラーバンドと異なる音が楽しめる。
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Beverly Hills Hilton LA (With Paul McCartney) 2003 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Paul McCartney : Vocal, Guitar (8)
1. Something In The Way She Moves
2. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
3. October Road
4. Mean Old Man
5. Carolina In My Mind
6. Fire And Rain
7. Country Road
8. Two Of Us [Lennon, McCartney]
録音: 2003年9月23日、Beverly Hilton CA
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2002年にポールと結婚した奥さんのヘザー・ミルズが親善大使を勤めていた、地雷撲滅のための慈善団体「Adopt-A-Minefield」の資金集めを目的として行ったチャリティーコンサートに出演したもの。ポールは、2001年にポール・サイモン、2002年にブライアン・ウィルソン、2004年にニール・ヤング、2005年にユーゼフ・イスラム(キャット・スティーブンス)をゲストに招いている。
JTは自分のバンドを伴って出演。チャリティー・コンサートということで、特別料金を払ったオーディエンスを相手に代表曲を演奏する。コーラス隊、ブラスセクションなしの編成なので、ストレートなプレイだ。1.「Something In The Way She Moves」はバンドの伴奏付きでの演奏。2.「Copperline」ではバイオリン奏者がいない分、マイケルのエレキギターが頑張っている。JTはイギリスでのアップルレコードとの契約の話に触れ、ポールに対し人生の転機になったことへの感謝を述べている。3.「October Road」はアーノルドのハーモニー・ボーカルなしで、一人で歌っているので新鮮に聞える。メンバー紹介の後演奏される 4.「Mean Old Man」は、最初はマイケルのギターだけの伴奏で、途中からバンドがフィルインする。ラリーのピアノもワン・マン・バンドの時と比べて余裕あるプレイだ。7.「Country Road」でのスティーブのドラムスが凄い!狭い場所での演奏なので、ドラムスのサウンドがほぼ生で録音されており、その音圧・迫力は圧倒的だ。オーディエンス録音で、音自体は悪くないが、マイクを動かす際の摩擦音が随所に入っているのが残念。
その後ポールが登場し、1968年にオーディションでJTと初めて会ったこと。彼はJTの新作 「October Road」をとても気に入り、友人に配ったことを語る。そして
「Michell」、「Things We Said Today」、「Elenor Rigby」、「I've Just Seen A Face」、「Let
It Be」などのビートルズソングを含む曲を演奏。最後にJTが呼ばれて、本音源のハイライトである 8.「Two Of Us」を一緒に歌う。もともとエヴァリー・ブラザースを意識して書かれた曲で、アルバム「Let It Be」ではジョンとポールのデュエットで演奏されていたもの。ここではポールのリードボーカルにJTがハーモニーを付けている。ポールとJTは各ギターを弾いているようだが、他のミュージシャンについては誰だか不明。
ちなみにポールとヘザーの結婚生活は、その後2006年に破綻。慰謝料をめぐる泥沼の裁判の末、2008年に離婚が成立している。その過程で、金額面で非現実な要求をしたり、裁判中にポールの弁護士に水をかけたり等、アグレッシッブな彼女の言動はゴシップの種になり、悪女としての烙印を押されてしまった。
[2022年9月追記]
日付を9月13日から23日に修正しました。
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Greek Theatre, Los Angeles 2003 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Luis Conte : Percussion
Walt Fowler : Trumpet, Keyboards
Bob Sheppard : Sax, Flute
Arnold McCuller : Back Vocal
Carmella Ramsey : Back Vocal, Violin
Kate Markowitz : Back Vocal
1. First Of May
2. Something In The Way She Moves
3. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
4. October Road
5. Shower The People
6. Raised Up Family
7. Mean Old Man
8. Bittersweet [John Sheldon]
9. (I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That [Danny Kortchmar, James Taylor]
10. You've Got A Friend [Carole King]
11. Shed A Little Light
12. Jump Up Behind Me
13. My Traveling Star
14. Whenever You're Ready
15. Oh, Baby, Don't You Loose Your Lip On Me
16. Mascalito
17. Steamroller
18. Carolina In My Mind
19. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
20. Fire And Rain
21. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
22. Mexico
23. Your Smiling Face
24. In The Midnight Hour [Steve Cropper, Wilson Pickett]
25. Sweet Baby James
録音: 2003年10月7, 8日 Greek Theatre, Los Angeles
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(お断り) 2003年10月のコンサートは、上述の8月23日のものとほぼ同内容のため、重複する記述が多くなっています。
会場のグリーク・シアターは、ロサンゼルスのグリフィスパークにある収容人員5千7百人の屋外コンサート会場で、5〜11月まで7ヶ月間に及んだJTのツアーは、最初はいつものメンバーからスタートしたが、序盤でヴァレリー・カーターがソロ活動に専念するためにグループを抜けたため、後任としてカルメラ・ラムゼイが加わった。彼女はカントリー、ブルーグラス音楽界で活躍するバック・ボーカリストで、フィドルやマンドリン、サックスも演奏する。カントリー音楽界のトップ女性シンガーであるパティ・ラブレスのサポートが主で、マーラ・オコンネル、ジェリー・ダグラス、オリヴィア・ニュートン・ジョンなどのセッションにも参加している黒髪の美人。デビッド・ラズレーのホームページによると、彼女の加入はツアーの後半にアンドレア・ゾーンが合流するまでの一時的な契約だったらしい。サックスのボブ・シェパーッドは、おそらくルウ・マリニの都合が悪かった日のピンチヒッター的な位置付けと思われる。ロスアンジェルスを本拠地とするセッション・ミュージシャンで、ジャズではピーター・アースキン、チック・コリア、フレディー・ハバード、ランディー・ブレッカー、クリス・ボッティ等、ポピュラー音楽ではスティーリー・ダン、リッキー・リージョーンズ、ロッド・スチュワート、ジョニ・ミッチェル他多くのセッションに参加している。
音源はブラジル音楽風の 1.「First Of May」から始まる。エンディングでボブ・シェパードのフルートソロがフィーチャーされる。 2.「Something
In The Way She Moves」は、コーラスとバンドの伴奏付き。3.「Copperline」、 4.「October Road」で聴こえるバイオリンはカルメラ・ラムジーによる演奏で、アンドレア・ゾーンやマーク・オコナーと異なり、「フィドル」と呼ぶに相応しい素朴な趣があり、それなりに良い感じだ。5.「Shower
The People」のバックコーラスでカルメラらしい女性の声がはっきり聞こえる。デビッド・ラズリー抜きの3人編成のためでもあろう。ヴァレリー・カーターやアンドレア・ゾーンと異なる、カントリーやブルーグラス音楽向きといえるストレートで若々しい彼女の声色は、この音源をユニークなものにしている。ダークな雰囲気の
6.「Raised Up Family」ではマイケル・ランドウのギターが大暴れする。7.「Mean Old Man」はバンドによる伴奏で、イントロはギターによるジャズコードのカッティングがかっこいい。ここでの間奏のピアノソロは、レギュラーメンバーのラリー・ゴールディングスだ。ステージ演奏としては珍しい
8.「Bittersweet」に続き、ほぼ切れ目なく演奏される 9.「(I've Got To) Stop Thinkin' 'Bout That」は、マイケルによるエレキギターのイントロが狂ったように飛んでいて、大変ユニークなプレイだ。10.
「You've Got A Friend」が終わったところで、JTは次の曲の後に休憩をとることをアナウンスする。そのなかで、会場内にNDRC
(Natural Resources Defence Council)のコーナーがあるので、是非立ち寄って欲しいと言っている。NDRC(天然資源防衛協会)は、1970年に設立されたNPOで、エネルギー問題、水質汚染、核兵器削減、自然保護等幅広い分野で活動を展開している。海軍が水中で使用するソナーが海洋生物に悪影響を与えるとして訴訟を起こし、安全保障を優先するブッシュ政権と争ったエピソードは有名。多くのミュージシャンが同団体のサポーターになっており、JTもその一人だ。11.「Shed
A Little Light」でもカルメラ・ラムジーによるバックシンガーの声の違いを楽しむことができる。
セカンドセット最初の曲 12.「Jump Up Behind Me」では、スティーブ・ガッドのブラシと、ルイス・コンティのパーカッションが奏でるグルーブが最高!ラリーによる軽やかなシンセサイザーの演奏にも注目しよう。13.「My
Traveling Star」は、ワンマン・バンド・ツアーでの演奏が多いので、本音源のようにバンド付きものは新鮮に聴こえる。カルメラのバイオリンソロも入っている。15.「Oh, Baby, Don't You Loose Your Lip On Me」は、マイケルとJTの2本にギターのみの伴奏で歌われるブルースで、メドレーで「One
Man Dog」から珍しい 16.「Mascalito」が歌われる。17.「Steamroller」は、ホーンセクションがフィーチャーされ、ボブ・シェパードのサックスソロが、いつも(ルウ・マリニ)と異なる音使いで、大変面白い。ウォルト・ファウアーによる弱音器を付けたトランペットのソロも楽しめる。ラリーお得意のオルガンソロは切れ味鋭く、マイケルのギタープレイは破壊的。19.「Up
On The Roof」ではカルメラのバイオリンが聴ける。 20. 「Fire And Rain」の前にオーディエンスの一人が「Don't Close Your Eyes !」(You Can Close......の誤り)と叫び、それを聴いたJTが、いいアドバイスだけどね。でも閉じないと目が乾いちゃうよ。ちょっとの間だけでもそうしないとね!」とユーモアたっぶりに答えて、観客は大笑い。21.「How
Sweet It Is」は、コーラス隊とJT、オーディエンスによる歌の掛け合いが魅力的。エンディングの「ユーベイビー」と歌うリフもこってりしている。ヒット曲のオンパレードに続き、アンコールはウィルソン・ピケットのヒット曲(1965年
全米21位) 24.「In The Midnight Hour」だ。最後はマイケルのスティールギター・エフェクトが入る 25.「Sweet Baby
James」でしっとりと終わる。
いつものレギュラーバンドと異なる音が楽しめる。
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Auditorium Parco della Musica, Rome 2004 |
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James Taylor : A. Guitar, Vocal
Michael Landou : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Harvey Mason : Drums
Andrea Zonn : Violin, Back Vocal
1. Don't Let Me Be Lonely Tonight
2. Sunny Skies
3. October Road
4. Fiddle Solo *
5. Sweet Baby James
6. Diamond Joe [Traditional]
7. Carolina In My Mind
8. Mexico
9. Steamroller
10. Fire And Rain
11. Caroline I See You
12. That's Why I'm Here
13. The Water Is Wide [Traditional]
14. Line 'Em Up
15. Slap Leather
16. Shower The People
17. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
18. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
19. You've Got A Friend [Carole King]
20. Sectert O' Life
21. Your Smiling Face
22. You Can Close Your Eyes
収録:2004年7月8日 Auditorium Parco della Musica, Roma
*: JT非参加
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ヨーロッパ・ツアーからの音源。フランス、スイス(モントルー・ジャズ・フェスティバル)に続くイタリアでの公演で、この後イギリス、アイルランドと続く。会場のAuditorium
Parco della Musicaは、ローマの北に位置し、1960年のオリンピックの会場にもなった複合目的の会場施設。ヨーロッパ・ツアーの場合、予算の都合上バックコーラスが小編成になるケースが多いが、今回は2003年から新加入のアンドレア・ゾーンが単独で参加しているのが、本音源の特筆すべき特徴となっている。またドラムスがハーヴィー・メイソン(1947- )であることも他の音源にない特色だ。彼はフュージョン・ジャズ界の伝説的プレイヤーであり、私の耳の片隅には、ハービー・ハンコックが正統的なジャズからファンクへと劇的なイメージチャンジを果たした名作「Head
Hunters」 1974の冒頭曲「Cameleon」での変幻自在のプレイが、今だに残っている。普通のジャズはもちろんのこと、ソウルジャズを志向した70年代のキャロル・キングの作品に名を連ねる等、本当に何でもできる人で、凄まじい数の作品に参加している。ここでは彼のプレイがバンドにいつもと異なるグルーヴ感を付与しており、そういう意味でも面白い音源となった。
音源はバンド演奏による 1.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」から始まり、2.「Sunny Skies」へ続く。オープニングでのJT弾き語りコーナーはカットされたのかな?前者でのラリーのピアノソロが聴きものだ。3.「October
Road」のドラムスは、スティーブ・ガッドによるスネアドラムによるマーチングバンド風と異なるプレイとなっており、アンドレアのハーモニーボーカルもいつもと全く違っていて、とてもユニークなバージョンとなった。マイケルのスライドギターも良い。続いてアンドレアがドラムをバックに、急速調のフィドル・チュ−ンを演奏する。かつてアリソン・クラウスとコンテスト等で競っただけあって上手いですね。5.「Sweet
Baby James」は、マイケルによるスティールギター風の伴奏付き。6.「Diamond Joe」は、JTの初期の60年代後半から70年代初頭まで、弾き語りで演奏していたカーター・ファミリーの曲で、ここでは珍しくバンド付きで演奏している。アンドレアがハーモニーを付ける
7.「Carolina In My Mind」っていいもんですね! 8.「Mexico」でのハーヴェイのリズムの乗りは彼独特のものがある。アンドレアのハーモニーボーカル、間奏では彼女のバイオリンソロもあり面白いぞ〜。9.「Steamroller」はスローなブルースのアレンジで、ラリーのオルガンがイカシテいる。マイケルのソロはヘビーメタル調。10.「Fire
And Rain」は、ドラムスの演奏パターンが違っていて、不思議な感じ。
休憩の後、最初に演奏される11.「Caroline I See You」は、バイオリンとギター、エレキピアノの演奏がクラシカルな品と優しさに溢れていて美しい。エンディングにおけるハーモニカのように聴こえる音は誰が演奏しているのかな?12.「That's
Why I'm Here」はコーラスが1人なので、大人しい感じの演奏となった。13.「The Water Is Wide」ではアンドレアのバイオリンが楽しめる。15.「Slap
Leather」もドラムの乗りと、マイケルのロックンロール調のギターもそれに合わせた感じでいつもと全然違う!
16.「Shower The People」は、本音源のハイライトで、いつもはアーノルド・マックラーが担当するエンディングのソロボーカルをアンドレア・ゾーンが歌っているのだ!彼女のボーカルは、同時期に演奏されたディキシー・チックスとの共演におけるナタリー・メインズのそれに勝るとも劣らぬ出来栄えで、心の奥底を揺さぶるような魂の声に接することができる。本当に素晴らしい!
17.「Handy Man」、18. 「How Sweet It Is」とヒット曲のカバーが続く。いずれもアンドレアのコーラスのみのさっぱりした美味しさがある演奏だ。19.「You've
Got A Friend」では、会場が一緒に歌うオーディエンスの声でいっぱいになり、とても良い感じ。イタリア人は本当にオープンな人達だね〜。アンコールと思われる
20.「Sectert O' Life」はバンドによる演奏。ラリーがジャズっぽい感じのピアノの伴奏を付けている。21.「Your Smiling
Face」は、何といってもドラムスのプレイに注目して聴こう。最後の曲、22.「You Can Close Your Eyes」は、本音源もうひとつのハイライトで、アンドレアがしったりとしたハーモニーボーカルを付けている。
「アンドレア・ゾーン特集」と呼んでもいい、特殊かつ貴重な音源だ。
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The Gorge Ampitheatre 2005 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Luis Conte : Percussion
Walt Fowler : Trumpet, Keyboards
Lou Marini : Sax, Clarinet, Flute
Andrea Zonn : Violin, Back Vocal
Arnold McCuller, David Lasley, Kate Markowitz : Back Vocal
1. Secret O' Life
2. Summer's Here
3. Your Smiling Face
4. The Water Is Wide [Traditional]
5. Fiddle Solo *
6. Nothing Like A Hundred Mile
7. Everybody's Has The Blues
8. Line 'Em Up
9. Slap Leather
10. Fire And Rain
11. Handyman [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
12. Luis Conte Percussion Solo *
13. Mexico
14. Caroline I See You
15. Sunny Skies
16. Some Days You Gotta Dance [Troy Johnson, Marshall Morgan]
17. Carolina In My Mind
18. Frozen Man
19. Sweet Baby James
20. Never Die Young
21. Country Road
22. Steamroller Blues
23. How Sweet It Is (To Be Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
24. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
25. Summertime Blues [Jerry Capehart, Eddie Cochran]
26. You Can Close Your Eyes
録音: 2005年8月27日、Gorge Ampitheatre, Washington
*: JT非参加
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ゴージ・アンピシアターは、西部ワシントン州のコロンビア川渓谷地帯にある野外コンサート会場で、シアトルから車で3時間、ポートランドからは5時間の場所にある。傾斜地を利用した収容人員2万人の観客スペース(芝生)と巨大なステージ、その背景にはグランドキャニオン並みに広大な渓谷地帯が広がる。「Gorge」は「渓谷、峡谷」の意味。「Summer's
Here」(JTのアルバム「Dad Loves His Work」 1981 A11に収められた曲の名)と銘打ったツアーのコンサートのひとつのオーディエンス録音が本音源である。高性能の機材を使ったらしく、あたかも会場にいるかのような臨場感があり、PAの良さもあって各楽器のバランスは申し分なく、ドラムスやパーカッション、アコースティック・ギターの繊細なタッチまでしっかりとらえられている。唯一の問題は、マイクの感度が良過ぎるために、周りの人達の会話や叫び声までひろってしまっている事だ。
1.「Secret O' Life」では、JTのアコギとラリーのエレキピアノがはっきり聴き取る「ことができる。 2.「Summer's Here」はライブ演奏としては珍しいレパートリー。ボサノバ風のリズムに、ラリーのオルガンソロ、ルウ・マリニのフルート・ソロが洒落ている。ラテン風のリズム隊、コーラス隊、ホーンセクションなど快調な出だしだ。3.「Your
Smiling Face」は、分厚いホーンセクションが印象的。この手の曲ではスティーブ・ガッドのドラムスが跳ねまくる。ヴァレリー・カーターの後任者として加入したアンドレア・ゾーンのバイオリンが美しい 4.「The
Water Is Wide」は自然に囲まれた野外ステージで聴くと気持ちいいだろうなあ! JTによる紹介の後に、アンドレアがドラムスのバックのみでアイリッシュ・フィドル・チューンのメドレーを弾く。音色・リズム感どれをとっても素晴らしい演奏だ。バックでドラムスを叩くスティーブ・ガッドは、子供の頃マーチンバンドで鍛えられたそうで、ハイハットによる鼓笛隊風の演奏はお手のものだ。曲のエンディングでは、微かではあるがJTがアコギで伴奏を付けているのが聴こえる。レイ・チャールズがカバーした曲と紹介して 6.「Nothing
Like A Hundred Mile」、7. 「Everybody's Has The Blues」の2曲を演奏する。前者はライブ演奏としては珍しいレパートリー。後者は間奏でJTのギターが入る。政絡みの歌が2曲。リチャード・ニクソンのホワイトハウス退去の模様が一節にある
8.「Line 'Em Up」、レーガンやブッシュ父の共和党政治を批判した 9.「Slap Leather」。ここでのJTの語りは単なる曲紹介を超えつつあり、後の「One
Man Band」に結実してゆく。10.「Fire And Rain」におけるスティーブ・ガッドのプレイは素晴らしい。ジャズやクロスオーバーのみでなく、歌伴でも評価された彼のプレイの真髄を楽しむことができる。ルイス・コンテのパーカッションソロに続いて始まる13.「Mexico」はファーストセット最後の曲。
セカンドセット最初の曲 14.「Caroline I See You」におけるホーンセクション、バイオリン、ギターのアンサンブルの美しいこと!正に名手のなせる技だ。私は、スタジオ録音よりもこのライブ演奏のほうが好きだ。懐かしい15.「Sunny
Skies」はバンドの伴奏付きで、ラリーのシンセサイザーのオブリガード、ホーンセクションのアレンジが新鮮。ディキシー・チックスのカバー 16.「Some
Days You Gotta Dance」は小気味良いロックンロールで、コーラス隊が素晴らしい。ホーンセクションのアレンジが素敵な18.「Frozen Man」。19. 「Sweet Baby James」はバンドの伴奏付きで、マイケル・ランドウのスティールギター・エフェクトによるギターが効果的。18.「Frozen
Man」は、イントロでJTのギターのラリー・ゴールディングのシンセが絡む新たなアレンジだ。21.「Country Road」におけるスティーブ・ガッドのパワフルなプレイは何時聴いても素晴らしい。
クールなブルースにアレンジされた 22.「Steamroller Blues」では、まずウォルト・ファウアーの弱音器付きのトランペット、ラリーのオルガン、マイケルのギンギンのエレキギターとソロが回ってゆく。ラストではJTのアドリブボーカルがたっぷり聴ける。23.「How Sweet It Is」ではR&Bフィーリング溢れるホーンセクション、ルウ・マリニのサックスソロがグルーヴィーだ。エンディングではオーディンエスも合唱に加わり、コンサートは最高潮、アップテンポのパートも追加され、アーノルド・マックラーがソロをとる。アンコールの1曲目は
24.「Up On The Roof」は比較的落ち着いた演奏。続けて演奏される 25.「Summertime Blues」はラテンロック調のアレンジで、リラックスしたプレイ。セカンド・アンコールで、JTの弾き語りとコーラス隊による 26.「You Can Close
Your Eyes」でコンサートの幕を閉じる。
本音源を通してホーンセクションの露出度が高く、それがバンドサウンドに大いなる付加価値を付けている。鉄壁アンサンブルによる新しいアレンジが魅力的な音源。
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Boardwalk Hall 2005 |
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James Taylor : Acoustic Guitar, Ekectric Guitar (2), Vocal
Michael Landou : Electric Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Arnold McCuller : Back Vocal
Andrea Zonn : Back Vocal, Violin
Kate Taylor : Back Vocal (14)
1. The Water Is Wide [Traditional]
2. Steamroller
3. Fire And Rain
4. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
5. Mexico
6. Jump Up Behind Me
7. Caroline I See You
8. Jingle Bells [Traditional, Arraged by Taylor]
9. Line 'Em Up
10. Slap Leather
11. Carolina In My Mind
12. Shower The People
13. You've Got A Friend
14. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
15. Secret O' Life
16. Your Smiling Face
17. You Can Close Your Eyes
収録 : 2005年12月17日 Boardwalk Hall, Atlantic City
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ニュージャージー州アトランティック・シティーのボードウォーク・ホールで、LPG Benefit Associationの資金集めのために行われたチャリティー・コンサート。バックバンドは、2005年の
Summer's Here Tour のメンバーからホーン・セクションとケイト・マーコウィッツが抜けた編成となっている。当日のコンサートは、私が聴くことができた上記17曲以外に、コンサート序盤に「Something
In The Way She Moves」、「October Road」、「Fiddle Solo (JT不参加)」、「Sweet Baby
James」が演奏されたようだ。1.「The Water Is Wide」では、アンドレア・ゾーンのバイオリンにマイケル・ランドウのギター、ラリー・ゴールティングスのキーボードが加わって、弦楽器セクションのような厚みがあるサウンドを創り出している。JTのボーカルはリバーブが深くかかっており、この曲だけ上述の4曲と同じ別のオーディエンス録音のようで、音質は劣る。このコンサートでは、いつも後半のクライマックスで演奏している
2.「Steamroller」を前半でやっているのが珍しい。オーディエンスの冷静な感じから間違いないと思う。クールな感じのブルース演奏で、間奏はラリーによる本領発揮のオルガンとマイケルのエレキギターだ。ここでJTは、ラリーとマイケルを紹介するが、後者を「モンスター」と呼んでいるが面白い。3.「Fire
And Rain」、4.「Handy Man」、 5. 「Mexico」とヒット曲が続く。間奏でブラス隊らしき音が聞こえるが、恐らくラリーのシンセサイザーだろう。ここで休憩。
ブラジル音楽風の軽快な6.「Jump Up Behind Me」は、4分近くに及ぶ長いイントロから始まる。アーノルド・マックラーのハーモニー・ボーカル、ラリー・ゴールディングスのシンセ・ソロが大活躍。でも何といってもスティーブ・ガッドのブラシワークが叩き出すラテンリズムが最高!「ここに妹のケイトが来ているはずです」というJTのアナウンスの後に、奥さんの事を歌ったクラシカルな
7.「Caroline I See You」が演奏される。Summer's Here Tour ではホーンセクションによる素晴らしいアンサンブルが聴けたが、ここでのバイオリン、ギター、キーボードという小編成でも全くひけをとらないのは、プレイヤーの演奏力の高さによるものだろう。ハーモニカのような音も聞こえるが、JTはアコギを弾いているはずなので、ラリーがシンセで弾いているものと思われる。12月なので、「クリスマス音楽やろうか」と、R&B調アレンジによる
8.「Jingle Bells」を演奏。間奏は、マイケル・ランドウのギター・ソロ。終盤の 10.「Slap Leather」は比較的冷静な演奏。12.「Shower
The People」が終わった後に、JTはエンディングさソロをとったアーノルドを紹介して、「Sound good, Sound little
bit too good !」と言ってオーディエンスを笑わせる。JTは、他のコンサートでも同じジョークを言うことがあるようだ。
14.「How Sweet It Is」では、会場に来ていたケイトがステージに上がり、コーラス隊に加わる。全体的にリラックスした演奏で、オルガンソロ、ギターソロの間に、JTから紹介された彼女は掛声で答える。彼女のソウルフルなシャウトはエンディングにかけて多く入り、それがいつもの演奏にユニークな色彩を付加している。最後に演奏された17.「You
Can Close Your Eyes」は、JT、アーノルド、アンドレアの3人による歌唱。
ケイト・テイラーの参加もあり、リラックスした雰囲気にあふれたパフォーマンスだ。
[2009年7月 追記]
曲目追加、内容変更のうえ、「その他断片 2000年代」の部から 「その他音源」の部に移しました。
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Ruth Eckered Hall, Clearwater FL 2006 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 13), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Slap Leather
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Mean Old Man
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Steamroller Blues
[Second Set]
11. Secret O' Life
12. Line 'Em Up
13. Valentine's Day
14. Chili Dog
15. Shower The People
16. Sweet Baby James
17. Carolina In My Mind
18. Fire And Rain
19. The Nearness Of You [Hoagy Carmichael, Ned Wahington]
20. You Can Close Your Eyes
* JT非参加
収録: 2006年3月6日 Ruth Eckered Hall, Cleawater, Florida
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(お断り) この記事は、予め「One Man Band」 2007 E14 のDVDを観たことがある事を前提として書いています。観ていない方々には難しい内容になっていますので、ご容赦ください。
ワンマンバンド・ツアーは、2006年3月3日サウスキャロライナ州チャールストンから始まった。本音源はジョージア州コロンバスに続く3番目のコンサートで、ワンマンバンドのフォーマット開始直後の初期の音源と位置付ける事ができる。フロリダ州クリアウォーターは、フロリダ半島中部のタンパ湾の近くにある都市で、ルース・エッカード・ホールは2,180席の小さなホールであるが、過去に多くのロックコンサートが開催された場所だ。ここでは正式発売された
「One Man Band」 2007 E14との比較の観点で述べることにしたい。ワンマンバンドのツアーは約2年間にわたり行われたが、最初から基本的な内容は変わらず、曲順・演奏やJTの語りなど、予め入念に企画されたものだった。それでも本音源は、まだ始まったばかりということもあり、E14と異なる点がかなりあるのが興味深く、JTとスタッフがコンサートをやりながら構成の微調整を行い、語りを磨き上げていった過程がわかる。
まずE14では、2. 「Never Die Young」を歌う前に語っていた作曲についての話がない。全体的にJTの語りの量は比較すると少なめだ。歌い終わったあと、飲み水のボトルの「フィージー」というブランドで、オーディエンスとの話が咲く。オーディエンスからは盛んに声がかかり、JTもそれに応える。その後の曲順で、E14と比較して「Slap
Leather」と「Mean Old Man」が入れ替わっている。また、4.「Slap Leather」では、ドラムマシーンの登場はなく、JTはラリーのオルガンの伴奏のみで、普通のマイクで歌うところが本音源の最大の違い。6.「Country Road」では、オーディエンスから叫び声と口笛が飛ぶ。解説なしで始まる 7.「Mean Old Man」は、ラリーのピアノ伴奏、間奏ソロの内容が毎回全く異なるのがハイライト。ここでオーディエンスより「You
are beautiful !」という声がかかり、JTは「So are you too !」と応えている。8.「My Traveling Star」でのコーラス隊の紹介は、曲の前ではなく、終了後に行われる。休憩前最後の曲
10.「Steamroller Blues」では、ラリー・ゴールディングスのCDが会場で売られていることが語られるが、JTはちょっと間を置いた後に「ごみ箱の側でね!」といって、オーディエンスの笑いを誘う。それにしてもダークなジョークですね。ここでのJTのエレキギター・プレイは比較的おとなしい。
12.「Line 'Em Up」は、ニクソン辞任と統一教会の集団結婚式以外の歌詞は中継ぎに過ぎないとして、「Musicaly hunberger
filler」と言う。この後、E14にはない「Valentine's Day」 が歌われる。ドン・グロルニック、クリフォード・カーターとも異なる、ラリー・ゴールディングス風の伴奏が堪能できる。14.「Chili
Dog」では、ラリーがエレキピアノの伴奏を始めてから、JTが曲の紹介をする。ここでもドラムマシーンの出番はない。本音源の 15.「Shower
The People」は、ピアノ独奏なしのイントロだ。16.「Sweet Baby James」の曲の由来の語りでは、JTは「カウボーイ・ララバイ風の曲を作ろうとした」と言って、実際に少しふざけ気味に歌ってみせる。17.
「Carolina In My Mind」は、似顔絵アーティストのエピソードが曲の前と後の両方に出てくる。おそらくJTの語りの間違いだと思う。次の曲は、E14の「Copperline」ではなく、ホギー・カーマイケルのスタンダード、19.「The
Nearness Of You」だ。この曲は、JTがマイケル・ブレッカーのアルバム「Nearness Of You」 2001 C74で歌っていた曲。
オーディエンスの中に、ロックコンサートの乗りで騒ぐために来た人がいて、16.「Sweet Baby James」や 17.「Carolina
In My Mind」の演奏中に叫び声を上げたり、その他の曲の最中に平気で咳込む人もいたりして、違和感を感じる。しかし、この頃の人々は、このコンサートの意味合い。楽しみ方をまだ知らなかったわけで、そういう意味ではしようがないかな?
1年半後の公式映像との相違点が興味深い音源。
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Shea's Buffalo Theater, NY 2006 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 14), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Mean Old Man
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Slap Leather
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Steamroller Blues
[Second Set]
11. Secret O' Life
12. Line 'Em Up
13. Valentine's Day
14. Chili Dog
15. Shower The People
16. Sweet Baby James
17. Carolina In My Mind
18. Fire And Rain
19. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
20. You Can Close Your Eyes
* JT非参加
収録: 2006年5月2日 Shea's Buffalo Theater, Buffalo NY
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(お断り) この記事は、予め「One Man Band」 2007 E14 のDVDを観たことがある事を前提として書いています。観ていない方々には難しい内容になっていますので、ご容赦ください。
シアーズ・バッファロー・シアターは、ナイアガラ滝のある町ニューヨーク州バッファローにある1926年オープンの古い劇場で、座席数は 3200。ここではワンマンバンド・ツアーを始めて2ヶ月経った際のコンサートの模様をうかがうことができる。3月のルース・エックランド・ホールの音源と比較して、4曲目と7曲目につき、「Mean
Old Man」と「Slap Leather」との入れ替えが行われ、その後前半の曲順は定着し、2007年の公式盤まで不動となる。後半については、「Line 'Em Up」と「Chili Dog」の間に「Valentine's Day」が歌われている点で初期の構成を残しながら、19曲目が「Copperline」に差し替えられるなどの変更もある。
以下異なる点を簡単に述べる。2.「Never Die Young」では、作曲についてのコメントがない。3.「The Frozen Man」は、以前からJTがコンサートで曲の説明をしていたので、慣れているせいか、コンサート毎に内容は同じでも言葉使いが微妙に異なる。7.「Slap
Leather」では、ドラムマシーンが登場。JTは「スティーブ・ガッドを連れて来れなかったので」と言って、この機械を「Gaddmatic」(オートマチックのもじり)と呼んでいる。8.「My
Traveling Star」と 15.「Shower The People」は、スクリーン上のコーラス隊との共演であるが、ここではメトロノームのようなクリック音が入る。おそらくこの音源が、JTのイヤホンのモニターを録音したものだからだろう。予め録音されたコーラスとテンポを合わせるための仕掛けがわかるのが面白い。9.「You've
Got A Friend」の語りでは、JTは「トゥルバドールのバルコニーでらりっていた」 と話し、オーディエンスを笑わせる。11.「Secret
O' Life」では、JTは珍しく歌を間違えている。14.「Chili Dog」は、ドラムマシーンが入らない演奏。
録音的には、サウンドボード録音と思われるが、上記クリック音が入るほかに、ラリー・ゴールディングスのピアノの音が小さ過ぎる難点があるが、その分JTのギターがはっきり聞こえる。「ワンマンバンド」は、台本のようにきっちりした構成で行われるコンサートだったが、本音源は初期のチューンアップの形跡が残ったものとして興味深い。
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etown 2006 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Helen Forster : Back Vocal (2,3)
Sally Taylor : Duet Vocal (4), Back Vocal (2,3)
Keb' Mo' : Duet Vocal, Harmonica (6)
Nick Forster : Guitar
Unkown : Bass, Drums, Keyboards, Dobro
1. Something In The Way She Moves
2. Rainy Day Man
3. Riding On A Railroad
4. You Can Close Your Eyes
5. Don't Think Twice It's Alright [Bob Dylan]
6. She Caught The Katy (And Left Me A Mule To Ride) [Taj Mahal, Yank Rachel]
録音: 2006年5月16日、Paramaount Theatre, Denver CO.
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B33で紹介したラジオ番組、etownに出演した際の放送音源。 コロラド州デンバーで収録されたもので、創設15周年の記念番組として、2006年7月26日から8月1日までの間、全米National
Public Radio Stationというネットワークその他で放送されたという。当番組のホストであり製作者でもあるニック・フォレスターによるインタビューも放送され、その中でJTはこの番組に対する賛同と賞賛を表明している。そしてデモクラシー擁護を基本とする政治への関与の姿勢についての話で、2000年頃に展開され、JT以外にディキシー・チックスやブルース・スプリングスティーン等が参加したコンサート「Vote
For Change」について触れ、民主主義の度合いが少なくなってゆくアメリカの現状を憂慮していると答えている。
1.はいつものとおり、彼一人による弾き語り。2.は「もっとも初期の歌で、友人のザック(フライングマシーンのベーシスト、ザカリー・ワイズナーのことと思われる)のために書いたものです」と紹介され、愛娘サリー・テイラーと、番組の司会者でニックの奥さんでもあるヘレン・フォルスターのバックコーラスが付いた演奏。アレンジはB10のバージョンに近いが、雰囲気はずっと明るい。3.は最初からバックコーラスが前面に出てくる。これがとてもいい感じで、JTの演奏で身内の人がコーラスを担当するときに醸し出されるマジック(家族の絆)がはっきり感じられる素晴らしい演奏。後半はA15と同じくアップテンポの伴奏になる。4.はサリーがハーモニーボーカルをつけるデュエット・バージョン。以前テレビ放送映像で二人の演奏を観た事があるし、いろんな人との共演があるけど、この人のものは何度でもいいですね。もともとは妹のケイトテイラーのために書いた曲らしい。聴いていると、サリーの声が以前よりも豊かになっていることに気づいた。5.はボブ・ディラン1963年の名作「The
Freewheelin'」に収録された名作「くよくよするなよ」の驚きのカバーだ!彼がディランの曲をカバーするのは、1979年の「No Nukes」コンサートの「The
Times They Are A-Changin' 」以来だ。丁寧なギター伴奏による弾き語りからスタートして、途中からリズムセクションとドブロの伴奏が加わるお宝物音源。6.はモダンブルースの巨人タジ・マハールの名作「The
Natch'l Blues」1968 に入っていた曲で、1980年にブルースブラザースが同名の映画でこの曲を取り上げ、有名になった。そういえば故ジョン・ベルーシはJTの親友だったな〜。ここではライブのもう一人の出演者、ケブ・モーとのデュエットで演奏される。ケブ・モーは、ロバート・ジョンソンなどの古典をルーツとして、それにモダンな味付けを加えたブルース音楽をスタイルとする人(1951年生まれ)で、異色の共演と言えるだろう。演奏の途中で、アナウンサーによる番組最後のコメントが入るが、曲のリズムを崩していないので、あまり気にならない。
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Iowa State Fair 2006 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Michael Landau : E. Guitar
Larry Goldings : Keyboards
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Andrea Zonn : Violin, Back Vocal
Arnold McCuller, David Lasley, Kate Markowitz : Back Vocal
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. October Road
3. The Water Is Wide [Traditional]
4. Irish Fiddle Tune Medley [Traditional] (Instrumental)
5. Sweet Baby James
6. Copperline [Reynolds Price, James Taylor]
7. Family Man
8. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
9. Fire And Rain
10. Mexico
[Second Set]
11. Steamroller Blues
12. Caroline I See You
13. Why Baby Why [Darrell Edwards, George Jones]
14. Oh What A Beautiful Morning [Richard Rodgers, Oscar Hammerstein II]
15. Chili Dog
16. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
17. Your Smiling Face
18. Carolina In My Mind
19. Shower The People
20. How Sweet It Is (To Be Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
21. You've Got A Friend [Carole King]
22. Secret O' Life
録音: 2006年8月11日 Iowa State Fair Grandstand, Des Moines, IA
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ワンマン・バンド・ツアーは2006年3月から2008年4月までの約2年間行われたが、その間2006年8月と2007年10〜11月のみ、レギュラーバンドによるツアーが実施された。本音源は前者にあたる8月11日の録音で、パーカッションとブラス・セクションを除いた編成となっている。アイオワ・ステート・フェアは
1854年から続く州のお祭りで、約10日間の開催期間中に百万人を超える人々が参加する大掛かりなものだ。そこでは州の主要産業である農業・畜産業に関する催し物や各種のコンテスト、昔の生活の再現コーナー、新しい地元企業の展示などの他に、会場内で多くのフリーコンサートが開催され、毎年超大物アーティストを招聘。JTは2006年の目玉として出演したもの。
コンサートはバンド伴奏付きの1.「Something In The Way She Moves」から始まる。野外のフリーコンサートらしく、会場はザワザワしているがオーディエンスの反応は良く、アメリカにおけるJTの人気の根強さが感じられる。マイケル・ランドウのスティール・ギター・エフェクトによるギタープレイが巧み。2.「October
Road」はアーノルド・マックラーのハーモニー・ボーカル、3.「The Water Is Wide」ではアンドレア・ゾーンのバイオリンが印象的。JTが彼女を紹介した後、ドラムスの伴奏を主として
4.「Irish Fiddle Tune Medley」が演奏されるが、いつもの「Whisky Before Breakfast」とは別の曲なのが珍しい。5.「Sweet
Baby James」に続き、「故郷ノースキャロライナの歌です」と紹介され6.「Copperline」が歌われるあたりで、 演奏曲がいつものコンサートと異なることに気づく。アメリカ中部という場所と「ステート・フェアー」という地域の催しを意識して、田舎向けのラインアップになっているようだ。ここでもアンドレアのバイオリンが大活躍する。7.「Family
Man」になって、コーラス隊を伴うソウル風の曲が初めて出てきた。ここでオーディエンスのリクエストに対し、JTは「(この曲は)セットリストによると後で演るからね!」と応えている。8.「Handy
Man」は、歌い始めてしばらく経ってから、オーディエンスが何の曲が気が付いて声援を送っており、JTのファンばかりでないフリーコンサート特有の雰囲気だ。いつものギター独奏の後、
9.「Fire And Rain」が始まると、オーディエンスは大声援で反応する。この曲におけるスティーブ・ガッドはハイハットのプレイに特徴があり、このようなスローな曲でも彼の才能がフルに発揮されている。休憩前の最後の曲は、10.「Mexico」で跳ねたリズムが最高。
セコンドセットは、スローなアレンジによるブルース曲 11.「Steamroller Blues」から。ラリー・ゴールディングスのオルガンとマイケルのギターが切れ味鋭くヘビーな間奏ソロを聴かせる。会場の興奮が収まった後に演奏される
12.「Caroline I See You」は、各楽器の響きが美しい。エンディングのハーモニカのような音はラリーのシンセサイザーかな?ジョージ・ジョーンズの曲と紹介されて歌われる
13.「Why Baby Why」は、現地で人気があるカントリー音楽で、後に「Covers」2008 A20で公式録音された。ミュージカル「オクラホマ!」からの
14.「Oh What A Beautiful Morning」も本ツアー向けのレパートリーで、これは「Other Covers」2009 A21に収められた。15.「Chili
Dog」は、ワンマンバンド・ツアーの常連曲だったが、このようにフルバンドで演奏されることは珍しく、特にコーラス隊が聴きもの。16.「Up On
The Roof」は何度聴いてもいいですね。特に後半部分でアップテンポになるあたりは、前向きというか楽観的な感じで、なんだか励まされてしまいます。間髪入れずに始まる
17.「Your Smiling Face」は、ジミー・ジョンソンのベースとスティーブ・ガッドのドラムスの乗りが素晴らしく、本当に最高のリズム・セクションだ。18.「Carolina
In My Mind」は、コーラス隊と一緒に厳かに歌われる。19.「Shower The People」では、いつもながらではあるが、エンディングのアーノルド・マックラーのソロボーカルで大いに盛り上がる。興奮が醒めないまま
20.「How Sweet It Is (To Be Loved By You)」に突入、オーディエンスが手拍子で乗り乗りだ。間奏ソロはラリーのオルガンとマイケルのギター。最後はアップテンポになって、アーノルドのアドリブ・ボーカルとコーラス隊が張り切るR&B調のパートが入る。アンコールは
21.「You've Got A Friend」と、丁寧に歌われる 22.「Secret O' Life」で、最後に花火の音が聴こえて終わる。
オーディエンス録音でマイク近くにいた人々の会話も入っているが、各楽器はしっかり聴こえるし、臨場感もあるしっかりした音になっている。アメリカ中部でのコンサートの模様がわかる音源。
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Wilshire Theater, Los Angeles 2007 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 13), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Mean Old Man
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Slap Leather
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Steamroller Blues
[Second Set]
11. Secret O' Life
12. Line 'Em Up
13. Chili Dog
14. Shower The People
15. Sweet Baby James
16. Carolina In My Mind
17. Fire And Rain
18. Out Town [Randy Newman]
19. Copperline
* JT非参加
収録: 2007年2月20日 Wilshire Theater, Los Angeles
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2007年のワンマン・バンドは、西海岸から始まった。2月13〜17日のサンフランシスコに続き、2月20〜24日にロスアンゼルスで行われたコンサートの模様を聴くことができた。会場のウィルシャイア・シアター(現在は Saban
Theaterに改名)は、1930年ベバリー・ヒルズに建てられた劇場で、当時20世紀フォックスが製作した映画のプレミア上映が行われ、1981年にライブ会場として改装された。そのアールデコ風の豪華な建築・内装はロサンゼルスの歴史的建造物となっている。
2006年のワンマンバンドのコンサートは、初回の3月から5月までの前半、フルバンドによるサマー・ツアーの後に行われた、10〜11月で構成がほぼ固まった。曲の合間にスクリーンで映像付きでJTの話しを入れてゆくという構成で、語りの内容も脚本のようにあらかじめ書かれた内容に基づいたもので、曲順も同じになるため、当時のコンサートの音源を聴き比べると、ほとんど同じに聞こえる。その中でもJTの語りのちょっとした違い、観客とのやりとり、アドリブめいた言葉などがあり、それはそれで面白いものだ。またラリー・ゴールディングスの伴奏が、その都度全く異なる演奏となっており、ジャズピアニストとしての本領発揮といえる即興性が大きな魅力となっている。
本音源は、オーディエンス録音によるもので、JTの語りに対する笑いや歓声などの観客の反応が大きめな音で捉えられており、楽しい雰囲気が伝わってくる。
本音源が他のワンマンバンドのコンサートと大きく異なる点がひとつある。それはランディ・ニューマンの 18.「Out Town」を歌っていることで、この曲は、もともと2006年の映画「Cars」の主題歌としてJTの歌で録音されたもの(詳細はB45参照)。実は、本コンサートの5日後(ウィルシャイア・シアターで公演最終日の翌日)の2月25日、ハリウッドのコダックシアターで第79回アカデミー賞授与式があり、主題曲賞にノミネートされた本曲がJTの歌とランディのピアノ伴奏で演奏されているのだ(「その他断片(音源・映像)」のコーナー参照)。おそらく、授与式のリハーサル、話題作りのため特別にこの曲を演奏したんじゃないかな?その代わりに19.「Copperline」が終わった後は、ジョージ・ハリソンの「If Not For You」が流れてコンサートの終了を伝えており、いつも最後に演奏された「You
Can Close Your Eyes」はカットされたようだ。
「Out Town」を歌っているという意味で、ワンマンバンドの音源としてユニークな存在。
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Hammersmith Apollo, London 2007 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 13), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Mean Old Man
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Slap Leather
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Steamroller Blues
[Second Set]
11. Secret O' Life
12. Line 'Em Up
13. Chili Dog
14. Shower The People
15. Sweet Baby James
16. Carolina In My Mind
17. Fire And Rain
18. Copperline
19. You Can Close Your Eyes
* JT非参加
収録: 2007年4月23, 24日 Hammersmith Apollo, London
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「One Man Band」 E14として公式発売されたマサチューセッツ州ピッツフィールドのコンサートの約3ヶ月前の音源。この頃になると、JTの語りは完成されていて、その内容は公式版とほぼ同じになっている。実際のコンサートを行うことで、回を重ねながら完璧を目指して磨き上げてゆく彼のスタイルがよく出ている。オーディエンスも本コンサートの趣旨をよく理解しており、初期のコンサートのように騒いだりヤジを飛ばす人もいない。ただJTの音楽を楽しみ、会話に笑っている。オーディエンス録音で、第1部と第2部の初めの部分でマイクのセッティングが定まるまでの間、マイクが物に当たって擦れるノイズが入るが、それ以外は問題ない。近くに座っている観客の拍手が大きい傾向はあるが、話声は少なく静か。JTのギター、ラリーのピアノともに音の厚みが十分で、臨場感があり音楽として十分に楽しめる。
会場のハンマースミス・アポロは、ロンドン市内にある古い劇場で、1932年のオープン。以前はハンマースミス・オデオンと呼ばれていたが、2006年にハンマースミス・アポロになり、現在はHMV
ハンマースミス・アポロという名称になっている。JTは最後の挨拶で、彼の人生のドアがロンドンで開けたことを感謝して、「ロンドンに帰ってきた」と言い、オーディエンスの喝采を浴びている。
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Verison Wireless Arena, Manchester 2007 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 13), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Mean Old Man
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Slap Leather
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Mexico (With Band)
[Second Set]
11. Steamroller Blues
12. Secret O' Life
13. Line 'Em Up
14. Chili Dog
15. Shower The People
16. Sweet Baby James
17. Carolina In My Mind
18. Fire And Rain
19. Shed A Little Light (With Band)
20. How Sweet It Is (To Be Loved By You) (With Band) [Holland, Dozier,
Holland]
21. Copperline
22. You Can Close Your Eyes
* JT非参加
収録: 2007年8月18日 Verison Wireless Arena, New Hampshire, U.S.A.
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ニューハンプシャー州は、アメリカ東部ニューングランド地方の北、カナダ国境に近くにある、州最大の都市マンチェスターにあるイベント会場は、建設中はCivic
Arenaと呼ばれていたが、後に命名権が販売され Verison Wireless Areaという名前になった。アイス・ホッケーやバスケット・ボールの他に、収容人数
11,170人のコンサート会場として使用されている。JTは、2007年7月14日から8月29日まで、アメリカ東部5ヶ所をめぐる「ワンマン・バンド」ツアーを実施。本音源はその時のもので、E14として公式発売されたマサチューセッツ州ピッツフィールドのコンサートの約1ヶ月後の音源。
公式映像収録済みということで、JTはリラックスして語り、演奏している。オーディエンスの反応もすこぶる良く、よく笑い、歓声をあげる。内容的にはE14とほとんど同じであるが、新しい趣向として、バンドの演奏を予め撮影し、スクリーンに映し出しながら演奏する曲を加えている点だ。JTによると、多くの人が「Mexico」をリクエストするけど、アコースヒック・ギターとピアノだけでは上手くできないので、実験的にやったとのことで、自身で「Karaoke」と呼んでいる。JTのギターはその場で弾いているように思えるが、ラリーのピアノはどちらか分らない。 19.「Shed A Little Light」、20.「How Sweet It Is (To Be Loved By You)」も同様で、後者ではアーノルドのアドリブボーカルをフィーチャーした急速調のエンディングもしっかり付いている。
オーディエンス録音で、アリーナ特有のリバーブが深い音であるが、聴きやすく暖かみがあるので良いと思う。
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Prairie Home Companion 2007 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
[Guy's All-Star Shoe Band] (1,3,4,5,7,8)
Richard Dworsky : Keyboards
Pat Donohue : Guitar
Gary Raynor : Bass
Arnie Kinsella : Drums
Andy Stein : Violin (5,7,8) , Sax (3)
Owen Young : Cello (2,7,8)
Inga Sweavingen : Back Vocal (8)
Garrison Keillor : Host, Narration (6)
Fred Newman : Sound Effect, Narration (6)
Tim Russell : Narration (6)
Sue Scott : Narration (6)
Kim Taylor : Narration (6)
1. 4th Of July
2. Something In The Way She Moves
3. Everybody Has The Blues
4. Happy Birthday Kimmie
5. Caroline I See You
6. Brain Script (Comedy)
7. Sweet Baby James
8. The Water Is Wide (Fade Out) [Traditional]
録音: 2007年6月30日、Tanglewood Music Shed, Massachusetts
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人気ラジオ番組「Prairie Home Companion」に、奥様のキムと一緒にゲスト出演。会場のタングルウッドは、ボストンから西へ約150キロ、マサチューセッツ州レノックスとストックブリッジの境にある大自然に囲まれた音楽施設で、1930年代よりボストン・シンフォニー・オーケストラ(BSO)の活動拠点となり、若いクラシック音楽家のサマースクールとしても大変有名。この放送が収録されたTanglewood Music Shed(屋根付・野外開放型で収容人員は5100人。1938年建造、1959年改装)や、1994年当時、BSOの常任指揮者だった小澤征爾を記念して建立されたSeji
Ozawa Hall(JTがツアーのリハーサルをここで行ったことがあり、2003年公開リハーサルのラジオ音源がある)などのコンサート会場がある。この地は彼にとって馴染みのある地域であると同時に、奥様のキャロライン・スメドヴィッグ(キム)がBSOの運営スタッフであることもあり、JTとの縁が大変深い。彼自身も、ファンとの触れ合いを大切にしたピクニック気分のコンサートを毎年夏に開催している。
番組の作者、ホストのガリソン・ケイラー(1942- )は、ライター、ユーモリスト、ラジオ司会者で、1970年代から自己のラジオ番組で活躍。特に1974年から始まった「Prairie
Home Companion」は、1987〜1993年の中断を経て今日に至る人気番組で、土曜日の午後5〜7時の2時間の放送。シリーズとして架空の街での出来事のモノローグ、架空スポンサーのコマーシャル・トーク、レギュラー参加者であるアナウンサー、声優達とのコメディー・トークといった定番コーナーと、フォーク、ブルース、カントリー音楽のゲストの演奏と会話が売り物。番組の本拠地はミネソタ州セントポールであるが、今回のような他地域へのロケによる番組収録もあるそうだ。ちなみに2006年のロバート・アルトマン監督の遺作「Prairie
Home Companion」(邦題「今宵、フィッツジェラルド劇場で」)は、この番組をモチーフとしたフィクション(映画で展開されるラジオ番組の内容は異なる)で、ガリソン自身が本人の役で出演していた。
「年老いる人もいるし、それとともに良くなる人もいる」というガリソンの紹介で、JTが登場し、1.「4th Of July」を歌う。バックバンドがいつもと異なるので、前半は少しアンコンフォタブルな感じがするけど、テンポが安定した中盤から調子が出てきて俄然リラックスした演奏になる。バンドの演奏は控えめで良い。ハウスバンドの音楽監督でもあるピアノのリチャード・ドウォースキーはニューエイジのジャンルで数枚のソロアルバムを出し、ウィンダムヒル・レーベルのオムニバス作品にも参加している。2.「Something In The Way She Moves」は、BSOのチェロ奏者、オーウェン・ヤングとの共演。過去にも彼との演奏の映像(E6他)が残されているが、この曲を演奏するのは初めてだと思う。エンディングで二人の演奏が少し乱れるのはご愛嬌。3.「Everybody Has The Blues」はバンドの雰囲気にあった曲で、皆楽しそうに演奏している。ここでエレキギター・ソロを披露するパット・ドノヒューは、アコースティック・ギターによるフィンガースタイル・ギタリストの達人として知る人ぞ知る存在。高度のテクニックを駆使した2本の腕によるワンマンバンドは、ジャズの複雑なリズムパターン、ベースラインを見事に再現する。ブルースやカントリーなどのアメリカンのルーツ音楽への造詣も深い人だ。もちろん、ここではパットは控えめに演奏しているけど、ファンにとってはJTとの夢の共演なのだ。ガリソンの紹介で、JTは 4.「Happy Birthday Kimmie」をさらっと歌う。この日はたまたま奥様の誕生日にあたり、収録前に彼女に「Caroline」と名付けたヨットをプレゼントしたそうだ。続く 5.「Caroline
I See You」は、何時になく心が籠った演奏で素晴らしい! バックの演奏も新鮮だ。
6.「Brain Script」はガリソンと声優達にJTとキムが加わったコメディーで、機械を使用した科学的方法によりJTの心の中身を除くという趣向。リチャードが演奏するシンセサイザーと、俳優、声優でもあるフレッド・ニューマン(FN)による効果音が抜群の切れ味を発揮する。
[ここからはネタバレがあるので、ご注意ください!]
「音楽的影響」の部分では、FNが歌う「Copacabana」(バリー・マニロウによる1978年のディスコ調ヒット曲)、「I Want To Know
What Love Is」(ロックグループ、フォリナーによる1984年ヒットのバラード曲)が飛び出し、観客は大笑い。そして催眠状態にあるJT本人がいきなり「Flintstone」
(邦題:「原始家族フリントストーン」、石器時代を舞台とした1960年代の人気アニメーションのテーマソング)の1節を歌い、皆をびっくりさせる。奥さんのキムのセリフにより、健康管理面でJTにいろいろ注意するシーンが再現される。そこでは完全に子供扱いだ。また「怖れ」のコーナーでは、「You've
Got A Friend」を歌ってブーイングにあう様や、カーネギーホールのコンサートで歌詞を忘れまくり15分で降板する様が表現される。傑作なのが、アナウンサー、声優のティム・ラッセルによる「You're
one of my favorite singers. Laura and I love everything you've done」というセリフで、それをジョージ・ブッシュの声色でやるもんだから、観客は腹を抱えてぎゃあぎゃあ笑っている。「妄想」の部分では、マリリン・モンローからセクシーな声色で「Happy
Birtday」と迫られるシーン(J.F.ケネディー大統領の誕生日のエピソードのパロディー)、ワールドシリーズで、ボストン・レッドソックスの一員として決勝打を放つシーンなど、聴き所たくさん。器具が取り外されて正気に戻ったJTが、「I
feel like I've seen fire and I've seen rain」と言うのが最後の落ち。
[以上ネタバレ・コーナーはおしまいです]
JTは番組の合間に登場して曲を披露する番組構成。終盤で演奏される 7.「Sweet Baby James」はオーウェン・ヤングとバンドによる伴奏が加わる。歌詞に出てくるボストンの地名にオーディエンスは大喜び。最後の
8.「The Water Is Wide」では、別のゲストであるジャズ歌手のインガ・スウェヴィンゲンがバックボーカルに加わるが、歌詞の2番の途中で番組のナレーションが入りフェイドアウトしてしまい残念。JTとガリソンは息が合ったようで、番組終了後もステージに残り、トークや演奏を続けたそうだ。最後は二人に観客が加わり、「Auld
Lang Syne」(蛍の光)を歌って締めたシーンの断片をインターネットの投稿で見ることができた。
キムの誕生日のお祝いという私事、ガリソンのパーソナリティー、スタッフとの一体感が重なって、独特の雰囲気が醸し出されており、出色の出来栄え。
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Heineken Music Hall, Amsterdam 2008 |
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James Taylor : A. Guitar, E. Guitar (10, 13), Vocal
Larry Goldings : Keyboards
[First Set]
1. Something In The Way She Moves
2. Never Die Young
3. The Frozen Man
4. Mean Old Man
5. School Song * [Larry Goldings]
6. Country Road
7. Slap Leather
8. My Traveling Star
9. You've Got A Friend [Carole King]
10. Steamroller Blues
[Second Set]
11. Secret O' Life
12. Line 'Em Up
13. Chili Dog
14. Shower The People
15. Sweet Baby James
16. Carolina In My Mind
17. Fire And Rain
18. Copperline
19. Mexico
20. You Can Close Your Eyes
* JT非参加
収録: 2008年4月5日 Haineken Music Hall, Amsterdam
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2008年3月29日のスコットランド、エジンバラから始まり、4月23日デンマーク、コペンハーゲンまで続いたヨーロッパ・ツアーは、最後の「ワンンマン・バンド」となった。このフォーマットによるライブCD・DVDがすでに製作・発売(2007年11月)されており、その後ということで、コンサートの進行も成熟した感じで、JTもリラックスした感じで語り、歌っている。
曲順、語りの内容は公式発表の「One Man Band」 E14とほぼ同じであるが、唯一新たな趣向として演奏されたのが、19.「Mexico」だ。2006年3月から2年間続いた二人きりのコンサートのマンネリ化を避けるためか、19.「Mexico」1曲のみ、予め録音したバンドの演奏をバックにJTが「Karaoke」と称して歌う。語りの際に使うスクリーンには演奏するバンド(紹介はされないが、いつものメンツと思われる)の演奏風景が映っているようだ。ラリーとJTがその場で楽器を演奏しているか否かは不明。
JTが歌うカラオケ・バージョンの「Mexico」を聴けるのがうれしい音源。録音も良い。
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