Civic Center, Atlanta, Georgia 1981 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Waddy Wachtel : Electric Guitar, Acoustic Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar
Bill Payne : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Marotta : Drums
Peter Asher : Percussion
J. D. Souther : Vocal (16)
David Lasley, Arnold McCuller : Back Vocal
[First Set]
1. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
2. Stand And Fight [James Taylor, Jacob Brackman]
3. Brother Trucker
4. Hey Good Lookin' [Hank Williams]
5. Walking Man
6. Hard Times
7. It's Gonna Work Out Fine [Rose Mary McCoy, Sylvia McKinney]
8. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
9. Fire And Rain
[Second Set]
10. Sugar Trade [James Taylor, Jimmy Buffett, Timothy Mayer]
11. Millworker
12. Twelve Gates To The City [Traditional]
13. Steamroller
14. I Will Not Lie For You
15. Daddy's All Gone
16. Her Town Too [James Taylor, J.D. Souther, Waddy Wachtel]
17. You're Only Lonely [J.D. Souther]
18. Faithless Love [J.D. Souther]
19. Your Smiling Face
20. Mexico
21. Country Road
22. Money Machine
23. You've Got A Friend [Carole King]
24. That Lonesome Road
録音: 1981年5月13日 Civic Center, Atlanta, Georgia
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「Dad Loves His Work」 A11 プロモーションのためのツアーを録音したもので、バンドも同作のレコーディング・メンバーが参加している。この音源のうち約半分は当時ラジオで放送されたものという。当初の音源の記事では、「当初出回ったものは、サウンドボード録音の割りには全般的に歪んだ音になっており、聴いていると疲れてしまうのが残念」と書いたが、2010年に聴いた音源では、音質面でかなり改善されていて、かなり聴きやすくなった。さらに2015年に耳にした音源は、音質面で全く問題ない画期的なもので、本コンサートについて初めて正しい評価ができるようになった。
いつもはフィナーレで演奏する 1.「How Sweet It Is」を最初に持ってきた構成は珍しい。編集で曲順を入れ替えたのかなと思っていたが、演奏およびオーディエンスが比較的冷静なので、間違いない。ここではワディ・ワクテルのギター伴奏パターンが印象に残る。JTのバックを担当したギタリストの中では、ロック色が強かった人で、ディストーションを効かせた音、ギターソロの鋭さはピカイチだ。またデビッド・ラズリー、アーノルド・マックラーのバックコーラス隊との掛け合いなど、その後長い付き合いとなる人達との初期のライブ演奏風景が楽しめる。リック・マロッタのドラムスについては、これまで「録音の関係で耳障りに聴こえてしまうのは可哀想だ。その事を割り引いても彼のドラミングスタイルは、音数が多くパワフル過ぎる感じもするので、JTのスタイルには合わないかもしれない」と書いてきたが、2015年に聴いた音源は、歪みがなくなってクリアーになったため、パワフルでありながら繊細さも持ち合わせた彼のスタイルが明らかになった。これまではドラムの音が耳触りで長時間聴くと疲れてしまっていたのだが、全曲通しで気持ちよく楽しめるようになったのだから、最高の改善だ!キーボードはリトルフィートのビル・ペイン(一部の資料でドン・グロルニックとあるが間違い)で、彼が使うシンセサイザーの1980年代前半の少し安っぽい音が懐かしい。またマネージャーのピーター・アッシャーもパーカッションとして紹介される。
2.「Stand And Fight」のライブ演奏は比較的珍しい。イントロのリズムギターは、ハードロックそのもの。間奏のシンセサイザーソロは、ビル・ペイン独特の音使いだ。
3.「Brother Trucker」もヘヴィーなサウンド。 4.「Hey Good Lookin'」は現代ポピュラー音楽の父と呼ばれるハンク・ウィリアムス(1923-1953)のヒット曲。音楽がラジオなどのメディアを通じて大量配信される時代に登場したスーパースターだったが、本人は酒とクスリに溺れ、仕事や私生活が破綻。29歳の若さで、コンサート会場に向かうキャディラックの中で亡くなったという。この曲はスタンダードとしてジョニー・キャッシュ、フランキー・レインはもとより、ジェリー・リー・ルイス、ジーン・ヴィンセント、ロイ・オービソンなどのロックンロール歌手や、ディーン・マーチンもカバーしている。JTはダン・ダグモアのペダル・スティールギターをバックに、いつもよりも高めのトーンで歌いきっている。5.「Walking
Man」では、最近のコンサートでコーラスが担当しているエンディングのリフをワディがエレキギターで演奏しているのが、変わった感じで面白い。6.「Hard
Times」は、現在に至るまで続くJT、アーノルド、デビッド3人の絆を感じさせる初期の歌唱で、悩むJTをバックの二人が優しく励ましているかのようだ。
7.「It's Gonna Work Out Fine」1961年のアイク・アンド・ティナ・ターナーのヒット曲(全米14位)のカバーで、軽快なR&Bだ。ティナ・ターナーは当時旦那のアイクと一緒のグループで活動、セクシー・ダイナマイトの異名を買っていた。JTとリンダ・ロンシュタットのデュエットによる録音が彼女のアルバム「Get
Closer」1982 C40に収められている。ここではJTはコーラス隊と掛け合いで歌っている。ここでもワディーのギターはヘヴォーなロックサウンドで迫っている。8.「Up
On The Roof」、9.「Fire And Rain」と続くが、こういう曲においても、JTのボーカルに力が入っていて、苛立った感じといってよいのか、何か余裕がないような気がする。当時は、私生活面において結婚生活が危機的状況だったはずで、当時の精神状態を物語っているかもしれない。
セカンドセット最初の曲 10.「Sugar Trade」は友人のジミー・バフェットとの共作曲で、ライブ演奏は珍しい。11.「Millworker」は好演。12.「Twelve Gates To The City」は、「Oh What A Beautiful City」というタイトルでも知られる、古くからある黒人霊歌。1940年代にブルースシンガーの
ブラインド・ボーイ・フラーやレヴェゲンド・ゲイリー・デイビスの録音が残され、ピート・シーガーやデイブ・ヴァン・ロンク等のフォークシンガーが歌っている。最近ではカーリー・サイモンが、2002年に発表したクリスマス・アルバムでカバーしている。JTのアコギとパーカッション、オルガンのみをバックに、コーラス隊と歌う。ギターおよびボーカルスタイルは、当時通の間で人気が高かったライ・クーダーのサウンドそのもので、JTがコンサートでライのスタイルの真似をして楽しんでいた様が伺える。そういえばアーノルド・マックラーはライ・クーダーのバックも担当していたね!13.「Steamroller」では、まずダン・ダグモア(もしかしたらワディー・ワクテルかも?)のヘヴィーなギターソロが聴ける。ビル・ペインのアコースティック・ピアノによるブルージーなソロはさすがに素晴らしい。その後にフィーチャーされるスライドギターのソロはワディ・ワクテル(もしかしたらダン・ダグモア?)。
14.「I Will Not Lie For You」のライブ演奏は珍しい。アーノルドとデビッドのコーラス隊が良い。15.「Daddy's All Gone」落ち着いた感じの良い演奏だ。ここでJTのアナウンスが入り、ゲストとしてJ.D.サウザーが紹介され、16.「Her Town Too」が演奏される。レコードとほぼ同じサウンドであるが、この曲のライブ演奏を聴けるだけでも本音源の価値がある。続く17.「Your
Only Lonley」(1979年全米7位のヒット曲)はJ.D.一人で歌っているが、バックコーラスでJTの声が聞こえる。18.「Faithless
Love」(1976年のアルバム「Black Rose」収録)は名曲で、JTとのデュエットが楽しめることで本音源は貴重。前述の2曲は、初期の音源ではカットされていたもの。20.「Mexico」に続き演奏される
21.「Country Road」はハードな演奏。 22.「Money Machine」はとてもハードでファンキーな演奏になっている。リー・スクラーのベースが縦横無尽の動きを見せる。本音源は、彼のプレイが前面に出るようなミキシングのため、全編でベースラインを楽しむ事ができる。本エンディングのアドリブ・パートにおけるJTのボーカルには、シニカル言葉の中に哀しさが感じられ、当時の心境が込められているような気がする。最後はコーラス隊と一緒に「Goodbye
goodbye」の掛け声となり、歌いながらバンドメンバーの名前を紹介してゆく。 23.「You've Got A Friend」はこの中では。最も落ち着いた演奏であるが、それでもJTの歌い方は崩し気味。最後は
24.「That Lonesome Road」で厳かに幕を閉じる。
20年以上かけて、曲目が増え、音質も改善した音源。
[2010年4月: 内容を一部変更しました]
[2015年9月: 音質良好の完全版を聴くことができたので、内容を変更しました]
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Radio City Music Hall, New York 1981 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Waddy Wachtel : Electric Guitar, Acoustic Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar, Banjo (5)
Bill Payne : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Marotta : Drums
Peter Asher : Percussion
David Lasley, Arnold McCuller : Back Vocal (3,6,7,10,11,12,17,19)
1. You Can Close Your Eyes
2. Mona
3. Wandering [Traditional]
4. Sweet Baby James
5. Riding On The Railroad
6. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Marie McCoy, Joe Seneca]
7. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
8. Brother Trucker
9. Hey Good Lookin' [Hank Williams]
10. Walking Man
11. Hard Times
12. Stand And Fight [James Taylor, Jacob Brackman]
13. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
14. Fire And Rain
15. Blossom
16. Millworker
17. Twelve Gates To The City [Traditional]
18. Steamroller
19. Daddy's All Gone
録音: 1981年5月21日 Radio City Music Hall, New York
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5月19日のアトランタのコンサートでも言及したが、ここでのJTはストレスを抱えた状態で、当時の私生活の行き詰まりのはけ口を仕事で発散させているかのようだ。彼の歌声や語りに持ち味である温かみはなく、アルバム「Dad
Loves His Work」1981 A11にみられるダークな世界が広がっているように思われる。1979年のBlossom Music Center
のコンサートE1と比較してもその違いは明らかだ。1.「You Can Close Your Eyes」を始める前の「Welcome to the
happiest day of my life」という語りに、シニカルな響きが感じられるのは偏見だろうか? 2.「Mona」がアルバムに収録されたのは、1985年の「That's
Why I'm Here」 A12であり、このコンサートの時点では未発表曲だった。曲についての長い語りが入るが、彼がコンサートでこのようなトークを始めた最初と思われる。ぎこちない感じで、後の1997年「VH1
Storyteller」における、同曲に係るユーモアとペーソスに溢れた語り口と比べると雲泥の差がある。さらに2007年「One Man Band」での円熟した話術までの20数年の道のりを考えると、シャイで口下手な人間が努力と鍛錬でここまでになれるんだという感慨がある。ここでは弾き語りで、じっくり聴かせてくれる。ギター1本とコーラスのみで演奏される
3.「Wandering」は、静謐な孤独感に満ちていて心に迫る好演。4.「Sweet Baby James」が始まると、観客から歓声が起きる。ここではダン・ダグモアがスティール・ギターで伴奏を付ける。彼は
5.「Riding On The Railroad」では、バンジョーを弾き、途中からバンドがフィルインし、アップテンポのカントリーロックになる。
ここでJTはワディー・ワクテルを紹介し、彼がヘヴィーなサウンドでイントロを奏で、6.「I Think It's Gonna Work Out Fine」が始まる。この曲は、1961年のアイク・アンド・ティナ・ターナーのヒット曲(全米14位)で、軽快なR&Bだ。ティナ・ターナーは当時旦那のアイクと一緒のグループで活動、セクシー・ダイナマイトの異名を買っていた。ちなみにこの曲は、1982年のリンダ・ロンシュタットのアルバム「Get
Closer」C40に、JTとのデュエットバージョンが収録された。ここではバックコーラスの二人が頑張っている。 7.「How Sweet It Is」は、ピアノのビル・ペインの独壇場で、曲の全編で弾きまくっている。特に間奏のソロは奔放かつワイルドだ。8.「Brother Trucker」のような孤独なトラック運転手の歌は、当時の彼の心境に合っていたようで、そのボーカルには聴き応えがある。後半のピル・ペインの伴奏プレイに注目(「Flag」
A10のドン・グロルニックと全然違う)。
9.「Hey Good Lookin'」については、19日のアトランタのコンサートの記事を参照のこと。ダン・ダグモアのペダル・スティールがカントリー音楽風のサウンドを出している。
私が聴いた音源では、10.「Walking Man」は何故か途中が編集でカットされていた。11.「Hard Times」は当時の困難な状況のテーマソングのような曲で、苦悩するJTのボーカルをバックコーラスが優しくサポートする感動的な曲だ。12.「Stand And Fight」は、2台のエレキギターがロックするヘヴィーなサウンドで迫る。コーラス隊の盛り上げが鮮やかで、間奏のビルペインのシンセサイザーもユニーク。この頃の
14.「Fire And Rain」は、JTの歌いまわしがいつもとかなり違う点で特異なバージョンだ。これは19日の演奏についても言えることで、単に同じように歌うことに飽き飽きしたか、当時の精神状態でこの様に歌いたかったのか、真相は分からないが、大変ダークな雰囲気であることは確かで、それがある種異様な説得力をもって迫ってくる。リクエストに応えてと演奏する
15.「Blossom」は弾き語り。16.「Millworker」は、歌詞の主人公に自己を投影させた鬼気迫るプレイで、本音源のベストトラックだと思う。
17.「Twelve Gates To The City」は、19日のアトランタのコンサートの記事を参照のこと。18.「Steamroller」は、テンションが上がったJTのアドリブボーカルが変化に富んでいる。二人のギタリストとピアノの間奏ソロも素晴らしい。19.「Daddy's All Gone」はしっとりした演奏。ちなみに本コンサート全体において、リー・スクラーのしなやかなベースプレイが存分に楽しめる。
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California Jam, Japan 1981 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Linda Ronstadt : Vocal (4, 14, 18, 28))
J.D. Souther : Vocal (8, 14, 22, 27, 28)
Waddy Wachtel : Electric Guitar, Acoustic Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar, Banjo (3, 17)
Bill Payne : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Marotta : Drums
David Lasley, Arnold McCuller : Back Vocal
[Yokohama Stadium, Yokohama September 11]
1. Sweet Baby James
2. Wandering [Traditional]
3. Riding On A Railroad
4. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Marie McCoy, Joe Seneca]
5. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
6. Fire And Rain
7. You've Got A Friend [Carole King]
8. Her Town Too [James Taylor, J.D. Souther, Waddy Wachtel]
9. Your Smiling Face
10. Mexico
11. Country Road
12. Up On The Roof [Carole King, Jerry Goffin]
13. Steamroller
14. Rock & Roll Music [Chuck Berry]
[Koshien Stadium, Hyogo September 12]
15. Sweet Baby James
16. Wandering [Traditional]
17. Riding On A Railroad
18. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Marie McCoy, Joe Seneca]
19. How Sweet It Is [Holland, Dozier, Holland]
20. Fire And Rain
21. You've Got A Friend [Carole King]
22. Her Town Too [James Taylor, J.D. Souther, Waddy Wachtel]
23. Your Smiling Face
24. Mexico
25. Up On The Roof [Carole King, Jerry Goffin]
26. Steamroller
27. That Lonesome Road
28. Rock & Roll Music [Chuck Berry]
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ピーター・アッシャーのプロデュースによる、ローニン、J.D. サウザー、リンダ・ロンシュタット、JTのジョイント・コンサートのオーディエンス録音。9月11日の横浜スタジアム、翌12日の甲子園球場の2回開催分だ。JTについては、数日の間をおいた後に、数回の単独公演を行っている(うちインターネットで確認できたコンサートは、9月16日の東京武道館、9月17日の名古屋市公会堂、9月19日の福岡サンパレスの3ヶ所)。当時の録音技術としては、屋外のオーディエンス録音としては最良レベルの音質で、オーディエンスの拍手・歓声は小さめになっているので、非常に聴きやすくなっている。
コンサートはローニン、J.D. サウザー、リンダ・ロンシュタット、そしてトリのJTの順番。ジョイント・コンサートということで、通常の半分にあたる14曲という短めのセットになっている。バックは当時の最新アルバム「Dad Loves His Work」 1981A11でバックを務めた人達であるが、キーボードのみドン・グロルニックからリトルフィートのビル・ペインに交替している。なおメンバーは、同年9月の単独公演のプログラムから特定した。
1.「Sweet Baby James」にはダン・ダグモアのペダル・スティール・ギターが入る。2. 「Wandering」はJTのギターのみの伴奏で、バックコーラスの二人が優しく寄り添う。3.
「Riding On A Railroad」は、ダン・ダグモアが弾くバンジョーのおかげで、いつもとはかなり異なるサウンドになっていて面白い。
18.「I Think It's Gonna Work Out Fine」で、リンダ・ロンシュタットが登場。アイク・アンド・ティナ・ターナー1961年のヒット曲のカバーで、二人のデュエットが収録されたリンダのアルバム「Get
Closer」 C41が発売されるのは翌1982年なので、この時点でオーディエンスはアルバム未聴ということになる。スタジオ録音に比べ、ワディのギターがヘビーに押している。
5.「How Sweet It Is」では、JTの柔軟かつ奔放なボーカルが楽しめる。この頃のJTの歌い方は、メロディーの崩しやアドリブが特に多く、聴いていて楽しいね。間奏のビル・ペインのピアノは彼独特の音使いだ。8.「Her
Town Too」でJ.D.サウザーが登場。「Dad Loves His Work」 A11収録曲の再演は、文句なく本ステージのハイライトだ。9.「Your
Smiling Face」でもビル・ペインのピアノが大活躍。25.「Up On The Roof」は、ワディのファズが効いたギターにより特異なサウンドになっている。13.「Steamroller」は、ワディー・ワクテル
→ ビル・ペイン → ダン・ダグモアの順番でソロが回る(ギタリストの順番は演奏スタイルからの推測です)。アンコール、フィナーレの14. 「Rock
& Roll Music」は、ザ・ビートルズが「For Sale」1964でカバーしたチャック・ベリーの名曲で、全員が登場して JT
→ ワディ → J.D. → リンダの順番で歌っている。粗っぽいけど楽しいパフォーマンスだ。
翌9月12日の甲子園球場のコンサートの録音は、前日に比べて音が遠い感じがするが、同球場がグラウンド内に観客席を設けなかったので、スタンド席から録音したためと思われる。そのせいかオーディエンスの拍手・歓声も大きめの録音だ。前日とほぼ同じ曲順で進んでゆくが、終盤で違いが発生する。同日は
24.「Mexico」の後の「Country Road」を飛ばして、25.「Up On The Roof」になったことだ。その代わり 26.「Steamroller」の後に、前日にはなかった
27.「That Lonesome Road」が入る。これはJTとコーラス隊にJ.D.とリンダが加わってのアカペラ歌唱であるが、ローズマリー・バトラー等他のシンガーも加わっていると思われる。
特異なジョイント・コンサートを高音質で2日分たっぷり聴くことができるお宝音源。
以下、JT以外のセットについても簡単に述べる。
[Ronin]
29. America The Beautiful [Katharine Lee Bates, Samuel A. Ward]
30. Here Comes The Runner [Mike Botts, Waddy Wachtel]
31. Hey Nadine [Dan Dugmore, Waddy Wachtel]
32. Love's Coming Into My Life Again [Waddy Wachtel]
33. Up On The Cross [Waddy Wachtel]
34. Feels Right [Waddy Wachtel]
注: 横浜、甲子園 同一曲目
33.の作者については、ダン・ダグモアとの共作であるかもしれません
ローニンはワディ・ワクテルがリンダ・ロンシュタットのバックを務めた人達(ダン・ダグモア、リック・マロッタ、スタンリー・シェルドン)と結成したバンドで、1979年に「Ronin」というアルバムを出している。コンサートでは
33.「Up On The Cross」を除き、同アルバムからの曲を演奏。全曲なりヘヴィーなサウンドで、彼のボーカルもシャウト気味。ワディがJTバンドのギタリストの中で最も「ロックな人」だったことがわかる。なおオリジナル・メンバーで約40年ぶりに再結成されたバンドによる
2020年2月20日Billboard Live Tokyoでの来日コンサートのライブ盤が発売され、そこには未発表だった.「Up On The
Cross」も収められていた。
[J.D. Souther]
35. Simple Man, Simple Dream [J.D. Souther]
36. Banging My Head Against The Moon [J.D. Souther]
37. Mexico [J.D. Souther]
38. Silver Blue [J.D. Souther]
39. Prisoner In Disguise [J.D. Souther]
40. You're Only Lonely [J.D. Souther]
41. If You Don't Want My Love [J.D. Souther]
42. Home By Dawn [J.D. Souther]
43. Trouble In Paradise [J.D. Souther]
44. 'Til The Bars Burn Down [J.D. Souther]
45. James Dean [J. Browne, D. Henly, Glen Frey, J.D. Souther]
46. White Rhythm And Blues [J.D. Souther]
注: 46 は甲子園のみ
演奏曲について、35, 36, 38 は 2枚目のアルバム「Black Rose」1976から、40, 41, 43, 44, 46は 3枚目「You're
Only Lonely」 1979から、42は 4枚目「Home By Dawn」 1984から、37, 39, 43はザ・サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドの2枚目「Trouble
In Paradise」1975、「James Dean」はイーグルスのセルフタイトルアルバム1974 という構成。当時の最新アルバムからの選曲が多くなっている。39と40の間に行われたバンド紹介で、Bill
Payne (Keybords)、Kenny Edwards、Lee Sklar、(Bass)、Danny Kortchmer、Waddy Wachtel
(Guitar)、Rick Marotta、Russ Kunkell (Drums)の名前があがる。楽器で重複があるが、J.D.とリンダのステージで適宜交替して演奏しているのだろう。資料にあったBob
Glaub (Bass) の名前は何故か出なかった。35.「Simple Man, Simple Dream」はリンダ1977年のアルバムのタイトル曲に、38.「Silver
Blue」、39.「Prisoner In Disguise」 はリンダの「Prisoner In Disguise」1975に収録されていて、後者には彼がハーモニー・ボーカルで参加している。40.「You're
Only Lonely」は全米7位となった彼最大のヒット曲で、ロイ・オービソンの「Only The Lonely」1960 へのオマージュであることは明らかだ。曲が始まると大きな歓声が起きる。イーグルス、ジャクソン・ブラウンとの共作
「James Dean」は、J.D.本人による公式録音がないので、このようなライブ音源のみで聴くことができる。横浜球場はこの曲で終わり、甲子園球場は最後に
46.「White Rhythm And Blues」が演奏される。この曲はリンダ・ロンシュタットの「Prisoner In Disguise」
1975が初出だ。
[Linda Ronshtadt] [ ] の後はオリジナルのアーティストと発表年 (記述ない場合はリンダがオリジナル)
47. Mad Love [Mark Goldenberg]
48. It's So Easy [Buddy Holly, Noeman Petty] The Crickets 1958
49. Party Girl [Elvis Costello] Elvis Costello And The Attractions 1979
50. Willin' [Lowell Geroge] Little Feat 1970
51. I Can't Help It (If I'm Still In Love With You) [Hank Williams] Hank
Williams With His Drifting Cowboys 1951
52. I Can't Let Go [Al Gorgoni, Chip Taylor] Evie Sands 1965
53. Blue Bayou [Joe Maelson, Roy Orbison] Roy Orbison 1963
54. Faithless Love [J.D. Souther]
55. Hurt So Bad [Bobby Hart, Teddy Randazzo, Bob Weinstein, Bobby Wilding]
Little Anthony And The Imperials 1964
56. Poor Poor Pitiful Me [Warren Zevon] Warren Zevon 1976
57. You're No Good [Jesse Fuller, Clint Ballard Jr.] Dee Dee Warwick
1963
58. How Do I Make You [Billy Steinberg]
59. Back In The U.S.A. [Chuck Berry] Chuck Berry 1959
60. (Love Is Like A) Heatwave [Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland]
Martha & The Vandellas 1963
61. Desperado [Glenn Frey, Don Henley] Eagles 1973
注: 52は横浜のみ、60は甲子園のみ
61は「Don't Cry Now」1973から、50, 51, 54, 57, は「Heart Like A Wheel」1974 から、60は「Prisoner
In Disguise」1975、47, 48, 53, 56は「Simple Dream」1977 から、59は「Living In The
U.S.A」1978から、49, 52, 55, 58は「Mad Love」1980からの選曲。曲を書かない彼女が選びに選んだR&B、カントリー、ポップス、ロックの佳曲が、素晴らしいアレンジ・演奏で次々と歌われるステージ。51.「I
Can't Help It」を歌い終わった後で、ハーモニー・ボーカルを担当したローズマリー・バトラーが紹介される。52.「I Can't Let
Go」は横浜のみの演奏。54.「Faithless Love」は、作者のJ.D.とのデュエット。なおこの曲については、J.D.とJTとのデュエットによる音源がある(「その他断片(映像・音源)」1981年5月9日参照)。60.「(Love
Is Like A) Heatwave」は甲子園のみの演奏。イーグルスの名曲 61.「Desperado」が始まるとオーディエンスから大きな拍手と歓声が起きる。
ジョイント・コンサートの模様がフルに捉えられている。
[2023年10月作成]
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Rally For Disarmament 1982 音源・映像 |
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James Taylor : Guitar, Vocal
Chaka Kahn : Vocal (4)
John Hall : Vocal (5)
Linda Ronstadt : Vocal (6)
Waddy Wachtel : Guitar
Dan Dugmore : Steel Guitar, Guitar
Leland Sklar : Bass
Don Grolnick : Keyboards
Rick Shlosser : Drums
Arnold McCuller, David Lasley, Rosemary Butler : Back Vocal
1. That Lonesome Road
2. You've Got A Friend [Carole King]
3. Up On The Roof [Jerry Goffin, Carole King]
4. Stand Up And Fight [James Taylor, Jacob Brackman]
5. It's Growing [William Robinson, Warren Moore]
6. Children Cry (aka Bomb Has To Die) [James Taylor, John Hall, Joanna Hall]
7. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Mary McCoy, Sylvia McKinney]
録音: 1982年6月12日 Central Park, New York City
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ニューヨークのセントラル・パークに約百万人が集まって行われた反戦集会では、ジャクソン・ブラウン、ブルース・スプリングスティーン、リンダ・ロンシュタット、カーリー・サイモン、JT等多くのアーティストが歌い、当時WNEWというラジオ放送局がその模様を放送したという。これはそのエアーチェックらしく、2.の終わりに司会者の声が入る。音源自体はジャクソン・ブラウンのソロと、ブルース・スプリングスティーンの共演(ブルースのファンの間では有名な音源)から始まり、リンダ・ロンシュタットがしばらく歌った後にJTが登場する。コンサートの熱気のなか、2.「You've
Got A Friend」でJTは何時にも増して崩し気味に歌っている。ギタリストが二人いるので、3. 「Up On The Roof」の後半はパワフルなプレイだ。プロテスト・ソングの
4.「Stand Up And Fight」ではワディー・ワクテルのロックンロール・ギターが本領を発揮し、ヘヴィーなサウンドで迫る。テンプテイションズのヒット曲
5.「It's Growing」(資料では「Where's It Gonna Stop」という名前になっている)は、1978年のケイト・テイラーのソロアルバムC31で取り上げたのをはじめとして、その後もコンサートやラジオ番組で歌われ、2008年のソロアルバム「Covers」A20で本人による公式録音が発表された。ここではソウルの女王、チャカ・カーンとのデュエットだ。最初JTが、そして彼女がよく通る声で歌う。JTは、6.「Children
Cry」の紹介にあたり、彼とジョン・ホール夫妻の共作であると述べている。資料によっては歌詞の一節から「Bomb Has To Die」というタイトルになっているものもある。1979年のホール夫妻による「Power」C34と同じ雰囲気の曲で、その後長らく未発表だったが、1992年ジョン・ホールが日本のレコード会社(パイオニア)から発売したアルバム「On
A Distsnt Star」に、「Children Cry」というタイトルで収録された。
録音状態はあまり良くないが、貴重な組み合わせ、曲が楽しめる音源。
[2009年12月追記]
本コンサートの模様が撮影され、1984年に「In Our Hands」というドキュメンタリー・フィルムとして発表された。その後2000年代にビデオ、DVDとして発売された。この中でJTの「You've
Got A Friend」の演奏を観ることができる。日差しのなか帽子を被ったJTが歌い、その横にはベースを弾くリー・スクラーが写っている。バックボーカルはアーノルド・マックラーとデビッド・ラズリーだった。撮影・録音とも荒っぽく、JTの姿以外に会場にいる人々のシーンが多く、音楽というよりもドキュメンタリー作品として観るべきだろう。オーディエンスの中に一瞬ではあるが、この曲を口ずさむスーザン・サランドン(女優)とジョーン・バエズが写るのが面白かった。
[2010年10月追記]
以前観た、野外コンサートにおけるJTとリンダ・ロンシュタットの映像「I Think It's Gonna Work Out Fine」が、本コンサートのものであることが確認できた。オーディエンス撮影で手振れがひどいけど、JTとリンダの共演映像はこれだけなので、お宝映像であることは間違いない。JTがリンダを呼び出し、「先日一晩かけて録音した曲です」と言って歌い始める。これはリンダのアルバム「Get
Closer」 1982 C41のことをさしている。曲は1961年のアイク・アンド・ティナ・ターナーのヒット曲(全米14位)のカバーで、軽快なR&Bだ。ここではバック・ボーカルで、ローズマリー・バトラーの姿を見ることができる。私が知る限り、異なる2つのオーディエンス撮影が出回っている。ひとつめは画質・音質ともに悪いが、JTによるアナウンスも紹介も含め最初から最後まで観れるもの、もうひとつは画質、音質ともにベターであるが、演奏前のアナウンスがなく、途中で切れてしまうものだ。
[2017年4月追記]
別の音源で1.「That Lonesome Road」を聴くことができた。音源の曲順では、JTセット最初の曲になっていたが、コーラス隊とのアカペラなので、おそらく最後に歌われた曲ではないかと推測される。
[2023年6月追記]
1.「That Lonesome Road」の映像を観ることができた。ひとつのマイクに向かって、JT、アーノルド・マックラー、デビッド・ラズリーの3人がアカペラで歌う。その後、JTはギターを渡され
2.「You've Got A Friend」のイントロを弾く。ということで、上記追記で「この曲は最後と推測される」と書きましたが、最初が正しかったです。その旨修正しました。
[2023年8月追記]
4. 「Stand Up And Fight」、5.「It's Growing」、6.「Children Cry (aka Bomb Has To Die)」の映像を観ることができました。
4. 「Stand Up And Fight」では、ワディ・ワクテルの激しいアクションが楽しめます。5.「It's Growing」では、小柄なチャカ・カーンが登場。ファースト・ヴァースはJT、コーラスはチャカとデビッド・ラズリー、アーノルド・マックラー、ローズマリー・バトラーだ。セカンド・ヴァースはキーが変わりチャカが歌う。最後はJTの歌に彼女が合いの手を入れてゆく。二人の共演はここだけで貴重な映像。6.「Children
Cry (aka Bomb Has To Die)」は、JTが歌うファースト・ヴァースでは、芝生を埋めつくしたオーディエンスの映像。ステージが写るのは、ジョン・ホールが歌うセカンド・ヴァースから。間奏のギターソロはジョン。サード・ヴァースは再びJTがリードをとり、最後は二人とコーラス隊による合唱となる。これで
3.「Up On The Roof」を除き、映像を観たことになりましたね。
[2024年9月追記]
1982年6月9日ナッソー・コロシアムにおけるリンダ・ロンシュタットのライブ音源を聴きました(「その他断片(映像・音源)1980年代」参照)。そこではJTがゲストで登場し、7.
「I Think It's Gonna Work Out Fine」と1.「That Lonsome Road」を歌っています
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Timberwolf Amphitheater, Kings Island, Ohio 1982
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Steel Guitar, Banjo (7)
Bill Payne : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Shlosser : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller : Back Vocal
1. Sweet Baby James
2. You're Just In Love [Irving Berlin]
3. Get A Job [Beal, Edwards, Horton, Lewis]
4. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
5. Carolina In My Mind
6. Rainy Day Man
7. Pretty Boy Floyd [Woddy Guthrie]
8. Brother Trucker
9. Rock Me [McKinley Morganfield]
10. Honey Don't Leave LA [Danny Kortchmar]
11. Secret O' Life
12. You've Got A Friend [Carole King]
13. Millworker
14. Country Road
15. Fire And Rain
16. Stand And Fight [James Taylor, Jacob Brackman]
17. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
18. Your Smiling Face
19. Money Machine
20. Shower The People
21. Steamroller
22. That Lonesome Road
収録: 1982年8月7日 Timberwolf Amphitheater, Kings Island, Ohio
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キングス・アイランドは、オハイオ州シンシナティの北東約40キロの街メイソンにある、大きなアミューズメント・パークで、ティンバーウルフ・アンフィシアターは、そのなかにある収容人数9,400名の円形演技場だ。本音源はそこでのオーディエンス録音で、音質的にはまあまあで、バッテリー節約のため録音者により曲間がカットされているが、リー・スクラーのベースを含め、各楽器の音がはっきり聴こえるため、十分楽しめる内容だ。
JTのアコギとダン・ダグモアのスティール・ギターによる 1.「Sweet Baby James」に続く 2.「You're Just In Love」は、JTとルボックス・テープレコーダーとの共演を聴くことができる。彼は、1970年代よりステージでの趣向として、テープレコーダーを使用したパフォーマンスを続けている。最初に試した曲は、彼の弾き語りとテープ録音されたバックコーラスとの共演による
「Shower The People」で、本コンサートでもアンコールの20. で登場している。この様子は、別のコンサートではあるが、1988年ボストンでの映像
E5で観ることができる。壇上にテープレコーダーが登場し、JTが歌い始める。コーラスの部分に差し掛かると、機械が動き出すといった感じで、なんとも器用なもんだなと思った次第。2.「You're Just In Love」は、生のJTとテープのJTによる「一人デュエット」で、ユーモアたっぷりの掛け合いが面白い。この曲は、アーヴィング・バーリンが1950年のブロードウェイ・ミュージカル「Call
Me Madam」のために書いた曲で、同じエセル・マーマン主演で、1953年に映画化された。この曲は「カウンターポイント」という技法を採用、メインの歌詞・メロディーに、異なるサブの歌詞・メロディーが同時に絡むもので、劇中ヒロインが子供と一緒に歌う趣向により大評判となった。その後、ペリー・コモ、ローズマリー・クルーニー、ビング・クロスビーなどが歌っている。JTは、カウンターパートのボーカルとギター演奏を予めテープに録音して、ステージの生と一緒に歌い演奏するわけだが、最初のヴァースではJTの生声に対し、ルボックス(テープレコーダーのブランド名)がちゃちゃを入れる。それに対しJTは「ルボックス!」と呼びかけて応える。二人で歌う部分になると、インテンポとなり異なるメロディー、歌詞が駆け巡る。驚嘆すべきは、このような気分転換的なイベントにおいてさえも、1950〜60年代当時のオリジナル歌唱と比べて、JTの曲への取り組み姿勢が遥かに現代的であり、今も生き続けるスタンダード・ソングの精神を見事に体現していることだ。
ここでアーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーのコーラス隊が登場し、JTのギター伴奏のみで、ドゥワップ・コーラスのグループ、シルエッツ(Shilhouettes)
1957年のヒット曲(全米1位) 3.「Get A Job」を歌う。4.「Up On The Roof」以降はバンドが加わる。6.「Rainy Day Man」はコーラスが付き、「Flag」1979
A10のバージョンとも異なる面白い演奏。 7.「Pretty Boy Floyd」は、初期の音源では弾き語りで歌っていたウッディー・ガスリーのバラッドで、スティール・ギターをフィーチャーしたバンドをバックに歌うJTは、ボブ・ディランのようだ。途中、ダン・ダグモアはバンジョーも弾いている。ハードな音作りの 8. 「Brother Trucker」に続く 9.「Rock Me」は、数多くのブルースマンが取り上げているストレートなブルース・チューンの名曲。JTのカバーは、マディー・ウォーターズのバージョンに近いようだ(作者のマッキンリー・モーガンフィールドは彼の本名)。ここでのダンのギターソロはとてもパワフル。
ファーストセットは、乗りの良いロックンロール曲 10.「Honey Don't Leave LA」で終わる。
セカンドセット最初の曲は、11.「Secret O' Life」で、ここではビル・ペインのエレキピアノの他に、ドラムスとベースも加わった演奏。
12. 「You've Got A Friend」は、ダンのスティール・ギターの音色が味わい深い。13.「Millworker」では、ビル・ペインのシンセサイザーがオーケストラのようなバックを付ける。14.「Country
Road」では、ピアノの自由奔放なプレイがスゴイ。16.「Stand And Fight」はスティール・ギターによるハードなプレイが光る。 17.「How
Sweet It Is 」、18.「Your Smiling Face」と盛り上がり、19.「Money Machine」で最高潮に達する。エンディングのボーカルでJTが「友人、仕事のアイデア、人生さえも売ってしまった」と歌うのが印象的。最後にメンバー紹介を兼ねて、バンドメンバーの名前をアドリブで歌い込んでゆく。アンコールは、前述のテープレコーダーとの共演
20.「Shower The People」で熱を冷やした後に、 21.「Steamroller」のエレキギター、ピアノの凄まじいソロ、JTの気合の入ったボーカルででクライマックスとなる。そして最後はアカペラによるスピリチュアル
22.「That Lonesome Road」で厳かに終わる。
珍しい曲の演奏もあり、楽しめる音源だ。
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Greek Theatre, Los Angeles 1984 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Pedal Steel Guitar, Banjo, Back Vocal (5,
6, 10, 16, 19, 22)
Bill Payne: Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Shlosser: Drums
1. Carolina In My Mind
2. Mona
3. Baby It's Cold Outside [Frank Loesser]
4. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
5. Mexico
6. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
7. Millworker
8. Song For You Far Away
9. Bartender Blues
10. Brother Trucker
11. Knock On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd]
12. Country Road
13. Shower The People
14. Sweet Baby James
15. Long Ago And Far Away
16. Family Man
17. Johnny Comes Back
18. That's Why I'm Here
19. Turn Away
20. Don't Let Me Be Lonely Tonight
21. Your Smiling Face
22. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
23. Steamroller
24. You've Got A Friend [Carole King]
25. Fire And Rain
26. You Can Close Your Eyes
収録: 1984年5月10日 Greek Theatre, Los Angeles
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会場のグリーク・シアターは、ロサンゼルスのグリフィスパークにある収容人員5千7百人の屋外コンサート会場。オーディエンス録音で音質はそれほど良くなく、録音機器のバッテリー・セーブのためか曲間はカットが入る。それでもベースを含めすべての楽器がはっきり聴こえるので、満足できるレベルだと思う。観客の乗りがとても良く、JTも楽しそうに演奏している。本音源の売り物は、当時のコンサートとしては珍しく、コーラス隊(アーノルド・マックラー、ローズマリー・バトラー)が非参加で、その代わりにギタリストのダン・ダグモアがバックボーカルを担当していることだ。
1.「Carolina In My Mind」から始まる最初の2曲は、JT一人による弾き語り。2.「Mona」は、曲の由来についての長い語りがあり、そのダークなユーモアは、後の「One
Man Band」2007 E14の原型となるものだ。ちなみに、この曲についての同じエピソードが、ずっと後に製作された 1997年のテレビ番組「VH1
Storytellers」で語られている。3.「Baby It's Cold Outside」は、ルボックス・テープレコーダーに予め録音した自分の声との一人デュエット。帰りたがる女の子と、それを引きとめようとするエッチな男によるユーモラスな掛け合いの歌で、JTはレイ・チャールズとベティ・カーターのバージョンを元にしたとのこと。歌う前の二人(?)
によるジョークの掛け合いも傑作で、JTはギター一本で歌う。この曲は、ずっと後の2004年にナタリー・コールとのデュエットで公式録音され、「Christmas
Album」A18に収録される。4.「Up On The Roof」からバンドが加わっての演奏。5.「Mexico」のコーラスパートで入るバックボーカルはダン・ダグモアだ。JTは、この曲が終わった後のバンド紹介で、彼が歌っていることをはっきり述べている。もしかするとバンドメンバーのもう一人も歌っているかもしれないが、JTの紹介がないので、はっきりしたことは分らない。6.「Handy
Man」でもダンのバックボーカルを聴くことができるが、「Come come come ......」の部分のみで、他のパートはJTが一人で歌っており、分厚いコーラスが入るいつもの演奏とはかなり異なる感じになっているのが面白い。
7.「Millworker」は、「マサチューセッツ州の靴工場に務める労働者の歌」と紹介される。ビル・ペインのシンセサイザーとリー・スクラーのベースの重低音が曲の雰囲気を盛り上げている。
8.「Song For You Far Away」は、ニューアルバム「That's Why I'm Here」A12 に収録された曲で、同アルバムの発売は1985年10月のため、コンサートの時点では未発表だったもの。9.「Bartender
Blues」は、JTは大好きなジョージ・ジョーンズを念頭に置いて作曲し、彼がカバーしてくれた(C28参照)と語っている。ここではコーラス部分をJT一人で歌っているのが珍しい。ビル・ペインのカントリー・フレイバー溢れるピアノ、ダン・ダグモアのスティール・ギターが素晴らしい。10.「Brother
Trucker」は一転してヘビーな演奏で、バックコーラスが入る。ここでのバックバンドの演奏の切れ味は凄い! R&Bスタンダードナンバーの 11.「Knock On Wood」でのバンドの演奏は楽しそうで、JTのボーカルも含め、いかにもこの手の曲が好きそうな人々による乗り乗りの演奏だ。この後オーディエンスから野次が入り、JTがやり返してみんな大喜び。 12.「Country Road」では、よく動き回るリー・スクラーのベースライン、縦横無尽に音が湧き出すビル・ペインのピアノ、浮遊感あるダン・ダグモアのスティール・ギターに加えて、JTバンドの他の歴代ドラマーと異なるタッチのプレイを見せてくれるリック・シュロッサーのドラムプレイにも注目しよう。ファーストセット最後の曲と紹介され、JTのギターのみの伴奏で演奏される
13.「Shower The People」のコーラスは、前述のルボックスのテープ録音によるJT自身の声だ。エンディングのアドリブボーカルは、JTが自ら歌っている。
セカンド・セット最初の曲 14.「Sweet Baby James」は、ダンのスティールギターをフィーチャーした演奏。15.「Long Ago
And Far Away」は、ビル・ペインが弾くエレキピアノの特徴ある音使いがとても良い。16.「Family Man」は、ビルが在籍したバンド、リトルフィートっぽいファンキーなプレイで、バックコーラスが入る。17.「Johnny
Comes Back」は、ライブのレパートリーとしては珍しい演奏。18. 「That's Why I'm Here」は、8.と同じく当時未発表だった新曲で、JTはセカンドバースは(ドラッグの過剰摂取で亡くなった俳優の)ジョン・ベルーシのことを歌っていると説明している。「ファイアー・アンド・レインを繰り返し歌う」という歌詞を聴いたオーディエンスは拍手と歓声で反応する。ここではいつもと異なり、JTはバックコーラスなしで一人で歌う。19.「Turn Away」も新曲で、ダンのバックボーカルが入る。サウンド的にはビルのシンセサイザー、ピアノ、オルガンプレイが押している。20.「Don't
Let Me Be Lonely Tonight」でのJTのボーカルは、メロディーを崩した自由奔放な歌いっぷり。このバンドでのライブのハイライト、エンディングでのビルのエレキピアノ・ソロの妙を楽しみましょう。21.「Your
Smiling Face」は、ビルのピアノが跳ね回る逸品。22.「How Sweet It Is」は、ダンのバックボーカルが入るが、コーラス隊がいないため、いつもよりは大人しい演奏で、その分ビルのハチャメチャなピアノプレイが目立っている。23.「Steamroller」になると、オーディエンスは大騒ぎで、JTもかなりホットに歌う。ダンのヘヴィーなギターソロに続くビルのソロも少し悪乗り気味。24.「You've
Got A Friend」、25.「Fire And Rain」は、少し頭を冷やした感じでの演奏。後者でのダンのスティールギターはいつ聴いてもいいですね。最後はJTの弾き語りによる
26.「You Can Close Your Eyes」でしっとり終わる。
JTおよびバンドの調子がすこぶる良く、オーディエンスとの一体感も素晴らしい。いつもと異なるバンド編成も魅力的な音源。
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Zoo Amphitheater, Oklahoma City 1984 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Steel Guitar, Banjo
Bill Payne: Keyboards
Lee Sklar : Bass
Rick Shlosser: Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. You Can Close Your Eyes
2. Something In The Way She Moves
3. Sweet Baby James
4. Carolina In My Mind
5. Money Machine
6. Traffic Jam
7. Sea Cruise [Huey 'Piano' Smith]
8. Bartender Blues
9. Brother Trucker
10. Pretty Boy Floyd [Traditonal]
11. Millworker
12. B.S.U.R.
13. Your Smiling Face
14. That's Why I'm Here
15. Mexico
16. Don't Let Me Be Lonely Tonight
17. Country Road
18. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
19. Knock On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd]
20. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
21. Steamroller
22. Fire And Rain
23. That Lonesome Road
収録: 1984年9月3日 Zoo Amphitheater, Oklahoma City
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オクラホマ州オクラホマシティの動物園に隣接する野外音楽堂でのコンサート音源。ここではR&B色が強いリック・シュロッサーがドラムスを担当しているため、躍動感のラス・カンケルやパワーのカルロス・ヴェガに比べて、リズムの乗りが少し重たく感じるが、それもひとつの個性であり本音源の特徴だと思う。また色彩感溢れる個性的な音を出すビル・ペインのキーボードと、比較的地味で堅実なダグ・ダグモアのエレキ・ギター、ペダルスティール・ギター、力強いバックコーラス等により、強靭なサウンド作りがされている。
JTによる弾き語りの後、3.「Sweet Baby James」から、ペダルスティール・ギターがバックに加わり、4.「Carolina In
My Mind」からフルバンドとコーラスが参加する。「欲望についての歌です」という紹介のあと演奏される 5.「Money Machine」は、ソウルっぽいアレンジで、ビル・ペインのシンセサイザー、オルガンが派手。6.「Traffic
Jam」は、シンセによる車のホーンの音から始まり、バックコーラスの力強さが素晴らしい。そのままメドレーで演奏される 7.「Sea Cruise」は、フランキー・フォード1959年のヒット曲(全米14位)で、ここではオリジナルのニューオリンズ風R&Bサウンドにコミカルな味付けを施している。コーラス隊が全開で、アーノルドがソロを取るほか、ローズマリーによるコミカルなボーカルにより大変生き生きとした面白い出来。8.「Bartender
Blues」では、ローズマリーがハーモニー・ボーカルを担当、ペダルスティール・ギターやピアノがカントリー音楽風のソロをとる。9.「Brother
Trucker」はかなりヘビーな演奏。ここでメンバー紹介のコーナーがあり、ご当地ソングとして 10.「Pretty Boy Floyd」が演奏される。以前JTが弾き語りで演奏していた曲で、バンドによるアレンジは珍しい。スティール・ギターとアコーディオン風シンセサイザーが効果的で、JTがディラン風に歌うのが面白い。後半ではダン・ダグモアがバンジョーを弾いているようだ。バックコーラスもカッコイイ好演。
11.「Millworker」、12.「B.S.U.R.」 14. 「That's Why I'm Here」ともビル・ペインのシンセサイザーの音が個性的だ。
一方 13.「Your Smiling Face」はピアノで豪快に弾き飛ばすところがスゴイ。
15.「Mexico」におけるシンセのマリアッチ風間奏、16.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」のエンディングのエレキピアノ・ソロもビル・ペインに注目! 17.「Country
Road」では、リック・シュロッサーのドラムスのフィルインがバッチリ決まっている。 さらにR&Bのスタンダード 19.「Knock On
Wood」では、ドラムスのぐいぐい引っ張るグルーヴ感が最高で、分厚いコーラスと重厚なシンセサウンド、そして乗り乗りのJTのボーカルで大いに盛り上がる。その熱狂は
20.「How Sweet It Is」に続き、熱く黒っぽいボーカルとコーラスの掛け合いでさらに盛り上がる。 21.「Steamroller」では、JTはこってりと歌い、ダン・ダグモアが思い切りハードなソロを披露。そしてビル・ペインがぶっ飛びのピアノソロをみせる。エンディングはクールダウンして、22.「Fire
And Rain」、アカペラによる 23.「That Lonesome Road」で厳かに終わる。
夏季野外コンサートの自由な空間が感じられる音源。
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Verona, Italy 1985 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Steel Guitar
Bill Payne: Keyboards
Lee Sklar : Bass
Russ Kunkel : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. You Can Close Your Eyes
2. Something In The Way She Moves
3. Sweet Baby James
4. Wondering [Traditional]
5. Carolina In My Mind
6. That's Why I'm Here
7. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
8. Machine Gun Kelly [Danny Koochmer]
9. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
10. Your Smiling Face
11. Shower The People
12. Blossom
13. Long Ago And Far Away
14. Traffic Jam
15. Sea Cruise [Huey 'Piano' Smith]
16. You've Got A Friend [Carole King]
17. Mexico
18. Brother Trucker
19. Walking Man
20. Don't Let Me Be Lonely Tonight
21. Country Road
22. Knock On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd]
23. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
24. Fire And Rain
25. Steamroller
26. That Lonesome Road
収録: 1985年9月18日 Verona, Italy
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イタリア人は本当に陽気で乗りが良い。オーディエンス録音のためベースがオフ気味など、音質に難があるが、聴衆の声や拍手がダイレクトに捉えられているため、皆が心からコンサートを楽しんでいる雰囲気が伝わってくるのだ。
コンサートは、JTの弾き語りによる 1.「You Can Close Your Eyes」から始まる。3.「Sweet Baby James」ではダン・ダグモアのスティールギターが入り、4.「Wondering」ではコーラス隊が加わる。5.「Carolina
In My Mind」では、オーディエンスが一緒に歌う声もしっかり聴こえる。このコンサートは会場の皆が歌う曲が他にもあり、本当に良い感じだ。メンバー紹介の後に演奏される
6.「That's Why I'm Here」ではオーディエンスの手拍子のリズムがバッチリ合っていて、大変効果的。8. 「Machine Gun
Kelly」はコーラス、シンセサイザー、エレキギターによるヘビーなアレンジが印象的。 10.「Your Smiling Face」の後、オーディエンスはサッカーの試合のようなメロディーを歌うのが面白い。13.「Shower The People」のエンディングは、JTがソロを取る。14.「Traffic
Jam」のイントロではシンセサイザーによるサイレンのような効果音が入る。ここでも手拍子がポリリズムのような効果をあげており、この曲の普段の演奏と全く異なる感じになっているのが面白い。16.「You've
Got A Friend」では、オーディエンスの大合唱が感動的。 18.「Brother Trucker」は、ダン・ダグモアのスティールギター、ビル・ペインのシンセサイザー、ラス・カンケルのドラムスに強靭なグルーブが感じられる演奏だ。20. 「Don't Let Me Be Lonely Tonight」では、エンディングのビル・ペインのエレピソロに注目しよう。22.「Knock
On Wood」では、シンセサイザーとピアノを縦横無尽に弾きこなすビル・ペインがスゴイ。その乗りは、23. 「How Sweet It Is」でも遺憾なく発揮される。エンディングではローズマリー・バトラーが凄いシャウト声を出している。ここまで来るとオーディエンスは超興奮状態で、24.「Fire
And Rain」のような曲でも前半手拍子が起きてしまう位だ。エレキギター、ピアノのハチャメチャなソロがフィーチャーされる 25.「Steamroller」が終わり、最後はアカペラによる
26.「That Lonesome Road」で静かに終わるが、この後もオーディエンスによるサッカーの試合中のようなメロディーの歌が聴こえる。
イタリア人って、本当に楽しみ方を知っている人達なんだなあという実感が残る音源。それに乗せられたJTとバンドも気持ちが良さそうに演奏している。
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Milano, Italy 1986 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Steel Guitar
Bill Payne: Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. Sunny Skies
2. Song For You Far Away
3. Sweet Baby James
4. Wondering [Traditional]
5. Carolina In My Mind
6. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
7. That's Why I'm Here
8. Only A Dream In Rio [James Taylor, Brazilian Translation J. Maraniss]
9. Don't Let Me Be Lonely Tonight
10. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
11. Country Road
12. Brother Trucker
13. Shower The People
14. Chanson Francaise
15. I Will Follow
16. Blossom
17. Millworker
18. Traffic Jam
19. Twelve Gates To The City [Traditional]
20. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
21. Only One
22. Fire And Rain
23. Mexico
24. Your Smiling Face
25. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
26. You've Got A Friend [Carole King]
27. Steamroller
28. That Lonesome Road
収録: 1986年2月14日 Milano, Italy
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1986年のヨーロッパ・ツアーの音源。オーディエンス録音で、会場の後ろのほうで録ったものらしく、音質は良くない。個々の楽器の分離が悪い分、JTのボーカルがストレートに耳に飛び込んでくる。バンドのメンバーはアムステルダムのシアター・カレの音源(下述)や、バーデン・バーデン(ドイツ)でのテレビ映像
「Ohne Filter Musik Pur」(「その他の映像」の部参照)と同じなので、シアター・カレの音源と異なる特徴的な部分について述べることとする。
イタリアのオーディエンスは本当に陽気だ。他の場所と異なり、拍手・掛け声が格段に多く大きい。手拍子がいたる所で入り、弾き語りによる 2.「Song
For You Far Away」でもやってしまう人達だ。でもそのリズム感が良いので、聴いていて気にならず、パーカッションの一部のようにも思えるほどだ。オーディエンスに乗せられたためか、JTのボーカルやバンドの演奏がイケイケ調で、
12.「Brother Trucker」、では、各プレイヤーが悪乗りに近い演奏をしている。1979年の「Flag」 A10からの 14.「Chanson Francaise」のライブ演奏は大変珍しい。13.「Shower
The People」のエンディングは、JTがソロを取っているが、その代わりに 15.「I Will Follow」の最後で、アーノルドがばっちり歌っている。
16.「Blossom」は珍しいバンドアレンジで、コーラスも入る珍品。18.「Traffic Jam」では、ドラムスが裏拍を叩く一方で、手拍子が表に入り、複雑なリズムになっているのが面白い。バンドもハードなプレイで、ピアノは跳ねまくっている。19.「Twelve
Gates To The City」はブルース・ギタリストとしても名高いレヴェゲンド・ゲイリー・デイビスやブラインド・ボーイ・フラーが歌っていたスピリチュアルで、ピート・シーガー、デイブ・ヴァン・ロンク、ジュディ・コリンズ等のフォークシンガーも多くカバーしている。ゴスペル調のコーラスを前面に出した演奏。 22.「Fire And Rain」、23.「Mexico」といった有名曲では、オーディエンスが一緒に歌っているのがわかる。特に26.「You've
Got A Friend」では、会場全体が歌っており、その一体感は感動的。後半のハイライト 25.「How Sweet It Is」、27.「Steamroller」になると、各演奏者やシンガーは目一杯のプレイを展開、JTのアドリブも格段に多い。ダン・ダグモアのジミ・ヘンドリックスを思わせるハードなソロ、ビル・ペインの滅茶苦茶な破壊的なプレイなど聴き所沢山だ。アンコールの拍手では、オーディエンスがサッカーの試合で聞かれるような「オレオレ」を歌っているのが凄い。最後はアカペラの28.「That
Lonesome Road」で静かに終わる。
イタリア人って、本当に楽しむことが好きな人達なんだな、という事がよくわかる。
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Theatre Carre, Amsterdam 1986 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore: Electric Guitar, Steel Guitar
Bill Payne: Keyboards
Lee Sklar : Bass, Back Vocal (16)
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal (4,5,7,8,10,15,16,17,18,20,21,22,23,24,25,26)
1. You Can Close Your Eyes
2. Something In The Way She Moves
3. Sweet Baby James
4. Wondering [Traditional]
5. Carolina In My Mind
6. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
7. That's Why I'm Here
8. Only A Dream In Rio [James Taylor, Brazilian Translation J. Maraniss]
9. Don't Let Me Be Lonely Tonight
10. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
11. Walking Man
12. Country Road
13. Long Ago And Far Away
14. Your Smiling Face
15. Millworker
16. Traffic Jam
17. Sea Cruise [Huey 'Piano' Smith]
18. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
19. Only One
20. Fire And Rain
21. Mexico
22. Brother Trucker
23. Knock On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd]
24. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
25. You've Got A Friend [Carole King]
26. Steamroller
27. That Lonesome Road
収録: 1986年3月24日 Le Carre Theatre, Amsterdam
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アムステルダムのカレ・シアターでのライブの音源(同会場については、「その他音源」1998年の音源の記事を参照ください)。1986年のコンサートについては、ドイツにおけるテレビ映像
「Ohne Filter Musik Pur」(「その他映像」のコーナー参照)のバックバンドと編成と演奏内容が同じで、当時ヨーロッパ・ツアー中だったことがわかる。7.の演奏前のJTのアナウンスから、この音源はラジオ放送のために録音されたものと思われ、大変丁寧な録音だ。ここでのバックバンドは、エレキギター、キーボード各1台、パーカッションなしという小編成のため、各楽器の演奏がクリアーかつバランス良く捉えられ、各プレイヤーの上手さを一層引き立てている。当初は11曲のみ(1,2,5,6,7,10,11,12,13,24,25)
聴くことができたが、2008年になって残りの曲も聴くことができるようになり、コンサートの全貌と思われる音源になった。ただし22. 23. 26.
は別途録音されたオーディエンス録音で音質は劣る。 23.についてはサウンドボードによる録音もあるが、残念ながら途中で切れてしまう。聴き比べると両者は同じ演奏なので、この2種類の音源は同一日の録音で間違いないだろう。
1985年のブラジル訪問および「Rock In Rio」でのコンサートの経験が人生の転機となり、さらに同年発表したアルバム「That's Why
I'm Here」A12で、初期の若者らしい繊細で神経質なイメージから脱却し、ふくよかで余裕を感じさせる中年の雰囲気にイメージチェンジ。12月の女優キャサリン・ウォーカーとの再婚など私生活面の充実も感じさせる内容であり、それは冒頭の弾き語り
1.「You Can Close Your Eyes」、2.「Something In The Way She Moves」の歌声からも明らかだ。5.「Carolina
In My Mind」からバンドとバックボーカルが加わる。二人の声が中心から少し左右に分離して配置されているため、それぞれ独立して聞こえ、それが彼らの上手さを際立たせる効果をもたらしている。ビル・ペインのピアノ、ダン・ダグモアのペダルスティールの鮮やかなプレイも印象的だ。6.「Up
On The Roof」では、ビル・ペインはエレキとアコースティック・ピアノを弾き分けている。ダン・ダグモアのギターは、派手さはないけど、手堅さが光っている。
ニューアルバムからの 7.「That's Why I'm Here」は、当時のJTの心境を最もよく表した曲と思われ、彼のボーカルにも心がこめられているようだ。9.「Don't
Let Me Be Lonely Tonight」のエンディングにおけるビル・ペインのエレキピアノ・ソロを味わう快感.......脳内アドレナリン出まくり!
ダン・ダグモアとJTのギターのイントロから始まる 10.「Handy Man」では、エレキギターがいい味を出し、二人のバックボーカルの声の力強さが目立っている。
12.「Country Road」では、縦横に動きまくるリー・スクラーのベース、そして後半のカルロス・ヴェガのパワフルなドラムスとJTのボーカルの一騎打ちを楽しもう。
13.「Long Ago And Far Away」はエレキピアノとのデュエットで淡々と演奏されるが、初期の演奏にあった暗さはあまり感じられない。14.「Your Smiling Face」は、ピアノのビル・ペインの独壇場だ。このように自由奔放なプレイができるのは、沢山いる著名キーボード奏者の中でも、彼とリチャード・ティー位じゃないかな?その圧倒的演奏のため、普段はロック的な曲がアコースティックなサウンドに聞こえるのが面白い。16.
「Traffic Jam」においても、ビル・ペインのタッチの強いピアノの強靭なグルーヴが凄い。17.「Sea Cruise」は フランキー・フォード1959年のヒット曲(全米14位)で、ここではオリジナルのニューオリンズ風R&Bサウンド。リー・スクラーを加えたコーラス隊が全開で、アーノルドがソロを取るほか、ローズマリーによるコミカルなボーカルにより大変生き生きとした面白い出来となった。
18.「EveryDay」、19.「Only One」でもコーラスは大変強力で、この二人ならではの魅力に溢れている。22.「Brother Trucker」のエンディングにおけるJTとコーラス隊のアドリブによる掛け合いも最高。
23. 「Knock On Wood」、アンコールの 24.「How Sweet It Is」とR&Bのクラシック・カバーが続き、大いに盛り上がる。後者のボーカルはいつになく粘っこい出来で、アドリブの掛け合いが延々と続く。一転して静かに演奏される
25.「You've Got A Friend」では、録音の良さのためにJTのギターを存分に楽しむことができる。26.「Steamroller」は遊び心満載で、導入部のJTのアドリブボーカル、間奏におけるダン・ダグモアの思い切りハードなギターソロ、ハチャメチャに弾いているとしか言いようがないビル・ペインのピアノなど本当に素晴らしい!
エンディングに至っては、いつもの通り終わるかと思わせて、アップテンポの即興風R&Bへなだれ込み、バックボーカルと盛り上がるあたり、心憎い演出だ。最後はアカペラによる27.「That
Lonesome Road」でコンサートは厳かに終了する。
ちょっとホメ過ぎかもしれないけど、良質な録音と名手達の演奏、そして健全で明るいJTのパフォーマンスを楽しめる逸品だと思う。
[2009. 11.追記]
11.「Walking Man」を追加しました。
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Dana Auditorium , Charlotte 1986 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Don Grolnick (or John Gilutinor or Bill Payne) : Piano, Electric Piano
1. Sweet Baby James
2. Something In The Way She Moves
3. Song For You Far Away
4. Anywhere Like Heaven
5. Walking Man
6. Carolina In My Mind
7. Everybody's Has The Blues
8. Looking For Love On Broadway
9. Mona
10. Millworker
11. Wild Mountain Thyme [Traditional]
12. There We Are
13. Gorilla
14. Don't Let Me Be Lonely Tonight
15. Only A Dream In Rio
16. Fire And Rain
17. You've Got A Friend
1986年5月31日 Dana Auditorium, Queen's Collage、Charlotte North Carolina にて収録
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JTのギターとピアノの伴奏のみという珍しい編成によるコンサート音源。後年のワンマン・バンド・ツアーを彷彿させるが、本音源では曲間がカットされているため、JTの語りがどんな感じだったかは判らない。音質的には、JTのギターはシャリシャリしていてイマイチで、声も高音が強調された感じ。だけどピアノ、エレキピアノはしっかり聴こえるので十分に楽しめる内容。音源ではキーボード奏者の紹介はなく、名前を明記した資料も見当たらなかったが、録音時期から推測して、同年夏のコンサートツアーでピアノを弾いたジョン・ギルトンと思われたが、同時期ドン・グロルニックがピアノを弾くこともあったようなので、一部の資料のとおりドン・グロルニックとした。もしかするとビル・ペインかもしれない。
1.「Sweet Baby James」、2.「Something In The Way She Moves」はJTの弾き語り。後者についてJTは、「シェルドン家の娘フィービーのために書いた曲」と紹介している。3.「Song For You Far Away」の途中からピアノが加わり、「ノースキャロライナからニューヨークに出たときは、最初はしっくりこなかった。それでネガティブな曲を書いたんだけど、ニューヨークは気にしないね!」と紹介してオーディエンスを笑わせる 4.「Anywhere
Like Heaven」と続く。5.「Walking Man」ではエレキピアノによる伴奏がつく。6.「Carolina In My Mind」のあたりから、バックのピアノが自分流でガンガン弾いている。地元なのでオーディエンスは一段と大きな拍手声援を送っている。
7.「Everybody's Has The Blues」は、ファンキーなブルースで、グルーヴィーなプレイが楽しめる。9.「Mona」はJT一人による演奏。11.「Wild
Mountain Thyme」はギターとエレピピアノによるしっとりとしたプレイだ。12.「There We Are」は、エレピのみをバックに歌う、ステージ・レパートリーとしては珍しい曲。「JT」
1977 A9 に入っていたオリジナルでは、後半の歌詞で「So though I never say that I love you I love
you Darling I do Carly, I do love you」と歌っていたところは、ここでは「Darling I do Darling,
I do love you」と歌っている。1982年にカーリーと離婚して以来、しばらく経ってからの演奏だけど、彼はどんな気持ちでこの曲を歌ったのだろう?ギターとピアノだけによる
13.「Gorilla」の伴奏も本音源のハイライトのひとつだ。14. 「Don't Let Me Be Lonely Tonight」でのメランコリックなムード、そしてエンディングでのエレピソロが最高!15.「Only
A Dream In Rio」は、少人数の伴奏ためか、JTのボーカル、特にポルトガル語の歌詞の部分が生々しく聴こえる。 16.「Fire And
Rain」、17.「You've Got A Friend」ともドラマチックなピアノ伴奏で、特に後者ではJTがいつもより崩した歌い方をしているのが面白い。
珍しい編成、演奏、曲が楽しめる音源。
[2009年7月修正]
ピアニストに関する記述を改めました。
[2013年6月修正]
ピアニストに関する記述を再び改め、ドン・グロルニックとしました。
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State Fair Park, West Allis, Milwaukee, WI 1986 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar
John Gilutin : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller : Back Vocal
1. Song For You Far Away
2. There You Are
3. Rainy Day Man
4. Carolina In My Mind
5. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
6. Only One
7. Angry Blues
8. Country Road
9. I Was A Fool To Care
10. Summer's Here
11. One Man Parade
12. Turn Away
13. Honey Don't Leave L.A. [Danny Kortchmer]
14. Lighthouse
15. The Twist [Hank Ballard]
16. Anywhere Like Heaven
17. Only A Dream In Rio [James Taylor, Brazilian Translation J. Maraniss]
18. A Junkie's Lament
19. Fire And Rain
20. Love Has Brought Me Around
21. I Will Follow
22. You've Got A Friend [Carole King]
23. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
24. Up On The Roof [Jerry Goffin, Carole King]
25. Steamroller
26. That's Why I'm Here
27. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
28. Sweet Baby James
1986年8月8日 State Fair Park, West Allis, Milwaukee, Wisconsin にて収録
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ウィスコンシン州ミルウォーキーは、イリノイ州シカゴの北、ミシガン湖畔にある。ステート・フェア・パークは、その郊外の街ウエスト・アリスにある娯楽施設で、毎年8月に行われる大規模なお祭りでは、有名アーティストによるコンサートが開催される。本音源は1986年にJTが出演した際のオーディエンス録音。ここではキーボード奏者ジョン・ギルトンのプレイが特徴的だ。彼については1988年7月の音源で詳しく述べた。彼のJTバンドへの参加は1986年と1988年のツアーのみ(1987年はツアーは行っていないようだ)で、それ以外はライブ、スタジオ録音ともにJTとのセッションはない。彼のプレイは、ビル・ペインやドン・グロルニック等の歴代名プレイヤーと比較すると、地味な感じもするが、いつもとは異なるバンドサウンドになっており、それがこの音源を価値あるものにしている。
1.「Song For You Far Away」は、JTの弾き語りから始まり、途中からダン・ダグモアのスティールギターが入る。2.「There
You Are」はジョン・ギルトンのエレキピアノが印象的だ。また、ここでのベースラインはリー・スクラーの音そのもので、聴いていて懐かしさを覚えてしまう。
3.「Rainy Day Man」は、「Flag」録音時と同じアレンジで、最初からバックコーラスが入る明るい感じのサウンド。4.「Carolina In My Mind」、5.「Everyday」、6.「Only One」とコーラスをフィーチャーした曲が続く。後年の4人による洗練された厚みのあるコーラスもいいけど、この2人によるストレートな歌唱も最高だね!7.「Angry
Blues」、8.「Country Road」では、ダンのスティールギターが大活躍する。彼のプレイは、この頃のバンドの音を決定付けているといっても過言ではないインパクトがある。ジョンもピアノをガンガン弾いているので、迫力ある演奏となっている。後者のブレイクではカルロス・ヴェガのドラムスが本当にパワフル。ニューソウル風の
9.「I Was A Fool To Care」の後、10.「Summer's Here」、11.「One Man Parade」はラテン・ミュージック特集としてメドレーで演奏される。これらは当時のライブでは珍しいナンバーで、コーラス隊との一体感が素晴らしく、後者ではジョンのピアノソロも入る面白音源だ。ここでバンドのメンバーが紹介される。JTはジョンの事を「One
Man Band」と言っており、その点は、上述 5月のDana Auditoriumのピアニストが彼であると推定する根拠のひとつになっている。さらにJTは、リー・スクラーを「深い森の人。15年間も一緒だけど彼の顔を見たことがない」と紹介して、オーディエンスを笑わせている。
12.「Turn Away」、13.「Honey Don't Leave L.A.」、14.「Lighthouse」ではコーラス隊がシャウトし、バンドの演奏もハードな音作りになっている。チェビー・チェッカーのスタンダード曲
15.「The Twist」は楽しい演奏。後半ではバンドメンバーの名前を歌詞に織り込んで歌っているのが面白い。
16.「Anywhere Like Heaven」では、バンド演奏が冷静なので、この曲からセカンドセットと推定される。17.「Only A Dream
In Rio」はジョンのエレキピアノとシンセサイザーが曲の色を決めており、曲が終わった後にはシンセによる鳥の鳴き声が残る。18.「Junkie's
Lament」は、この時期としては珍しいレパートリーかな?エンディングでの厚みのある「ラララ」の合唱は聴き応えある。19.「Fire And
Rain」では、ジョンのピアノとダンのスティールギターがたっぷり聴ける。20.「Love Has Brought Me Around」では、ファースト・ヴァースをアーノルドが、セカンド・ヴァースをローズマリーが歌う美味しいバージョンだ!
21.「I Will Follow」でも、エンディングでアーノルドがソロを取る。 22.「You've Got A Friend」、23.「Handy Man」は、別のオーディエンス録音らしく、私が聴いた音源では音質がぐっと落ちる。 25.「Steamroller」は、かなりハードなアレンジで、ダンのエレキギターソロも目一杯押しまくる。ジョンのピアノソロは最初ストライド・ピアノ風の面白い内容。後半コーラスが入り盛り上がり、エンディングのアドリブボーカルの後、テンポを上げてジミ・ヘンドリックス調のギターが入るR&Bバージョンとなる。アンコールの
26.「That's Why I'm Here」は少し冷静になっての演奏で、ブリッジでアーノルドとローズマリーがソロで歌うのが新鮮。27.「How
Sweet It Is」の間奏ソロのサックスみたいな音はジョンのシンセだろう。ここでもコーラス隊との掛け合いが好調で、エンディングにおけるローズマリーのシャウトは頭を突き抜けるほど凄い。
最後は 28.「Sweet Baby James」の弾き語りで締める。
アーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーのコーラスの素晴らしさを存分に味わえる音源。
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Rishon Letzion, Israel 1987 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar
John Gilutin : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. First Of May
2. Carolina In My Mind
3. Handy Man [Otis Blackwell, Jimmy Jones]
4. Your Smiling Face
5. Fire And Rain
6. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
7. Don't Let Me Be Lonely Tonight
8. Lighthouse
9. Country Road
10. The Twist [Hank Ballard]
11. Steamroller
12. Sweet Potato Pie
13. Never Die Young
14. Love Has Brought Me Around
15. I Will Follow
収録: 1987年 Rishon Letzion, Israel
放送: FM Broadcast by Galei Tzahal
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Israel Defense Forcesが運営するラジオ局 Galei Tzahal (Army Radio)が、イスラエル第4の都市リション・レジオンで行われたJTのコンサートをFM放送したもの。軍隊のラジオ局による放送であるが、特に政治的な意図・背景はないようだ。曲の合間にヘブライ語によるアナウンスが頻繁に入るが、穏やかな口調で3.
10.や12.を除き、曲のイントロにかぶってないので、あまり気にならない。音質的には、FM放送のエアーチェックの割に少し荒っぽい感じもするが、各楽器やボーカルの音はしっかり聴こえるので、十分楽しめる。ただしオーディエンスがギャアギャア騒がしく、耳触りなところもある。
ブラジル音楽風の1.「First Of May」は、バンドの演奏力高さが如実にわかる出来で、ダン・ダグモアのスティールギターの伸びある音にボブ・マンの歯切れの良いギタープレイが絡む。間奏のジョン・ギルトンのシンセソロは、ウェザーリポートのようだ。2.「Carolina
In My Mind」は、最初からコーラス隊が入る歌唱。ここでもダンのスティールギターが効果的で、ドン・グロルニックやビル・ペインとも異なるジョンのピアノ伴奏も聴きもの。3.「Handy
Man」を聴くと、当時のバンドのコーラス隊の二人がいかに強力だったかがよくわかる。 4. 「Your Smiling Face」は、リー・スクラーの素晴らしいベースランがしっかり聴こえる。5.「Fire
And Rain」のイントロが始まるとオーディエンスから大歓声が起きる。私はダンのスティールギターが入ったこの曲の演奏が大好きだ。7.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」は、ジョンのエレキピアノの伴奏、そしてエンディングでのシンセによるソロがハイライト。8.「Lighthouse」でのバックコーラスは、オリジナルのクロスビー・アンド・ナッシュに勝るとも劣らない出来だ。9.「Country
Road」のイントロは、いつものJTのアコギとリーのベースに加えて、ジョンのピアノが絡むアレンジで面白い。10.「The Twist」は、イントロにアナウンスがかぶるのが残念であるが、アグレッシブなコーラスを伴う楽しい演奏だ。11.「Steamroller」はヘビーなピアノソロと、クールなピアノソロの対比が面白い。エンディングはアップテンポに転じる。当時は収録アルバムが未発売だった新曲
12.「Sweet Potato Pie」は、アーノルド・マックラーが一部でリードをとり、ボブ・マンのギタープレイが鮮やかだ。続く 13.「Never
Die Young」も新曲。14.「Love Has Brought Me Around」では、アーノルド、ローズマリー、ジェイムスの順番でリードボーカルを担当、彼らの上手さが引き立つ快演。15.「I Will Follow」も、ジェイムスとコーラス隊、そしてバンドの精神的な一体感を強く感じる演奏で、エンディングでアーノルドがソロをとる。
コンサートを編集して一部の曲のみ放送したもので、曲の合間にアナウンスも入るが、それでも聴きごたえ十分の音源だ。
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The Reilley Center, St Bonaventure University, Olean, NY 1987 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar, Banjo
Don Grolnick : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. You Can Close Your Eyes
2. Secret O' Life
3. Song For You Far Away
4. Looking For Love On Broadway
5. Riding On A Railroad
6. Machine Gun Kelly
7. Everyday
8. Lighthouse
9. Love Has Brought Me Around
10. I Will Follow
11. Family Man
12. Your Smiling Face
13. Only One
14. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
15. How Sweet It Is (Cut) [Holland, Dozier, Holland]
16. Jim Dandy To The Rescue [Loncoln Chase]
17. Sweet Potato Pie
18. Never Die Young
19. Don't Let Me Be Lonely Tonight
20. Only A Dream In Rio
21. Angry Blues
22. I Think It's Gonna Work Out Fine [Rose Mary McCoy, Sylvia McKinney]
23. That's Why I'm Here (Cut)
24. Mexico
25. Carolina In My Mind
26. Fire And Rain
27. Steamroller
28. You've Got A Friend [Carole King]
1987年9月26日 The Reilley Center, St Bonaventure University, Olean, NY にて収録
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セント・ボナベェンチャー・ユニバーシティは、ニューヨーク州バッファローの南東、エリー湖の近くにあるオレアンという町にあり、1858年にキリスト教フランシスコ会が設立した大学だ。レイリー・センターは、大学構内になる4,980人収容の多目的会場で、1966年から同大学のバスケットボール・チームの本拠地となっている。本音源は当地におけるコンサートのオーディエンス録音で、音質は悪く雑音も多いが、1987年のコンサート録音は少なく、珍しい曲をやっているので、聴く価値はある。
この時期のバンドのキーボード奏者はジョン・ギルトンなんだけど、8.「Lighthouse」の後のメンバー紹介で、ドン・グロルニックであることがわかる。彼がJTと最初に演奏したのは、アルバム「Walking Man」1974 A6および同年のコンサートツアーなので、それ以降としては、1986年のDana
Auditoriumに次ぐ音源となる。録音が悪いので、彼の演奏はじっくり楽しむことはできないが、19.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」のエンディングでのエレキピアノのソロは、数ある彼のプレイのなかでも、とりわけ素晴らしい出来だと思う。またギタリストのボブ・マンが参加した初期の音源としても貴重。またコンサートを行った1987年9月は、翌年1月に発売されるアルバム「Never
Die Young」A13の4か月前ということもあって、新曲 17.「Sweet Potato Pie」、18.「Never Die Young」を披露している。
コンサートはJTの弾き語り1.「You Can Close Your Eyes」から始まり、エレキピアノが加わった2.「Secret O' Life」、フルバンドによる3.「Song
For You Far Away」と続き、4.「Looking For Love On Broadway」からコーラス隊が加わる。 5.「Riding
On A Railroad」、6.「Machine Gun Kelly」はメドレーで演奏され、前者ではダン・ダグモアがバンジョーを弾いている。会場は若い人が多いらしく、演奏中も歓声があがり、7.「Everyday」では大きな手拍子が入る。メンバー紹介の後の9.「Love
Has Brought Me Around」では、ファースト・ヴァースをアーノルド・マックラーが、セカンド・ヴァースをローズマリー・バトラーが歌っていて、両者の歌の上手さが際立っている。オーディエンスは多いに盛り上がった後も、快調に飛ばしてファースト・セットが終了。
セカンド・セットの15.「How Sweet It Is」はカットされていて、一部しか聴くことができない。 16. 「Jim Dandy To The Rescue」は、本音源でのみ聴くことができるR&Bカバーで、1956年ラヴァーン・バイカー(LaVern
Baker, 1929〜1997)の全米17位のヒットがオリジナル。後にサザン・ロックのブラック・オーク・アーカンサスが1973年にカバーしている。ここでは、ローズマリーとアーノルドの二人がメインで、JTはコーラスを付けている。新曲の後に演奏される 19.「Don't
Let Me Be Lonely Tonight」はいつ聴いても最高!コーラス隊が叩くパーカッションがラテン風味を彩る 20.「Only A
Dream In Rio」、ドン・ダグモアのペダル・スティールがリトルフィートのようなサウンドを作る 21.「Angry Blues」と続き、1979年の「No
Nukes」のコンサートおよび、1982年のリンダ・ロンシュタットのアルバム「Get Closer」C41で彼女とのデュエットで歌い、80年代のコンサートも演奏していた、アイク・アンド・ティナ・ターナーの全米ヒット曲(14位)の22.「I Think It's Gonna Work Out Fine」を、コーラス隊を従えて一人で歌っている。23.「That's Why I'm Here」は、カットのため少しだけ。 ギンギンに乗りまくった 27.「Steamroller」で大騒ぎしたオーディエンスは、28.「You've Got A Friend」で大合唱。ほんとうに陽気に楽しんでいる。
前述のとおり、音は悪いが、珍しい時期・選曲で楽しめる音源。
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Montreux Jazz Festival 1988 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar
John Gilutin : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
1. You Can Close Your Eyes
2. Wild Mountain Thyme [Traditional]
3. Looking For Love On Broadway
4. Riding On A Railroad
5. Machine Gun Kelly [Danny Kortchmer]
6. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin]
7. Walking Man
8. Lighthouse
9. Country Road
10. When I Was A Cowboy [H. Ledbetter]
11. The Twist [Hank Ballard]
12. Steamroller
13. Sweet Potao Pie
14. Never Die Young
15. Love Has Brought Me Around
16. First Day Of May
17. Carolina In My Mind
18. Your Smiling Face
19. Fire And Rain
20. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
21. Shower The People
22. You've Got A Friend [Carole King]
23. How Sweet It Is (To Be Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
24. Secret O' Life
1988年7月4日 Montreux Jazz Festival、Switzerland にて収録
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スイスのモントルーで開催されるモントルー・ジャズ・フェスティヴァルについては、説明不要だと思う。ビル・エバンスをはじめ、多くのライブ録音の名盤が生まれているが、1980年代からはジャズ以外の音楽も招かれるようになり、よりスケールアップしている。当フェスティバルの模様はすべて録音され、多くのアーティストの音源が公式・非公式に存在する。私が知る限りJTの音源は2つ存在するが、本音源はそのうちの古いほう。もうひとつは1999年のものだ。
1.「You Can Close Your Eyes」は弾き語り。JTはフランス語と英語を混ぜて曲の紹介を行い、スコットランドのトラディショナル曲
2.「Wild Mountain Thyme」を演奏、途中からバックコーラスとピアノが加わる。3.「Looking For Love On Broadway」では、ジョン・ギルトンのエレキピアノの音が目立っている。彼はシェ−ル、ピーター・セテラ、リンダ・ロンシュタット、セリーヌ・ディオン、ダイアナ・ロスの作品に参加していて、最近ではアーノルド・マックラーのソロアルバム「Sabor」
2008に名を連ねている。彼の参加は1986年と1988年のツアーのみ(1987年はツアーは行っていないようだ)で、それ以外はライブ、スタジオ録音ともにJTとのセッションはない。ビル・ペインやドン・グロルニック等の常連プレイヤーに比較すると、彼のプレイがいつものバンドとは異なる色彩を与えており、それがこの音源をユニークなものにしている。4.「Riding
On A Railroad」では、ダン・ダグモアのペダルスティールがフィーチャーされ、後半からはリズミカルなカントリー・ロックになり、メドレーで
5.「Machine Gun Kelly」に移ってゆく。次の曲 6.「Everyday」についても言えることであるが、 オリジナル録音に比べてソリッドでハードな音作りだ。7.「Walking
Man」はジョン・ギルトンのエレキピアノが、同曲における他のキーボード奏者のプレイと全く異なるため、聴いていてとても面白い。8.「Lighthouse」では、オリジナル録音のクロスビー・アンド・ナッシュに勝るとも劣らぬバックコーラス隊の巧さが際立っている。
9.「Country Road」では、縦横無尽に動くリー・スクラーのベースと、カルロス・ヴェガの強靭なビートによるリズム隊が大活躍、ヴェガのドラムがスポットライトを浴びる場面もあり、大変に躍動的な演奏となった。後年のスティーブ・ガッドとジミー・ジョンソンによるのリズム隊のものと比較すると面白い。ピアノとスティールギターも個性的なプレイだ。10.「When
I Was A Cowboy」はレッドベリーの曲で、60年代にジム・クウェスキン・ジャグバンドが演奏していた曲。スティール・ギターがスライドギター風の音を出し、ボブ・マンのギターソロなどもサザンロック風の趣がある。メドレーで演奏される
11. 「The Twist」はチャビー・チェッカー1960年の大ヒット(全米1位)で、乗り乗りの演奏。JTによるこの曲の演奏は珍しく、本音源と同時期に収録された公式映像「Live
At Boston Colonial Theatre」 1988 E3 がある。フランス語と英語によるバンド紹介でのJTは饒舌。弾き語りから始まる12.「Steamroller」では、ボブ・マンのギターソロに続くジョン・ギルトンのピアノソロは、最初のホンキートンク調の冗談的なフレーズの後に、シンセサイザーで演奏される。エンディングはこの時期の当曲の演奏に見られる、アップテンポのR&B調のプレイ。新アルバム「Never
Die Young」 A13からの新曲 13.「Sweet Potao Pie」は、アーノルド・マックラーのソロボーカル、ボブ・マンのギターソロなど好調な演奏。14.「Never
Die Young」では、ジョン・ギルトンのシンセサイザーの音色に特徴がある。15.「Love Has Brought Me Around」にはビックリ!リード・ボーカルがJTでないのだ!JTの声を含むコーラスの後に、女性ボーカルが歌い始めることで、アーノルドとローズマリーが歌っていることがわかる。スティールギターのソロの後はJTがリードを取り締めくくる。新作からの16.「First
Day Of May」はブラジル風の曲で、バンドの能力の高さが如実に出た演奏。 17.「Carolina In My Mind」以降は定番曲が続くが、ピアノとスティールギターの音色が聴きもの。21.「Shower
The People」のエンディングではこの時期では珍しくJTがソロをとっている。
オーディエンスの声援も華やかで、熱気に満ちたライブだ。
[2022年3月追記]
22〜24を追加しました。
本音源は、2000年代後半に配信サービスで聴くことができるようになったが、その際アンコールの3曲(22〜24)が追加され、コンサートの全貌を耳にすることができるようになった。特に24.「How
Sweet It Is」は高揚感溢れる演奏で、大いに盛り上がりをみせる。
[2023年12月追記]
20 「Up On The Roof」、22 「You've Got A Friend」につき、JTのYouTubeチャンネルで動画を観ることができました。とてもきれいなプロショットです。後ろ姿ですが、ピアノを弾くジョン・ギルトンの姿を見ることができます。彼のバンド在籍期間は短かったので、このような映像は珍しいです。
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Saratoga Springs Performing Arts Center 1988 |
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James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Bob Mann : Electric Guitar
Dan Dugmore : Electric Guitar, Steel Guitar
John Gilutin : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Carlos Vega : Drums
Rosemary Butler, Arnold McCuller: Back Vocal
[1st Set]
1. Everyday [Norman Petty, Charles Hardin] (Fade In)
2. Summer's Here
3. One Man Parade
4. Walking Man
5. Millworker
6. Country Road
7. When I Was A Cowboy [H. Ledbetter]
8. The Twist [Hank Ballard]
9. Steamroller
[2nd Set]
10. Come Together [Lennon, McCartney]
11. Sweet Potao Pie
12. Baby Boom Baby
13. First Of May
14. Never Die Young
15. Sun On The Moon
16. Fire And Rain
17. Carolina In My Mind
18. Your Smiling Face
19. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King]
20. Shower The People
[Encore]
21. You've Got A Friend [Carole King]
22. How Sweet It Is (To Loved By You) [Holland, Dozier, Holland]
23. Secret O' Life
24. You Can Close Your Eyes
25. Sweet Baby James
1988年8月2日 Saratoga Performing Arts Center, Saratoga Springs, NY にて収録
注: 11.はJT非参加
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サラトガ・パフォーミング・アーツ・センターは、ニューヨークの北、ハドソン川沿いに位置するサラトガ・スプリングスの州立公園内にある円形劇場。オープンは1966年で、観客席前部・中部は席・屋根付き、後部は屋外の芝生になっている。オーディエンス録音で、ファーストセットは屋内での録音で、音的にはリバーブが深めであるが、アコースティック・ギター、ピアノ、エレキギターの楽器の音がバランス良く録音されていて、ベースの音もしっかり聴こえるので、音楽として十分に楽しめるレベル。セカンド・セットは、屋外での録音とのことで、よりクリアーな音で楽しむことができる。
本コンサートの約1か月前の7月4日のモントルー・ジャズ・フェスティバルのセット・リストと比較すると、演奏曲目がかなり違っており、当時のバンドがエネルギッシュで、レパートリーが広かったことが分かる。1.「Everyday」は、途中からフェイドインする。2.「Summer's Here」と 3.「One Man Parade」はメドレーで演奏され、後者はパンチが効いたアレンジが新鮮。途中から始まる 10. 「Come Together」は、アーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーがリードをとり、JTは非参加。この二人がいかにスゴイ人達かよくわかる究極のボーカルだ。
13.「First Of May」の間奏でのジョン・ギルトンのシンセ・ソロは、ウェザーリポートの「Birdland」のような感じで、両曲が似ていることを思い起こさせるものだ。19.「Up
On The Roof」は、JTが 「芝生で観ている人達に捧げます」と言って始まる。
真夏のコンサートということで、リラックスした感じのオーディエンスで、拍手や歓声などの反応も賑やか。
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Live At New York (Beacon Theatre) 1989 |
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James Taylor : Vocal, A. Guitar
Mark O'Connor : Violin, Mandolin (11)
Jerry Douglas : Dobro
Edgar Mayer : Double Bass
John Jarvis (Probably) : Keyboards
Tom Roady : Percussion
Rosemary Butler : Back Vocal
Arnold McCuller : Back Vocal
David Lasley (Probably) : Back Vocal
(Back Vocal Featured on : 2.3.4.5.6.7.10.11.12.13.15.19.21.22.23.24.25)
1. Secret O' Life
2. You Can Close Your Eyes
3. Looking For Love On Broadway
4. Slow Burning Love
5. Traffic Jam
6. Twelve Gates To The City [Traditional]
7. Riding On The Railroad
8. Benjamin' (Instrumental)
9. Music
10.New Hymn [James Taylor, Reynolds Price]
11.Carolina In My Mind
12.Wild Mountain Thyme [Traditional]
13.Baby Boom Baby [Zachary Wiesner, James Taylor]
14.Fire And Rain
15.Only One
16.From Alaska To Izmir (Instrumental) [Jerry Douglas]
17.Sweet Baby James
18.Ol' Blue [Traditional]
19.Sweet Potato Pie
20.Don't Let Me Be Lonely Tonight
21.Never Die Young (Fade In)
22.Walking Man
23.Shower The People
24.Sea Cruise [Huey 'Piano' Smith]
25.You've Got A Friend (Fade Out)
収録: 1989年9月23日 Beacon Theatre, New York
注) 16.はJT不参加
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マーク・オコナー、ジェリー・ダグラス、エドガー・メイヤーとのツアーの模様を収めた音源。キーボード奏者はアナウンスがないので、誰だかはっきりしないが、おそらく当時マ−ク・オコナーと行動を共にしていたジョン・ジャービスと推定される。パーカッション奏者は、JTの紹介でトム・ローディであることがわかった。彼はマーラ・オコンネル、リッキー・スキャッグス、ランディ・トラヴィス、ヴィンス・ギル、ケニー・ロジャースといったカントリー音楽を中心に、その他アート・ガーファンクル、ケイト・テイラー、マイケル・マクドナルド、レイナード・スキナードなどの作品に参加したセッション・ミュージシャン。ドラムスが聴こえる曲もあるが、パーカッションと同時に演奏される場面はないようなので、彼一人で打楽器を担当しているものと思われる。バックボーカルもアナウンスはないが、歌声からアーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーであることは明らかだ。コーラス隊の音の厚みから、もう1人(おそらくデビッド・ラズリー)参加していると推定した。資料では1989年9月23日ニューヨークのコンサートとあるが、会場についてはデータがなく不明。ジャズ、クラシック、ポピュラーなど幅広い音楽性をカバーして、独自の美意識を持つ進歩的ブルーグラス音楽の名手達によるアコースティック・サウンドをバックに、本当にビューティフルな音楽世界を創り上げている。
1.「Secret O' Life」でのピアノはドン・グロルニックのプレイと音使いが異なり、それなりにいい感じだ。2.「You Can Close
Your Eyes」はバックコーラス付きの演奏。 3.「Looking For Love On Broadway」は珍しいレパートリーで、マーク・オコナーのバイオリンがフィーチャーされる。4.「Slow
Burning Love」もライブでは余り聴かれないダークな曲で、バイオリンとドブロが耽美的で濃密な音世界を生み出している。5.「Traffic
Jam」では、ローズマリー・バトラーの生気あるれるボーカルが耳に残る演奏で、間奏におけるエドガー・メイヤーの4ビート・ベースソロの切れ味が鋭い。
6.「Twelve Gates To The City」はブルース・ギタリストとしても名高いレヴェゲンド・ゲイリー・デイビスやブラインド・ボーイ・フラーが歌っていたスピリチュアルで、ピート・シーガー、デイブ・ヴァン・ロンク、ジュディ・コリンズ等のフォークシンガーも多くカバーしている。ゴスペル調のコーラス隊を前面に出し、ジェリー・ダグラスのドブロがフィーチャーされ、JTが好きだったという当時のライ・クーダーのサウンドそのもの。7.「Riding
On The Railroad」におけるコーラス、バンド演奏の一体感は素晴らしく、生理的快感を覚えるほどだ。バイオリンとドブロのソロも余裕たっぷり。8.「Benjamin'」は、JTが息子のベンジャミンのために書いたインストルメンタル曲で、サックス奏者デビッド・サンボーンの「Promise
Me The Moon」 1977に収録されていたが、JT本人による録音は当時未発表だったもの。JT演奏による正式音源としては、その後2000年にヨーヨー・マ、マーク・オコナー、エドガー・メイヤーのセッションアルバム「Appalachian
Waltz」で初収録された。ここではJTとマーク・オコナーによるデュエットで、マークのバイオリンの音色は艶っぽい。メドレーで9.「Music」になるが、「Gorilla」1975
A7に収録されたこの曲のライブ演奏は大変珍しく、ギター、ドブロ、バイオリンによるストリング・バンドの透明感溢れる響きが、しっとりとした美しいメロディーを際立たせている。JTのボーカルも最高で、私にとってのJTのライブトラックのベストの一曲。とにかく8.
9.のメドレーは最高!!
1993年の「(Live)」 A15に初収録された10.「New Hymn」は、本音源の1989年には既に演奏されていたということになる。エドガーのベースの弓弾きが重低音を提供している。11.「Carolina In
My Mind」はジェリーのドブロがメインのバックで、Musicareのコンサート(E11)における彼の演奏のルーツといえるもの。マンドリンが聞こえるがマークが弾いているのだろう。
12.「Wild Mountain Thyme」のバックバンドのサウンドは「Telluride Bluegrass Festival」 B20 とほぼ同じ。13.「Baby Boom Baby」でもバイオリンとドブロが活躍、本編を通して言えることであるが、トム・ローディーの控えめなパーカッションによる穏やかなグルーヴが心地良い。14.「Fire
And Rain」が始まると拍手が起きる。ここでもエドガーのベースのアルコ奏法が効果的だ。コーラス隊が前に出た 15.「Only One」の次に演奏される
16「From Alaska To Izmir」はインストルメンタルで、JTは不参加。ジェリー・ダグラス1987年のアルバム「Changing
Channels」に収められていた曲で、テーマおよびインプロヴィゼイションにおけるドブロプレイが鮮やかで、聴く者の心を揺さぶる説得感がある。急速調のジャズ・チューンで、ドブロという楽器が持つカントリーなイメージを一掃してしまう。もちろんマークのバイオリンも負けじと頑張っている。17.「Sweet
Baby James」はJTのギターとドブロのみの演奏。18.「Ol' Blue」は愛犬との人生を描いた素晴らしいトラディショナルで、この曲のスタジオ録音は同時期に製作されたマーク・オコナーのアルバム「On
The Mark」C49 1989に収録された他に、「Telluride Bluegrass Festival」でのライブ演奏がビデオ E6に収められている。19.「Sweet
Potato Pie」はドブロとコーラス隊が活躍する曲で、アーノルドが1節ソロで歌い、JTと掛け合いをする。20.「Don't Let Me
Be Lonely Tonight」では、バンドの編成上、JTのアコギの演奏がはっきり聴こえるのがうれしい。エレキピアノの伴奏と最後のソロも申し分ないが、エドガーのベースラインには聴き入ってしまう。私が聴いた音源では途中からフェイドインする
21.「Never Die Young」と、22.「Walking Man」におけるジェリーのドブロの音が美しい。 23.「Shower The
People」はバンドの伴奏付きで、間奏でいつもはJTが一人でアコギを弾く部分では、マークのバイオリンが流れる。ラストのボーカルはいつもの通り、アーノルドがソロを取り喝采を浴びる。フランキー・フォード1959年のヒット曲(全米14位) 14.
「Sea Cruise」は、コミカルな味付けでコーラス隊が全開。アーノルドのソロやローズマリーによるコミカルな奇声ボーカルが面白い。最後は 25.「You've
Got A Friend」(フェイドアウト)で締めくくる。
数あるJTの音源のなかでも最高に好きな逸品だ。
[2024年5月追記]
会場がニューヨークのビーコン・シアターだったことが分かりましたので、修正しました。記録によると9月20日(水)から24日(日)までの5日間同地で行ったそうだ。
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